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抗がん剤中止をどうやって患者さん
に伝えればよいか?
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
日本医科大学武蔵...
本日のトピック
• いつ抗がん剤やめればよいか?
• 早期緩和ケアのすすめ
• コミュニケーション・スキルの重要性
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School ...
いつ抗がん剤をやめるか?
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
Increasing New Oncology Targeted Drugs
2001 2002 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Rituximab/Rit...
抗がん剤をやめる基準 (米国臨床腫瘍学会
ASCO のやってはいけないリストより)
1. PS 3 or 4
2. エビデンスに基づいた前治療が無効のとき
3. 臨床試験の適格基準を満たさないとき
4. さらなる抗がん剤治療による臨床的意義を支...
JAMA. 2001;285(7):925-932.
疾患による死亡するまでの全身状態
死亡 死亡時間 時間
全身
状態
がん患者 慢性疾患(脳卒中、
心不全など)患者
Division of Medical Oncology, Nippon ...
PSが良い末期がん患者への化学療法は
QOLを悪化させ、延命効果もない
JAMA Oncol. 2015;1:778-784.
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musash...
患者さんの声
「ステージ4のがんで、分子標的薬をお勧
めする。治療しなければ、余命は3ヵ月く
らい」と言われ、ショックを受けました。民
間療法を受けたいと言ったら、「当院での
治療拒否とみなすので、二度と当院に来
ないでくれ」と言われました。
...
臨床医が最も難しいコミュニケーションは?
米国臨床腫瘍学会Breaking Bad News シンポジウム1998
再発を伝える
がんの診断を伝える
積極的治療中止、緩
和ケアへの移行
終末期ケア(蘇生の有
無)の相談
その他
Division...
逆に抗がん剤をやめないとどうなるか?
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
亡くなる3ヶ月以内に化学療法していた患者の割合
(国立がん研究センター中央病院)
n=255
亡くなる3ヶ月以内の化学療法
亡くなる3ヶ月以内に化学療法なし
47%53 %
Hashimoto, Katsumata et al. The Onc...
n=200
終末期に積極的治療を受けていた患者の割合
30日以内の積極治療
65%
積極治療なし
14%
90日以内の積極治療
14%
6ヶ月以内の積極治療
7%
がん患者白書2016
がん遺族200人の声
「人生の最終段階にお
ける緩和ケア」...
日本のがん患者の死亡場所
ホスピス・緩和ケア白書2013
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
6 6.2 6 5.8 5.7 6....
自宅死亡がもっともQOLが高い
Kinoshita H, J Clin Oncol 33:357-363, 2014
在宅死
緩和ケア病棟死
病院死
遺族 2247名の調査
OPTIM副次解析結果
標準治療終了後の化学療法が死亡場所に及ぼ
す影響
化学療法あり
N=216
(56%)
化学療法なし
N=170 (44%)
P value
ICU 11% 2% 0.02
病院 25% 15% 0.4
在宅 47% 66% 0.03
ホスピス...
終末期ケアに関する対話(End of Discussion;
EOL discussion)の重要性
• 進行がん患者332名を対象に、終末期に関するケアにつ
いて、医師と話し合いをしたかどうかアンケート調査を
した。
• 話し合いをしなかった...
早期からの終末期ケアの話し合い(End of Discussion; EOL
discussion)が家族のうつ、悲嘆を減らす
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical S...
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
J Clin Oncol 34. 2016
米国臨床腫瘍学会ガイドライ...
RCTs for Early Palliative Care
Study (n) Authors Journals Interventio
n
Population Dose Outcome
ENABLE II
(n=322)
Bakitas ...
緩和ケアという「第4の治療」
化学療法のみ
手術適応のない肺がん患者 n=151
N Engl J Med. 2010;363(8):733-42.
結果:
• QOL (生活の質)の向上
• うつ症状の軽減
• 亡くなる60日以内の化学療法日...
終末期に化学療法していた患者の割合
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
J Clin Oncol 30:3...
