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(20) 7 20e gov1. 高度情報化と社会生活 講師 藤野幸嗣 メールアドレス yuki@fujino.com Facebookhttp://facebook.com/fujino 講義資料のウェブのアドレス http://www.fujino.com 講義用Facebookページ http://facebook.com/fujinocom 2011/7/20 高度情報化と社会生活 1 7. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 7 著作権に注意をはらおう ネットへの投稿は自分の著作物です。 ->他人の権利侵害に気をつけよう。 個人の投稿でも権利のある肖像や音楽の使用には原則として事前の許諾が必要です。 商用のサイトでは使用許諾は常識、 匿名のサイトでも注意は必要。 音楽著作権については個人サイトの利用は厳しい->使用料の請求が来ることを前提に。 8. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 8 著作権法の簡単な解説 著作物~人間の思想や感情を創作的に表現したもの。 著作物でないもの~事実やアイデア、法令など。 著作物を利用するのは著作者の独占的権利 他人が著作物を利用するには使用許諾が必要。 複製権、公衆送信権なども定義している。 日本では「インターネット送信権」も規定 9. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 9 関連する法律など 著作権法(作者の死後50年は権利がある) 民法上の権利(無体財産権) 他に肖像権やパブリシティ権など法律ではないが、判例として確立した権利もある。 刑法や迷惑防止条例など(人格権のひとつとしてのプライバシーの侵害など) 意匠法 ->日本ではあまり問題にならないかも。 10. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 10 マスメディアでは 「著作権や肖像権」と「報道の自由」とを天秤にかけている事情がある。 もちろんあらゆるリスク管理をした上で。 個人とマスメディアの違い 沢山の人に伝えるために巨大な装置が必要であった、->インターネットによって変革 ->マスメディアと個人の違いはリスク管理をするか、しないかの違いでしかない? 11. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 11 著作物利用の例外規定 適切な引用 私的複製 ※私的複製の適用範囲に問題もある。 図書館や学校教育機関での複製 プログラムの所有者による複製など。 例示的に列挙されるもののみに限定されている。 12. 適切な「引用」とは 引用の条件 (1)引用する必然性があること 。 (2)引用部が周りの文章に対して従の関係にあること。 (3)引用されていることが明確であること。 (4)出所(でどころ)を明示してあること。 (5)引用部の長さが必要最低限であること。 (6)引用部は元の著作物から改変しないこと。 画像や音声の「引用」は定義されていない。 2011/7/20 高度情報化と社会生活 12 13. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 13 「引用」の適用除外 文章の場合には判例などで事例が示されているが、画像や動画の場合には適切な判例がまだ存在しない点に注意が必要。 偶然映り込んだものはやむを得ないかもしれないが・・・グレーゾーンである。 撮影場所の変更や編集テクニックによって権利侵害が容易に克服できる場合にはどうなるか? 14. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 14 著作権法の私的複製 私的利用の除外 ~法律の範疇の外 個人で楽しむ 家族で楽しむ 仲間うちで楽しむ(このへんからグレー) 会社内(私的利用の範囲外だが・・・) 私的利用以外は全て「権利侵害」とみなされる。 15. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 15 インターネットでの「公開」 インターネットの場合には 「インターネット送信権」という新しい定義がある。 いったん公開したものは取消しができない特徴。 インターネットで公開ということは ->あらゆるリスクを考えないといけない状況。 たとえ子供の発表会のビデオでも音楽などの著作権を侵害している可能性は高い。 17. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 17 たまたま著作物を撮影した 著作権法の例外規定 ->屋外で公衆の目に触れるようになっている著作物は著作権の申し立てができない。 ただし著作物を意図的に写真に撮って公開した場合にはどうなのか・・・ 部屋の中での取材、オブジェの紹介などは ->法令違反の可能性もある。 18. