ITx災害会議2015 C1セッション
ハッシュタグの活用による
災害情報の収集・共有
「#●●市災害」
2015年11月21日
稲野 茂
⼀般財団法⼈道路新産業開発機構(HIDO)
(元国⼟交通省国⼟技術政策総合研究所)
1
自己紹介と注意事項
稲野茂(いなのしげる)
昭和末期に某省に採用され国家公務員となり、
以後、本省・出先・自治体出向などを転々
本年9月までは、つくば市内の某研究所勤務
10月から、某財団に出向
このスライドは、個人的にツイッター投稿等を
分析し、これからの災害対応に広く役⽴つと考
え、整理したもの
所属組織との関係は、ありません
2
目的:災害時の課題の解決
特に大規模・広域災害では、
発災直後、被災地の状況がわからない
• 被災地への電話がつながらない
• ニュースは目⽴つ場所しか映さない
• ⼀般への情報提供が不⼗分
• 交通マヒ等でパトロールが困難
• 被災箇所多数で迅速な全容把握が困難
• 関係機関相互の情報共有が不⼗分
これらの課題をツイッターで解決
しようとする提案です。
3
ざっくり言うと
被災地のみんなで現状を
ツイッターに投稿しましょう
投稿の際の注意事項
① 所定のハッシュタグをつける
② 場所がわかるようにする(ジオタグ等)
③ できれば写真を添付する
④ 投稿文で現在地の状況を説明する
4
①和光市のツイッター活用事例
②群⾺県建設業協会の取組事例
③災害時地域ハッシュタグの提案
5
埼⽟県和光市の事例
ざっくり言うと
① 埼⽟県和光市では、災害時のハッシュタグ
「#和光市災害」を定めた
② 防災訓練でツイッター投稿を呼びかけた
③ 後⽇、大⾬の時、市⺠が自発的に冠⽔等の
市内の状況を投稿し、役⽴った
6
和光市では災害時のハッシュタグ
#和光市災害
を定めた(2014年2月25⽇)
7
防災訓練(2014年6月1⽇)で
ツイッター投稿を呼びかけた
8
投稿のポイントは2つ
① #和光市災害をつける
② 場所がわかるようにする
ジオタグ添付
番地名を記載等
9
2014年 防災訓練の投稿例
10
防災訓練の全投稿 191件のうち
訓練に沿った投稿は 137件(72%)
71.7%
6.8%
3.7% 5.8%
12.0%
訓練に沿った投稿
訓練に沿わない投稿
タグだけの投稿
事務局からの連絡
その他(感想等)
11
イタズラ投稿は、13件(7%)
ニュースで紹介された時間帯に集中
0
5
10
15
20
25
30
35
感想等
事務局からの連絡
タグだけの投稿
訓練に沿わない投稿
訓練に沿った投稿
12
訓練は成功
• 訓練の依頼に応じ、137件の的確なツイッター
投稿が得られた
• ニュースの影響と想定されるイタズラ投稿は、
少数(13件)かつ⼀過性で、気にする必要なし
• ⽇本初*のツイッターハッシュタグを活用した市
⺠との協働による防災訓練は成功
*2014年6月1⽇時点、個人調べ
13
…と思っていたところ、同じ月の
6月25⽇にゲリラ豪⾬が発生
埼⽟県南部にてゲリラ豪⾬
(2014年6月25日熊谷地方気象台発表)
14
ゲリラ豪⾬、当⽇の投稿
15
16
新聞記事によると
これは使える!
