在宅医学会片山
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第15回日本在宅医学会大会 in愛媛 2013.3.30
認知症の初期集中支援サービスの構築に向けた
桜新町アーバンクリニックの取組み
桜新町アーバンクリニック
片山智栄・芝原由美・小澤晶子・尾山直子
村上典由・北山摂・遠矢純一郎
ロザリオの聖母会 海上寮療養所 上野秀樹
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認知症施策推進5か年計画
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
2.早期診断・早期対応
認知症初期集中支援チームの設置
早期診断等を担う医療機関を500カ所整備 など
3.地域での生活を支える医療サービスの構築
「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定
精神科病院からの円滑な退院・在宅復帰の支援 など
4.地域での生活を支える介護サービスの構築
5.地域での日常生活・家族の支援の強化
6.若年性認知症施策の強化
7.医療・介護サービスを担う人材の育成
(2013年-2017年 オレンジプラン)
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ケアの流れを変える
「危機」が発生してからの
「事後的な対応」が多かった
平成24年6月18日 厚労省認知症施策検討プロジェクトチーム
「今後の認知症施策の方向性について」
精神病院への長期入院や
施設入所が増加する
認知症状の
進行・悪化
<これまでのケア>
新たに「初期集中支援」
「危機回避支援」を整備
住み慣れた自宅・地域の
良い環境で暮らし続ける
ことが出来る社会へ
<今後目指すべきケア>
「早期・事前的な対応」
を充実させる
認知症への対応
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新たな支援体制
初期集中支援
チーム
認知症早期
自宅での
生活が継続
• 医師による早期診断につなげる
• 在宅での具体的ケアの提供と指導
地域ケアマネ
に引き継ぐ
6か月後調査項目:
生活歴・病歴
身体・認知能力
ADL、生活環境
普段の生活
性格・価値観
自宅での支援
• 看護師、心理士、作業療法士、PSWなど
で構成された専門チームがご自宅に訪問
• 認知症初期から関わり、記憶が失われる前に、
本人の情報や意思、どんな生活を送りたいかを聞き取る
• その方の人生や譲れない価値を調査、記録して
行動心理症状への対応方法をアドバイス
• 地域での生活が続けられるように包括的支援プランを立て
6ヶ月をめどに地域のケアマネや介護者らに引き継ぐ
認知症初期集中支援サービス
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1 事前電話ヒアリング
目的:認知症かどうかをある程度判別する
対応職種:看護師など
必要時間:30分以内
使用ツール:オリジナル問診票
調査項目:
• 基本情報
• これまでの経過
• アルコール歴・精神疾患歴
• 中核症状
• 行動心理症状(BPSD)
• 生活支援の必要性
• 内服薬
• 介護上の問題
認知症初期集中支援サービス -サービスの流れ-
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2 初回家庭訪問調査
(ヒアリング内容)
現況(症状)
既往歴および来歴
リスクとニーズのスクリーニング
現在の身体状態および薬物使用・飲酒
社会的状況
生活習慣
学歴、職業歴
趣味などの興味、好み
家族構成・関係性、家族歴
(包括的アセスメント)
認知・日常生活機能
精神症状
ADL・IADL
その他の重大なストレス
気分・QOL
記憶
住まいの状況
評価シートの利用
目的: 認知症診断および介護支援のための情報収集、
ご本人の意思決定支援のための情報収集
対応職種:看護師、作業療法士、臨床心理士
必要時間:初回訪問 1時間(診断)、2時間 X2回(アセスメント)
使用ツール:アセスメントシート
行動観察方式(AOS)、KOMIチャート、ADL-Cog、BPS-Cogなど
調査項目:
認知症初期集中支援サービス -サービスの流れ-
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3 多職種チーム会議
アクション・プランの作成
目的:
・ 多職種チームによる評価会議により、認知症の診断とケア方針を立案
・ 診断のための追加調査の必要性を検討
必要時は血液検査、MRIなどの医療機関による追加検査を実施
※その際には身近型認知症疾患医療センターもしくはかかりつけ医に依頼
対応職種:訪問した初期集中支援スタッフ、認知症専門医、在宅医、看護師、
薬剤師、ケアマネージャー、介護士、地域包括支援員、臨床心理士、
精神保健福祉士、作業療法士、保健師、世田谷区地域福祉部 ※暫定案
必要時間:1時間
認知症初期集中支援サービス -サービスの流れ-
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4 支援・治療計画の開始
非薬物療法 → 心理療法、アルツハイマーカフェへの参加
RO(リアリティ・オリエンテーション)
作業療法など
薬物療法 → 処方前検査を実施し医師による処方を受ける
福祉サービス → デイケア、訪問ケア、訪問介護、配食
レスパイト、ボランティア組織
本
人
介
護
者
教育的支援 → 認知症について、中核症状と周辺症状
薬物療法の効果
身体状況の観察ポイント
BPSD出現時の対応等
接し方やコミュニケーションスキル
心理的支援 → 家族会、アルツハイマーカフェへの参加
介護負担・ストレス軽減
原則として、ご本人とご家族に結果(診断、ケア方針)を報告
認知症初期集中支援サービス -サービスの流れ-
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5 ケアマネージャー・かかりつけ医へ
6ヶ月〜12ヶ月のケアレビューを受けながら随時対応し、
症状等の安定が図られ早期集中支援終了する準備が
整えば、ケアマネージャー・かかりつけ医へと引き継ぎ
ケアを継続していく
症状悪化等がみられる場合には、支援チームへ相談して
もらうか、身近型認知症疾患医療センターへ誘導
認知症初期集中支援サービス -サービスの流れ-
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認知症初期集中支援の課題と問題点
• 地域でどうやって初期認知症を見つけるか
• アセスメントツールやケアプラン作成、家族指導のための標
準的マニュアルの不在
• 在宅医、かかりつけ医、看護師、地域包括支援員の認知症
ケアに対する知識不足、教育研修体制の不備
• 初期集中支援チームに必要な認知症ケアに詳しい看護師、
作業療法士や精神科ソーシャルワーカーの不在
• 診断会議に欠かせない認知症専門医、精神科医の確保
• 地域のケアマネや介護士への効率的な認知症教育
• 初期集中支援以降の継続的な支援体制
• 認知症の方のペースに合わせたデイサービスの不足
• 認知症グループホームの不足