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中小企業B2Bマーケティング(web版)
- 1. 中小企業のBtoBマーケティング
概論
O-FLEX ビジネス・コンサルティング
E-mail fukunaga@oflex.jp
Web Site: www.oflex.jp
1
- 2. 本セミナーで理解して頂きたいこと
• マーケティングとは
– なぜ必要か
– セリングとどこが違うか
– マーケティングは何をするのか
• BtoBマーケティングとは
– どこが消費者相手と異なるか
• 中小企業のマーケティング戦略
– 中小企業の資源制約を考慮すると
2 Copyright 2011 O-FLEX BUSINESS CONSULTING All rights reserved
- 3. なぜマーケティングが必要か?
経済の成熟化に伴い、消費者のニーズに合い価値を認めてもらえる商品サービスでない
と対価を払ってもらえなくなっています。すなわち、一方的にモノを売るのではなく、両者が
対等に価値を交換すると言う見方が重要になっています。
モノの販売
価値の交換
経済の
成熟化
モノ不足の時代には 売り手と買い手の双方に
買い手に取っての価値は とって価値のある交換の
自明
実現(マーケティングの
交換パラダイム)
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- 9. マーケティングの交換パラダイム
通常のマーケティング論は、使用価値が自明な比較的単純な商品・サービスを想定して議
論を進めています。これをマーケティングの「交換パラダイム」と呼びます。
マーケティング
セリング
将来の糧を その日の糧を
稼ぐための 稼ぎだす
仕組みづくり
活動
仕組
A.の場合
マーケティング
セリング
顧客ニーズを的
交換 確に掴み、それ 売りさばく、
パラダイム
に斉合する製品 説得的に商品知
を開発・生産し、 識を伝えて購買
顧客に届ける仕 欲をそそる
組を作る
仕組
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- 10. マーケティングで作る仕組とは
マーケティングの関心事は、「何を」「誰に」「どのように」買ってもらうかを決めることです。
• マーケティングで決めること
– 何を(What):提供する商品・サービス
– 誰に(Who):対象顧客
– どのように(How):商品・サービスの提供方法
• マーケティングのアウトプット(仕組)
– 事業ドメイン
– セグメンテーション、ターゲット市場
– 製品・サービスのポジショニング
– マーケティング・ミックス: 4P (Product, Price, Place,
Promotion)
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- 14. 事業ドメイン決定の留意点
事業が成功するに連れ、マーケティング担当者は、目の前の商品・サービスの改良に集
中し、顧客がそれらを何に使う目的で買っているのかを忘れる傾向があります。このように
自社の事業ドメインを狭く見た結果、終には事業そのものが衰退した事例が多々あります。
• マーケティング近視眼(セオドア・レヴィット)
– 「4分の1ドリル」: ドリルが欲しいのか穴が欲しいのか
– アメリカの鉄道会社:自らを 「運送業者」と見なしていれば高速
道路網整備に対応して投資できた(お金は唸るほど持っていた)
• 銀塩フィルム事業 対 画像処理事業
– コダックと富士フィルム
• 誰と何で競争するのか?
– 顧客にとっての「手段」か「目的」か?
14 Copyright 2011 O-FLEX BUSINESS CONSULTING All rights reserved
- 18. 関係型マーケティングの台頭
消費財の世界でも、市場の成熟化に伴い、既存顧客と継続的に取引を続けることのメリッ
トが認識されてきています。
価値の交換
交換型
多数の客
効率
一回ごとの取引
市場の成熟化 → マーケティングコスト増大
新規顧客の減少、買換え需要のスイッチングコスト
アフターマーケットの拡大
サービス経済化
関係型 関係の維持
少数の客
Wallet- 関係の下での
Share
継続的取引
関係型のメリット:
取引コスト・リスクの低下
販売機会の拡大(クロスセル、アフターマーケット)
顧客獲得コストの低減
長期計画に沿った生産や設備投資
18 Copyright 2011 O-FLEX BUSINESS CONSULTING All rights reserved
- 19. BtoB取引の特徴
BtoB市場は、顧客が企業活動に伴う合目的な活動をしていること、またその活動が組織
的に実施されていることから、消費財市場とは異なった特徴を持ちます。
• ビジネス財市場の特質
– 購買動機が合理的
