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Sangyo2009 10 1. 情報産業・職業論⑩ 第 2 部 最終回 コモンズとオープンソース 『スペースインベーダー』 ( タイトー, 1978 年 ) プレイ画面 2. 3. 4. インベーダーゲーム 『スペースインベーダー』 : タイトーのプログラム・製品 ( 筐体 ) および登録商標を指す インベーダーゲーム : 海賊版・ 類似商品などを総称した, 『ス ペースインベーダー』的なるも の 全体を指す言葉 任天堂が発売した 『 Space Fever 』 5. 6. 遊びにパテントなし (1979) 遊び方にパテントはない わけです。コピーしようと思えば,コピーできるわけです。 パテントという考え方を捨てて, 相互にソフトを公開して,産業を発展させていくことが重要です。秘密にするのではなく, 互いが開発した優れたものを交流していく ことが大切です。 NHK インタビューから要約。 『ルポルタージュにっぽん』 7. 原始,プログラムは PD だった プログラムの著作物 が著作権法で保護されるのは,アメリカで 1975 年, 日本で 1986 年 のこと (*) 特許 ( パテント ) ・商標などで経済権を守るしかなかった (*) タイトーが“海賊版”を発売したメーカーを著作権侵害 で訴えた裁判で勝訴 (83.3.30/ 横浜地裁判決 ) したことが, 著作権法改正に結実した面もある。 8. プログラムの権利 ビル = ゲイツは「ソフトウェアに権利がないと,産業は発展しない」と訴え, Altair BASIC(75) の仕様を 非公開 にした 大学・研究室の「コピーレフト=共有の文化」と,コンピュータを産業化する際のビジネスの論理 ( 著作権 ) との共存 9. 10. 11. 特許をとらなかった 入力手段 + 演算機 + 表示機で,遊び目的の装置を作る――十分に「特許」に値する開発 しかし,ヒギンボーサムは特許を申請しなかった いつか誰かが開発すること コンピュータを軍事ではなく,“楽しみ”のために用いたいという博士の理念 12. 『 Space War! 』 (1962) MIT 学生のスティーブ・ラッセルがミニコン「 PDP-1 」で開発 トグルスイッチで遊ぶ 13. ハッカーのおもちゃ ラッセルは「 Space War! 」の権利を, コピーレフト=「コピー・改造自由」 とし,プログラムが書かれた鑽孔紙テープを持ち出し可とした ハッカーたちは競って改造し,入力装置・プログラム・遊び方・表示装置 ハッカー: コンピュータを自由自在に hack し ( 切り刻み ) ,新しいハードウェアやソフトウェアを開発できるような高度な技術的能力を備えたユーザー。 14. 15. UNIX 1968 年頃、ケン・トンプソンが後継機の PDP-7 で「 Space War! 」を遊ぶため, 新しい OS を作ることにした。これが UNIX の原形となった 70 年代に UNIX の開発がオープンで進んだが,“方言”がいくつも生まれ, OS の相互運用性 ( 互換性 ) が保てなくなる弊害も 16. 『 Computer Space 』 (1971) ノラン・ブッシュネルが『 Space War! 』を基に,アーケードゲームに。 発売元はナッチング・アソシエーツ社 17. 18. 『 Breakout 』 (1975) 通称“ブロック崩し”。プログラム的に『スペースインベーダー』は このゲームの 発展型 海賊版無数 ! 映像は Atari2600 向け 『 SUPER BREAKOUT 』 19. 20. オープン・システム アタリ社は Atari2600 向けプログラムの開発仕様を広く公開 誰でも・自由に・アタリ社に関係なく ,同機で動作するソフトウェアを開発し販売することが可能 結果として,多くのメーカーが参入し,粗製濫造・粗悪なソフトが蔓延し,ユーザーの嫌気を招いた 21. ハッカー / ヒッピー文化 コンピュータは“対抗文化”の一つで,ヒッピーとハッカーを併せ持つ開発者がアタリ社に集結した (*) ヒッピーには,ビッグビジネス ( 大伽藍 ) を動かせなかった側面も 俗に“ハイテク・ヒッピーズ”ともいう。 Apple の創業者,スティーブ = ジョブズもその一人 22. 23. ファミリーコンピューター 1983 年 7 月 21 日発売 玩具メーカーでは最後発 セキュリティ・チップによる 「キー・システム」 を特許と著作権で守り,正規ライセンス・メーカー以外の参入を制約し,ソフトのクオリティ・コントロールに乗り出した 24. 25. 伽藍とバザール 伽藍 ( 体系的・組織的開発 = ビッグビジネス ) とバザール ( 創 発的開発 = 物々交換的 ) 伽藍はブラックボックス ( 秘密主義 ) が特徴。バザールは自由・開放 両者は共存共栄で,どちらかが欠けてもいけない エリック・レイモンドが『伽藍とバザール』で 提起したのは,オープンソースの開発手法の類形 26. 27. 28. 29. フリーソフトウェア基金 1985 年 : Free Software Foundation (FSF) 設立 コンピュータ利用技術の発達のためには,ソースコードの入手は自由でなければならない GNU 一般公有使用許諾書 ( GPL :GNU General Public License) によるライセンシングの開始 30. GNU プロジェクト © は必ず入れる。 GPL 付きで配布。自由に使っていいし,誰かにコピーしてあげてもいい。ソースコードを改良してもいいし,それを配布してもいい。 再配布に際しては,コピーした人に同じ自由を認めなくてはならない 。どこかでソースコード非公開・コピー禁止となる事態を回避 31. オープンソースへ 1997 年: E.S. レイモンド らが オープンソース の呼称を提唱。 Open Source Initiative を組織し,オープンソースの要件・認証マークなどを整備。情報産業にとって GNU が知的財産を食い物にする脅威ではなく,最先端の技術を自社の財産に取り込むビジネスチャンスになると訴える free software という名称には狂信的・反商業的イメージがつきまとっていた 32. 33. 34. 35. クリエイティブ・コモンズ 「 All rights reserved 」と「 No rights reserved 」 (PD) の中間形態が存在しうるのでは ? 「 Some Rights reserved 」 の考え方 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 。文書,動画,音楽,写真など多様な対象 36. コモンズの考え方 著作権放棄でも PD でもない ( 著作権は存在しているが,ビジネスを意識していない ) 。自由に使っても,誰かにコピーしてあげても構わない 。 だけど,相手にも同様の自由を保証しなければならない。 新たな創作性は数%にすぎない 37. コモンズの 4 項目 ( 著作者の ) 表示 (Attribution) 非営利 (Noncommercial) 改変禁止 (No Derivative Works) 継承(同様に共有) (Share Alike) 4 項目の採否 ( 表示 - 非営利 - 改変禁止など ) を決定し,著作物を流通 38. 第 2 部リポート 次のどちらかの論題を選ぶこと ① コンテンツ市場で「中古」 ( リサイクル ) の存在は,市場全体にプラス・マイナスどちらに作用するか。私的経験および統計資料を用いて論述せよ。 ② クリス・アンダーソン『フリー』を読み,無料と有料の混在モデル ( フリーミアム ) について,日本の現状を特定のサービスに即して報告せよ。 39. 締切など 分量: 720 字 (140×5) 程度 締切 : 2010 年 1 月 12 日 ( 火 ) 提出 :report@akaokoichi.jp または教員研究室の扉の提出箱 教室での提出は 1 月 6 日のみ受け付ける。 1 月 18 日の提出は遅延扱い ( 正当な理由なき場合は 40 %の減点 ) 添付ファイル可だが .docx 拡張子は不可 40.