メディアとコンテンツ 第3回

1. 『ハイハイ3人娘』
1963年1月 東宝作品
主役格は中尾ミエ。毎日
夕方6時に，中尾ミエ宅に
かかってくる「正体不明の
愛の告白電話」を究明する
振り付け担当は『ウエスト
サイド物語』も担当したラウ
ル・アペル

2. だからアイドルなんだけど。

5. カバーポップス
60年代アメリカでは，コ
ニー・フランシス，ヘレン・
シャピーロら10代後半の女性歌手らが
登場して「ロリポップ」と称される
日本でも10代の歌手によって，「ロ
リポップ」をカバーさせる。ミドル
(ハイ)ティーン歌手がティーンの気
持ちを歌うという時代に

8. コニー・フランシス(11歳でデビュー)
『VACATION』(1962，24歳)

9. 伊東ゆかり盤(1962)

10. ヘレン・シャピーロ(15歳)
『子供ぢゃないの』(1961)

11. 弘田三枝子(14歳でデビュー)

12. 森山愛子『子供ぢゃないの』

13. 弘田三枝子
• 1947年，世田谷生。小学生時代から
米軍キャンプで歌い，1961年に14
歳でデビュー
• 爆発的な歌唱力でカバー(ティーン
ズ)・ポップスで，トップスターに上
り詰めた(各社競作の『ヴァケイショ
ン』でも弘田盤が最も売れた)
• テレビで冠番組も持ったので，アイ
ドルとも言える

14. 1962年 「紅白歌合戦」

15. 『すてきな16才』
(Happy Birthday Sweet Sixteen)
ニール・セダカの曲を六二年に弘田
三枝子、伊東ゆかりがカヴァー。ここ
ではⅠ九九八年の本田美奈子による歌
唱で。

16. 渡辺プロダクションがカバーポップス用に送り込んだ
「スパーク三人娘」。伊東ゆかり，中尾ミエ，園まり
1963(昭和38)年の紅白歌合戦

18. 原盤制作 渡辺プロ
渡辺音楽出版
レコード会社
歌手
P&D
原盤
音盤製造
宣伝販売
作詞家
作曲家
編曲家
第1号は クレージーキャッツ
の 『スーダラ節』(1961年)
東芝音楽工業
詞:青島幸男
曲:萩原哲晶
フリーランス

19. 芸能プロ主導の楽曲作り
• レコード会社専属で徒弟制の作詞・
作曲家が「若者向けポップス」制作
• 若者風俗の変遷・時代の変化に即応
するのが難しい
• フリーランスならば，世代的にも若
者に近く，感覚に訴えかける楽曲を
作りやすい→GSやアイドルの基礎

20. 『シャボン玉ホリデー』

21. ザ・ピーナッツ(21歳，3年)
『ふりむかないで』
詞:岩谷時子/曲:宮川泰。1962(昭和37)年2月
発売。アメリカンポップスを咀嚼して日本化。
岩谷時子はサトウ
ハチロー・浜口庫之
助らと並ぶ「フリー
ランス作詞家」の先
駈け。

22. ザ・ピーナッツ
『恋のバカンス』(63)
詞:岩谷時子/曲:宮川泰
一九六三年四月
4
ビートのスウィング感が、
いまなお多くの人を魅了する

23. フレンチ・
ロリータ・
ポップス

24. フレンチ･ロリータ・ポップ
1960年代，フランスでは「イエ
イエ」と呼ばれる文化運動が起
きた
アメリカのロック+ポップスを
シャンソンと融合させていく
10代の女性歌手にロリータ的意
匠で歌を歌わせる

26. レナウンCM(1967)

27. ツイッギー
1967年10月来日時のサイズ
は身長165cm，体重41kg。
BMI指数は15.1で，「極度の
痩せ」である。年間1000万ド
ル(36億円)を稼ぐファッショ
ンモデルで，「ミニ(スカート)
の女王」とされ，若い女性の
憧れの的。「痩せた女性ほど
美しい」という痩身願望に火
を付けた。

29. シャンタル･ゴヤ
『
ベ
ル
ナ
ー
ル
は
人
気
者
』
(
一
九
六
四
)

30. フランソワーズ・アルディ
『男の子と女の子』
日本では一九六六年
(原曲は一九六二年の
アルディのデビュー
曲)

31. フランス･ギャル
『夢みるシャンソン人形』(1965)

32. 『アニーとボンボン』

33. シルヴィ･バルタン
『アイドルを探せ』(1964)

34. 『ワンサカ娘』(1965)
詞・曲は小林亜星。一九六一年はかまやつひろ
し、一九六四年は弘田三枝子。シルヴィ・バル
タンは３人目。映画『鴨川ホルモー』(二〇〇
九年)を見ると、この曲へのイメージは一八〇度
変わるはず。

35. シルヴィ・バルタン
『あなたのとりこ』(1968)

36. 女性アイドル前夜
(60年代後半)