• 和光市は、大⾬への対応検討において
ツイッター情報を参考にした、とのこと
• 和光市の松本市⻑のコメント
「ビジュアル面も含め、瞬時に被害の把握が
できたことは大きい。」
17
7月20⽇にも大⾬
• 平成26年7月20日夕刻
– 和光市内で大雨
– 和光市内の各所で冠水
• 当日、約10件の #和光市災害 付き投稿。
• 全てが写真添付で市内各所の状況を報告
• 4件のジオタグ付き投稿(和光市内)
• イタズラ的投稿はゼロ
18
和光市の事例考察(1/3)
多数の的確な投稿
訓練の成果として、大⾬の時、自発的に現地の
状況を伝えるツイッター投稿が多数得られた。
イタズラ投稿は、気にする必要なし
• 訓練の際、テレビの影響で少数のイタズラ投稿
• 大⾬の時には、イタズラ投稿はゼロ
ツイッターからは的確な情報は期待できない、
といった懸念は杞憂
19
⼀般に、ツイッター投稿の大多数は、位置の特
定が難しいことが、災害時活用の大きな課題
訓練の際、場所がわかる投稿を呼びかけた結
果、訓練や大⾬時の投稿のほとんどが位置特定
可能とのこと(和光市役所担当者)
• 投稿文に番地名等を記載したものが大多数
• 位置情報(ジオタグ)添付は少数
2014年の訓練ではジオタグ付きは、6件(3%)
20
和光市の事例考察(2/3)
位置特定可能
和光市の事例考察(3/3)
優れた情報共有ツール
災害時の情報共有ツールとしてのツイッターの
有効性を確認
#和光市災害の投稿は、情報共有が主たる目的
• ⾏政へ迅速な対応を求める通報ではない。
投稿された情報を共有し、これに基づき
• ⾏政等関係機関は優先順位を考慮し、最善を尽くす。
• 市⺠は自己責任で最善と思う⾏動をとる。
コストゼロで導入可能
ハッシュタグ検索するだけで簡単に情報入手
21
他自治体の動向
他の自治体でも、
模倣した動きあり
(下記は当方が把握したもの)
#宇部市災害、#北本市災害、#狭山市災害
#清瀬市災害、#⾦沢区災害、#御嵩町災害
#福岡市災害、#根室市災害
22
埼玉県 北本市
#北本市災害
23
岐阜県可児郡 御嵩町
#御嵩町災害
24
北海道 根室市
#根室市災害
25
横浜市⾦沢区
#⾦沢区災害
26
山口県 宇部市
#宇部市災害
27
宇部市ホームページより
福岡県 福岡市
#福岡市災害
28
#福岡市災害の防災訓練投稿
29
自治体の皆様へアドバイス
• 災害時のツイッター活用の目的を、市⺠へ、
しっかりと伝えることが重要
• ツイッターで「投稿して下さい。」だけでは、
不⼗分
• 和光市では訓練に先⽴ち、記者発表、チラシ配
布や市⻑のブログ掲載などを実施
• 訓練の成否は、多くの市⺠が、目的を理解し、
やり⽅が浸透し、災害時に協⼒が得られるか
30
①和光市のツイッター活用事例
②群⾺県建設業協会の取組事例
③災害時地域ハッシュタグの提案
31
群馬県建設業協会の取組み
• 一般社団法人群馬県建設業協会では、
災害情報をツイッターに投稿するシステム
➔「ぐんケン⾒張るくん」を独自に開発
2014年12月より運用中
• パトロールや災害対応状況等を絶賛投稿中
• 投稿の全てに、写真とジオタグが添付
32
「ぐんケンくん」➔
群馬県建設業協会の
マスコットキャラクター
(「ぐんケン⾒張るくん」のパンフレットより引用)
33
(「ぐんケン見張るくん」のパンフレットより引用) 34
9⽉9⽇〜北関東などで豪⾬
群馬県建設業協会の会員は
パトロールや災害復旧を実施
これらの状況を
「ぐんケン⾒張るくん」で逐一投稿
35
#桐生市災害 ①
36
#桐生市災害 ②
37
#桐生市災害 ③
38
ジオタグに基づき地図展開
(webサイト「ちずツイ」の検索結果)
39
#沼田市災害
40
#高崎市災害
41
#みなかみ町災害
42
#藤岡市災害
43
#渋川市災害
44
#桐生市災害
45
#富岡市災害
46
47
新たな災害情報の発信⽅法
群⾺県建設業協会の災害時ツイッター投稿
① 多数のRTに加え、少数の感謝の投稿も
② 住⺠等への情報提供として有効と想定
③ 周知が進めば、有効性がさらに向上
④ ツイッターの特徴を活かした、新たな災害
情報の発信⽅法と評価できる
48
従来の災害情報発信
① 建設会社や関係機関がパトロールを実施、
その結果を市町村等に報告
② 市町村は、集まった情報を踏まえ、避難勧
告や住⺠への情報提供などを検討
③ 市町村が検討している間、住⺠には情報が
提供されない
(⼀般的なケースを想定した個人の⾒解です。実際には、細
かく住⺠へ情報提供したり、迅速な避難勧告を出している市
町村も、あると思います。)
49
ツイッターを活用すれば
① 災害時に関係機関がパトロールを実施し、
その結果を逐⼀ツイッター投稿
② 住⺠も、現在地の状況をツイッター投稿
③ 市町村は、投稿された情報を踏まえ、避難
勧告や住⺠への情報提供などを検討
④ 同時に、住⺠は投稿された情報を踏まえ、
自己責任で自らの⾏動を判断
50
平成27年9月17⽇ 国交省関東地⽅整備局の記者発表資料より
51
想像してみてください
国交省と市町村のホットラインが
もしも、ツイッターだったなら
⽅法としては、以下の2つ
① メンション
② 国交省公式から逐⼀ツイッター投稿
(いずれの場合も、ハッシュタグ添付)
52
災害時のツイッター活用
非常識?
