地域情報拠点としての公共図書館へ
市民参加型オープンデータイベント
が果たす意義
青木和人
オープンデータ京都実践会
第62回日本図書館情報学会研究大会 2014.11.30
総務省 地域情報化の推進施策など
多様な担い手による地域情報化の必要性
問題の所在① 地域活性化のための地域情報化
出典:総務省|地域情報化の推進: http://t.co/l0qblpg
地域産業・
第3セクタ
ー
市民NPO
行政(国・
地方自治体
)
大学・研究
機関
地域情報をデジタル発信し、二次利用可能なオープンデータと
して流通させることによる地域活性化が期待される
オープンデータとは,インターネットを通じて誰もが
デジタル情報に無料でアクセスしてダウンロードして
利用でき,自由に再利用・再配布することが
できるデータ(OKFJ)
2013年6月14日,政府の
「世界最先端IT国家創造宣言」
オープンデータ活用推進が筆頭に
あげられている
2013年6月18日,G8首脳宣言,
「オープンデータ憲章」合意
問題の所在①地域情報化のためのオープンデータ
二次利用は
原則禁止・
長々とした
利用規約、
を読まない
といけない
OpenDataDefinitionとOpenDataPlatform
だれもが二次利用の可否と範囲が
すぐにわかるOpenDataDefinitionに基づいた
多様な担い手によるデファクトスタンダードな
オープンデータプラットフォームがすでにある
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クリエイティブ・コモンズ(cc)ライセンス
GFDLまたは
CC BYまたはCC BY-SA Open Database License (ODbL)
GNU Free Documentation License
(GFDL)かつCC BY-SA
地域の情報拠点としての新たな役割の必要性
(塩見 2000,糸賀 2004)
(文部科学省 図書館をハブとしているネットワークの在り方に
関する研究会 2005)
地域社会における情報蓄積・情報発信の拠点
地域経済活性化等の地域課題解決支援
目指すべき公共図書館が優先して取り組むこ
とが望ましい地域情報提供・地域文化発信の
課題の1つとして、
地域文化のデジタルアーカイブ等による発信,
ウェブアーカイブの公開が挙げられている。
問題の所在② 地域情報拠点として公共図書館
出典:文部科学省 図書館をハブと
しているネットワークの在り方に
関する研究会「地域の情報ハブと
しての図書
館」.http://www.mext.go.jp/a_men
u/shougai/tosho/houkoku/05091401/al
l.pdf /
6
・自治体図書館とまちづくりの可能性(齊藤 2010)
・図書館に求められる情報発信とウェブ活用の必要性(岡本 2008)
・国内での公共図書館に
おける具体的活動
地域のデジタル写真を
アーカイブして公開
瀬戸内市立図書館
「せとうちデジタルフォトマップ」
二次利用については、
独自の利用規約
・独自の禁止事項による制限
OpenDataDefinitionではない
既往研究・先行事例
出典:瀬戸内市立図書館「せとうちデジタルフォトマッ
プ」http://www.setouchi-photomap.jp/
長々とした利用
規約、禁止事
項を読まないと
いけない
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箕面・豊中市立図書館との協力
豊中・箕面地域情報アーカイブ化
事業実行委員会
「北摂アーカイブス」
独自の利用規約
二次利用
不可、または
表示・非営利・改変禁止
OpenDataDefinitionではない
既往研究・先行事例
出典:豊中・箕面地域情報アーカイブ化事業実行委員会「北摂アーカ
イブス」http://e-library2.gprime.jp/lib_city_toyonaka/cms/
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日本の公共図書館において
地域文化のデジタル・ウェブアーカイブを
OpenDataDefinitionに基づいたオープンデータとして
発信・公開している事例は未だない。
既往研究・先行事例
クリエイティブ・コモンズ(cc)ライセンス
GNU Free Documentation License
(GFDL)かつCC BY-SA
GFDLまたは
CC BYまたはCC BY-SA Open Database License (ODbL)
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本研究では,
①地域情報拠点としての公共図書館として,
②多様な担い手による地域文化のデジタル・ウェブアー
カイブのOpenDataDefinitionに基づいたオープンデータ
