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インフルエンザの診断2018

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インフルエンザ迅速キットについての基本的事項

Published in: Health & Medicine

インフルエンザの診断2018

  1. 1. 臨床疫学 -ありふれた病気の日常臨床- 名郷直樹
  2. 2. 自己紹介  1986年 自治医大卒  同年 名古屋第二赤十字病院研修医  1988年 作手村国保診療所  1992年 自治医大地域医療学  1995年 作手村国保診療所  2003年 社)地域医療振興協会 東京北社会保険病院臨床研修センター  2011年 武蔵国分寺公園クリニック  専門領域 医者
  3. 3. インフルエンザの診断 迅速検査は役立つか
  4. 4. インフルエンザの検査が陰性  どういう結果だと思いますか?  隣同士で話し合ってみてください
  5. 5. 臨床疫学による検査評価  EBMの5つのステップ  臨床疫学を個別の患者に役立てる手法、行動指針  そのために必要な臨床疫学的知見  事前確率・事後確率  感度・特異度  尤度比
  6. 6. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  7. 7. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  8. 8. Step1.問題の定式化  Patient:どんな患者に  Exposure:どのような治療、検査をしたら  Comparison:どんな治療、検査と比べ  Outcome:どうなるか
  9. 9. 定式化の実際  この患者の診断についての問題を  PECOの形に定式化しよう  個人で  隣同士で
  10. 10. Step1.問題の定式化 診断編  Patient:咳、熱の患者で  Exposure:流行期と  Comparison:非流行期で  Outcome:インフルエンザの頻度はどれほどか
  11. 11. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  12. 12. UpToDateを調べる  流行期に咳と熱がある患者  79%がインフルエンザ  In a retrospective pooled analysis of signs and symptoms in 3744 adolescents and adults with an influenza-like illness who participated in phase II and III trials of neuraminidase inhibitors during outbreaks [1], the best multivariate predictor was the combination of fever and cough within 48 hours of the development of symptoms, which had a positive predictive value of 79 percent for documented influenza.  Arch Intern Med. 2000;160(21):3243.
  13. 13. Step1.問題の定式化 診断編  Patient:インフルエンザを疑う患者で  Exposure:迅速キット陽性の場合  Comparison:陰性のときに比べ  Outcome:インフルエンザと確定してよいか
  14. 14. Step1.問題の定式化 診断編  Patient:インフルエンザを疑う患者で  Exposure:迅速キット陰性の場合  Comparison:陽性のときに比べ  Outcome:インフルエンザを除外してよいか
  15. 15. UpToDateを調べる  感度62% 特異度98%  In a meta-analysis of 159 studies that evaluated rapid influenza antigen tests, the pooled sensitivity was 62 percent (95% CI 58-67 percent) and the pooled specificity was 98 percent (95% CI 98-99 percent) [17].  Ann Intern Med. 2012;156(7):500.  感度54%  In a subsequent meta-analysis, the pooled sensitivity was 54 percent for influenza A viruses and 53 percent for influenza B viruses [12].  Ann Intern Med. 2017;167(6):394.
  16. 16. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  17. 17. 3つの批判的吟味  研究方法は妥当か  UpToDateに引用された最新のメタ分析  結果は何か  ここを今から説明します  患者に役立つか  最後にみんなで考えてみましょう
  18. 18. 感度と特異度 疾患(+) 疾患(-) 検査(+) a b 検査(-) c d 感度=a/(a+c) 特異度=d/(b+d) 真陰性率 真陽性率
  19. 19. SnNoutとSpPin  SnNout  Sensitivityが高い検査がNegativeのときその疾患を除外 (rule out)  感度の高い検査は除外診断に役立つ  SpPin  Specificityが高い検査がPositiveのときその疾患の診断を確 定(rule in)  特異度の高い検査は確定診断につながる
  20. 20. 迅速診断の感度・特異度  感度は50-60%と低い  陰性でもインフルエンザでないと診断できない  特異度は98%と高い  陽性の時はインフルエンザと診断できる