早期の緩和ケア 7つの要素
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
JAMA Intern Med. 2013...
がん患者のACP(Advance Care Planning)をどう
やるか?
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hosp...
Patient Values (患者の希望・価値観・生活の質)は何か?
• 家族と普通の生活がしたい
• 来年4月には、一人娘が高校生になるんです。それまでは
親として何としてもしっかりと見届けたいんです
• 婚約者と結婚式をあげたい
• 世界...
早期緩和ケアへの紹介のタイミング
~Delphi Study on Outpatient Palliative Care Referral Criteria~
定義 専門医による同意%(2
回目)
専門医による同意%
(3回目)
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患者の
希望・価値観
医療者の専門性 科学的データ
(エビデンス)
EBM:Evidence-based Medicine:
エビデンス・ベースド・メディシン(根拠に基づく医
療)の3要素
手術
診察法
コミュニケーション
能力
チーム医療
科...
科学的データ
医療者の専門性
患者の希望・価値観
確立したエビデン
スと選択肢
治癒を目指す点で
比較的均一
パターン化しやすい
EBMの3要素
~早期がんの場合~
再発を減らし
治癒を目指す
科学的データ
医療者の専門性
患者の希望・価値観
EBMの3要素
~進行・再発がんの場合~
限定されている
適切なコミュニケーション
全身状態・予後の評価
個人個人異なる。
時間・環境・
情報などにより変化
がんとより良
い共存を目指
す
Na...
Evidence-based Medicineと
Narrative-based Medicine
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashik...
コミュニケーション・スキルの重要性
2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
誤ったインフォームドコンセント
• 裁判で訴えられないようにするため、医療者の防
衛の手段として使う
• 医療者は情報提供のみを行い、後は患者が決める
• ICします!?(ムンテラをICにしただけ)
インフォームド・コンセントの理念
• 医療者と患者の相互の尊重と参加に基づいた意思決定を
協力して行う過程
1982 米国大統領委員会報告書 (A report on ethical and legal
implications of info...
適切なインフォームド・コンセント とは?
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
医師が情報を持ち、
医師が決める
オレが決める型
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情報を提供する
目的・内容・リスク・利
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質問・自分の希望を
伝える
提案する、意見を
調整する
Shared Decision Makingの実際
双方向のコミュニケーション
納得する
→満足する
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患者とのコミュニケーション技術
悪いニュースを伝える方法 -SPIKES-
Setting (場の設定)
Perception (認識度を知る)
Invitation (希望を確認する)
Knowledge (情報提供)
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患者とのコミュニケーション技術
(わが国における患者の意向を基に作成)
悪いニュースを伝える方法 -SHARE-
Supportive environment (支持的な場の設定)
How to deliver the bad news (悪い...
ASCOガイドライン:コミュニケーションスキル
1. コア・コミュニケーション(信頼関係の構築、病状の理解)
2. 治療目標と、予後を話し合うこと
3. 治療選択肢(緩和ケア・臨床試験を含む)の提示
4. 終末期ケアの話し合い(EOL disc...
J Clin Oncol 2017, Sep11
米国臨床腫瘍学会ガイドライン:
医療者は、進行がん患者とのコミュニケーション
スキルを習得をすべき
コミュニケーション技術による患者への精神状態への影響
研修を受けた
介入群
(n=292)
平均値±標準偏差
研修を受けて
いない対照群
(n=309)
平均値±標準偏差
P値
不安* 4.83±3.75 5.17±3.42 0.333
抑うつ...
先生、私の余命はどれくらいなんです
か?
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
余命告知は実際にはどう
行われているのでしょう
か?
このような患者さんにはどのように対応したら
よいのでしょうか?
1. 「あなたの余命は○ヶ月」です、と本当のことを言って
あげる
2. 「そんなことは考えない方がよいですよ」とごまかす
3. 「誰にもわからないんですよ」と言う
4. 何とも答え...
