E3の歴史
小野憲史
ゲームジャーナリスト/IGDA日本代表
黒川塾27
E3とは?
• 主催:ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)
• PS、サターンの発表を受けて、1995年より開催
• 流通向けの見本市(受注会)+メディア向けの新作発表会
• 新型ゲーム機や重点ソフトの発表などが行われるため、注目度が高い
• ストリーミング映像配信とデジタル流通の拡大で変化しつつある
http://www.theesa.com/wp-content/uploads/2015/04/ESA-Essential-Facts-2015.pdf
パッケージ流通の減少
①E3 ハイライト 1995-2015
1995
ロサン
ゼルス
PlayStation、セガサターン、バーチャルボーイ出展 第5世代
不参
加
1996
ロサン
ゼルス
ニンテンドー64出展
不参
加
1997
アトラ
ンタ
64DDアナウンス
不参
加
1998
アトラ
ンタ
不参
加
1999
ロサン
ゼルス
ドリームキャスト出展 第6世代
不参
加
2000
ロサン
ゼルス
PS2、ゲームボーイアドバンス出展
不参
加
2001
ロサン
ゼルス
ゲームキューブ、Xbox出展 参加
①E3発展&北米ゲーム市場拡大期
2002
ロサン
ゼルス
参加
2003
ロサン
ゼルス
Half-life2(Source Engine) デモ出展 参加
2004
ロサン
ゼルス
ニンテンドーDS、PSP出展 参加
2005
ロサン
ゼルス
Xbox360出展
第7世代

Unity 1.0
参加
2006
ロサン
ゼルス
Wii、PS3出展、ゲイツE3登壇、Gears of War(=Unreal
Engine3)出展
参加
2007
サンタ
モニカ
E3 Media and Business Summitとして規模縮小開催 参加
2008
ロサン
ゼルス
The 2008 E3 Media and Business Summitとして規模縮小
開催
App Store開始 参加
②コンソール黄金時代とE3の行き詰まり
2009
ロサン
ゼルス
音楽ゲーム大流行、Indie cade新設 参加
2010
ロサン
ゼルス
Kinect、ニンテンドー3DS出展 Unity 3.0 参加
2011
ロサン
ゼルス
Wii U出展 参加
2012
ロサン
ゼルス
参加
2013
ロサン
ゼルス
PS4、Xbox One出展、

任天堂プレスカンファレンスをキャンセル
第8世代 参加
2014
ロサン
ゼルス
Project Morpheus出展 参加
2015
ロサン
ゼルス
ベセスダがプレスカンファレンスを初開催
Unity4.0