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 18 著作権や名誉棄損は親告罪 音楽や映画の著作権と一部のパブリシティ権を除いては個人が著作権法で告訴される例は大変に少ない。 たまたま訴えられなかったというケースやマナーの問題は依然として残るけれども。 相手(権利者)が喜んだら、問題ないのか? ->米国法では「フェアユース」という考え方。 19. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 19 リスク管理の手法 権利者から使用許諾をとっておく。 公開前に書面によって使用許諾書をとっておく。 使用許諾をとれない場合 公開をやめる まず公開をしてクレームを待つという方法もある。ただしリスクはある。※ウェブによる注意書きなどで対処。 内容についてもできる限りクレームのこないようにする。 非難や誹謗中傷、一方の見解を強調する表現など。 考え方の違う人からのクレームは、著作権違反などの法令違反によってつっこんでくることが大半である。 意見は人それぞれ、権利を調整するために法律がある。 22. クラウド配信が主流になるが Amazon MP3 iCloud XboxMusic など続々と音楽配信サービスがUSAで始まるが、日本では難しい。 法律的にグレー 訴訟リスクが高く萎縮効果でサービスが開始できない問題。 2011/7/20 高度情報化と社会生活 22 32. 震災時活躍したアカウント tsuda 津田 大介 ネットを中心に活動するジャーナリスト。 @hayano早野龍五 大学教授、原子力が専門。 孫正義、堀江貴文など。 マスメディアには出ないが、マスメディアの解説を凌駕する情報をネットで発信しつづけた。 2011/7/20 高度情報化と社会生活 32 61. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 61 電子政府失敗の背景 民間に比べて情報装備が遅れる行政機関 背景に「年次予算制度」 ->環境の急速な変化に弱い 組合による従来の仕事の確保など 安定志向集団の特性も。 ->年金システムの欠陥 業績評価システムがないのが一番の原因 62. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 62 電子政府とは? 一般名詞 電子統治 (Electronic Governance ) ネットを使った行政業務の支援 「電子政府」(Electronic Government)とは日本国政府が日程を決めて進めている「行政情報化計画」の総称 和製英語 「電子政府」という建物や組織があるわけではない。 63. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 63 米国の電子政府の流れ 1992年 民主党政権の政策 「Re-inventing Government(変革する政府)」 ゴア副大統領のタスクフォース National Performance Review 1993年政府業績結果法(GPRA:Government Performance and Results Act)により、 「規則遵守の行政」から「業績・結果重視の行政管理」へと転換を行った。 64. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 64 わが国の電子政府のあゆみ 背景にシンガポール IT2000 1991年 米国政府 National Performance Review 1993年 (民間のインターネットとリエンジニアリングブーム) ->1997年 グローバルフレームワーク~GIIにむけて ->1995年 「行政情報化推進基本計画」総務省 パソコンの一人一台体制 省庁間ネットワークなど国の機関の情報化計画 ->1998年改定で「電子政府」を2003年までに実現 国家政策としての行政情報化(トップダウン) 65. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 65 電子政府にむけて 小渕内閣「ミレニアム・プロジェクト」1999年10月 新しい千年紀に人類が直面する課題に応えるための技術革新について、省庁横断・産学官共同で取り組むプロジェクト。 3大テーマのひとつとして 「情報化」 を挙げ、「教育の情報化」と並んで、特に「電子政府の実現」をテーマとした。 66. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 66 電子政府の実現へ向けて 2003年度までに、民間から政府、政府から民間への行政手続きを、インターネットを利用しペーパーレスで行なえる電子政府の基盤を構築。 電子政府の実現 (2003年度) 地方公共団体の 電子化を先導する 実証実験 先導的オンライン申請 システムの開発・導入 政府調達手続き等の 電子化 アクション・プランの策定 ○電子署名・認証法制の整備 ○商業法人登記に基礎をおく電子認証 システム 政府認証基盤(GPKI)の整備 共通基盤技術の開発 67. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 67 電子政府によって実現される社会 地域社会 ワンストップ ノンストップ マルチアクセス 一つの窓口で どこでも! いつでも! 