【A07】惑星運動の数値シミュレーション【青森大学／ソフトウェア情報学部 鈴木研究室】
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C言語のプログラムを作成し、太陽の周りを回る地球の運動を計算した。計算方法にはオイラー法、修正オイラー法、シンプレクティック法の３つを用い、1000年の計算を行ってそれぞれの結果を比較した。オイラー法では正しい軌道が計算できなかったが、シンプレクティック法では1000年に渡って周期的な楕円運動を計算することができた。エネルギーの時間変化も計算し、エネルギー保存則の観点からも３つの手法を比較した。
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【A07】惑星運動の数値シミュレーション【青森大学／ソフトウェア情報学部 鈴木研究室】
- 2. 背景 (1) 惑星の運動 • 惑星はニュートンの運動法則によって動いて いる。 • 惑星に働く力は主に太陽からの引力であり、 それはニュートンの重力法則に従う。 • 惑星の運動においてはエネルギー保存則が 正確に成り立つ。
- 3. 背景 (2) ニュートンの運動法則 質量×加速度＝力 質量：物体の動きにくさを表す量 加速度：速度（＝位置の変化率）の変化率 質量と力が分かっていれば加速度が求まる。 加速度が分かれば運動が求まる。
- 5. 背景 (4) エネルギー保存則 運動エネルギー ＋ 位置エネルギー ＝ 一定 位置エネルギーが最大 運動エネルギーが最小 位置エネルギーが最大 運動エネルギーが最小 位置エネルギーが最小 運動エネルギーが最大 重力
- 6. 惑星運動の数学的定式化 • ニュートンの運動方程式 𝑚 𝑑2𝑞𝑥 𝑑𝑡2 = 𝐹𝑥, 𝑚 𝑑2𝑞𝑦 𝑑𝑡2 = 𝐹𝑦, 𝑚 𝑑2𝑞𝑧 𝑑𝑡2 = 𝐹𝑧 𝑀 𝑟 𝑚 𝐹𝑥 = 𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑥 𝑟 , 𝐹𝑦 = 𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑦 𝑟 , 𝐹𝑧 = 𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑧 𝑟 𝑟 = 𝑞𝑥 2 + 𝑞𝑦 2 + 𝑞𝑧 2
- 7. 惑星運動の数学的定式化 • 運動エネルギー • 位置エネルギー • 全エネルギー 𝐾 = 1 2 𝑚 𝑑𝑞𝑥 𝑑𝑡 2 + 𝑑𝑞𝑦 𝑑𝑡 2 + 𝑑𝑞𝑧 𝑑𝑡 2 𝑉 = −𝐺 𝑚𝑀 𝑟 𝐸 = 𝐾 + 𝑉 = 一定
- 8. 数値計算法 (1)オイラー法 ・時刻 𝑡 = 𝑡0 において初期条件 𝑥 = 𝑥0 が課された 𝑥 = 𝑓(𝑥) を 計算する数値解法 ・時間ステップ∆𝑡を用いて、𝑥 を 𝑥𝑛+1−𝑥𝑛 ∆𝑡 と近似し、 𝑓 𝑥 を 𝑓(𝑥𝑛)と評価して 𝑥𝑛+1 = 𝑥𝑛 + 𝑓(𝑥𝑛)∆𝑡 によって 𝑥𝑛 から 𝑥𝑛+1 を計算する。 ・𝑛 = 0,1,2 ⋯ と計算する事で、初期値の 𝑥0 からすべての 𝑥𝑛 を 求めることができる。
- 9. 数値計算法 (2) 修正オイラー法 ・仮の値(チルダ”~” という記号で示す)、を次式によって 求める。 𝑥𝑛+1 = 𝑥𝑛 + 𝑓(𝑥𝑛)∆𝑡 ・オイラー法と同様に 𝑥𝑛で評価した 𝑓(𝑥𝑛) と仮の値 𝑥𝑛+1 で 評価した 𝑓(𝑥𝑛+1) との平均を使って 𝑥𝑛+1 を求める 𝑥𝑛+1 = 𝑥𝑛 + 1 2 [𝑓 𝑥𝑛 + 𝑓 𝑥𝑛+1 ]∆𝑡
- 10. 数値計算法 (3) シンプレクティック法 ・ニュートンの運動方程式を計算するための特別な方法 である。 ・ニュートンの運動方程式 𝑚 𝑑2𝑞 𝑑𝑡2 = 𝐹 𝑞 を 𝑝 = 𝑑𝑞 𝑞𝑡 として 𝑑𝑞 𝑑𝑡 = 𝑝, 𝑑𝑝 𝑑𝑡 = 𝐹 𝑞 𝑚 と書き換える。 ・この方程式を 𝑝𝑛+1 = 𝑝𝑛 + 𝐹 𝑞𝑛 𝑚 ∆𝑡 𝑞𝑛+1 = 𝑞𝑛 + 𝑝𝑛+1∆𝑡 と計算する。
- 11. 計算条件 • 地球に対するニュートンの運動方程式 𝑚 𝑑2𝑞𝑥 𝑑𝑡2 = −𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑥 𝑟 , 𝑚 𝑑2 𝑞𝑦 𝑑𝑡2 = −𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑦 𝑟 , 𝑚 𝑑2𝑞𝑧 𝑑𝑡2 = −𝐺 𝑚𝑀 𝑟2 𝑞𝑦 𝑟 , 𝑟 = 𝑞𝑥 2 + 𝑞𝑦 2 + 𝑞𝑧 2 地球の質量： ݉=5.972 × 1024 [kg] 太陽の質量： =ܯ1.988 × 1030 [kg] 万有引力定数： =ܩ6.674 × 10−11 [m3/(kg ∙ s2)] これをオイラー法、修正オイラー法、シンプレクティック法 を用いて計算する。
- 12. 計算条件 • 初期条件 初期位置：𝑞𝑥0 = 1.496 × 1011 𝑚 , 𝑞𝑦0 = 𝑞𝑧0 = 0 初期速度：𝑝𝑥0 = 0, 𝑝𝑦0 = 2.98 × 104 𝑚 𝑠 , 𝑝𝑧0 = 0 • 時間刻み Δ𝑡=0.01[年] • 計算した時間 100000ステップ・1000年
- 13. 計算結果（１年間の軌道） 最初の１年間 10年後の１年間 • オイラー法は軌道が膨らんで いる。 • 修正オイラー法とシンプレク ティック法は楕円軌道が描け ている。 • オイラー法は軌道が膨らんで 図から外れている。 • 修正オイラー法とシンプレク ティック法は楕円軌道が描け ている。
- 14. 計算結果（一年間の計算） 100年後の１年間 1000年後の１年間 • 修正オイラー法は軌道が膨み かけている。 • シンプレクティック法は楕円 軌道が描けている。 • 修正オイラー法は軌道が膨ら んでいる。 • シンプレクティック法は楕円 軌道が描けている。
- 15. 計算結果（1000年間の軌道） オイラー法 修正オイラー法 シンプレクティック法 • オイラー法は軌道が大きく膨らんで しまっている。 • 修正オイラー法は若干軌道が膨らん でいる。 • シンプレクティック法はほぼ一定の 軌道が描けている。
- 16. 計算結果(エネルギー保存則) オイラー法 修正オイラー法 シンプレクティック法 • オイラー法は全エネルギーが急激に 減衰している。 • 修正オイラー法は全エネルギーが 徐々に減衰している。 • シンプレクティック法は全エネル ギーがほぼ保存している。