– 需要の価格弾力性が低い
– 一回の購買金額・購買量大
– 顧客が少数、かつ地理的に集中
– 市場の多様性
• 企業の購買行動
– 組織的な意思決定
– 長期的な関係の下での取引
19 Copyright 2011 O-FLEX BUSINESS CONSULTING All rights reserved
- 20. BtoB取引の特徴
合理的かつ規模が大きい取引が集中して行なわれるため、売り手には能力の高い営業が
必要となり、その活動は顧客の組織的購買行動を理解したものである必要があります。
• ビジネス財市場の特質
– 購買動機が合理的
– 需要の価格弾力性が低い
– 一回の購買金額・購買量大
– 顧客が少数、かつ地理的に集中
→ 営業の必要性/
妥当性
}
– 市場の多様性 → 特性を理解したマーケティング
• 企業の購買行動
– 組織的な意思決定 → 購買プロセスの理解
– 長期的な関係の下での取引 → 顧客関係管理
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- 22. ビジネス財の特性に対応したマーケティング施策
BtoBのマーケティング施策は、相手の企業に置けるその財の位置づけ(製品特性、購買
方法)に応じて考えて行く必要があります。
製品特性
購買方法
マーケティング施策
価格
特性
購買量
頻度
関心事
意思決定
販売促進
販売組織
顧客の設備・販売方 担当重役
品質安定化 製品ごとに多様
針によって規定される 市場の需要動 供給体制の維持
価格
原材料
高価格
景気の影響を受けや 大
頻繁
品質
向の予測 販売方法のルーチ
すい
ン化
標準品・在庫生産 担当重鵜役 永続的な購買供給 直販・卸売・ディー
景気変動の影響を受 契約
関係 ラー併用
加工材料・ 品質
高価格
けやすい
大
頻繁
自社生産との比 消費者への訴求 消費財市場をカ
部品
納期
較 納期厳守
バーできる販売組
織
高度技術・注文生産 担当重役 セールスエンジニ 直販
技術革新の影響を受 参加者多数 ア 顧客に近接した支
ける 性能 長期意思決定
巡回セールス 店設置
設備用機器 高価格
景気変動の影響を受
大(高額)
断続的
製品サービス
リース・システム
ける
資金調達
製品補修体制
標準品・在庫生産 購買担当者・部 頻繁なセールス 直販・ディーラー・
市場が消費市場にま 価格 門マネージャ 販売員の統制 代理店併用
供給品
低価格
たがる
小
頻繁
配達
短期的意思決 在庫維持と神速な 販売組織の分化
定
配送
(消費財/産業材)
サービス材 担当重役 顧客とのリレーショ 直販
業務 顧客によってカスタマ 品質 関連部門マネー ンシップ
顧客に近接した支
低〜高価格
小〜大
断続的〜頻繁
サービス
価格
イズされる
ジャ
店設置
出典:[5]
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22
- 30. BtoBの2つの取引戦略: 標準化と顧客適応
顧客との関係性を決定する戦略として、顧客に適応するかしないか(標準化)の2つの戦略があり、そ
れぞれに応じた投資が必要となります。また、両者の併用は一般的には困難とされています。
マーケティ 競争
製品サー 留意点 対応
事例
顧客
ング 優位性
ビス特性
リスク
戦略
ミックス
構築
継続的かつ 原燃料 価格志向が強い 標準品/ 先行投資(開発、業 市場飽和に 企業数が多く、
大量取引 基本部品 (中小・零細企業、 ハーフメイド 界デファクト化、社 よる価格競 かつ一者ごとの
成熟製品 文房具 自身の製本が標 標準価格 内業務標準化)
争 規模が小さく、取
標準化戦 差別化要 下請サービ 準品)
代理店/カタ 投資リスクの 引交渉力がそれ
略
素小(価格 ス(清掃、 ログ/イン コントロール ほど大きくない市
競争)
旅行代理 ターネット (先行投資の 場を狙う(大手は
店)
ある程度の 回収)
避ける)
広告宣伝
取引量小 大型投資 特注品志向の強 特注品 高度な製品・サービ 顧客リスクの 特殊な要求に付
かつ不定期 (プラント、 い顧客(事業部 顧客毎特別 スを実現するための コントロール き合う代わりに
ライフサイ ビル) 門の数が多く複 価格 投資 (適応に見合 長く付き合ってく
クル初期で 特殊用途 数製品を購入す 直営の営業 特定の有力顧客と う勝ち組顧 れる少数の顧客
顧客 市場開拓リ (原子力) る、大企業、金 スタッフ の長期的取引関係 客か?取引 を探す
適応 スク大 ソリューショ 融機関、先端技 既存顧客か 構築 依存度が高
戦略
差別化要 ン型(顧客 術製品を開発し らの口コミ
業務を顧客ニーズに すぎないか、
素大
業務に合わ ている、セキュリ 合わせる投資(アカ 等)
せた情報シ ティや品質基準 ウントマネージャ、
ステム)
が厳しい、自社 ジャストインタイム、
製品が特殊品)
24時間サポート等)
[9]を加工
中小企業は?
