メタ分析とシステマティックレ 
ビューを 
どう使うか 
ー降圧薬を例にー 
名郷直樹 
最初に確認1 
 メタ分析はエビデンスレベルの最高位にあるわ 
けではない 
 元論文のバイアス 
 元論文統合時のバイアスが付け加わる 
 原著論文よりバイアスの危険が高い 
 単独のランダム化比較試験も問題あり 
 エビデンス全体を眺める必要性
最初に確認2 
 EBMとは 
 エビデンスそのものについてのものではなく 
 エビデンスの使い方についてのものである
EBMの5つのステップ 
1. 問題の定式化 
2. 問題についての情報収集 
3. 得られた情報の批判的吟味 
4. 情報の患者への適用 
5. 1-4のステップの評価
「使い方」といいつつ「読み方」 
 PECOを読む 
 Patient:どんな患者に 
 Exposure:どのような治療、検査をしたら 
 Comparison:どんな治療、検査と比べ 
 Outcome:どうなるか 
 一次アウトカムの結果を読む
今回取り扱う問題 
 Patient:高血圧の患者に 
 Exposure:ARBを投与して 
 Comparison:他の降圧薬と比べて 
 Outcome:血圧が下がるか 
脳卒中が減少するか 
死亡が減少するか 
幸せになるか
確認3 
 幸せをアウトカムとする研究はない 
 症状のない高血圧患者は、治療によって 
QOLが損なわれることはあるが、改善する 
ことはない 
 仕方なく脳卒中を予防するという論文を使う 
 仕方なく寿命を延ばすという論文を使う
降圧薬のシェア:ARBがダント 
ツ 
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/hyper/pickup/201104/
薬価はどうか 
 フルイトラン1mg 9.6円 
 ナトリックス1mg 12.2円 
 ロプレソール20mg 15.7円 
 エナラプリル2.5mg 37.7円 
 アムロジピン2.5mg 32.1円 
 バルサルタン40mg 61.4円 
 イルベサルタン50mg 68.5円 
 カンデサルタン4mg 72.3円 
 ロサルタン25mg 75.5円
高価なARBが第一選択と 
なるには? 
同じ性能なら安いものを買いたい
ELITE 
 Lancet 1997; 349: 747–52 
 死亡は一次アウトカムでも二次アウトカムでもな 
い 
相対危険減少 46% [ 5– 
69%]
ELITEII 
 Lancet 2000; 355: 1582–87 
 死亡は一次アウトカム 
相対危険 1・13 [0・95– 
1・35]
ACEとARBを比較したメタ分析 
Journal of Hypertension 2007, 25:951–958
ARBとCa拮抗薬:心血管イベン 
ト Lancet 2004; 363: 2022–31.
日本でどうか 
データ捏造がなかったとして
JIKEI HEART STUDY 
 心血管イベント 0.61 ( 0.47~ 
0.79) 
Lancet 2007; 369: 1431–39
個別のアウトカムで見ると 
 PROBE試験:ハードエンドポイント以外は 
怪しい 
 入院、症状と問題のあるアウトカムで差が大 
きい!
アウトカムが変更されている! 
 研究デザインの論文 
 心血管イベントの発症(脳卒中、一過性脳虚血発作 
、急性心筋梗塞、心不全の発症か悪化、狭心症の発 
症か悪化、解離性大動脈瘤、下肢の動脈閉塞、透析 
導入、血清クレアチニンレベル2倍の上昇) 
Cardiovasc Drugs Ther. 2004;18:305-9. 
 結果報告の論文 
 心血管疾患の罹患と死亡(脳卒中、一過性脳虚血発 
作による入院、心筋梗塞、心不全による入院、狭 
心症による入院、解離性大動脈瘤、血清クレアチ 
ニンの2倍の上昇、透析導入)
その後ARBとその他:心血管死 
亡BMJ. 2011 Apr 26;342:d2234.
心不全:相対危険0.88(0.80- 
0.A9R8B)が勝るというのはほとんど日本からの 
報告
出版バイアス 
 統計学的には検出されず
ARBの心不全に対する効果 
 出版バイアスによるものか 
 日本人に対する特異的な効果か 
 JIKEI、KYOTOから、後者の考えは取りにくい 
 残りの研究は極めて小規模 
 今となっては 
 日本の捏造論文と小規模研究によるバイアス 
として説明する方が妥当ではないか
振り返って:私のARBの使い方 
 ELITEは偶然の差の可能性が高いのでまず 
ACE、他の降圧薬から 
 ELITEIIではACEとARBに差がなく、使い 
慣れ、薬価の安いACE、他の降圧薬を優先 
 その後のメタ分析、VALUEでも同様 
 JIKEI、KYOTOはPROBEでソフトアウト 
カムでの差が主体、デザインに決定的な問題 
 その後のメタ分析でもARBと他の降圧薬は 
同等で、薬価の安い他の降圧薬を優先
ディオバンの事件を振り返って 
 臨床疫学、生物統計学を基盤に 
 時系列で 
 エビデンス全体を吟味できれば 
 少数の問題ある論文に左右されることなく 
 エビデンスを上手に使って 
 妥当な判断ができる
まとめ 
 いかなるエビデンスが提示されようとも 
 患者の幸福のため 
 社会の幸福のため 
 エビデンスを使うのは、わたしであり、あな 
たです 
 具体的には 
 高価で効果が同等なARBを第一選択として使 
い続けるのかどうか 
 皆さんに問いかけたい

高血圧学会2014発表用