「余命」は当たらないというエビデンス
• 標準治療の終了した患者75名、生存期間中央値4ヶ月
(国立がん研究センター中央病院)
• 医師(14名)による余命的中確率
一致(前後1/3の範囲) 36%
長く予測 36%
短く予測 28%
Tani...
国立がん研究センターで治療を受けた再発卵巣がん112名の予後
中央値 1.5年 (範囲 0ヶ月~10.5年)
「あなたの余命は1年です」と言ってはいけない
~生存期間中央値は余命ではない?~
累積生存率
生存期間(年)
Division of ...
がん患者が医師から言われる最も傷つく言葉
• もう何も治療法がない
• 可能性・範囲を言わない断定的な余命告知
• 感情への配慮がない
全国19施設ホスピスへ入院した630名の家族へのアンケート調査より
Morita et al. Ann On...
SHAREプログラムがすすめるコミュニケーション
「もう死んでしまうのですか?」
「あとどのくらい生きられますか?」
などの言葉への対処方法
Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的サポート)
言葉の...
末期がん患者の最期の1週間のQOLに影響する要素
マイナスの要素
• ICUに入院していた
• 病院で亡くなった
• 不安が強かった
• 栄養チューブを入れていた
• 最期の週まで化学療法をやっていた
プラスの要素
• 宗教をもっていた
• 心...
言葉の言い換えかた
• もう治療はありません。
• 治療あきらめましょう。
• 余命は○ヵ月です。
• 抗がん剤するか、ホスピスに
行くか、次までに決めてくだ
さい。
• 治療はなくなりません。緩和
ケアも治療効果があります。
抗がん剤は命を縮...
早期緩和ケアの実践をするために、緩和ケア
医に望むこと
• 治療医(オンコロジスト)との連携(チーム医療・責任のシェ
ア)
• 患者さんの主治医になる(主治医は何人いてもかまわない)
• 治療方針に口出しする(治療のコーディネーターをする)
•...
緩和ケア病棟・在宅との並診のすすめ
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
日経メディカル記事より 廣橋 猛(永寿総合病院) 2017...
ご静聴ありがとうございました。
医局員募集中です!!
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希望のために
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抗がん剤中止をどうやって患者さんに伝えればよいか?Web版

第23回大学病院の緩和ケアを考える会研究会で発表したスライドです。

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抗がん剤中止をどうやって患者さんに伝えればよいか?Web版

  1. 1. 抗がん剤中止をどうやって患者さん に伝えればよいか? 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 勝俣範之 第23回大学病院の緩和ケアを考える会研究会
  2. 2. 本日のトピック • いつ抗がん剤やめればよいか? • 早期緩和ケアのすすめ • コミュニケーション・スキルの重要性 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  3. 3. いつ抗がん剤をやめるか? 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  4. 4. Increasing New Oncology Targeted Drugs 2001 2002 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 Rituximab/Rituxan Trastuzumab/Herceptin Imatinib/Gleevec Gefitinib/Iressa Gemtuzumab ozogamicin/Mylotarg Bortezomib/Velcade Bevacizumab/Avastin Erlotinib/Tarceva Ibritumomab tiuxetan/Zevalin Cetuximab/Erbitux Sorafenib/Nexavar Sunitinib/Sutent Dasatinib/Sprycel Lapatinib/Tykerb Nilotinib/Tasigna Panitumumab/Vectibix Temsirolimus/Torisel Everolimus/Afinitor Azacitidine/Vidaza Vorinostat/Zolinza Pazopanib/Votrient Denosumab/Ranmark Crizotinib/Xalkori Axitinib/Inlyta Mogamulizumab/Potel igeo Ofatumumab/Arzerra Pertuzumab/Perjeta Regorafenib/Stivarga Trastuzumab emtansine/ Kadcyla Alemtuzumab/Campath Vemurafenib/Zelboraf Brentuximab vedotin/Adcetris Ruxolitinib /Jakafi Bosutinib/Bosulif Afatinib/Gilotrif Nivolumab/Opdivo Alectinib/Alecensa Ipilimumab/Yervoy Vandetanib/Caprelsa Ramucirumab/Cyramza Nintedanib/Vargatef Lenvatinib/Lenvima Panobinostat/Farydak Dabrafenib/Tafinlar Trametinib/Mekinist Osimertinib/Tagrisso
