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身近にこんな人いませんか
• たくさんの薬が処方され、本人が管理できていない
• 残薬が多量にたまっている
• お薬の相談をしたいが、相談先が分からず困っている
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• 多剤併用(Polypharmacy)とは、複数の薬を服用している状態の
ことをいいます
• 5,6種類以上の服用がPolypharmacyと言われることが多い
注)種類数であって、実際に内服している数ではありません
多剤併用(Polypharmacy:ポリファーマシー)とは
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323/885名
東京都健康長寿医療センター ~ 2013年度 こころとからだの健康調査 ~ より
ポリファーマシーの頻度
高齢者の約4割が
6種類以上
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4人に1人が10種類以上
ポリファーマシーの内訳
東京都健康長寿医療センター ~ 2013年度 こころとからだの健康調査 ~ より
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Polypharmacy (-) Polypharmacy (+) P 値
(n=885) (n=562) (n=323)
性別 男性 441(100.0%) 284 (64.4%) 157 (35.6%)
女性 444(100.0%) 278 (62.6%) 166 (37.4%) χ2 = 0.31 0.581
年齢 65-74 428(100.0%) 311 (72.7%) 117 (27.3%)
75-84 384(100.0%) 224 (58.3%) 160 (41.7%)
85- 73(100.0%) 27 (37.0%) 46 (63.0%) χ2 = 42.07 < 0.001
年齢とともにポリファーマシーが増加します
ポリファーマシーと加齢
東京都健康長寿医療センター ~ 2013年度 こころとからだの健康調査 ~ より
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ポリファーマシーが引き起こす問題点
• 薬物有害反応の発生
転倒率の上昇
せん妄の発生率の上昇
死亡率の上昇
入院率の上昇、入院期間の延長
認知機能障害との関連
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ポリファーマシーと薬物有害反応の関連
• 薬物相互作用
重責的集積 各薬剤の同一副作用が蓄積
複合的集積 各薬剤の異なる副作用が集積
• 不適切な薬剤の使用
• 高齢者の薬物代謝機能の低下
併存疾患や加齢による代謝機能の低下
眠気 強い眠気眠気
筋弛緩
作用
眠気 転倒
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• 薬物有害反応の発生
転倒率の上昇
せん妄の発生率の上昇
死亡率の上昇
入院率の上昇、入院期間の延長
認知機能障害との関連
• 服薬内容の質の低下
不適切な薬剤の使用
薬剤の重複
ポリファーマシーが引き起こす問題点
• 服薬アドヒアランスの低下
服薬の自己中断
残薬
誤服薬
• 経済的問題
当事者の負担増大
医療費の増大
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服薬アドヒアランス低下
服薬内容の質の低下
現疾患の悪化
薬物有害反応の発生
服薬数の増加
(ポリファーマシー)
高齢者における薬物治療の悪循環
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症例1
• 84歳、女性、独居。服薬数 10種類。
• 高血圧、糖尿病、胃潰瘍、変形性膝関節症、不眠症で複数の医療機関に通院して
いる。各医療機関からの処方薬を、ご自身で空き缶に移し替えて管理していた。
• 最近、不眠症に対する新しい薬が処方された。しばらくして、めまいを認め、自
宅で転倒したため近医を受診した。検査で特に問題はなかったが、めまいの治療
薬が追加された。
• その後、ヘルパーが自宅を訪問したところ、多数の残薬が確認された。最近、物
忘れの症状が出現し、服薬の飲み忘れが増えている。飲み間違えもあるのか、不
足している薬剤もあった。本人も薬剤管理に難渋しており、服薬が面倒だと話し
ているが、先生には伝えられない。
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どのような原因が考えられましたか
• 84歳、女性、独居。服薬数 10種類。
• 高血圧、糖尿病、胃潰瘍、変形性膝関節症、不眠症で複数の医療機関に通院して
いる。各医療機関からの処方薬を、ご自身で空き缶に移し替えて管理していた。
• 最近、不眠症に対する新しい薬が処方された。しばらくして、めまいを認め、自
宅で転倒したため近医を受診した。検査で特に問題はなかったが、めまいの治療
薬が追加された。
• その後、ヘルパーが自宅を訪問したところ、多数の残薬が確認された。最近、物
忘れの症状が出現し、服薬の飲み忘れが増えている。飲み間違えもあるのか、不
足している薬剤もあった。本人も薬剤管理に難渋しており、服薬が面倒だと話し
ているが、先生には伝えられない。
高齢者
複数の疾患 複数の医療機関受診
服薬管理能力
の問題
認知機能障害
薬剤性の副作用を
新しい症状と判断
服薬管理能力
の問題
情報提供が不足
不適切な薬剤の可能性
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• 医療者側の問題
情報不足(患者、薬局との連携
不足)
老年症候群(関節痛、不眠、抑
うつなど)に対する処方
ガイドラインに忠実な処方
薬剤の有害反応を疾患の症状と
判断し、新たな処方が増える
(Prescribing cascade)
