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文章完成法の項目反応理論(IRT)による検討

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文章完成法の項目反応理論(IRT)による検討

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文章完成法の項目反応理論(IRT)による検討

  1. 1. 文章完成法(SCT)の項目反応理論(IRT) による検討 ―G-SCT(目標設定の文章完成法)の検証を通して― 東北大学大学院 情報科学研究科 徳吉陽河 日本パーソナリティ心理学会第19回大会 2010年10月11日(月)
  2. 2. 目的 ○「文章完成法(SCT)」をコーチング心理学(主に認知行動コーチング) に応用する。主な目的は,標準化された質問票(G-SCT)の作成し,さら に「項目反応理論(IRT)」にて検証を行う。 ○「文章完成法(SCT)」を利用して,コーチング心理学における学術・ 統計に基づきマニュアルを作成する必要がある(徳吉,2010b)。とくに, 「セルフ・コーチング」や「半構造化面接」による対面式コーチングにて 利用できる必要最低限のクライエントに質問する事項を選定し,「標準化 されたSCT」の開発を行うことが今回の目的である。そして,その検証に ついて,項目反応理論を利用して,各項目の分析を行う。
  3. 3. 文章完成法テスト(SCT)とは 「文章完成法テスト」(SCT:Sentence Completion Test)は,「私は,~」など,刺激 語となる書きかけの文の後に自由に文章を回答し てもらい,記述された個性や特徴を把握するため の投影法である(佐野・槇田,1972)。 ※SCT例私の父は________である。 心理尺度だけでは補えない言葉による情報を取得 ができる点や,言葉を記述することにより,クラ イエントの意識を明確化できるメリットがある。
  4. 4. 文章完成法をコーチング心理学に応用 「G-SCT:Sentence Completion Test」 ・・・文章完成法をコーチング心理学に応用し,質問紙によるツールを作成。 セルフ・コーチング (自己記入式質問票のツール) ▲両方に利用が可能なツールとして開発と検証を行う。 半構造化面接における質問票 (対面式調査票)
  5. 5. 方法 • 質問紙調査法 (授業の講義にてアンケート調査を実施) ⇒自己記入の「セルフ・コーチング形式」 • 調査対象者 関東地区の大学院生,大学生, 看護学校生,高校生, 421名(男性235名,女性186名) 平均年齢19.5歳,SD=4.5(2009年)
  6. 6. 手続き G-SCTの数量化】(ダミー変数の利用) 回答欄に記入があれば,1点。無回答,「とくになし」「なし」などは, 0点と換算し数量的に検証を行った。 ⇒記述回答欄の「記述」が多いほど,目標に向けての認知・意識, 具体性があると判断する。 【○長所】・・限界はあるものの客観的に数量化を行い, 他の尺度との潜在的な関係性を把握することが可能。 【×短所】・・情報量が落ちる。 ポジティブな反応か,ネガティブな内容なのかなど, 具体的な内容の情報は取得できない ⇒「古典的テスト理論」,「項目反応理論」に適用。
  7. 7. 項目反応理論(IRT)の適応 ■項目反応理論は,TOEFL,ARE (米国の建築家登録試験)などテストや 検定試験などに利用されている。 ■2値型の項目反応理論(IRT)の適用 ⇒0,1の2値型の数値に対して、項 目反応理論の適用を行う。
  8. 8. 結果 ●数量化により,「G-SCT」をテスト理論に基づき, 平均点,SD,α係数を算出した。 Table 1. G-SCTの平均点,標準偏差(SD),α係数 N 平均点SD α係数(信頼性) G-SCT 421 8.61 3.81 0.917 下位尺度得点に換算し,他の尺度因子との関連性を 確認し実証した。また,因子分析により1次元性を 確認している。
  9. 9. 「G-SCT」:目標設定の文章完成法 質問項目内容 Q1:「目標の設定」目標の明確化を行う。 Q2:「メリット」目標のメリットを明確にする。 Q3:「出来事」出来事について冷静に判断する。 Q4:「状況」状況について整理を行う。 Q5:「反論(批判)」状況について,反論(批判)できることを確認。 Q6:「新しい方法」新しい方法の創造する。 Q7:「コンピテンス」目標に対する自分の強みの確認を行う。 Q8:「資源(リソース)」目標に対する自分の資源の確認を行う。 Q9:「道具」目標達成に利用できる道具について探索する。 Q10:「ノウハウ」現在,把握している「ノウハウ」を確認する。 Q11:「やる気」「やる気」になる要素を確認する。 Q12:「最初のステップ」はじめの一歩を確認,実行を促す。