  5. 5. 抗がん剤をやめる基準 (米国臨床腫瘍学会 ASCO のやってはいけないリストより) 1. PS 3 or 4 2. エビデンスに基づいた前治療が無効のとき 3. 臨床試験の適格基準を満たさないとき 4. さらなる抗がん剤治療による臨床的意義を支持する強いエ ビデンスがないとき 5. 特定の標的分子異常をもつ患者に対するエビデンスが得ら れていない分子標的治療 J Clin Oncol. 2012; 30(14):1715 J Clin Oncol. 2013;31(34):4362 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  6. 6. JAMA. 2001;285(7):925-932. 疾患による死亡するまでの全身状態 死亡 死亡時間 時間 全身 状態 がん患者 慢性疾患(脳卒中、 心不全など)患者 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital がん患者は、最期の1ヵ月くらいまで元気に過ごすことができる 標準抗がん剤が終了して も元気なことが多い
  7. 7. PSが良い末期がん患者への化学療法は QOLを悪化させ、延命効果もない JAMA Oncol. 2015;1:778-784. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital P = 0.01 • 末期がん患者(n=312)(遠 隔転移があり1レジメン以上 の化学療法、6か月以内の 予後予測) • 多施設コホート研究
  8. 8. 患者さんの声 「ステージ4のがんで、分子標的薬をお勧 めする。治療しなければ、余命は3ヵ月く らい」と言われ、ショックを受けました。民 間療法を受けたいと言ったら、「当院での 治療拒否とみなすので、二度と当院に来 ないでくれ」と言われました。 「あなたには、標準医療は終了しました。 これ以上治療はありません。 余命は3ヶ月。今後はホスピスを勧め ます。旅行でもしたら良いと思う。」 進行がんで、抗がん剤をやっていたが、 効果なく、次の治療の選択肢として 1.抗がん剤A(効果20%) 2.抗がん剤B(効果30%だが副作用強 い) 3.緩和ケア どれにするか、次までに決めてきてくださ い、と言われた。 自己責任押し付け型 インフォームド・コンセント 見放す医療・冷たい余命告知 がん難民の増加 脅迫型 インフォームド・コンセント
  9. 9. 臨床医が最も難しいコミュニケーションは? 米国臨床腫瘍学会Breaking Bad News シンポジウム1998 再発を伝える がんの診断を伝える 積極的治療中止、緩 和ケアへの移行 終末期ケア(蘇生の有 無)の相談 その他 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  10. 10. 逆に抗がん剤をやめないとどうなるか? 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  11. 11. 亡くなる3ヶ月以内に化学療法していた患者の割合 (国立がん研究センター中央病院) n=255 亡くなる3ヶ月以内の化学療法 亡くなる3ヶ月以内に化学療法なし 47%53 % Hashimoto, Katsumata et al. The Oncologist 2009;14:752–759 医師B(n=24) 50%50% 医師A(n=22) 59%41% 医師C(n=123) 33% 67% 医師D(n=68) 60% 40% 医師E(n=12) 83% 17% 医師F(n=6) 50%50% P<0.001 終末期化学療法は、医師によって差 がある
  12. 12. n=200 終末期に積極的治療を受けていた患者の割合 30日以内の積極治療 65% 積極治療なし 14% 90日以内の積極治療 14% 6ヶ月以内の積極治療 7% がん患者白書2016 がん遺族200人の声 「人生の最終段階にお ける緩和ケア」調査結 果報告書より 日本の実態として、終末期化学療法が多い
  13. 13. 日本のがん患者の死亡場所 ホスピス・緩和ケア白書2013 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 6 6.2 6 5.8 5.7 6.2 6.7 7.3 7.4 7.8 8.2 3.1 3.7 4.4 4.8 5.3 5.9 6.6 7 7.4 8 8.4 90.1 89.3 88.9 88.5 88 86.8 85.4 84.3 83.5 82.7 81.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 病院 緩和ケア病棟 自宅 介護老人保健施設・ 老人ホーム
  14. 14. 自宅死亡がもっともQOLが高い Kinoshita H, J Clin Oncol 33:357-363, 2014 在宅死 緩和ケア病棟死 病院死 遺族 2247名の調査 OPTIM副次解析結果