それとも
従来常識を超越した
新しい⽅法?
53
群⾺県内で災害に遭遇した時
@gunken000のツイッター投稿
から災害情報が得られます。
54
①和光市のツイッター活用事例
②群⾺県建設業協会の取組事例
③災害時のツイッター活用の提案
55
#和光市災害、#桐生市災害
など
(はっしゅたぐまるまるしさいがい)
別名、#●●市災害 と呼ぶ
目的は特定⾏政区域内の災害情報の共有
ハッシュタグ検索により情報抽出が容易
56
災害時地域ハッシュタグ
現地の人が、現地の状況を
ツイッター投稿
• 災害発生!その第⼀発⾒者は、現地の人
都市部 → 住⺠等その場にいる人
山間部 → 建設会社等のパトロール要員
• これらの人が現地の状況をツイッター投稿
• 災害時地域ハッシュタグを添付すること
で、簡単・迅速に情報共有が可能
57
災害時地域ハッシュタグ
#○○市災害 は、⻑い
短く#災害でもええやん
58
#災害ではノイズ情報が多い
特定区域の絞り込みが不便
投稿⽅法
• 投稿文で、現在いる場所の状況を説明
• 必要に応じて写真を添付(任意)
• 災害時地域ハッシュタグを添付(必須)
• 場所がわかるようにする(必須)
ジオタグを添付
番地名等を記載
59
情報の入手⽅法 ①
#●●市災害で検索
• 関係機関は状況把握・初動対応の参考に
• 被災地の人は⾃らの⾏動の参考に
(自主避難判断、共助活動、帰宅ルート検討等)
• 遠⽅の人は知⼈の安否確認の参考に
(連絡がとれなくても、概略的な状況把握など)
60
情報の入手⽅法 ②
検索結果を地図上に展開
• 特定のサイト、アプリを使うことにより、
検索結果を地図上に展開して閲覧できる
例としては
Webサイト「ちずツイ」
アンドロイドアプリ「Twitmap」
注意事項
表示は、ジオタグが添付された投稿に限定
表示は、投稿後、約1週間程度に限定
61
「ちずツイ」の表示例
62
「ちずツイ」で#災害通報を検索・表示
「ちずツイ」の表示例(拡大)
63
「ちずツイ」で#災害通報を検索・表示
AndroidアプリTwitmapの表⽰例
64
注意事項
• ツイッターは、あくまでも情報源のひとつ
• 避難等が必要な状況下では、住⺠に投稿を
求めてはいけない
• 人がいない場所の情報は得られない
• 通信途絶したエリアの情報は得られない
• 個々の投稿の信頼性は保証されない
• それでも、余りある効用があると評価
65
万能ではない
災害時の情報
信頼性 vs 量・スピード
■⾏政から災害時に発信される情報(現状)
• 基本的に信頼できる
• 数時間おきに集計された情報が、ホームページ上にPDF
で発表・掲載されるケースが多い←個人の感想です
■ツイッターの災害情報(容易に実現可能な理想)
• 発災直後から現地状況が続々とツイッターに投稿され、
リアルタイムに追加・更新
• ハッシュタグ検索やジオタグ検索で、絞り込みが容易
• 添付写真と投稿文から、状況把握が容易
• 匿名投稿の信頼性は、基本的に保証されないが、工夫次
第で信頼性を評価可能
66
匿名投稿の信頼性評価
(仮説につき要検証)
以下の観点で信頼性を評価
① ジオタグの有無
② 周辺の投稿内容との比較
③ 投稿者の過去投稿(防災訓練の参加等)
67
ウソ・デマ情報にも対処可能
ハッシュタグの活用は
アクティブ・ソナー
68