薬物有害反応の知識不足
服薬数が増加する原因
• 当事者側の問題
高齢者
複数の医療機関を受診
医療の過剰要求、処方要求
薬物有害反応の情報不足
認知症などの基礎疾患
服薬管理ができない
服薬アドヒアランスの低下
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どのような原因が考えられましたか
• 84歳、女性、独居。服薬数 10種類。
• 高血圧、糖尿病、胃潰瘍、変形性膝関節症、不眠症で複数の医療機関に通院して
いる。各医療機関からの処方薬を、ご自身で空き缶に移し替えて管理していた。
• 最近、不眠症に対する新しい薬が処方された。しばらくして、めまいを認め、自
宅で転倒したため近医を受診した。検査で特に問題はなかったが、めまいの治療
薬が追加された。
• その後、ヘルパーが自宅を訪問したところ、多数の残薬が確認された。最近、物
忘れの症状が出現し、服薬の飲み忘れが増えている。飲み間違えもあるのか、不
足している薬剤もあった。本人も薬剤管理に難渋しており、服薬が面倒だと話し
ているが、先生には伝えられない。
高齢者
複数の疾患 複数の医療機関受診
服薬管理能力
の問題
認知機能障害
薬剤性の副作用を
新しい症状と判断
服薬管理能力
の問題
情報提供が不足
不適切な薬剤の可能性
18. Sakura Shinmachi Urban Clinic Copyright © Platanus All Rights Reserved.
どのような対策が考えられましたか
• 84歳、女性、独居。服薬数 10種類。
• 高血圧、糖尿病、胃潰瘍、変形性膝関節症、不眠症で複数の医療機関に通院して
いる。各医療機関からの処方薬を、ご自身で空き缶に移し替えて管理していた。
• 最近、不眠症に対する新しい薬が処方された。しばらくして、めまいを認め、自
宅で転倒したため近医を受診した。検査で特に問題はなかったが、めまいの治療
薬が追加された。
• その後、ヘルパーが自宅を訪問したところ、多数の残薬が確認された。最近、物
忘れの症状が出現し、服薬の飲み忘れが増えている。飲み間違えもあるのか、不
足している薬剤もあった。本人も薬剤管理に難渋しており、服薬が面倒だと話し
ているが、先生には伝えられない。
医療機関の統一
訪問薬剤
介護サービス
の導入
適切な情報提供
服薬カレンダー
の導入
薬の知識
19. Sakura Shinmachi Urban Clinic Copyright © Platanus All Rights Reserved.
症例1の経過
• 薬剤師の介入
服薬カレンダーなどを用いて、誤薬、飲み忘れの予防
処方内容の確認、重複や薬物相互作用の検討
薬の効果など情報提供し、アドヒアランスを向上
訪問薬剤管理指導
• 認知症の疑いがあること、服薬管理が困難になっていることをケアマネを
通じて主治医に報告(適切な情報提供)
医療機関の統一
めまいが薬剤性である可能性を情報提供
各医療機関の処方内容を確認、服薬数の削減、服薬方法の簡素化
介護保険申請、介護サービスの導入
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医師も情報が欲しい
• 服薬管理能力
本人の服薬管理能力(認知機能など)
本人を取り巻く環境(介護者などのサポートの有無)
• 薬の効果
薬物有害反応(薬の追加、増量時などに出現)
服薬後の変化(症状の改善、変化なし、悪化)
• 本人の治療方針の理解
本人の治療希望(薬物治療、非薬物治療の希望など)
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服薬アドヒアランス低下
服薬内容の質の低下
現疾患の悪化
