SlideShare a Scribd company logo
情報システムと
情報社会デザイン ②

  メディアと社会
発展の四段階仮説
 梅棹忠夫
 マクルーハン
ダニエル・ベル

 トフラー
  第三の波
マクルーハン理論

文字の誕生→狩猟文明から農耕
文明への移行 手書き文書の保
存 宗教権力・国家の成立
活版印刷術の誕生→民主制・工業
的生産様式
電子メディアの誕生→地球村 グロ
ーバル・ビレッジ ・再部族化
技術決定論なのか
文字 アルファベット や活版印刷術を
発明した人たちは,文明の新たな発
展段階を予見 想定していたのか
メディア技術を社会が採用を決定し
て,さまざまなファクターが複合してい
った結果,似たような発展段階を辿っ
た可能性もある
– 例外的な事例が多すぎるため
ことばの獲得
動物のコミュニケーション=しぐ
さ/鳴き声など感情の伝達
ことば(⾔語)=抽象的観念,思考結
果の伝達
ことばの起源=①実⽤⼿段(情報伝
達)・②娯楽・慰撫⼿段(おしゃべ  
り:猿の⽑づくろいの代替)
文字の登場
• ⽂字の前段階としての絵
•⾳声⾔語=対⾯コミュニケーションが可能な
  範囲に限られる 部族社会 →楔形⽂字 紀元前
  3100年 ⼩国家
•⽂字⾔語=⽂書・記録の保存,契約・法律の
  制定による資源の管理強化,⾼
等宗教や⼤規模組織の発達 ⽊鐸
「文字」を「文書」の形で長期保存可能に。
写本や「木版印刷」による「複製」

西暦105年,後漢の祭倫が発明

610年,製紙法が日本に伝来

751年,タラスの戦い→イスラム圏
/1000年ごろ→ヨーロッパ
人の移動による伝達
 •

 •
 •
 •
(1) インカ帝国
  無文字文明
  高度な天文学・
建築学の知識
(2)朝鮮半島
  活版印刷術の原型が生まれた限り,朝鮮半島
  には民主国家が成立していなければならないが
  …(他の社会的条件の欠落)
写本と印刷物
写本の限界
限定的な流通(膨大な労力)
特権階級の間で知識の伝承
新たな解釈は御法度(保守性)
秘儀・秘伝・門外不出…
貴重品。絵画と同等
活版印刷術
1234年,朝鮮半島で発明
シルクロード経由で欧州へ
1455年,ドイツ(マインツ)のグーテンベルク
が活版
印刷機を用いて
「四十二行聖書」
を約180冊刊行
活版印刷の影響
黙読の習慣(個人化)
方言から共通語へ
知識の平準化・固定化
情報(知識)の商品化(大衆化)
パトロネージュの終焉
活版印刷の波及効果
宗教的権威の失墜(宗教改革)
統一国家の形成(共通語)
学問の発達(ルネッサンス)
識字率向上⇔教育の大衆化
均質な知識を持つ労働者
国民主権の民主制(市民革命)
工業社会とは
• 産業⾰命―資本家が⼈,⼟地(物),⾦
  を囲い込み,原資本の蓄積。私的所
  有:排他的独占
• 所有(占有)することで,資本の価値は
  増⼤(マルクス『資本論』)
• 富の偏在→資本家と労働者の対⽴(階級
  的⽭盾の顕在化→社会主義)
社会の基軸原理
• 前⼯業社会:伝統主義→⼟地・資源(原
  材料)による限界
• ⼯業化社会:経済成⻑→投資決定の国
  家的または私的管理
• 脱⼯業化社会(情報社会):理論的知識
  の中⼼性と集⼤成(モデル,シミュレー
  ション,予測)
社会の編制原理 ベル
  前工業社会 工業化社会 脱工業社会

産業 採取    財貨製造   サービス
職業 採取者   労働者    専門職
素材 原材料   エネルギー 知識

方法 経験    実験     理論
指向 過去    現在     未来
工業社会と情報社会

           階級的矛盾
工業社会(近代)            社会主義体制

  文化的矛盾
                   高度消費社会
             組
             織
情報社会(脱近代)    的     グローバル化
             矛
             盾
資本主義の文化的矛盾
• 資本主義の精神=⾃⼰犠牲を厭わず,お
  のが天職のために,禁欲的・義務的に労
  働する(ヴェーバー)
• ⽂化的⽭盾=メディア・消費⽂化の普遍
  化に伴う快楽主義的原理の浸透。役割の
  細分化・固定化による無⼒感(管理社
  会)→脱⼯業化指向