パッシブ・ソナー (一般的なツイート分析)
黙って聞き耳をたてて、無数に聞こえてくる音(投稿)を分析
ノイズが多く、有益な情報を得るのは困難なケースが多い
目標物の場所が判らないケースが多い
全く音を出さない存在は探知できない
アクティブ・ソナー (ハッシュタグの活用)
探信音(ピンガー)を出し、反射音を分析
ツイッター投稿の呼びかけが探信音、呼応した投稿が反射音に相当
ノイズが少なく、情報の抽出、場所特定が容易
全く音を出さない存在も探知可能(ツイッターを使わない人にも、目的を伝え
て、呼びかけることで、情報発信するようになるかも)
探信音が標的となり、攻撃される恐れがある(和光市訓練のイタズラ投稿)
未確認の災害情報の共有
• ⾏政の情報発信は、確認された情報に限定
• ⼀般からの情報は、未確認(要確認)情報
➔ ⾏政から、そのまま発信できない
➔ 数が多いと、個別確認も困難
69
【提案】
• 現地からの災害情報をツイッターに集約
(現地状況のツイッター投稿を呼びかける。)
• 情報を共有し、未確認を前提に活用
災害時の自情、共情、公情
(誤字・誤変換ではありません。造語です。)
■自情
– 自分自⾝で、直接、現場を⾒て確認した情報
– 情報を得られる範囲が限定される
■共情
– 各自が得た情報(自情)をネット上に投稿して共有
– 情報共有ツールとしてツイッターを活用
■公情
– ⾏政等の公的機関やマスコミから出される情報
– 公的機関の情報は、信頼できるが、遅い←個人の感想です
– テレビのニュースは目⽴つ箇所が中心で、知りたい箇
所の情報が得られない←個人の感想です
70
問1
そもそも、なんでツイッター?
• 災害専用システムは、災害時に使われないことが
多い、と言われている
• ⽇常的に多くの人が使うシステムを、災害時にも
活用する発想が必要
• ツイッターは、投稿のほとんどが検索対象
• 現状、多くの人が災害時にツイッター投稿
• 基本利用は無料
• 様々な者が、様々なアプリを開発
• オープンデータとして、再利用が可能
71
問2
ツイッター使えない人は?
案1
• 使えない人が、少数でも存在するなら、ツイッ
ター活用をやめる
案2
• 地域コミュニティ、ご近所の底⼒に頼る
• すなわち、ご近所同志で声かけして助けあう
72
課題点
• 2014年の和光市の訓練や大⾬時の事例では、大多数の
投稿が番地名を記載したもの。ジオタグ添付は少数
• 投稿する時に、ジオタグ添付は面倒臭い
• 投稿が多くなった際、俯瞰的に状況把握するためには、
ジオタグ添付が望ましい
• 災害発生時の混乱状況下、特に旅⾏中の人は、今いる市
区町村がわからず、正しくハッシュタグを添付できない
ことも想定
これらの解決⽅法について
C2セッションでご紹介します
73
やってみなはれ
やらなわからしまへんで
74
サントリー創業者 ⿃井信治郎 の言葉
⼩理屈を並べても、物事は運ばない。
とにかく実⾏して、そこから学びながら、
次のアクションを考えたらええ。
過去を振り返り
嘆いているだけでは
明⽇は良くならない
75
過去の災害時のツイートを分析して、
有益な情報が得られないと嘆くだけでは、アカン!
どうすれば、今後、有益な情報が得られるのか?
そのための仮説・検証を繰り返し、
より良い明⽇を目指すべき。

ハッシュタグの活用 C1セッション ITx災害2015