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経済学で読み解く「働き方」と「イノベーション」

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5月24日(月)にグランフロント大阪で開催される「日本の人事部 HRカンファレンス2018」で行う基調講演の資料です。
http://hr-conference.jp/osaka/201805/program.php

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経済学で読み解く「働き方」と「イノベーション」

  1. 1. 経済学で読み解く 「働き方」と「イノベーション」 「ブラック均衡」から抜け出そう! 安田洋祐 大阪大学 大学院経済学研究科 准教授 Eメール: yasuda@econ.osaka-u.ac.jp ウェブ: https://sites.google.com/site/yosukeyasuda/jp 2018年5月 1
  2. 2. 本日の報告の流れ 1. 簡単な自己紹介 2. なぜ働き方とイノベーション? 3. マクロのスパイラルとミクロの罠 4. 将来への展望 2018年5月 2安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  3. 3. 簡単な自己紹介 • 1980年 東京都生まれ • 2002年 東京大学経済学部卒業 (大内兵衛賞、経済学部卒業生総代) • 2007年 プリンストン大学Ph.D. • 2007年 政策研究大学院大学助教授 • 2014年 大阪大学経済学部准教授 • 研究領域 – 経済理論、ゲーム理論、インセンティブ設計 • 学術研究の傍らマスメディアを通した一 般向けの情報発信や、政府等での委員 活動にも積極的に取り組んでいる。 2018年5月 3安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  4. 4. 著作など 2018年5月 4安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  5. 5. 監訳など 2018年5月 5 New! 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  6. 6. TVメディア • レギュラー・準レギュラー – フジテレビ「とくダネ!」 – 関西テレビ「報道ランナー」 – 読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」 – テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」 ← New! • 特別番組など – NHK BS1「欲望の資本主義2017」 「欲望の資本主義2018」 – NHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」 – NHK 総合「NHKスペシャル マネーワールド」 – NHK 総合「欲望の資本主義」 2018年5月 6安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  7. 7. なぜ働き方とイノベーション? 生産性低迷を診る2つの視点 2018年5月 7安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  8. 8. 世界経済におけるGDPの動向 世界経済は全体として回復基調にあるが、回復のペースは緩慢。 出典:METI 通商白書2017 「主要国の一人あたり名目GDPのOECD加盟国中の順位」 出典:内閣府「国民経済計算」資料(図8) 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 8
  9. 9. 日本経済低迷の要因その1 低い全要素生産性 (Total Factor Productivity) 経済成長(GDP成長)を生み出す要因のひとつ。資本や労働など量的な生産要素の増加 以外の質的な成長要因をTFPという。技術進歩や生産の効率化などがTFPに該当する。 出典: 日本生産性本部 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 9
  10. 10. 日本経済低迷の要因その2 低い労働生産性 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 10 2015年の日本の労働生産性(就業1時間当たり)は、42.1 ドル。OECD加盟35か国の 中では、第20位。 1970年以来、主要先進7か国の中では最下位の状況が続いている。 米国の約6割 米国 日本
  11. 11. サービス産業の品質では「日本 > 米国」 調査対象の28分野の大半で、日本のサービス品質が米国よりもよく、約10~20% 上回っているという。日本のサービス産業の労働生産性は米国の約半分とされるが、 日本の高いサービス品質が価格や生産性に十分反映されていないとし、同本部では 「サービスを『見える化』して、価格に転嫁すべき」としている。 宅急便、タクシー、コンビニエンスストア ⇒ 15~20%上回っている  米国人:設備の性能・見栄え重視  日本人:迅速なサービスを重視 日本生産性本部、日本と米国のサービス産業の品質比較を発表(2017年7月12日) 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 11