Unreal Engine無償化
参加
③E3のリブートとモバイル&インディ
2002年(今となっては懐かしい一枚)
2004年は任天堂とSCEが新型携帯ゲーム機を互いに発表
2005年
昨年に続いて
据え置き機でも
新ハードが発表
2006年はWiiとPS3が出展され、
空前の盛り上がり
E3はピークを迎える
2007年は会場をサンタモニカに移し、
市内ホテルと空港の格納庫跡で分散開催。
規模も2000人程度に縮小する(例年5∼7万人)
ブース設営費などの高騰に大手企業が根を上げた形。
2008年は会場がLAコンベンションセンターに
戻ったが、規模縮小は続く。会場は小一時間ですべて見
て回れるほど。一方で7月にE for Allというユーザー向
けイベントが開催されたが盛り上がらず。
2009年よりE3は復活
音楽ゲームが大流行
ただしケンティアホールは使用されなかった
Indie cadeが初参加など変化も
2010年は
立体視がブレイク
2011年はWii Uが発表、技術デモをいち早く展示
2013年は
PS4とXbox Oneが
出展され、ブースは
大混雑
インディゲーム
開発者によって
Oculas Riftの
デモも登場した
②フロアプランの変遷
会場のLAコンベンションセンター地図
大きくウエストとサウスホールがあり、サウスの地下にケンティアホールがある
1995年(1st)West Hall
Nintendo
細かいブース(PCゲーム、周辺器機)が非常に多い
1995年(1st) South Hall
サウスホールも群雄割拠の時代
2006年
NintendoSony
ウエストホールで任天堂とSCEが配置
2006年
サウスホールは大手パブリッシャーが並び、日本メーカーも元気
2006(Kentia hall)
E3 1999∼2006までケンティアホールが使用されていたことを確認
ケンティアホールにはベンチャーや周辺器機ベンダーがずらり
2008年
LAコンベンションセンターのコンコースホールで開催
ここ!
2015年
ウエストホールはプラットホームホルダーで分割
Oculus VRもブース出展
2015年
サードパーティの出展数が減少し小ブースで脇を埋める状態
ブースもシアターやクロースド形式が増加する
③広告ヒストリー 2001-2015
ウエストホールとサウスホールの巨大広告を振り返ることで、
また違ったE3の歴史が見えてくる。
ウエストホールはSCEが毎年出稿、サウスホールはその時々で
勢いのあるサードパーティが出稿するのが基本スタイル。
サウス ウエスト
2001年
SCE ジャック ダクスターSEGA ソニックアドベンチャー2
2001年3月でハードウェア事業を撤退したセガ
ブースもクロースドでアポイントメントオンリーとしたがゲームソフトの広告で健在ぶりをアピール
2002年
SCE ブランド広告MICROSOFT Age of Mythology
MSそしてPCゲームの出稿が珍しい。またサウスホール前では「America s Army」で米陸軍がアピール
2003年
SCE ブランド広告ATARI ブランド広告
2001年に仏インフォグラムに買収され、経営再建をはたしたアタリ。2003年に北米法人を
Atari Inc.に社名変更し、完全復活を周囲にアピール。以後アタリの広告出稿が続く。
2004年
SCE ブランド広告ATARI
2005年
SCE ブランド広告ATARI ブランド広告
2006年
SCE ブランド広告ATARI Never Winter Night 2
2007年
E3 Media and Business Summit
(名称変更・会場移転)
2008年 The 2008 E3 Media and Business Summit
広告出稿なし。この3ヶ月後(9月15日)にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、
ゲーム業界にも大きな影響が及ぶ。
2009年
SCE ブランド広告EA ブルータルレジェンド
アタリに変わってEAが広告出稿。一方でSCEもコントローラを高々とアピールする広告で、
これまでのイメージを刷新した(E3の復活と当時ブレイクしていたWiiへの挑戦をかけた?)
2010年
SCE PS MoveEA Crysis 2
去年のコントローラから一転してSCEはMove推し。EAはCrysis2をアピール。
以後FPSの大作ソフトが出稿され続ける
2011年
EA バトルフィールド3 SCE Vita、アンチャーテッド
打倒!CoDの悲願を込めてEAはバトルフィールド3で出稿、初の発売日入り広告はSNSでシェア前提の施策
一方E3にWargamingが初上陸、サウスホールにブース出展もはたす。
2012年
SCE ブランド広告EA メダルオブオナー ウォーファイター
サウスホール前にエナジードリンクが登場、ウエストホールは再びWargaming
2013年
SCE ブランド広告EA バトルフィールド4
PS4世代で大手パブリッシャーのタイトル数が激減(2006年のアタリは一社で30本以上を出展)
業績が低迷するEAの「バトルフィールド4」推しが良く伝わってくる
2014年
SCE ブランド広告ACTIVISION CoD アドバンスドウォーフェア
リキテロの退任と共にサウスホールの広告枠はアクティビジョンの手に。
マイクロソフトもAAAタイトルの力を借りてXbox Oneの発売をアピール。
2015年
ACTIVISION CoD ブラックオプス3 SCE アンチャーテッド4
SCEは4年ぶりにゲームソフト広告、アクティビジョンも看板ゲームソフトと共に発売日を明記
おまけ:ハードメーカーのプレスカンファレンス(2002年)
ハードメーカーのプレスカンファレンスは数字(販売台数やスペック)がズラズラと並ぶのが当たり前だった
これは流通業者やサードパーティを対象としていたため。彼らを自社ハードにつなぎ止めるのが最大の目的だった
今やプレスカンファレンスから数字は消え、大作ソフトのトレーラーやデモプレイが並ぶのが一般的
ストリーミング映像で配信されるようになり、対象が業界関係者から一般ユーザーに変化した
2015年
ブースの変化
• PS2時代は各社のタイトル数が多く(2006年のアタリは30本以上を出展)、
試遊台も潤沢ですぐにプレイできた
• PS3後半から出展数が絞り込まれ、多くの来場者が特定のタイトルに集中す
るようになったため、サウスホールでシアター形式や関係者のみのクロース
ドブースが増加した。アポがあっても1時間、なければ数時間並ぶのは当たり
前になった(テーマパーク現象)
• 今年はMorpheusとOculusで専用の予約アプリまで登場し、行列の緩和策が
とられた
まとめ
• E3は米家庭用ゲーム業界の変化を象徴している
• 特に2007年、08年の前後で大きく変化した
• 「AAAゲームは業界のショウケースでなくなることはない」
• 流通向け受注会としての役割は低下しつつあるが、

一般ユーザーに向けた最新情報の発信力はいまだ高い

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