での情報発信を実現するために,
地域情報をイベント形式により
デジタル化・オープンデータ公開する
市民参加型オープンデータイベントの取り組みと
参加者属性別分析から,
その意義について考察する。
研究目的
市民参加型オープンデータイベント
出典:高橋 陽一,Wikipediaタウンのご紹介: http://t.co/0bTJGFJ
街の情報をまるごとウィキペディア化する
地域の文化や
観光情報を
ウィキペディアに
掲載し,
そのアクセスを
容易にした町
町中に無料のWi-Fi
ウィキペディア検索
へのQRコード
OpenStreetMap
出典:OpenStreetMap Japan http://openstreetmap.jp/
地理情報のウィキペディア
京都まちあるきオープンデータソン
郷土史家さんから
現地の案内と説明
GPSによる
地図作成
スマホで
古地図を
確認しながら
現地調査
京都まちあるきオープンデータソン
図書館司書による
レファレンス講習
グループで
オープンデータ作成
OpenStreetMap
の作成講習
Wikipedia
の作成講習
京都まちあるきオープンデータソン
地図(オープンストリートマップ)を作成
成果発表 Wikipediaにページを作成
インターナショナルオープンデータデイ 2014 in 京都
第1回 2月16日(日) プレイベント 島原周辺
第2回 2月22日(土) 本イベント 堀川周辺
京都まちあるきオープンデータソン2014
第3回 Vol.1 7月12日(土)
第4回 Vol.2 8月30日(土)
第5回 Vol.3 10月5日(日)
京都市 岡崎地域
会場 京都府立図書館
2ヶ月に1回開催
地元協議会と
連携
郷土史家さん
のご協力
2月に1回の頻度で
定期的に開催
第1回 2014年2月16日
第2回 2014年2月22日
第3回 2014年7月12日
第4回 2014年8月30日
第5回 2014年10月5日
第6回 2014年12月7日予定
2014年 全6回開催予定
定期的に公共図書館にて開催し,
地域情報発信拠点としての役割を実践している
第4回より京都府立図書館にて開催
参加者の所属分野別円グラフ
出典:著者作成
デジタルとアナログ活動
を意識してつないだ
2つの
グループ
第2回イベント
参加者47名
IT,wiki,OSM
デジタルな
個人活動を
団体活動に
した
B1 行政、図書館、博物館
B2 大学、学生
B3 地域住民、地域活動
参加者の所属分野推移グラフ
出典:著者作成
A デジタル
B アナログ
全5回イベント
参加者154名
B3-地域住民・地域活
動者の参加増
・定期的な開催
・地域活動への声掛け
市民参加型オープンデータイベントの意義
OpenStreetMap
行政
地域の活動団体
デジタル活動 多様な担い手によるデジタル化、オープンデータ化
知られているオープンデータプラットフォームへデータ蓄積
地域をよく知る住民
アナログ活動 連綿と整理・蓄積されてきた地域の歴史・文化情報
京都府立図書館から、京都の歴史・文化
情報をデジタルなオープンデータとして
世界へ発信!
つなぐ
図書館・資料館・美術館
知られている情報基盤 オープンデータ
Wikipedia
インターネット
郷土史家
多様な担い手
つなぐ
つなぐ
情報発信
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①地域文化のデジタル・ウェブアーカイブを
OpenDataDefinitionに基づいたオープンデータとして
発信することを日本の公共図書館において初めて実践
②公共図書館を会場として、貸出禁止の地域資料の利用、図書
館員によるレファレンス講習により、質の高いオープンデータ作
成を実現
③デジタルな活動とアナログな地域活動をしてきた多様な担い
手を連携させた、市民主体でオープンデータ作成を実現
これまで整理・蓄積されてきたアナログ情報
(地域活動団体が作成した紙の歴史ガイドブック等)
→ デジタル化、オープンデータ化
地域情報のインターネットへの発信・流通・2次利用促進
本研究の意義
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・他地域の公共図書館への展開
ウィキペディア,OSMともに都市部の情報が中心
→観光客の少ない地域こそ必要
・奈良オープンデータソン 2014/11/23実施
・2015年1月に岡山県笠岡市で実施を計画中
・国の地域活性化のための地域情報化施策への位置付け等
・継続的な取り組みの中で、さらに多様な担い手
を集めた仕組みづくり
将来の地域を担うこどもたちにデータ作成してもらう等
・行政のまちづくりと連携したオープンデータ活用
今後の課題

青木和人「地域情報拠点としての公共図書館へ市民参加型オープンデータイベントが果たす意義」,第62回日本図書館情報学会研究大会