  12. 12. マクロのスパイラルとミクロの罠 “改革” してもうまくいかない理由とは? 2018年5月 12安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  13. 13. 日本経済がハマったマクロ・ミクロの罠 • マクロ(経済全体):負のスパイラル – 投資が減ると労働者がどんどん買い叩かれる – 働き方改革のカギは設備投資にアリ! • ミクロ(組織内部):ブラック均衡 – 従業員は制度ではなく期待・空気に反応する – 制度の導入は改革のゴールではなくスタート 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 13
  14. 14. 失われた20年の「負のスパイラル」 低賃金 (安い労働力) 資本投資減少 (機械より人) 労働の限界生産 性も減少 更なる賃下げ (徐々に人不足) 【需要面】 投資需要低迷 => 金利低下 【供給面】 技術革新低迷 => TFP低下 (日本版の) ルイスの転換点? 長時間労働 労働分配率低下 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 14
  15. 15. 「正のスパイラル」へと逆転!? 高賃金 (高い労働力) 資本投資増加 (人より機械) 労働の限界生 産性も増加 更なる賃上げ (徐々に人余り) 【需要面】 投資需要増大 => 金利上昇 【供給面】 技術革新促進 => TFP増加 働き方改革 深刻な人手不足 定型化された仕事がAI・ロボット に徐々に置き換わっていく 雇用のミスマッチ解消が課題! 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 15
  16. 16. 働き方改革の壁 – 均衡の罠 QWERTY型のキー配列は実はタイプに向いていない ↓ なぜ使われ続けているのだろうか? (コーディネーションの失敗) ゲーム理論で考えよう! 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 16
  17. 17. 残業問題の原因:「ブラック均衡」 • 自分だけ定時に帰ることができるか? – どちらの社員にとっても、みんな定時退社するのがベスト – 自分だけ「定時退社」すると人事などで不利益を被る – みんながサービス「残業」すると働き方改革は進まない… 社員2 社員1 定時退社 残業 定時退社 2 2 0 -10 残業 -10 0 0 0 ホワイト 均衡 ブラック 均衡 どちらも 安定的な状況 (ナッシュ均衡) まわりがちゃんと定 時退社するという 「期待」が重要 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 17
  18. 18. インセンティブ報酬とモラルハザード 2018年5月 18 『ミクロ経済学の力』(神取道宏)より引用 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  19. 19. 様々なモラルハザード問題 2018年5月 19 依頼人は代理人の行動を観察することができない => モラルハザード(隠された行動)の問題 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  20. 20. マルチタスクの落とし穴 2018年5月 20安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  21. 21. 将来への展望 イノベーションによって変わる働き方 2018年5月 21安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  22. 22. 日本でイノベーションを生み出すには • 労働市場の低い流動性 – シリコンバレー・モデルは無理… – 労働者が組織に留まる利点を生かせ! • 組織内での新結合(byシュンペーター) – 優秀な人材 → 多様な個性 – 減点主義 → 失敗は成功のもと! – ロールプレイ(肩書きを無くす)のすすめ 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 22
  23. 23. AI・IoTの進展:国内での影響 AIの進展により、ロボットが人間の代わりをするようになる時代がくる! 人口減少、少子高齢化を他国に先駆けて迎える日本にとってチャンス!  労働代替型のニーズが高い(日本は人手不足) 例: 農業従事者、建設・物流、介護、廃炉、熟練工の後継者、etc  ロボット工学が強い (研究者が多い)  ロボットに対する潜在意識が米国とは異なり、世代を超えた理解がある。  日本: 人とテクノロジーが共存する。(アトム、ドラエモンなど)  米国: 人とロボットが闘う (ターミネーターなど) 。 人工知能による「ものづくり」の復権へ 言語データから 行動データ 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 23 利便性から 安全性 ヴァーチャル からリアル
  24. 24. 経済システムや資本主義は変わるのか グローバル社会の人間として、テクノロジーが進歩して、人間が働かなく なっても良くなってしまう社会のことも、この先数十年間議論していくべき。 ロボットが働けば、雇用を奪うだけではなく、近い未来、人は働かなくても 良くなるかもしれない。  そうなったら、これまでの経済、社会の形はどうなるだろうか。  Basic Incomeを導入する代わりに、技術を活用して、モノやサービスを タダで提供する。Basic サービスの時代がくるかもしれない。 2018年5月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 24

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