  15. 15. 標準治療終了後の化学療法が死亡場所に及ぼ す影響 化学療法あり N=216 (56%) 化学療法なし N=170 (44%) P value ICU 11% 2% 0.02 病院 25% 15% 0.4 在宅 47% 66% 0.03 ホスピス 13% 11% 0.6 ナーシングホーム 3% 5% 0.6 希望した場所で亡 くなったか? 65% 80% 0.03 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital BMJ. 2014 Mar 4;348:g1219. 全米8つのがんセンターでのコホート研究 標準治療でない化学療法をやると、ICU死亡が 増え、在宅死が減り、希望した場所で亡くなれない
  16. 16. 終末期ケアに関する対話(End of Discussion; EOL discussion)の重要性 • 進行がん患者332名を対象に、終末期に関するケアにつ いて、医師と話し合いをしたかどうかアンケート調査を した。 • 話し合いをしなかった患者は、ホスピスに入院する期間 が短く、精神的苦痛が多く、生前の最後の週に積極的治 療(蘇生術など)が行われる傾向があり、QOLも低かっ た。 JAMA2008;300:1665 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  17. 17. 早期からの終末期ケアの話し合い(End of Discussion; EOL discussion)が家族のうつ、悲嘆を減らす 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Yamaguchi T. J Pain Symptom Manage. 2017 Jul;54(1):17-26 9,123名の遺族調査より EOLdなし <1ヵ月のEOLd 1-3ヵ月のEOLd >3ヵ月のEOLd うつ 悲嘆
  18. 18. 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital J Clin Oncol 34. 2016 米国臨床腫瘍学会ガイドライン: 進行がん患者さんに対して、外来または入院での 早期の緩和ケアを8週以内に導入すべき
  19. 19. RCTs for Early Palliative Care Study (n) Authors Journals Interventio n Population Dose Outcome ENABLE II (n=322) Bakitas JAMA. 2009; 302:741 Telephone- based by APRN GI, lung, GU 4 weekly sessions and monthly f/u Better QOL and mood MGH lung (n=151) Temel N Engl J Med. 2010;363:733 In-person PC clinic visit Advanced lung At least monthly; average 4 visits Better QOL, lower depression, 2.7 months survival Canadian (n=461) Zimmermann Lancet. 2014;383:172 1 In-person PC clinic visit Lung, GI, GU, breast, GYN At least monthly Better QOL and family satisfaction with care ENABLE III (n=207) Bakitas J Clin Oncol. 2015;33:1438 Telephone- based by APRN All (mostly lung, GI) 6 weekly sessions and monthly f/u 15% OS difference at 1 year Alliance (n=350) Temel ASCO 2016, #10003 In-person or via phone visit with PC Lung, non- colorectal GI >Q4 weeks Better QOL
  20. 20. 緩和ケアという「第4の治療」 化学療法のみ 手術適応のない肺がん患者 n=151 N Engl J Med. 2010;363(8):733-42. 結果: • QOL (生活の質)の向上 • うつ症状の軽減 • 亡くなる60日以内の化学療法日数の減少 • 生存期間の向上(8.9 ヶ月vs. 11.6 ヶ月 P=0.02) 早期の緩和ケア Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 2.7ヶ月の延命効果! 化学療法 + 緩和ケアチーム(緩和ケア医、専門 看護師)による月1度以上のサポート 化学療法のみ 2017/9/19
  21. 21. 終末期に化学療法していた患者の割合 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital J Clin Oncol 30:394, 2011 標準ケア群 早期緩和ケア群 <60日 <30日 <14日 46% 24% 24% 11% 10% 2% P = .06 P = .07 P = .01 早期緩和ケアにより、終末期化学療法が有意に 減少した!!