38. 弘田三枝子『可愛いマリア』
詞
：
安
井
か
ず
み
／
曲
：
ア
ン
ジ
ェ
リ
ス
一
九
六
五
年
四
月
一
〇
日
発
売

39. 中尾ミエ『忘れさせて』
詞:安井かずみ/曲:宮川泰
一九六五年一二月
『淋しいから』と両Ａ面

40. 園まり
『逢いたくて逢いたくて』
詞:岩谷時子/曲:宮川泰
一九六六年一月
ザ・ピーナッツ『手編みの
靴下』のリメイク

41. 伊東ゆかり『恋のしずく』
詞:安井かずみ/曲:平尾昌章
一九六八年一月
「恋のしずく」は「体の中ま
で沁みる」という官能性。

42. 1966年(女性アイドル前夜)
16歳のティーンがデビューした
ジュディ･オング(台湾)
山本リンダ(ハーフ)
由美かおる(西野バレエ団)
いしだあゆみ(18歳)はテレビドラ
マを中心に活躍。奥村チヨ(19歳)
もデビュー
67年デビューの黛ジュンが日本レ
コード大賞

44. レ･ガールズ
金井克子，原田糸子，由美
かおる，奈美悦子，江美早苗
で構成されたアイドル的ダン
スグループ
ゴールデン・アロー賞「グラフ
賞」の初代受賞者（67年度）
※同賞は芸能雑誌による選奨で，
ビジュアルの影響力を証明

45. 由美かおる(16才)
詞：小久保和江／
曲：津々美洋
一九六七年一〇月

46. 『青春ア・ゴーゴー』
ジュディ･オング (16歳)
1966年 日活映画
ジュディは台湾出身だが，2歳から日本で暮らす(その後帰化)
『たそがれの赤い月』でレコード･デビューもしている。

47. 山本リンダ(16歳)
こまっちゃうナ
詞・曲:遠藤実
66年9月20日

48. 内藤洋子『白馬のルンナ』
映画『その人は昔』(主演:舟木一夫)挿入歌。67年7月公
開。襟裳岬で出会った二人は東京に駈け落ちするが…。
詞:松山善三/曲:船村徹。内藤洋子はこの映画に出演時点
で17歳。ドラマ『氷点』，映画『伊豆の踊子』などにも
出演する“アイドル的女優”。70年に結婚引退。

49. 奥村チヨ(19歳，2年)
『
北
国
の
青
い
空
』
詞
：
橋
本
淳
／
曲
：
ベ
ン
チ
ャ
ー
ズ
六
七
年
八
月
五
日
発
売

50. ピンキーとキラーズ
『恋の季節』は六八年八月リ
リース。オリコンでは二四〇万
枚だが、四〇〇万枚の公称値も。
ピンキー＝今陽子は十六歳。詞:
岩谷時子/曲:いずみたく

51. 黛ジュン(21歳，6年*)
『天使の誘惑』(68年レコ大)
＊
当
該
年
の
年
齢
と
業
界
歴
タ
イ
ア
ッ
プ
な
し
の
女
性
ポ
ッ
プ
ス
・
ソ
ロ
と
し
て
初
の
受
賞
詞
：
な
か
に
し
礼
／
曲
：
鈴
木
邦
彦

52. 松田聖子の『天使の誘惑』(82)

53. 中村晃子(19歳，4年)
『虹色の湖』(67/10/10)
詞:横井弘/曲:小川寛興。「一人
ＧＳ調」と呼ばれた。映画『進め
！ジャガーズ敵前上陸』(六八年)
から。中村晃子も松竹所属女優

54. 『初恋のひと』（69/1/21）
『
紅
白
歌
合
戦
』
六
九
年
詞
：
有
馬
三
恵
子
／
曲
：
鈴
木
淳
一
八
万
枚
(
三
二
位
)

55. 『ブルー・ライト・ヨコハマ』
詞
：
橋
本
淳
／
曲
：
筒
美
京
平
六
八
年
一
二
月
発
売
六
九
年
②
一
〇
〇
・
三
万
枚

56. 弘田三枝子
『人形の家』
詞:なかにし礼/曲:川口真。六九年七月。
ピーク時から約二〇キロ減量し、メイク法
も一新して復活。そのダイエットの経緯を
『ミコのカロリーＢＯＯＫ』にまとめるが、
減量前の弘田三枝子のＢＭＩ値は推定で
２３・４。「標準からややポチャ寄り」。
ツィッギーに始まる痩身願望の被害者？

57. 幼少時から芸能活動(舞台，映画，歌手〈米
軍基地公演など〉)を続けた
二十歳すぎでテレビで活躍したときには，
既に経験を積んだ「芸」の持ち主
境界性を有する人も多い
彼女たちがティーンの頃，“アイドル”とし
て脚光を浴びることは少なかった
※70年前後では，山本リンダ，ジュディ・オング，由美かお
るらが十代で歌はアイドルなのに“アイドル視”されなかった。
境界性があるケースが多いからだろう。

58. 1970年を境に，テレビの影響力が
強まり，生活環境が変化するなかで，
小中学生が音楽市場に参入してくる
状況を反映し，スタアからアイドル
への転換が起こった，と考えられる
「メディア(テレビ)が遊び場」とい
う小中学生(1955-1962年生まれ)
の存在がアイドルの社会的需要を生
んだと考えられる(次回)