  21. 21. 尤度比(陽性/陰性尤度比)  検査所見によって疾患可能性がどれほど変化するか  陽性の時にどれほど高まるか  陽性尤度比 = 感度 / (1-特異度)  陰性の時にどれほど低まるか  陰性尤度比 = (1-感度 )/ 特異度
  22. 22. ベイズの定理  事前オッズ x 尤度比 = 事後オッズ  オッズは確率のようなもの  事後オッズは検査後の疾患の可能性  検査後の疾患可能性は  事前オッズと尤度比に比例する
  23. 23. ベイズの定理の直感的理解  事前オッズ x 尤度比 = 事後オッズ  血液型を予想するときに  どうすれば当たりますか?  隣同士話し合ってみてください
  24. 24. 血液型を予想する  予知能力を高める  性格を聞く?  私には無理ですね  高い事前確率を利用する  A型ですね → 40%当たる  AB型ですね → 10%当たる
  25. 25. インフルエンザを予想する  流行期に発熱と咳 → 80%当たる  80%インフルエンザといわれたらどう思いますか?  隣同士話し合ってみてください  検査を受けたいですか?  隣同士話し合ってみてください
  26. 26. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  27. 27. 流行期のインフルエンザ診断  咳と熱があれば検査はしない  80%インフルエンザ、残りの20%はかぜ  20%のかぜもインフルエンザとして対処  でも検査することもあります  どういうときですか?  隣同士話し合ってみてください  残り2割は本当にかぜ?
  28. 28. ベイズの定理  事前オッズ x 尤度比 = 事後オッズ  検査が陰性の時の診断確率が計算できる  尤度比は感度・特異度から求められる  UpToDateから感度54%、特異度98%  陰性尤度比=(1-感度)/特異度)=46/98=0.47  事前オッズは事前確率から求められる  流行期は咳、熱で79%  オッズは?
  29. 29. オッズと確率  確率  ある事象 / 全事象  オッズ  ある事象 / そうでない事象  例:3人のうち、1人がインフルエンザ  確率は 1/3  2人はインフルエンザでなく、 1人がインフルエンザ  オッズは 1/2
  30. 30. 確率からオッズを求める練習  確率が 1/2  オッズは 1/1 確率が 1/10  オッズは 1/9 確率が 1/100  オッズは 1/99
  31. 31. オッズから確率を求める練習  オッズが3  確率は3/4  オッズ 1/2  確率は 1/3  オッズが 1/100  確率は 1/101
  32. 32. 検査陰性時の事後確率  UpToDateのデータ  事前確率79% おおよそ 80% → 80/100  事前オッズ 80/20=4  感度 54  特異度 98  陰性尤度比 0.47 → おおよそ 0.5  事後確率を計算してみましょう  事後オッズ=事前オッズ×陰性尤度比=4×0.5=2  事後確率=2/(1+2)=67%  検査陰性でも、7割はインフルエンザ!
  33. 33. 検査陽性時の事後確率  UpToDateのデータ  事前確率79% おおよそ 80% → 80/100  事前オッズ 80/20=4  感度 54  特異度 98  陽性尤度比 54/2 → 27  事後オッズ=事前オッズ×陽性尤度比=4×27=108  事後確率=108/(1+108)=99%  検査陽性ならインフルエンザ!
  34. 34. ノモグラムを使う  左の列が事前確率  真ん中が尤度比  2点を結んで  右の列との交点が事後確率  事前確率 80%  尤度比 0.5  事後確率 70%
  35. 35. EBMの5つのステップ 1. 問題の定式化 2. 問題についての情報収集 3. 得られた情報の批判的吟味 4. 情報の患者への適用 5. 1-4のステップの評価
  36. 36. もしあなただったら  もしあなたがインフルエンザ流行期に咳や熱が出たら  インフルエンザの迅速検査を受けるかどうか  しばし考えてみてください  隣同士話し合ってみてください
  37. 37. 検査する前の状況再考  インフルエンザの可能性 80%  残りの20%がかぜなら問題なし  検査せずにインフルエンザとして対応  そこに見逃すと危険な病気の可能性があるとき  検査して陽性ならインフルエンザならそれとして対応  陰性ならインフルエンザ以外の可能性が20から30%に増加  危険な病気の可能性が増したと考え、さらに次の検査
  38. 38. 具体的には  咳が軽く、腎盂腎炎の既往がある女性  腎盂腎炎を見逃してはいけない  陰性なら尿検査  咳がひどく、呼吸数が多く、肺雑音がある  肺炎を見逃してはいけない  陰性なら胸部X線写真
  39. 39. 迅速検査の適切な利用  陰性時に次の検査が必要となると考えるときのみ  流行時でも迅速検査を行う  そうでなければ迅速検査は行わない  陰性でもインフルエンザと考えるなら  陰性でも危険な疾患の除外が必要でないなら  検査しないほうがいい  それでも検査する  やぶの証明
  40. 40. まとめ  流行期のインフルエンザの事前確率は80%  迅速検査の陽性尤度比は27  陰性尤度比は0.5  検査陽性ならインフルエンザ  検査陰性でも70%はインフルエンザ  陰性の時に引き続き検査が必要なときのみ検査  陰性で次の検査が不要と考えるなら検査しない
  41. 41. 臨床疫学と実臨床での診断  診断に関する臨床疫学をマスターせずに実臨床を行 うことはできない  しかし  私の年代では臨床疫学をきちんと学んでいる医師は ほとんどいない  ここ10年は国家試験に必ず出題される  しかし試験問題は解けるが、実際の臨床に生かして いる医師はまだまだ少ない
  42. 42. EBMについて勉強したい  EBMを武器に都市部の地域医療に賭ける
  43. 43. 日々のリアルなEBMの実践  EBMの実践は  臨床家の必須技能
  44. 44. 薬剤師向けの教科書  構造主義医療  ベイズ統計学的検討
  45. 45. 一般向けに

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