  10. 10. G-SCTの質問内容 質問文 S01 今,現在における「私の目標」は,( )である。 S02 その目標を達成する「メリット」は,( )である。 S03 その私の目標を妨げている「出来事」は,( )である。 S04 その私の目標が達成できていない結果として,( )という状況になってい る。 S05 その私の目標を達成できない結果に対して「反論」できることは,( )で ある。 S06 その私の目標を達成するために思いつく,「新しくできそうな方法」は, ( )である。 S07 その私の目標を達成するために利用できる「自分の強み」は,( )である。 S08 その私の目標を達成するために,「相談にのってくれる人」は,( )である。 S09 その私の目標を達成するために利用できる「道具(ツール)」は,( )であ る。 S10 その私の目標を達成するために,自分が考えられる「成功のノウハウ」は, ( )である。 S11 その私の目標を達成するために,自分ができる「やる気」を引き起こすための方法は, ( )である。 S12 その私の目標を達成するために,まず( )を始める。
  11. 11. 調査内容 ①G-SCT:目標設定の文章完成法(徳吉,2010a) • ⇒SCTを応用した目標設定の自由回答形式による質問紙(※今回 の開発と検証) ②達成動機尺度(堀野,1987) • ⇒達成動機に関する尺度。競争的達成動機,自己充実的達成動機 の2つの因子で構成されている。 ③KiSS-18 (菊池,2007) • ⇒社会的スキル尺度。「コミュニケーション」,「問題解決」,「トラブル 処理」などで構成されている。 ④G-BESTs:目標行動スキル尺度(徳吉,2010a) • ⇒目標設定・行動に関するスキル。「PANAS」のPAと相関があり,「意思決定 の満足感」などの尺度と正の相関関連がある(徳吉,2010b)。また,抑うつと は負の相関関係にある(徳吉,2010a)。
  12. 12. IRTの最適なモデルを推定 ※3つのモデルを比較推定し,最適なモデルを探索する。 「1PL : 項目間で識別力が等しいラッシュモデル (識別力=1に固定されたモデル)」 「2PL:項目間で識別力が異なるラッシュモデル」 「3PL:当て推量があるラッシュモデル」 3つのモデルに関して,likelihood ratio test(尤度比検 定)を行い,その結果,「2PLモデル」の当てはまりが最 適であった。(尤度比=-1922.12,p=.025)
  13. 13. 項目特性曲線1PLモデル&3PLモデル 項目特性曲線: 1PLモデル(識別度=1)(右)& 3PLモデル(当て推量付)(左)
  14. 14. 2PLモデル& テスト情報量 項目特性曲線(2PL:項目間で識別力が異なるモデル)(左) テスト情報量(右)
  15. 15. G-SCTのIRTによる困難度と識別力 項目困難度(b)difficulty 識別力(a)discrimination S01 -1.12 4.0 S02 -0.91 3.6 S03 -0.64 2.7 S04 -0.46 2.8 S05 0.24 2.7 S06 -0.19 3.9 S07 -0.24 3.4 S08 -0.63 2.3 S09 -0.31 3.6 S10 -0.05 2.9 S11 -0.44 3.6 S12 -0.56 3.9
  16. 16. ●2PLの項目母数(困難度(b))は,質問項目「S01」(b=- 1.12)と,「S02」(b=-0.91)は困難度が低い内容「S05」 (b=0.24)は,ロジスティック曲線は右側に近く,困難度が高 い項目と判断できる。 ●項目特性曲線の傾きである「識別力(a)」は ※「S01」(a=4.0)や「S06」(a=3.9)が高く,回答の差が 出やすい質問項目であることが分かる。 ※「S08」(a=2.3)は識別力が全体的にみて弱く,回答の差が 出にくい質問項目と判断できる。 ※「識別力(a)discrimination」は2.0以上であり,それぞれ 高い識別性があると判断できる。
  17. 17. G-SCTの「テスト情報量」(Test Information) 「全体分布(-4~4)」の範囲で,39.6 ●左半分(-4~0)の範囲では,30.5(77.1%) ●右半分(0~4)の範囲では, 9.0(22.9%) ※以上から「G-SCT」は,回答率の低い集団を対象に 適用できることが推定できた。
  18. 18. 考察 今回は,ダミー変数を利用して,項目反応 理論の応用により,「困難度」,「識別性」 が推定できた。また,「テスト情報量」によ り,回答の記述が少ないグループへの適用に ついて推定することができた。 限界はあるものの,数量化によりIRTによ る推定ができることがわかり,「G-SCT」の 有効性が示唆された。
  19. 19. 今後の課題と目標 (1)半構造化面接(対面式)による検証 ※対面式コーチング,グループ・アプローチでの検証 (2)心理学的実験による検証 ※例:認知心理学,脳科学などの実験へ応用 (3)具体的なテーマ設定時による検証 • ※例:就職(キャリア),ライフコースなどへの応用 (4)情報ツール開発へ検討 • ※例:インターネット,モバイルコンテンツへの応用
  20. 20. 相関分析(ピアソン積率相関係数,p値) ※参考資料
  21. 21. 引用文献 • 堀野緑(1987).達成動機の構成因子の分析教育心 理学研究35(2), pp.148-154 • 菊池章夫編著(2007).社会的スキルを測る:KiSS- 18ハンドブック川島書店 • 佐野勝男・槇田仁(1960). 精研式文章完成法テス ト解説金子書房 • 徳吉陽河(2010a).目標行動スキル尺度(G-BEST ・G-SCT)の統合的研究修士論文 • 徳吉陽河(2010b).コーチング心理学におけるメ ソッド開発の試み東北心理学会第64回大会

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