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がんゲノム医療と滋賀県立総合病院の検査体制について
- 12. がんゲノム医療は治療薬の費用対効果も改善する
A STRATEGY FOR ENGLAND 2015-2020より改変
EGFR変異陽性肺癌への治療
分子標的治療
(チロシンキナーゼ阻害剤)
従来の化学療法
(ドセタキセル)
治療コスト £ 6854/人 治療コスト £ 5440/人
奏効率 80-90% 奏効率 20~40%
奏効例1例あたり
£ 7,617~8,568
奏効例1例あたり
£ 13,600~27,200
無効例に要するコスト
£ 68,544~137,088
無効例に要するコスト
£ 326,400~435,200
• 薬価は高いが奏効率も高く、費用対効果は改善
• 社会全体では医療費抑制(≠個人の医療費負担減)
- 13. • がんゲノムに基づく個別化医療は
• 適切な治療標的を選べば治療効果が高い
• 有効例・無効例が予測/選別できるため費用対効果がよい
• 希少な遺伝子異常に対する新薬開発の臨床試験も促進される
• がんゲノム医療の普及するためには
• 多数の遺伝子異常を安価に効率よく検出する検査方法が必要となる
• 検出された遺伝子異常に応じた標的治療薬の開発(発展途上)
• 推奨された未承認新薬に関する健康保険制度上のジレンマの解決
がんゲノム医療がその有効性を発揮するためには
網羅的な検査を
臨床に導入するための
がん遺伝子パネル検査
- 19. 検査の種類
オンコガイド
NCCオンコパネル
Foundation One
CDx
OncoPrime Guardant 360
診療形態
保険診療
先進医療
保険診療 自由診療 自由診療
費用 560,000円 560,000円 880,000円
420,000円(初
回)
提出検体
腫瘍FFPE検体+
末梢血2mL
腫瘍FFPE検体 腫瘍FFPE検体
末梢血20mL
(Liquid biopsy)
対象遺伝子数 114遺伝子 324遺伝子 223遺伝子 73遺伝子
解析場所 日本国内 米国 米国 米国
所要時間 20営業日 14日間 1か月 10日間
二次的所見 ほぼ確定できる 再検査が必要 再検査が必要 再検査が必要
C-CAT登録 必要 必要 不要 不要
近隣で利用できる主ながん遺伝子パネル検査
保険診療で実施可能
※ 非小細胞肺癌用の「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステム」も検査の基本原理は同じだが
今回のがんゲノム医療と若干用途が異なるため割愛
- 22. FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル 解析結果レポートサンプル
検出された遺伝子に
関する主な治療薬候補や
現時点のエビデンス
C-CAT 調査結果 説明書 第2版
C-CATから提供される
参加可能な候補となる
国内治験・臨床試験情報
パネル検査レポートの一例(FoundationOne CDx)
- 32. • 実施は がんゲノム医療中核拠点病院 や がんゲノム医療連携病院 のみ
滋賀県では連携病院は 当院 と 滋賀医科大学附属病院 (2019年10月現在)
• 患者1人につき1回限り
• 検査結果をエキスパートパネルで検討する必要あり
• 検査結果を書面で患者に説明すること
• 保険点数は56,000点 (検査実施料 8,000点+判断説明料 48,000点)
判断説明料は結果説明時に算定できる
=1ヶ月後の結果説明時に患者死亡の場合は算定不可 (DPC病院に入院中の場合算定できない)
保険償還には、さらに細かい条件も
検査会社に42万円+消費税、中核拠点病院に5万円
採血および病理検体処理コスト、相談支援センターや外来の人件費
- 39. Cancer Sci 2019. 1480-1490
▪ 非小細胞肺癌・大腸癌などでは
薬剤候補が見つかりやすい
▪ 腺癌に比べて扁平上皮癌は厳しい
▪ 肉腫はさらに候補が見つかりにくい
▪ TOPGEAR第2期の187症例の内訳
1つ以上の遺伝子異常 83.4%
3学会ガイダンス3A以上 58.3%
治療薬投与症例 25例(13%)
そのうち治験 15例(8%)
既承認薬 6例(3%)
適用外自費診療 4例(2%)
国立がん研究センターのTOP-GEAR計画の場合
- 40. 国立がん研究セン
ター中央病院
東北大学病院 静岡がんセンター 横浜市立市民病院
病院の立場 中核拠点病院 中核拠点病院
拠点病院(2020年4月
より中核拠点病院)
連携病院
パネル検査実施数
(院内/院外)
318
(未集計)
166
(89/77)
134
(127/7)
35
(33/2)
使用製品(NCCオンコパネ
ル/FoundationOne CDx)
210/108 13/153 7/127 4/31
年齢中央値
56
(3~86)
58
(1~80)
60
(17~83)
55
(26~84)
治験登録数
10
(3%)
7
(4%)
1
(1%)
0
エキスパートパネル検討症
例数(自施設/他施設)
711
(275/436)
191
(133/58)
96
(81/15)
対象外
保険適用1年後の主要な病院のパネル検査実施状況
週刊医学界新聞 第3377号(2020年6月29日)
• パネル検査の実施件数はFoundationOne CDx>NCCオンコパネル
• 検体が少ない、遺伝性腫瘍の疑いが強い場合にはNCCオンコパネルが使われることも
- 46. • 病院ごとに受け入れ体制が異なるので各病院に確認を
• 多くの病院ではがん相談支援センターなどが窓口になっています
• 保険適用となる条件を満たしているかご確認ください
• 標準治療終了後/終了見込みの固形がん、原発不明がん、希少がん
• 検査後にも化学療法が可能な安定した全身状態が必要です
• 全身状態の不安定な方の検査はお断りすることがあります
• DNA抽出が可能な検体があるかご確認ください
• おおむね3年以内に採取されており、
• 10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定されたFFPE検体
• 腫瘍細胞が30%以上含まれた切片で未染スライド10枚
• EUS-FNAなど微小サンプルは検体量が不十分な可能性あり
実際にがん遺伝子パネル検査を受けたい方へ
Editor's Notes
- 1970年代に種をまいたがん研究は、今になって急速に実用化に至る薬剤が増えてきています。遺伝子工学や抗体製剤精製の手法の進歩がこれらを可能にした。いまでは抗がん剤は150以上承認され、そのうち80程度が分子標的治療薬と言われています。そして臨床試験が実施されているものは、報告によると1000種類にも登るとか。
- 実はがん細胞の遺伝子異常を調べて治療に生かすというのは、すでに皆様の診療に生かされています。未来の技術のように思われているが、20年前からある