薬物有害反応の発生
服薬数の増加
(ポリファーマシー)
服薬カレンダーなど
の誤薬の防止
重複の確認
Polypharmacyの
危険性の啓発
薬物相互作用の検討 患者が適切な理解を得
られるような情報提供
医療機関への情報提供
服薬管理能力
副作用の出現
薬剤師
高齢者における薬物治療のあり方
訪問薬剤指導
疑義照会
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• 訪問薬剤
• かかりつけ薬局
• 医療機関の対策(高齢者への薬物ガイドラインの普及など)
不適切な薬剤のリスト(Beers クライテリア、高齢者の安全な薬物治療
ガイドライン)
Stopp / Start クライテリア
医療スタッフへの教育
ポリファーマシーを減らす試み
薬剤師さんに相談しましょう
介入研究で有意に処方数
を軽減できたのは訪問に
よる薬剤指導のみ
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薬剤師の在宅訪問
(介護予防)居宅療養管理指導費 在宅患者訪問薬剤管理指導料
月4回まで、1回あたり
1)同一建物居住者以外の場合 503単位
2)同一建物同一日の場合 352単位
月4回まで、1回あたり
1)同一建物居住者以外の場合 650点
2)同一建物同一日の場合 300点
※介護保険が優先
※特別な薬剤(医療用麻薬など)がある場合は+100単位/点
※ガン末期および、中心静脈栄養法の対象患者:1週に2回かつ1月に8回を限度
通院が困難で薬の管理が難しい方へ
医師の指示と、患者さんもしくはご家族の同意が必要です
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• 問題点を確認する(特に当事者側)
• 問題点を伝える(医療者への情報提供)
• おくすりで困ったら、
薬剤師さんに相談しましょう
まとめ:おくすりが大変な人を見つけたら
Editor's Notes おくすりのこと
臨床経験、研究所のデータ 複数の医療機関、飲み方が複雑
内服忘れ 自己中断
おくすりが合わない、副作用について
身近な問題 社会問題
残薬 飲み忘れによる症状悪化
多剤併用 体調不良
共通の問題指摘 くすりの数が多いこと おくすりの数を減らす流れ
くすりの数が多いということの問題 定義 どのくらいの人がポリファーマシー
研究の紹介 10種類以上の割合 加齢 と 頻度の関係 前<後<超後
在宅 では高齢者が多い 4割 身近な問題 ポリファーマシーを避けなければならない理由
副作用の発生に関連
相互作用 抗ヒスタミン
原因は確立していない 必要のない薬は減らすべき
問題点は副作用だけではない
アドヒアランス 数が多い
質の低下 数が多い
経済負担 悪循環 相互に影響
右周り、左周り
服薬数増加を食い止めることも大事だが、すべての要因にアプローチする必要あり 症例を通じておくすりの問題を考えてもらう 症例 複数 統合が困難 重複 服薬管理 飲み忘れ 悪化
不眠症 不適切 新たな症状と判断 情報不足
物忘れ 服薬管理が難しい 主治医に報告できない
服薬アドヒアランスの低下 当事者 処方要求 薬のこだわり、風邪でも処方希望
認知症 サポートが必要
医療者側 処方医の問題
防ぐ方法 適切な情報提供 高齢者であることや複数の疾患があることは解決できないので、対策が考えられる場所のみ 統一 難しければ適切な情報提供
訪問薬剤 薬剤師 疑義照会
医療機関 情報提供 医師 処方薬を飲んでほしい、副作用は法億してほしい
服薬回数、優先度の高い薬
薬の副作用
自分で報告できない人 周りのサポートが必要 ここにあるすべてに関与するのが薬剤師さん 有意に処方数の減量に効果的だったのは、訪問薬剤指導のみ