1. 2016/1/15 (金) RCO Study Night
次世代量子情報技術
量子アニーリングが拓く新時代
情報処理と物理学のハーモニー
早稲田大学高等研究所 田中 宗
本スライドは、2016/1/15に開催された、RCO Study Night
RCOにおける機械学習と次世代量子情報処理技術「量子アニーリング」
にて使用したスライドについて、web 公開版用に修正を加えたものです。
画像は、pixabay.com等、コピーライトフリーのサイトに掲載されているものを用いました。
2. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
量子アニーリング:3つの疑問
2
量子アニーリングは何に使えるのか?
量子アニーリングとは何か?
なぜ量子アニーリングか?
3. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
量子アニーリングは
何に使えるのか?
3
6. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
6
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
7. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
6
1問
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
8. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
6
1問
B✔問1: A B✔問1: A B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
9. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
6
1問
B✔問1: A B✔問1: A
2問
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
10. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
6
1問
B✔問1: A B✔問1: A
2問
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
11. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
7
3問
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
12. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
7
3問
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B✔問3: A B✔問3: A
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B✔問3: A B✔問3: A
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B✔問3: A B✔問3: A
B✔問1: A B✔問1: A
B✔問2: A B✔問2: A
B✔問3: A B✔問3: A
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
13. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
8
問題数 答えのパターン
1 21
=2
2 22
=2x2=4
3 23
=2x2x2=8
4 24
=2x2x2x2=16
10 210
=1,024
20 220
=1,048,576
30 230
=1,073,741,824 (10億)
40 240
≒1,099,511,600,000 (1兆)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
14. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
8
問題数 答えのパターン
1 21
=2
2 22
=2x2=4
3 23
=2x2x2=8
4 24
=2x2x2x2=16
10 210
=1,024
20 220
=1,048,576
30 230
=1,073,741,824 (10億)
40 240
≒1,099,511,600,000 (1兆)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
15. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
8
問題数 答えのパターン
1 21
=2
2 22
=2x2=4
3 23
=2x2x2=8
4 24
=2x2x2x2=16
10 210
=1,024
20 220
=1,048,576
30 230
=1,073,741,824 (10億)
40 240
≒1,099,511,600,000 (1兆)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
16. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
8
問題数 答えのパターン
1 21
=2
2 22
=2x2=4
3 23
=2x2x2=8
4 24
=2x2x2x2=16
10 210
=1,024
20 220
=1,048,576
30 230
=1,073,741,824 (10億)
40 240
≒1,099,511,600,000 (1兆)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
17. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
二択問題
8
問題数 答えのパターン
1 21
=2
2 22
=2x2=4
3 23
=2x2x2=8
4 24
=2x2x2x2=16
10 210
=1,024
20 220
=1,048,576
30 230
=1,073,741,824 (10億)
40 240
≒1,099,511,600,000 (1兆)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
B✔問5: A
B問6: A
最高得点
最小失点
✔
✔
✔
✔
29. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題
14
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
x
y : コスト関数 y = f(x)
x
最小
30. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題
15
答えのパターン
計算時間
問題のサイズ
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
31. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題
15
爆発的増加
答えのパターン
計算時間
問題のサイズ
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
組合せ爆発
47. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然現象を記述する言語、物理学
21
ニュートンの運動方程式
ma = F
運動方程式を解くと、
システムの振る舞いが予言できる。
48. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然現象は、計算
22
ma = F
ニュートンの運動方程式
システムの振る舞いが、
運動方程式の答えになっている。
49. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題
23
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
x
y : コスト関数 y = f(x)
x
最小
50. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然現象は、計算
24
最小作用の原理(物理学)
力学
力学運動は、
作用と呼ばれる関数の
最小値を取る軌道
波動光学
光路最小条件を満たす
ところに光線が伝搬。
屈折、干渉現象
自然現象から
着想を得て、
計算の飛躍的
発展を狙う
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
51. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
ナチュラルコンピューティング
25
Atsushi Tero et al. (2010).