行政サービスの 質の向上と スピードアップ 電子政府 総合的なサービスの提供 国民への積極的な情報提供と 双方向情報交換 68. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 68 電子政府の機能 インターネットを通じてさまざまな行政サービスが実現 電子政府 セキュリティ 電子認証/ 情報公開 中央省庁 地方公共団体 政府関係機関 電子調達 電子申請・届出 ノンストップ マルチアクセス ワンストップ 個人 文書管理 文書交換 行政評価 情報共有 企業 電子決済 69. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 69 電子認証基盤の構築 政府系職員 認証機関 民間 政府系 PKI GPKI セキュリティ ワークフロー 本人確認 サイト保証 公開鍵と秘密鍵によって暗号化と復号化を行う ディレクトリから業務ワークフロー情報を任意に抽出 文書保証 利用者に対してサイトが本当に政府系のものであることを証明 証明書を保持する者が本人であることを証明 電子公文書が効力のある本物であることを証明 電子政府 業務システム 電子文書 一般利用者 政府系Webサイト レガシーシステム 電子申請・届出・情報公開・調達 GPKI:Government PKI(政府認証基盤) 70. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 70 政策形成までのステップアップ 政策形成支援 統合内部情報システム 既存システムWeb化 基幹業務システム構築 電子化総合文書管理 文書の目録管理・管理台帳の電子化 電子文書と紙文書の併用・共存 情 報 共 有 共通文書の共有化の促進と活用 ワークフローの導入 電 子 決 済 ワープロ文書等の ライブラリ化 行政情報の発生時点からの電子化の推進 文書の電子化のための標準化とルール化 電子掲示板予約管理等 文 書 デ ー タ ベ ー ス の 運 用 情 報 伝 達 電 子 メ ー ル 利 用 促 進 インフラ整備(1人1台パソコン整備、庁内ネットワーク整備) 情報化の土壌作り 情 報 リ テ ラ シ ー 教 育 71. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 71 電子政府の目的(単純化) 地方公共団体を含む行政機関間のネットワーク化 政府機関業務のペーパーレス 市民と行政の間のネットワーク 政府調達業務のネットワーク ->トップダウンの行政情報化 74. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 74 住民票基本台帳ネットワーク 完全に閉じたネットワーク 住民票移動をワンストップで済ます。 ICカードの導入も。 2002年8月から稼働している。 ->パスポート申請で住民票が不要になった。->でもほとんど使われていない。 ICカードは2003年度から開始。 セキュリティは本当に確保されるのか? ->公務員による運用の懸念を中心に物議を かもしている。 75. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 75 住基ネットの問題点 集積されることで破壊的な情報となる可能性 情報漏洩に対する対策が当初はほとんどなかった。 国民を監視する社会への懸念 ->現行の公務員制度に問題が多数あって、その矛盾のひとつの具現にすぎない。 77. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 77 生活者からみた電子政府 国の業務の98%が電子化したというけれど、大半は生活者と関わりがない。 納税、保険、求職などが生活に関わりがないわけでもない。 でも死ぬほど使いにくいので、 ほとんど使わない。 78. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 78 電子政府は複雑怪奇 縦割り行政のまま各省庁や自治体が勝手にシステムをつくる。 ある程度調整をしても、実際はつかいものにならない代物。 とくに厳しい認証システムとJavaの採用が諸悪の根源 79. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 79 電子自治体の問題点 米国のように行政の政策決定がボトムアップではないので、上意下達型ネットワークとの誤解。 新市場としてメーカーやベンダーが参入、従来型システムの導入でお茶を濁す? 行政内部だけのネットワーク化との誤解も->このままでは誰にも歓迎されないかも? 80. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 80 電子政府に必要なもの 認証のためのエトセトラ 1.システム利用のためのアカウント、パスワード 2.公的個人認証(住基ICカード) 法務局の公的法人認証データ 3.民間のICカード ->電子申請(大分県)へ 81. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 81 公的個人認証のために 1.