ムダとアジャイル
〜細マッチョな開発チームをつくる方法〜
2018年8月31日
名古屋アジャイル勉強会
山本 博之
Muda
Agile
講師:山本 博之(やまもと ひろゆき)
● ソフトウェアベンダー勤務のエンジニア
● ミドルウェア製品の導入支援、カスタマイズ(支援、請負)、サポート
● そもそも僕がアジャイルを知り関心を持つようになったきっかけは、
当時(15年くらい前かなあ)の社長がトヨタ生産方式に関心を持ち、
ソフト開発にトヨタ生産方式を取り入れるんだって言い出したことで
す。
● うまくいったこといかなかったことそれぞれたくさんありますが
● 僕はトヨタ生産方式には妙な思い入れがあります。
● 今日はトヨタ生産方式とかリーンとかムダをテーマにするので特別
な気持ちになっています。
● どうぞよろしくお願いします。
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アジェンダ
1. 自己紹介
2. リーンとは
3. リーンソフトウェア開発をひもとく
4. ムダってなんだ
5. ワークショップ
6. まとめとふりかえり
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いろいろなものがアジャイルに関係していますが
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アジャイル
トヨタ生産方
式
トヨタ製品開
発
リーン
ソフトウェア
工学
マネジメント
コミュニケー
ション 心理
ビジネス
制約理論
パターン
ランゲージ
知識創造
組織論
学習
経験主義
今日はとくにトヨタ生産方式や
トヨタ製品開発由来のリーンに
ついて学びます
品質
「リーン」とは
言葉としては、無駄がないとか引き締まった、という感じ。体形で例える
とごつごつたくましいというより細マッチョ。
一言で説明すると「徹底的にムダを排除した(マネジメント)方式」みたい
にいいますが、さすがにこれでは分からないですね。
まちがなく言えることは、ビジネス的成功とか組織マネジメントとかの文
脈なので、ビジネスとか仕事をうまくやる方法だということです。アジャイ
ルもそのひとつですね。いろいろな方法がありますが、リーン(無駄がな
い)とアジャイル(俊敏)は確かに近いような気がします。
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自己紹介
A3コピー用紙を一人一枚取って、以下を書いてください。
テーブルの全員が書けたら、ひとりずつ↑を見せながら自己紹介をしてく
ださい。ひとり1分でお願いします。
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1. お名前(本名でなくてOK)
2. お仕事(ざっくりでOK)
3. 自分が普段感じる「ムダ」なこと・
もの(理由は書かなくていいで
す。3つ以上挙げてください)
「リーン」の由来
● トヨタを始めとする日本の自動車メーカーの大躍進(80年代)
○ 短い開発期間、多品種少量生産、低コスト、高品質、頻繁な改
良
● 日本の自動車メーカーの製造方式を米MITが研究してまとめあげた
「リーン生産方式」
● 製品開発方法の研究も行われ、汎用のマネジメントの考え方「リー
ン原則」「リーン思考」へ進化
● さまざまな分野へのリーンの適用
○ 建築、セールス、マーケティング、経営、マネジメント一般、etc
○ アジャイル(ソフトウェア開発)、リーン・スタートアップ(起業)、
DevOps(システム開発と運用)
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アジャイル
トヨタ生産方式、リーンからアジャイルへの流れ
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http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1311/15/news015.html
の図(平鍋健児氏による)に加筆
トヨタ生産方式 リーン生産
トヨタ・ウェイ
リーン・シンキング
XP スクラム
アジャイルソフトウェア開発 リーンソフトウェア開発 リーン製品開発
カンバン
+
≒ …
トヨタの企業理念・価値観
リーンスタートアップ
これ以上なくリーンなリーン原則の説明
多くの場合7つ8つから十数項目の原則で説明されてますが、そん
なにあっても分からない。思い切って要点だけにします。
1. 価値
2. 流れ
これだけ!