自然界のシステムを用いて、ベストな
答えを探しだす。
粘菌コンピュータ
L.Adleman et al. (1994)
DNAコンピュータ
52. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題
26
x = argminxf(x) x = (x1, · · · , xN )
離散変数を引数とする実数関数が最小値を取る条件を見つける。
x
y : コスト関数 y = f(x)
x
最小
61. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
35
組合せ最適化問題の最適解 = イジングモデルの基底状態
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
イジングモデル
✔ 組合せ最適化問題のハミルトニアン
✔ 基底状態を求めることは困難(組合せ爆発)
スピン(ビット)間
相互作用
磁場(強制力)
様々な分野に、応用展開可能
62. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
36
磁石
電子の自由度であるスピンが相互作用しあい、スピンの
向きが うことにより、磁石の性質(くっつく)を持つ。
1cm3四方に、アボガドロ数(1023個)の電子が存在
熱すると、磁石の性質を失う(相転移)。
膨大な個数の要素間の相互作用により駆動される現象を取り扱う
最もシンプルな統計力学模型
イジングモデル
H =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
63. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
37
膨大な個数の要素間の相互作用により駆動される現象を取り扱う
最もシンプルな統計力学模型
H =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
スピン間の相互作用 スピンに働く磁場
Jij > 0
Jij < 0
:強磁性的相互作用
隣り合うスピンが同じ向きになる
hi > 0: となる
:反強磁性的相互作用
隣り合うスピンが反対向きになる
z
i = +1
hi < 0: となる
z
i = 1
J > 0
J > 0
J < 0
J < 0
h > 0 h < 0
相互作用によるエネルギー利得 磁場によるエネルギー利得
64. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
38
基底状態(最もエネルギーが低い、安定状態)を求めたい
H =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
スピン間の相互作用 スピンに働く磁場
強磁性体 反強磁性体 ランダム磁性体
基底状態を
求めること
は困難
Jij > 0
Jij < 0
:強磁性的相互作用
隣り合うスピンが同じ向きになる
hi > 0: となる
:反強磁性的相互作用
隣り合うスピンが反対向きになる
z
i = +1
hi < 0: となる
z
i = 1
65. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
39
フラストレーション(競合)により、問題が難しくなる
H =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
スピン間の相互作用 スピンに働く磁場
Jij > 0
Jij < 0
:強磁性的相互作用
隣り合うスピンが同じ向きになる
hi > 0: となる
:反強磁性的相互作用
隣り合うスピンが反対向きになる
z
i = +1
hi < 0: となる
z
i = 1
J < 0J < 0
J < 0
J < 0
J < 0
J < 0
J > 0
相互作用の競合(フラストレーション) 磁場の競合(フラストレーション)
J > 0
h > 0 h < 0
66. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
イジングモデル
40
組合せ最適化問題の最適解 = イジングモデルの基底状態
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
イジングモデル
✔ 組合せ最適化問題のハミルトニアン
✔ 基底状態を求めることは困難(組合せ爆発)
スピン(ビット)間
相互作用
磁場(強制力)
様々な分野に、応用展開可能
イジングモデルの基底状態ソルバー開発が重要
67. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
日本発のイジングモデル専用機
41
山岡ほか、
日立評論 Vol. 98, No. 06-07, 406-407,
イノベイティブR&Dレポート pp. 84-89 (2015)
国立情報学研究所
山本・宇都宮研究グループ web サイト等
https://qistokyo.wordpress.com/research/coherent-ising-machine/
イジングモデルを人工的に作り、
組合せ最適化問題を解く。
CMOSアニーリング
DNAコンピュータ
68. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
上がるプロセスも、必要
42
x
y y = f(x)
x
: コスト関数
最小
熱効果
ベストな答えが見つかる
70. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
43
解きたい
組合せ最適化問題
71. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
43
イジングモデルへ
マッピング
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
解きたい
組合せ最適化問題
ナチュラルコンピューティングを
使うための共通部分
72. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
43
イジングモデルへ
マッピング
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
温度をゼロまで下げる
温度
時間
ランダム初期状態
安定状態
自己組織化
解きたい
組合せ最適化問題
ナチュラルコンピューティングを
使うための共通部分
シミュレーテッド
アニーリング
S. Kirkpatrick, C. D. Gelatt, and M. P. Vecchi,
(1983).
76. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然界の2つのゆらぎ
47
熱効果による、ゆらぎ
熱アニーリング
シミュレーテッドアニーリング
温度
安定な状態 ランダムな状態
S. Kirkpatrick, C. D. Gelatt, and M. P.Vecchi (1983).
77. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然界の2つのゆらぎ
47
熱効果による、ゆらぎ
熱アニーリング
シミュレーテッドアニーリング
温度
安定な状態 ランダムな状態
量子効果による、ゆらぎ
量子アニーリング
?
Kadowaki and Nishimori (1998).S. Kirkpatrick, C. D. Gelatt, and M. P.Vecchi (1983).
78. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然界の2つのゆらぎ
48
ABAA
熱ゆらぎによる、ランダムな答え (AまたはB)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
✔
✔
✔
79. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然界の2つのゆらぎ
48
ABAA
熱ゆらぎによる、ランダムな答え (AまたはB)
B問1: A
B✔問2: A
B問3: A
B問4: A
✔
✔
✔
BBBB
✔
AAAA
量子ゆらぎによる、重ねあわせの答え (AでありBでもある)
B問1: A
B問2: A
B問3: A
B問4: A
✔
✔
✔
✔
✔
✔
✔
80. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
量子ゆらぎによる、重ねあわせ
49
AAAA BAAA ABAA BBAA
AABA BABA ABBA BBBA
AAAB BAAB ABAB BBAB
AABB BABB ABBB BBBB
BBBB
✔
AAAA
B問1: A
B問2: A
B問3: A
B問4: A
✔
✔
✔
✔
✔
✔
✔
81. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
自然界の2つのゆらぎ
50
熱効果による、ゆらぎ
熱アニーリング
シミュレーテッドアニーリング
温度
安定な状態 ランダムな状態
量子効果による、ゆらぎ
量子アニーリング
Kadowaki and Nishimori (1998).S. Kirkpatrick, C. D. Gelatt, and M. P.Vecchi (1983).