住基ICカードの交付申請 2.ICカードに認証データの埋め込み 3.パソコン、インターネット、ICカードリーダー 4.申請先のソフトの確認やアカウントの発行手続・・・ ※実際は散逸する説明書を読むだけで日が暮れる・・・ 82. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 82 健康保険の還付請求をしたが 15分でかける書類を1時間30分かかった。 ->説明がバラバラ、散逸している、 ->普段パソコンでやらない特殊な作業なので、利用者は面食らう。 ->インターフェースがわかりにくい。 ->洗練されていない申請システム 83. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 83 電子政府に自治体が参加 混乱に拍車をかける。 自治体毎に異なるシステムの導入がはじまる。 電子申請は県単位でシステムが全く異なる。 電子自治体は「混乱の極み」といってもよい。 高知県は18年度から電子申請をとうとう停止してしまった。 84. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 84 電子政府の現状は過渡期 電子政府や電子自治体にまともに取り合うのはまだ先のタイミング。 「アホなベンダー」に「無知な行政の担当者」が混乱に拍車をかける。 どうしても仕事でつきあわないといけないなら、各申請先別に端末を準備しておくべき。普遍的な利用手法が確立していないから。 85. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 85 行政には評価システムが欠如 Plan Do See サイクル 民間企業なら売れ行き不振->赤字->淘汰される。 行政には評価システムとして予算制度があるが、硬直的になりやすい。 内部にも馴れ合いや腐敗が起こりやすい構造問題がある。 86. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 86 住民票システムの問題点 20年以上前に電算化を行ったが現行の社会システムにあわなくなっている。 たとえば外国人登録問題、 日本では90日以上の滞在は「外国人登録」が義務づけられており、 その数はどんどん増え続けている。 88. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 88 住民台帳が基礎となるが 国民健康保険への外国人加入 国民年金への外国人加入 混合世帯の住民票表記 今後は、地方選挙権を付与する方向ヘ 業務運用上、外国人を住民基本台帳で管理できないことによる弊害が多数起きている。 よって役所では管理台帳を別に作成して管理している。->法律上のルールのない手法がじつは主流。 90. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 90 公務員の守秘義務と情報公開 公務員は、服務規律として、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない(公務員法第100条)。 情報公開法第5条で不開示とされた項目 個人情報、法人情報、 防衛・外交情報、捜査情報、意思形成過程情報、行政執行情報 91. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 91 実際はさまざまな矛盾が 住民サービスを受けるとき、なぜ他部署の証明書が必要なのか。役所はすべての情報を知る立場にあるではないか。 どのような福祉サービスが受けられるのか、教えてもらえない。高齢化社会における行政がこれでいいのか。(守秘義務・申請主義) 地方公務員法ですべての職員が守秘義務を課せられているはず。縦割りの守秘義務に意味はあるのか。 裏側での情報共有は証拠が残らないため、違反があっても監視できない。表立った情報共有を行って、市民が監視できる仕組みのほうが望ましいではないか。 92. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 92 住民にとって望ましいサービス ワンストップサービス 窓口の一本化 書類のたらい回し 引っ越しをすると大変・・・ 恣意的な運用解釈による混乱を回避させる。 抜け道のような既得の情報共有をやめさせる。 99. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 99 電子政府のまとめ 総合行政ネットワーク 住民票基本台帳ネットワーク 電子調達 電子施設予約 電子投票など ->行政の業務をネットワークを使って効率的にすすめるためのシンボル的キーワード、実際は様々な業務がネットワーク対応されようとしている。 100. 2011/7/20 高度情報化と社会生活 100 電子政府の課題 従来のやり方を電子化するのでは うまくいかない。 電子化によって行政が効率的な組織に脱皮できるかが課題。 ソフトランディング->電子政府の実現 ハードランディング->革命か?粛清か? 国民はこんどの選挙でハードランディングをチョイス?公務員の首切り?