  22. 22. 早期の緩和ケア 7つの要素 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital JAMA Intern Med. 2013;173(4):283-290 1. 信頼関係の構築(ラポール形成) 2. 病状の理解(治癒困難、予後が限られて いること) 3. 治療の意思決定支援(抗がん剤の限界と 緩和ケアの選択肢) 4. End of Life Planning (Discussion) 5. 症状へのケア 6. コーピングの仕方 7. 家族へのケア 初回面談時 2回目以降 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
  23. 23. がん患者のACP(Advance Care Planning)をどう やるか? 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 1. End of Life (EOL) Discussion:身の回りのことが できなくなってきた場合、どこで(在宅・入院・ホ スピス)どのように過ごしたいか? 2. 本人が、大切にしたい生活の質は何か?楽しみにし ていることは?(ライフイベントを聞く) 3. 断定的余命宣告をしない(Hope the Best, Prepare the Worst) 4. どんな状況になっても見放さないこと(孤独にさせ ないこと、将来の約束)
  24. 24. Patient Values (患者の希望・価値観・生活の質)は何か? • 家族と普通の生活がしたい • 来年4月には、一人娘が高校生になるんです。それまでは 親として何としてもしっかりと見届けたいんです • 婚約者と結婚式をあげたい • 世界一周旅行に行きたい • 小田和正のコンサートに行きたい Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 大切にしたいこと、楽しみにしていることは何ですか?
  25. 25. 早期緩和ケアへの紹介のタイミング ~Delphi Study on Outpatient Palliative Care Referral Criteria~ 定義 専門医による同意%(2 回目) 専門医による同意% (3回目) Need-based criteria 1. 重度の身体症状 98 100 2. 重度の精神症状 84 97 3. 起死念慮 88 96 4. スピリチュアルな問題 71 91 5. 意思決定支援/ケアプランの必要性 88 95 6. 患者の希望 86 95 7. せん妄 79 88 8. 中枢神経転移 73 74 9. 脊髄圧迫症状 75 72 Time-based criteria 10. MST1年以内の治癒不能がんで、診断から3ヶ月以内 71 88 11. 遠隔転移のある治癒不能進行がんで2nd line Chemo 後PD 70 88 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Hui D, Mori M et al. Lancet Oncol. 2016 Dec;17(12):e552
  26. 26. 患者の 希望・価値観 医療者の専門性 科学的データ (エビデンス) EBM:Evidence-based Medicine: エビデンス・ベースド・メディシン(根拠に基づく医 療)の3要素 手術 診察法 コミュニケーション 能力 チーム医療 科学文献のデータ 学会発表 個人の尊重 価値観・生活の質 最善の医療 Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach EBM (2nd ed.) by Sackett DL; Churchill Livingstone. 2000. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  27. 27. 科学的データ 医療者の専門性 患者の希望・価値観 確立したエビデン スと選択肢 治癒を目指す点で 比較的均一 パターン化しやすい EBMの3要素 ~早期がんの場合~ 再発を減らし 治癒を目指す
  28. 28. 科学的データ 医療者の専門性 患者の希望・価値観 EBMの3要素 ~進行・再発がんの場合~ 限定されている 適切なコミュニケーション 全身状態・予後の評価 個人個人異なる。 時間・環境・ 情報などにより変化 がんとより良 い共存を目指 す Narrative-based Medicineの要素
  29. 29. Evidence-based Medicineと Narrative-based Medicine 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital NBM 対話を重視 した医療 EBM エビデンスを重視 した医療 アート サイエンス
  30. 30. コミュニケーション・スキルの重要性 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  31. 31. 誤ったインフォームドコンセント • 裁判で訴えられないようにするため、医療者の防 衛の手段として使う • 医療者は情報提供のみを行い、後は患者が決める • ICします!?(ムンテラをICにしただけ)
  32. 32. インフォームド・コンセントの理念 • 医療者と患者の相互の尊重と参加に基づいた意思決定を 協力して行う過程 1982 米国大統領委員会報告書 (A report on ethical and legal implications of informed consent in the patient-practitioner relationship 1-3.1982)より インフォームド・コンセントとは、 「医師と患者の共同作業」であり、 「医療者と患者の意思決定の共有」が大切!
