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感染症の基本10ヶ条
- 4. 感染症の 10 ヶ条
1. 感染症の捉え方
2. 臓器別に考える
3. 経時的に考える
4. 原因微生物のクセを知
る
5. グラム染色と血液培養
6. 抗菌薬を使いこなす
7. empiric therapy と
de-escalation
8. 治療効果の判定
9. サンフォードの使い
方
10. プライマリ・ケアで
の感染症
- 9. ②Local Factor という考え方
• 院内感染の原因菌は各施設によって異な
る
• 各施設の抗生剤使用状況によって耐性菌
の種類・分布が決まる( Local Factor )
• 各施設で院内感染の First lineの抗生
剤は一定期間毎に見直され、統一される
べきである。
• Local Factor のコントロールこそ
ICD の腕の見せ所
- 13. ② 宿主の能力を最大限利用する
例: 60 代男性
メリット
• 病前 ADL 正常
• 比較的若年
• 栄養状態良好
• 非喫煙者
• う歯少ない
• 市中感染
・デメリット
• 肥満・運動不足
• 基礎疾患に DM
• 発汗による脱水
• アルコール多め
• 前医での抗菌薬使用
• 社会的ストレス
- 22. ③ 治療経過
• 治癒してゆく時の Natural course を理解
する
– 肺炎球菌は菌が死滅しても組織炎症は続く
– 腎盂腎炎は経過が良好でも 72 時間まで熱発
する
• 組織移行が悪いほど長期投与が必要
• 人工関節、骨髄炎など
• 重症例は改善しても悪化して見える事が
ある
• 迷ったら抗菌薬投与を延長する
- 23. 4 . 原因微生物のクセを知る。
• 好みの場所がある。(資料 4 )
– 常在菌には好きな臓器があり、起因菌になる
• 病原微生物には個性がある
– 大腸菌:移動能力が高い→ UTI
– 嫌気性菌:好気性菌に包まれた内部→う歯
• 宿主の状態により対象の病原微生物を拡げる
– ステロイド、重症 DM,HIV, 癌化学療法
– 自己免疫疾患
- 26. グラム染色
球菌 桿菌
グラム陽性菌 GPC GPR
グラム陰性菌 GNC GNR
ポイント:
臨床上問題となるのは
GPC と GNR がほとんど。
目的
•起因菌の予想
•培養結果との答え合わせ
•経過中の菌量の予想(治療パラメータ)
- 27. 血液培養
• 悪寒戦慄( Shaking Chill )
• 免疫不全者・好中球減少者の体調不良
• 体内異物がある時の発熱
• 抗菌薬変更の直前
( 前の薬の血中濃度が低下した時 )
• 原因不明の下記の全て
(意識障害・呼吸循環不全・アシドーシス・血糖異常・
低体温・腎不全、素因のない脳梗塞 )
- 29. Fever work u p
• すべての検体を取り終えるまでは抗生剤
は開始しないほうが後々のためである。
• なので、可能な限り迅速に以下の事を行
う
1. 入院時採血同時に血液培養 2 セット
2. 尿検査と尿培養
3. 痰など他に必要な全ての培養検体とグラム染
色
4. 胸部2 R (+腹部) XP
- 33. ① 心配だからといって
抗生剤を出さない。
• 「発熱だから CRP が高いから抗生剤」と決別す
る
• 中途半端な判断、量、期間が「耐性菌の温床」
• 「前医で抗生剤を使っていたが無効」といった
具体的な薬剤を入れない病歴はカルテに書かな
い。
• 感染三角を拡大させる要因があるのか
1. その熱発は重大な感染症か
2. 感染症が重大な結果をもたらす宿主か
3. 食い止めなければならない環境か
- 35. ③ 期間・量・経口薬への切り替
え
• 大切なのは組織内濃度
– 最も組織内濃度を高める方法を選択する。
– 素早く、均等に分布させたいなら経静脈
– やるなら初回投与はガツンと徹底的に ( 腎・肝機能 )
– 生体利用率が変わらないなら経口薬でも良い
– 基礎疾患がなければ解熱後72時間で中止
– 標準投与期間からの延長は全身状態が大事
– 炎症のフォローアップは CRP <赤沈