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価値
顧客、市場にとって、何が価値があるか。自分達はどのような価値を提
供したいか、提供できるか。
自分達が提供すべき価値を明確にしましょう。そうすると、現在提供して
いる価値、現在自分達が行っていることの価値もはっきりしています。
価値のない生産物や、価値のない活動のことを、ムダと呼びます。価値
が少ないもの・こと、価値を生むために必要かもしれないけれどそれ自
体は価値ではないもの・ことも、このさいムダと見なします。
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流れ
顧客の要求・要望があってから、価値が届けられるまでのプロセスがあ
ります。そのプロセスの流れに着目します。早く、よどみなく流れるのが
好ましい。
成果はでかいけどムダも多い、とか、成果はでかいけど時間がすごくか
かる、とかは、よい流れがあるとは言えません。
流れを阻害するものをできる限り取り除きたい。また、流れにムラがある
のも好ましくないから、平均的にたゆまず流れるようにしたい。
よい流れが保たれている状態が「フロー」状態です。「ゾーンに入ってい
る」ってやつです。
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スクラムに見て取れるリーン
「スクラム」は代表的なアジャイル開発プロセスです。顧客が求めること
を優先順位順にひとつないし数個ずつ、1〜4週間の期間で実現し、都
度顧客のレビューを受けます。これを繰り返して、成果物と開発チーム
を育てていきます。
12https://www.ogis-ri.co.jp/pickup/agile/agilescrum01.html
スクラムの価値、スクラムの流れ
スクラムが価値としていることは、顧客にとって重要なもの・ことを早く継
続的に届けることです。
スクラムの開発チームは一定期間毎に、優先順位の高い要求から順に
具体的な成果物を開発し顧客に届け続けます。この流れのなかで、顧
客は自分が求めたものについての理解を深め、より本質的で価値の高
い要求を開発チームに示します。開発チームは顧客の要求やその背
景、それを実現する方法についての理解を深め、チームワークと個人の
能力を伸ばし、成果に活かします。
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「価値と流れ」から見るリーンソフト開発の原則
リーン原則のソフトウェア開発版「リーンソフトウェア開発の7つの原則」
を「価値と流れ」で説明します。
1. ムダを排除する
このフレーズだけだとイヤ~な感じもしますけど、価値を明確にして
流れを良くすることにストイックになる、ということを逆から言っていま
す。
2. 知識を創り出す
流れの意識は、結果だけではなく継続、持続性、組織の成長に繋が
ります。知識がその源泉になります。
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「価値と流れ」から見るリーンソフト開発の原則
3. 決定をできるだけ遅らせる
早すぎる決定は手戻りを生みます。選択肢が多ければ学びも多くな
ります。
4. できるだけ早く提供する
流れにメタ価値を置いているので、これは当然ですよね。
5. 権限を委譲する
よどみない流れを生むためには、各部分が自律的に、全体として有
機的に動く必要があるでしょう。
6. 全体を最適化する
これも同じで、流れを最大化するなら部分に最適化はありえないで
す。途切れたりあふれたりしちゃう。
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「価値と流れ」から見るリーンソフト開発の原則
7. 品質を作り込む
流れが大切となれば、関所があるのは好ましくないです。チェックし
ながら作る、不具合が起きようがない設計や工夫をする、ということ
でしょうか
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ソフトウェア開発における7つのムダ
「徹底的にムダを排除する」トヨタ生産方式には7つのムダという定義が
あり、それをソフトウェア開発に当てはめたものです。
1. 未完成の作業のムダ
完成しておらず提供されていないものは価値を生んでいません。
2. 余分なプロセスのムダ
そのプロセスは本当に必要でしょうか。価値を生んでいるでしょう
か。
3. 余分な機能のムダ
重要な機能の提供が、そうでない機能のために遅れていませんか。
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ソフトウェア開発における7つのムダ
4. タスク切り替えのムダ
複数の作業に同時に取り組んでも効率は上がりません。
5. 待ちのムダ
必要な情報や環境をただ待っている時間がありませんか。
6. 移動のムダ
知識や情報を共有するために必要以上の手続きや資料を用いてい
ませんか。
7. 欠陥のムダ
欠陥を作り込まないための方策、欠陥が生じると同時に露見するよ
うな手立てを打てないでしょうか。
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「リーンは問い」仮説
リーンは、生産方式から抽出した考え方を他の分野に適用して効果を
得ようというものです。抽象的な原則中心の話になるのでいまひとつピ
ンとこない方もおられるかもしれません。
ここで、「価値と流れ」の考え方を自分の関心事にあてはめたらどうなる
だろう、なにが得られるだろう、と考えてみるのがリーン、と考えてみてい
ただきたいのですが、どうでしょうか。
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ここまでの理解確認
「表明じゃんけん」で確認させてください。
● よくわかった:パー
● だいたいわかった:チョキ
● 全然わからない:グー
せーの、で上記のいずれかを出して下さい。いいですか?せーの!