  33. 33. 適切なインフォームド・コンセント とは? Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 医師が情報を持ち、 医師が決める オレが決める型 医師と患者が情報を 共有し、決定も 共有する 共有型 患者が情報をも らい、患者が決 定する 患者自己責任型 Shared Decision Making (意思決定の共有) に基づく インフォームド・コンセント 1982 米国大統領委員会報告書 (A report on ethical and legal implications of informed consent in the patient- practitioner relationship 1-3.1982)より
  34. 34. 情報を提供する 目的・内容・リスク・利 益他治療との比較 質問・自分の希望を 伝える 提案する、意見を 調整する Shared Decision Makingの実際 双方向のコミュニケーション 納得する →満足する Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  35. 35. 患者とのコミュニケーション技術 悪いニュースを伝える方法 -SPIKES- Setting (場の設定) Perception (認識度を知る) Invitation (希望を確認する) Knowledge (情報提供) Empathy & exploration (共感と探索) Strategy & summary (戦略と要約) 米国臨床腫瘍学会公式カリキュラム2003より Optimizing Cancer Care, ASCO publication Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  36. 36. 患者とのコミュニケーション技術 (わが国における患者の意向を基に作成) 悪いニュースを伝える方法 -SHARE- Supportive environment (支持的な場の設定) How to deliver the bad news (悪い知らせの伝え方) Additional information (付加的な情報) Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的 サポート) Fujimori et al. (2007) Psychoncology 16:573-81 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 内富庸介, がん医療におけるコミュニケーション・スキル 悪い知らせをどう伝えるか. 医学書院, 2007
  37. 37. ASCOガイドライン:コミュニケーションスキル 1. コア・コミュニケーション(信頼関係の構築、病状の理解) 2. 治療目標と、予後を話し合うこと 3. 治療選択肢(緩和ケア・臨床試験を含む)の提示 4. 終末期ケアの話し合い(EOL discussion) 5. 家族の関わり合いについて 6. コミュニケーションの障害となるもの 7. コストについて 8. コミュニケーション・スキル・トレーニングについて Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital2017/9/19 J Clin Oncol 2017, Sep1
  38. 38. J Clin Oncol 2017, Sep11 米国臨床腫瘍学会ガイドライン: 医療者は、進行がん患者とのコミュニケーション スキルを習得をすべき
  39. 39. コミュニケーション技術による患者への精神状態への影響 研修を受けた 介入群 (n=292) 平均値±標準偏差 研修を受けて いない対照群 (n=309) 平均値±標準偏差 P値 不安* 4.83±3.75 5.17±3.42 0.333 抑うつ* 4.59±3.75 5.32±4.04 0.027 満足度** 8.58±1.62 8.35±1.74 0.095 信頼感** 9.15±1.28 8.87±1.54 0.009 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 30名のオンコロジストをコミュニケーション技術研修を受ける群と、受けない群に ランダムに割り付け患者の精神状態を評価: 国立がん研究センターで施行 Fujimori, Kubota, Katsumata et al. J Clin Oncol. 2014;32(20):2166-72. *HADS:不安、抑うつを評価する尺度、数値が高いと悪い傾向 **数値が高いと良い傾向
  40. 40. 先生、私の余命はどれくらいなんです か? Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 余命告知は実際にはどう 行われているのでしょう か?
