優良病・医院経営を目指して 事務部長による経営課題解決編 ~スケジュールの公開~ 特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志 大きな企業の幹部には秘書があてがわれていることが一般的です。病院の場合、病院長に秘書がついているところがあっても、その他の幹部にまで個人秘書がついているところは少ないのではないでしょうか。こうした秘書がやってくれる業務の筆頭に幹部の「スケジュール管理」が挙げられるでしょう。関わる人たちが増えてくると、こうしたスケジュールを管理するだけで時間がかかる業務となります。 当初、筆者が事務部長と着任した時が、まさにこのような状態でした。「いつ打ち合わせの時間が取れるのか」「この日は病院にいるのか、外出なのか」といった問い合わせが日に何件もありました。その都度スケジュールを確認して候補日を伝え、再度関係者と調整してもらい、決定した日を確認する、というやりとりの往復をしていました。会議中にこうした問い合わせがあると、話し合いが一時中断してしまいます。しかし、返答をしないと、スケジュールを調整している人の業務が中断してしまうことになります。 そこで始めたのが、スケジュールの公開です。幸いにもgoogleのカレンダー機能を使ってスマートフォンやパソコンと連携させスケジュール管理をしていたので、そのカレンダーを職員が誰でも見られるようにすれば済みました。もし紙の手帳で管理していたら、まずはデータとして転記することやコピーをとるといった追加業務が発生していたでしょう。結果として、個人のgoogle IDを業務用で使用することが出来る人は、そのIDでログインしてもらいカレンダーの共有を申請してもらいました。IDを持っていない人には病院用のgoogle IDを1つ新規に作成して、そのIDで全ての部署にあるインターネット端末でログインしてもらい、カレンダーを共有しました。これで、いつでもどこでもスケジュールを確認することができるようになりました。 もちろん、スケジュールを公開しているだけでなく、空いているところはスケジュールを追加して構わない、としています。まだ、スケジュールを確認して「この日が空いているので、○○のうち合わせを入れていいですか」と聞いてくる人もいますが、基本的には“勝手に入れて構いません”と伝えています。こうした運用に変更したので、例えば、地域連携室と一緒に連携病院に訪問に行くスケジュールを調整する際に、電話越しで候補日のやり取りをし、この日は可能だとか、不可能だとか、時間帯はいつにするか、といったことを公開スケジュールを見ながらその場で決めることができます。それぞれ進めている業務を中断することなく、やりとりをすることが出来るようになりました。 数年前にこうしたシステムを社内で持つためには莫大な費用がかかりました。しかし、今となってはインターネットで無料で提供されているツールで効率化を図ることができます。あとは自分のスケジュールが丸裸にされることへの羞恥心を捨てるくらいでしょうか。これも、恥ずかしい業務をしていなければ、胸を張って公開できるのではないでしょうか。プライベートと業務については設定で分けることもできるので、そうした恥ずかしさからは逃れられます。筆者は面倒なのでプライベートスケジュールも1つのIDで管理しています。なので「七五三おめでとうございます」なんて言われることもしばしば。それも愛嬌と思えば恥ずかしさはなくなりました。