More Related Content

Similar to Infotech2011 02

【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
schoowebcampus
 
System2008 01
System2008 01System2008 01
System2008 01akabay
 
メディアデザイン論2013 03b
メディアデザイン論2013 03bメディアデザイン論2013 03b
メディアデザイン論2013 03bAkao Koichi
 
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
Yasuhiro Kobayashi
 
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -  報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
fatsaiu2b
 
0812社会システム論(4)
0812社会システム論(4)0812社会システム論(4)
0812社会システム論(4)Shumpei Kumon
 
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
saireya _
 
mokuhyou.ppt
mokuhyou.pptmokuhyou.ppt
mokuhyou.ppt
sajjadagem
 
6 15 socialmedia2
6 15 socialmedia26 15 socialmedia2
6 15 socialmedia2
Yuki Fujino Oita Univ.
 
1109 情報社会学からの展望
1109 情報社会学からの展望1109 情報社会学からの展望
1109 情報社会学からの展望Shumpei Kumon
 
社会の芸術フォーラム20150918
社会の芸術フォーラム20150918社会の芸術フォーラム20150918
社会の芸術フォーラム20150918
Myungsoo Kim
 
パーソナルデータと公益性
パーソナルデータと公益性パーソナルデータと公益性
パーソナルデータと公益性
Masahiko Shoji
 
ニューメディア論 (1)
ニューメディア論 (1)ニューメディア論 (1)
ニューメディア論 (1)
Kenji Saito
 
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチ
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチSmwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチ
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチAi Akeuchi
 
What's Social Media?
What's Social Media?What's Social Media?
What's Social Media?
伸夫 森本
 
研究発表.pptx
研究発表.pptx研究発表.pptx
研究発表.pptx
Yuki
 

Similar to Infotech2011 02 (20)

【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
【Schoo web campus】ものづくり・コンテンツはどのように変化するか?
 
System2008 01
System2008 01System2008 01
System2008 01
 
System2008 01
System2008 01System2008 01
System2008 01
 
System2008 01
System2008 01System2008 01
System2008 01
 
メディアデザイン論2013 03b
メディアデザイン論2013 03bメディアデザイン論2013 03b
メディアデザイン論2013 03b
 
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
生態系としての都市とリジェネラティブ・リーダーシップ−ポスト人間中心時代の人の群れ方・都市の在り方を考える−
 
Sangyo2008 02
Sangyo2008 02Sangyo2008 02
Sangyo2008 02
 
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -  報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
報道機関は社会構造の変化についていけるのか? - コネクティッド時代のジャーナリズム -
 
0812社会システム論(4)
0812社会システム論(4)0812社会システム論(4)
0812社会システム論(4)
 
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
社会システム理論に基づく情報教育の教材開発
 
mokuhyou.ppt
mokuhyou.pptmokuhyou.ppt
mokuhyou.ppt
 
01 07
01 0701 07
01 07
 
6 15 socialmedia2
6 15 socialmedia26 15 socialmedia2
6 15 socialmedia2
 
1109 情報社会学からの展望
1109 情報社会学からの展望1109 情報社会学からの展望
1109 情報社会学からの展望
 
社会の芸術フォーラム20150918
社会の芸術フォーラム20150918社会の芸術フォーラム20150918
社会の芸術フォーラム20150918
 
パーソナルデータと公益性
パーソナルデータと公益性パーソナルデータと公益性
パーソナルデータと公益性
 
ニューメディア論 (1)
ニューメディア論 (1)ニューメディア論 (1)
ニューメディア論 (1)
 
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチ
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチSmwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチ
Smwソーシャルメディアウィーク・スペシャルスピーチ
 
What's Social Media?
What's Social Media?What's Social Media?
What's Social Media?
 
研究発表.pptx
研究発表.pptx研究発表.pptx
研究発表.pptx
 

More from Akao Koichi

コミュニケーション・メディア史2017 06
コミュニケーション・メディア史2017 06コミュニケーション・メディア史2017 06
コミュニケーション・メディア史2017 06
Akao Koichi
 
コミュニケーション・メディア史2017 05
コミュニケーション・メディア史2017 05コミュニケーション・メディア史2017 05
コミュニケーション・メディア史2017 05
Akao Koichi
 
コミュニケーション・メディア史2017 04
コミュニケーション・メディア史2017 04コミュニケーション・メディア史2017 04
コミュニケーション・メディア史2017 04
Akao Koichi
 
コミュニケーション・メディア史2016 03
コミュニケーション・メディア史2016 03コミュニケーション・メディア史2016 03
コミュニケーション・メディア史2016 03
Akao Koichi
 