  41. 41. このような患者さんにはどのように対応したら よいのでしょうか? 1. 「あなたの余命は○ヶ月」です、と本当のことを言って あげる 2. 「そんなことは考えない方がよいですよ」とごまかす 3. 「誰にもわからないんですよ」と言う 4. 何とも答えられないので、その場から逃げる 5. その他?? NO! Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  42. 42. 「余命」は当たらないというエビデンス • 標準治療の終了した患者75名、生存期間中央値4ヶ月 (国立がん研究センター中央病院) • 医師(14名)による余命的中確率 一致(前後1/3の範囲) 36% 長く予測 36% 短く予測 28% Taniyama, Katsumata et al. Curr Oncol. 2014 Apr;21(2):84-90.
  43. 43. 国立がん研究センターで治療を受けた再発卵巣がん112名の予後 中央値 1.5年 (範囲 0ヶ月~10.5年) 「あなたの余命は1年です」と言ってはいけない ~生存期間中央値は余命ではない?~ 累積生存率 生存期間(年) Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 累積生存率 0 2 4 6 8 10 12 0 .2 .4 .6 .8 1 1.5年 カプランマイヤー曲線 半分の患者さんが亡くなるまでの期間 患者数 生存期間(年) ヒストグラム(度数分布表) 0 1 2 3 4 5 6 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 がん患者の予後データは 正規分布をなさないので 平均値ではなく、中央値で示す! 1.5年の時点でたくさんの人が亡く なっているわけではない!!!
  44. 44. がん患者が医師から言われる最も傷つく言葉 • もう何も治療法がない • 可能性・範囲を言わない断定的な余命告知 • 感情への配慮がない 全国19施設ホスピスへ入院した630名の家族へのアンケート調査より Morita et al. Ann Oncol 15:1551, 2004 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  45. 45. SHAREプログラムがすすめるコミュニケーション 「もう死んでしまうのですか?」 「あとどのくらい生きられますか?」 などの言葉への対処方法 Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的サポート) 言葉の背景にある感情を探索し、共感すること ほとんどの場合、不安な気持ちの表れであることが多い。 • 「今後のことで、何か気がかりなことがありますか?」 • 「どなたでも不安な気持ちになると思います」 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  46. 46. 末期がん患者の最期の1週間のQOLに影響する要素 マイナスの要素 • ICUに入院していた • 病院で亡くなった • 不安が強かった • 栄養チューブを入れていた • 最期の週まで化学療法をやっていた プラスの要素 • 宗教をもっていた • 心のケアを受けていた • 治療医(オンコロジスト)との良好なコミュニケーションがあった Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Arch Intern Med. 2012;172(15):1133 ~末期がんで亡くなった396名の患者をプロスペクティブに調査~
  47. 47. 言葉の言い換えかた • もう治療はありません。 • 治療あきらめましょう。 • 余命は○ヵ月です。 • 抗がん剤するか、ホスピスに 行くか、次までに決めてくだ さい。 • 治療はなくなりません。緩和 ケアも治療効果があります。 抗がん剤は命を縮めることに なるかもしれません。 • 最後まであきらめないで、一 緒にがんばりましょう。 • 最善を期待し、最悪に備えて いきましょう。 • 今後も緩和ケアは大事です。 最善の方法を一緒に考えてい きましょう。 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  48. 48. 早期緩和ケアの実践をするために、緩和ケア 医に望むこと • 治療医(オンコロジスト)との連携(チーム医療・責任のシェ ア) • 患者さんの主治医になる(主治医は何人いてもかまわない) • 治療方針に口出しする(治療のコーディネーターをする) • 緩和ケアは「治療の一つ」と言う 2017/9/19 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  49. 49. 緩和ケア病棟・在宅との並診のすすめ Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 日経メディカル記事より 廣橋 猛(永寿総合病院) 2017/6/21 いきなりの移行(ギアチェンジ)では 見捨てられたと感じてしまう
  50. 50. ご静聴ありがとうございました。 医局員募集中です!! nkatsuma@nms.ac.jp がん患者さんの笑顔と 希望のために

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