BBBBAAAA
82. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
51
解きたい
組合せ最適化問題
イジングモデルへ
マッピング
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
量子アニーリングナチュラルコンピューティングを
使うための共通部分 T. Kadowaki and H. Nishimori (1998)
T. Kadowaki, Ph. D thesis (quant-ph/0205020)
量子揺らぎをゼロまで下
げる
時間
量子重ねあわせ
状態
安定状態
自己組織化量
子
揺
ら
ぎ
83. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
52
解きたい
組合せ最適化問題
イジングモデルへ
マッピング
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
温度をゼロまで下げる
温度
時間
ランダム初期状態
安定状態
自己組織化
シミュレーテッド
アニーリング
ナチュラルコンピューティングを
使うための共通部分
S. Kirkpatrick, C. D. Gelatt, and M. P. Vecchi,
(1983).
84. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
組合せ最適化問題の解き方
53
解きたい
組合せ最適化問題
イジングモデルへ
マッピング
Hopt. =
i,j
Jij
z
i
z
j
i
hi
z
i
z
i = ±1
量子アニーリングナチュラルコンピューティングを
使うための共通部分 T. Kadowaki and H. Nishimori (1998)
T. Kadowaki, Ph. D thesis (quant-ph/0205020)
量子揺らぎをゼロまで下
げる
時間
量子重ねあわせ
状態
安定状態
自己組織化量
子
揺
ら
ぎ
85. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
門脇博士・西森教授の論文 (1998)
54
h/J = 0.1 N = 8(t)
i
x
iH =
i,j
Jij
z
i
z
j h
i
z
i
量子効果を反映させた物理系のダイナミクスを
シミュレーション (Schrödinger 方程式)
T. Kadowaki and H. Nishimori (1998)
温度を下げた場合(SA; マスター方程式)
と、横磁場を弱めた場合
(QA; Schrödinger 方程式)について比較。
同じスケジュール関数を使った場合、
QAの方が基底状態を得られる確率が
高いという結果。
86. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
門脇博士の学位論文 (1998,東工大)
55
T. Kadowaki, Ph. D thesis (quant-ph/0205020)
量子効果を反映させた物理系のダイナミクスを
シミュレーション (量子モンテカルロ法)
16都市の巡回セールスマン問題を何パターンか実行
モンテカルロ法を用いたSAと量子モンテカルロ法を用い
たQAとで比較。
同じスケジュール関数の場合、同じ時間で基底状態を
得られる確率は、QAの方が高い。
同じスケジュール関数の場合、同じ時間で得られる
巡回セールスマン問題のコスト関数値は、QAの方が
低い。
87. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
量子アニーリング:3つの疑問
56
量子アニーリングは何に使えるのか?
量子アニーリングとは何か?
なぜ量子アニーリングか?
91. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
1億倍速い計算
60
V. S. Denchev et al. (Google group), arXiv:1512.02206
2015年12月、Googleの研究者グループによる
What is the Computational Value of Finite Range Tunneling? という
題目の論文が発表された。
945ビットで表現できる、ある組合せ最適化問題に対し、SAで50%の正解を
得るために要する計算時間に比べ、D-Waveで50%の正解を得るために要する
計算時間は1億倍短縮された。という報告である。
これはインパクトのある例の提示ではあるが、一方、D-Waveが得意とする問
題に対する結果であり、常に1億倍となるわけでもない。
更に、QMCによるQAと、問題サイズに対する計算時間の傾きが同程度であ
り、量子スピードアップとは言えない現象である。
また、1000ビットで表現できる組合せ最適化問題は非常に小さい。
例) D-Wave で巡回セールスマン問題を解くとすると、30+都市程度
93. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
D-Wave の内部構造
62
磁束量子パラメトロン(QFP)で磁束量子磁場の増幅
超伝導量子干渉計(dc SQUID)で磁束量子磁場の観測
日本発の超伝導エレクトロニクス技術の結晶
高い制御性を持つ超伝導磁束量子ビット
D-Wave Systems Inc. webサイトより
94. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
5年前の北米の動向
63
航空経路の制御、ロボット工学、宇宙ステーション内実験スケジュール最適化・
画像融合(データ認識) 等
D-Wave 購入組織と使用用途
Web検索システム、まばたき認識(Google Glass)、顔認識・音声認識・
タンパク質折りたたみ最適構造検出
航空機プログラム(106+行)のバグ検出、
大規模複雑システムの動作検証のコスト削減、新薬創出
NASA
Google
Lockheed Martin
95. 2016/1/15 (金) RCO Study Night 田中 宗 (早稲田大学 高等研究所)
最近の海外の動向
64
量子情報処理デバイスやアルゴリズム開発に
本格参入・投資・期待する主要な企業
D-Wave Systems
Airbus
Alibaba
Google
IBM
Intel
Lockheed Martin
Microsoft
FinTech
CME group
Goldman sachs
Guggenheim Partners
The Royal Bank of Scotland plc
量子情報処理デバイスやアルゴリズム開発に
関する海外の大型国家プロジェクト
アメリカ(DARPA, IARPA)、オランダ、オーストラリア、中国