コミュニケーション・メディア史2017 01
コミュニケーション・メディア史2017 01コミュニケーション・メディア史2017 01
コミュニケーション・メディア史2017 01
Akao Koichi
 
コミュニケーション・メディア史2017 02
コミュニケーション・メディア史2017 02コミュニケーション・メディア史2017 02
コミュニケーション・メディア史2017 02
Akao Koichi
 
Contents2016 15
Contents2016 15Contents2016 15
Contents2016 15
Akao Koichi
 
Syokugyouron2016 14
Syokugyouron2016 14Syokugyouron2016 14
Syokugyouron2016 14
Akao Koichi
 
Syokugyouron2016 13
Syokugyouron2016 13Syokugyouron2016 13
Syokugyouron2016 13
Akao Koichi
 
Contents2016 14
Contents2016 14Contents2016 14
Contents2016 14
Akao Koichi
 
Syokugyou2016 12
Syokugyou2016 12Syokugyou2016 12
Syokugyou2016 12
Akao Koichi
 
Contents2016 13
Contents2016 13Contents2016 13
Contents2016 13
Akao Koichi
 
Syokugyouron2016 11
Syokugyouron2016 11Syokugyouron2016 11
Syokugyouron2016 11
Akao Koichi
 
Syokugyouron2016 10
Syokugyouron2016 10Syokugyouron2016 10
Syokugyouron2016 10
Akao Koichi
 
Contents2016 11a
Contents2016 11aContents2016 11a
Contents2016 11a
Akao Koichi
 
Contents2016 11b
Contents2016 11bContents2016 11b
Contents2016 11b
Akao Koichi
 
Contents2016 10
Contents2016 10Contents2016 10
Contents2016 10
Akao Koichi
 
Syokugyouron2016 09
Syokugyouron2016 09Syokugyouron2016 09
Syokugyouron2016 09
Akao Koichi
 
Infotech2016 07
Infotech2016 07Infotech2016 07
Infotech2016 07
Akao Koichi
 
Contents2016 09
Contents2016 09Contents2016 09
Contents2016 09
Akao Koichi
 

More from Akao Koichi (20)

コミュニケーション・メディア史2017 06
コミュニケーション・メディア史2017 06コミュニケーション・メディア史2017 06
コミュニケーション・メディア史2017 06
 
コミュニケーション・メディア史2017 05
コミュニケーション・メディア史2017 05コミュニケーション・メディア史2017 05
コミュニケーション・メディア史2017 05
 
コミュニケーション・メディア史2017 04
コミュニケーション・メディア史2017 04コミュニケーション・メディア史2017 04
コミュニケーション・メディア史2017 04
 
コミュニケーション・メディア史2016 03
コミュニケーション・メディア史2016 03コミュニケーション・メディア史2016 03
コミュニケーション・メディア史2016 03
 
コミュニケーション・メディア史2017 01
コミュニケーション・メディア史2017 01コミュニケーション・メディア史2017 01
コミュニケーション・メディア史2017 01
 
コミュニケーション・メディア史2017 02
コミュニケーション・メディア史2017 02コミュニケーション・メディア史2017 02
コミュニケーション・メディア史2017 02
 
Contents2016 15
Contents2016 15Contents2016 15
Contents2016 15
 
Syokugyouron2016 14
Syokugyouron2016 14Syokugyouron2016 14
Syokugyouron2016 14
 
Syokugyouron2016 13
Syokugyouron2016 13Syokugyouron2016 13
Syokugyouron2016 13
 
Contents2016 14
Contents2016 14Contents2016 14
Contents2016 14
 
Syokugyou2016 12
Syokugyou2016 12Syokugyou2016 12
Syokugyou2016 12
 
Contents2016 13
Contents2016 13Contents2016 13
Contents2016 13
 
Syokugyouron2016 11
Syokugyouron2016 11Syokugyouron2016 11
Syokugyouron2016 11
 
Syokugyouron2016 10
Syokugyouron2016 10Syokugyouron2016 10
Syokugyouron2016 10
 
Contents2016 11a
Contents2016 11aContents2016 11a
Contents2016 11a
 
Contents2016 11b
Contents2016 11bContents2016 11b
Contents2016 11b
 
Contents2016 10
Contents2016 10Contents2016 10
Contents2016 10
 
Syokugyouron2016 09
Syokugyouron2016 09Syokugyouron2016 09
Syokugyouron2016 09
 
Infotech2016 07
Infotech2016 07Infotech2016 07
Infotech2016 07
 
Contents2016 09
Contents2016 09Contents2016 09
Contents2016 09
 

Infotech2011 02