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- 31. 中小企業のBtoBマーケティング:下請から対等な関係へ(製造業の例)
中小企業のマーケティング戦略は、資源の制約、コスト競争からの脱却、大手との共存共
栄(大手と直接付き合い付加価値を提供して技術力を磨きその結果コスト競争に巻き込ま
れない、大手の出来ないことをして喜ばれる、大手が入って来れない市場を選ぶ)等の視
点から、自ずと決まってきます。
• 大きな投資は難しい
– 顧客適応
– 下請技術の延長(それしかない)
– 目の前のリアルな顧客のニーズにとことん応えて行く → オンリーワン
技術 (セリングからマーケティングへのフィードバック・ループ)
• 誰に適応する?(市場セグメント)
– 大手 → 間に中小が入るとレベルが上がらない、価格競争
– 設計・開発、生産技術・保全へのソリューション営業
• そのための強みの発見(ポジショニング)
– 大手の関心事: オーダーメイドの特注をこなせる現場力、小ロット、加
工知識からのVE提案、等
• 中小企業特有の競争戦略の必要性
– 対大手、対中小
31 Copyright 2011 O-FLEX BUSINESS CONSULTING All rights reserved
- 36. 中小企業のBtoBマーケティング成功事例
「元気のある」中小企業を調べてみると、その多くが実際にこのボトムアップ・アプローチを
(無意識に)実施していることが分ります。
市場
ポジショニング
Product
Price
Place
Promotion
セグメント
徹底した安全確保 計画的修理
(両手で押さないと 安全化対策 自社セールスエ
Sプレス ソリューショ
プレス工場
作動しないカスタマ 機能アップ NA
ンジニア(顧客工
サービス
ン・カタログ
イズ・スイッチ)等の (予算をかけない) 場の動作分析)
ソリューション提供
新規設備
工場の生産性を落 産業機器企画・調 協力パートナー
M機工
工場一般
とさないよろず調達 達・搬入・補修サー NA
(挨拶・礼儀の徹
サービス
ビス
底躾)
エアコン清掃サービ 自社営業・サー
エアコン 工場の生産性を落
ス(完全なカバー、 ビス、M機工営 取材記事
丸洗い 工場一般
とさない清掃サービ NA
特殊洗剤)、関連特 業、ボランタリー 100件以上
サービス
ス
許
チェーン(138社)
口コミ
農機具カスタマイズ エンジニア自身
下請の底力
畑作農家
農家の生産性向上
NA
A-1グランプ
(VE提案)
の迅速対応
リ
ビジニナル ドライクリーニング
ビル(生産性)維持 自社営業・サー 地域の評判、
サービス 地域のビル
清掃(水を使わない NA
のトータルサービス
ビス
信頼
センター
ので転倒しない)
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- 37. まとめ (So What?)
• マーケティングは常識的なことの積み重ねである
• BtoBでは、ビジネス財の特性に応じた関係性マ
ネジメントと、顧客ビジネスを理解したソリュー
ション提案力が重要となる
• 資源に限りのある中小企業は、ボトムアップで、
顧客対応マーケティングを実施する
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- 38. 参考文献
1. 石井淳蔵他、「ゼミナール マーケティング入門」、日本経済新聞社
2. 小川孔輔、「マーケティング入門」、日本経済新聞社
3. C. クリステンセン、「イノベーションのジレンマ」、翔泳社
4. 望月護、「新版ドラッカーの実践経営哲学」、PHPビジネス新書
5. 余田拓郎、「BtoBマーケティング」、東洋経済新報社
6. M.D.ハット、「産業財マーケティング・マネジメント」、白桃書房
7. 高嶋克義、「生産財の取引戦略」、千倉書房
8. 石井淳蔵他、「営業の本質」、有斐閣
9. 今村英明、「法人営業『力』を鍛える」、東洋経済新報社
10. 高橋勝浩、「ソリューション営業の基本戦略」、ダイヤモンド社
11. 塩谷未知他、「地域を育てる普通の会社」、新評論
12. 日比恒明、「下請やめてニッチをめざせ!!」、ウェッジ
13. 片山和也、「『技術のある会社』がなぜかもうからない本当の理由」、中経
出版
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