なにか質問あるいは意見はありませんか?
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ワークショップ
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ワークショップの進め方
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ここからはみなさんに考えてもらったり、書き物や発表、意見交換をして
いただきます。
以下の流れで進めます。
1. 山本がお題を出します
2. コピー用紙にサインペンで、自分の考えを書いてください
3. テーブル内の人に自分の考えを説明します。全員やります
4. 質問やコメントの交換をします
これを何度か行います。
ワーク1:ムダと価値
自己紹介で挙げていただいたムダそれぞれについて、次のことを考えて
ください。
1. そのムダは、先ほど紹介した7つのムダのどれに当てはまります
か?あるいはそのどれとも違いますか?
2. それがムダであるという考えは、どのような価値観、価値に基づい
ていますか
コピー用紙に、上記を書いてください。テーブルの全員が書けたら、それ
を見せながら順に説明してください。
質問や意見は全員が説明しおわってから
お願いします。
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ムダ1 どれ 価値
ムダ2 に当て 価値
ムダ3 はまる 価値
ワーク2:顧客価値
1. あなたにとって顧客は誰ですか?
2. あなたの顧客が求めている価値はなんですか?
3. 今提供できている価値とのあいだに、どのようなギャップがあります
か?
これもA3コピー用紙に書いてください。フォーマットはご自由に。書けた
ら順に説明お願いします。その後意見交換を。
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ワーク3:流れ
1. あなたが顧客が顧客に価値を届けるプロセスを思い浮かべてくださ
い。それが最高にうまく回っている、のってる、ゾーンに入っている、
そんな状態を想像してください。その状態を数行で記述してくださ
い。できるだけ具体的に。
2. その最高にのってる状態になる方法、あるいはきっかけがあるとし
たら、それはなんですか?
3. それを手に入れる方法をなんでもいいので考えてみて下さい(現実
的でなくてもいいです)
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まとめ
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本日のまとめ:ムダとアジャイル
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● トヨタ生産方式の考え方はリーン思考となり、アジャイル開発にも影
響しています。
● リーン思考では、価値と流れを重視します。
● 価値を生まないこと、流れを妨げるものを、ムダと呼びます。
● 「ムダを排除する」というスローガンは若干受け入れがたいニュアン
スがありますが、価値の最大化、フロー状態を理想としてそこに近
づこうとする、と捉えるとわかりやすいです。
● アジャイル開発の実践項目を現場に適用する際にも、このリーンの
考え方を踏まえて考えるとよいのではないかと思います。
ここまでの理解確認
「表明じゃんけん」で確認させてください。
● よくわかった:パー
● だいたいわかった:チョキ
● 全然わからない:グー
せーの、で上記のいずれかを出して下さい。いいですか?せーの!
なにか質問あるいは意見はありませんか?
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「名古屋アジャイル勉強会」ムダとアジャイル