優良病・医院経営を目指して 事務部長による経営課題解決編 ~報連相のあり方~ 特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志 業務管理をするうえで報連相(報告、連絡、相談)が重要なのは言うまでもないでしょう。日誌や朝礼、面談、会議などでルーチン化している組織も多いのではないでしょうか。基本的な形としては、部下が上司に報連相をするべき、という構造になっていると思います。先日、あるマネジャークラスの方から「うちは報連相をする習慣がなく困っている」と相談を受けました。毎日定期的に報告をしに部下が来るべきだ、という考え方が前提となっています。決して悪い方法ではなく、それも一つの業務管理方法として間違ってはいないでしょう。 しかし、筆者としては「マネジャークラスの人材が自ら現場に足を運び、報連相を受けるべきではないか」と考えています。これは自分自身の原体験によるところが大きいです。これまで筆者が仕事をしてきた上司は主に6人ほどです。病院経営のコンサルティングを案件ごとに個人やチームで提供してきました。業務の性質上、毎日上司と顔を合わせる機会はなく、実際にface to faceで顔を合わすのは月に1度くらいという環境の時もありました。その上司のほとんどが、先述のように定期的に報告をすべき、というスタンスでした。 ある程度、自分で業務がこなせるようになってからは、この報告ということ自体が、あまりにも面倒くさいと感じることが多くありました。いくつも抱えている案件ごとに、すべて背景や進捗状況を報告すると時間はかかるし、かといって背景説明を省略すると的外れな指示がとんできます。かといって、報告をしないと「なぜ君は報告をしないのか」と頻繁に叱られていました。アドバイスや支援がほしい場合は、自分で判断して逐次報告しているので、それ以外の場合は報告したところで、その報告後に何か大きく業務が進展したりするわけではない、と感じていました。 こうした反論をすると、よく言われたのは「チームで仕事をしているのだから、もし君に何かあって業務が滞ったとしたら、フォローを入れないといけない。そのためには日ごろの情報共有は重要なのだ」という指摘です。要するにバックアップ体制をとるためであり、そのこと自体は重要なことだと思います。しかし、それは一部下の仕事ではなく、上司の仕事であり、上司から情報収集しにくればいいのでは、と考えていました。 こうした体験から、現在、筆者の直属の部下に対しては「わざわざ報告などしにこなくていいです。気になることは私から教えてもらいに行きます。」と言っています。ただし「クレームになりそうなこと、不安なこと、は解決策が見えていなくてもいいので、できるだけ早く相談してください。」という点だけ注意してもらっています。問題になりそうなことは、できるだけ早いうちに、適切な対応をすることで、大きな問題にならないで済むから、という考えからです。あとは、上手くいっているのであれば、上司には月一の会議などで事後報告でもいいと思っています。上司が知らぬ間に、現場で何かが進んでいる、ことを気にする人もいますが、うまくいっているのであればそれでいいのではないでしょうか。部下の仕事がそんなに気になるなら、定期的に「進んでる?」と確認しに行けばいいことでしょう。