“役に立たない経済学”から
  “役に立つ経済学“へ

 某ITベンチャー企業 選考課題用プレゼン
      青山学院大学
      経済学部経済学科3年
      所 親宏
そもそも、経済学ってなーに?
経済学 = 
     お金の話
経済学 = 
        お金の話

よくある誤解 でも、半分正解
経済学の本来の意味 
“経済”の語源:
“経世済民”(けいせいさいみん)
 =“世を治め、民を救う”

(中国の古典が出典)
福沢諭吉がeconomyの訳として初めて使った。
参考:
wikipedia – 経世済民
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E4%B8%96%E6%B8%88%E6%B0%91
つまり、経済学の本来の意味とは、



     “みんなが幸せになるための
       仕組みを考えること”

                     (なので、もともとは政治なども含まれていた)
で、とりあえず幸せになるためには、

食料などのモノが、みんなに届くことがとても重要で、
  (だって、食べ物なかったら、死ぬもん)


今の経済学は、幸せになるための一つの方法として、

モノをみんなに届けるための仕組みに特化している、と言えます

参考:
“この世において有限な資源から、いかに価値を生産し分配していくかを研究する学問”
Wikipedia – 経済学 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88
経済学が“お金”と深い関係にあるのは、
みんなにモノが行き届く仕組みを実現するために、
“お金”が非常に便利な道具だからです

(ちなみに、お金の話もおもしろいよー。
お金には3つの機能があるとか、いまのお金は信用貨幣だとかetc)
ちなみに、“economy”の語源
“οἰκονόμος ” ギリシャ語
 =“one who manages a household“
 =“家族の(経営的な)管理”
本来、economyは家族単位での見方であったと思われる。
で、国家などを、家族の集合体に捉えて発展したのが、
今日のeconomyの指す意味。(合ってる?)
だから、英語では、economicsっていう複数形なのかなー?

参考:
wikipedia – economy http://en.wikipedia.org/wiki/Economy
wikipedia – economics http://en.wikipedia.org/wiki/Economics
でも、なぜ

  (今の)経済学は役に立たない

と言われてしまうのか
そもそも対象が大きすぎて、
    実感がわかない。
             というのが、1つ目。

国家の公共投資の話とかね。
でも、実はすごく影響してる。
専門用語が多すぎて、
    意味わかんない。
             というのが、2つ目。

需要と供給、とかね。
まあこれは、学問全般に言える。
(上級編)
   数式がバリバリ出てきて、
     理解できない。
                というのが、3つ目。

深く経済学を勉強していくと、数式ばっかり。
微積分とか使いまくり。
経済学部が文系なのはおかしいと思います。
でも、もっと根本的な理由で、

前提があまり現実的じゃない

 というのがあると思う。
現代経済学の前提:

   人間とは、“合理的”である
経済学で言う、ホモ・エコノミクス。アダム・スミスが考案した、人間のモデル。
  一般的に使われる“経済的な”という意味は、この考えから来てる。
    経済学に対する悪い印象は、この考えのせいだと思う。

                         参考:wikipedia – 経済人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E4%BA%BA
合理的であるということは、
  どういうことか?
合理的である、とは
    例えば、一銭の得にもならないのに、
   ボランティア募金にお金を使ったりしない。
            (超利己的)


  例えば、他に安く売ってる場所があるのに、
   値段が高いコンビニで買ったりしない。
            (超合理的)


    例えば、節約すると決めていたのに、
 つい欲しくなってブランドバッグを買ったりしない。
            (超自制的)
合理的である、とは
    例えば、一銭の得にもならないのに、
   ボランティア募金にお金を使ったりしない。
            (超利己的)


  例えば、他に安く売ってる場所があるのに、
   値段が高いコンビニで買ったりしない。
            (超合理的)


    例えば、節約すると決めていたのに、
 つい欲しくなってブランドバッグを買ったりしない。
            (超自制的)
   買ってしまったりします。
僕が考える正しい前提:

 人間とは、“感情的“である
       (たまには、合理的)
       ちなみに、現代経済学が数式を使えるのは、
合理的(=予測可能、定量的)であるという前提に立っているからです。
  感情という不確定な要素を入れると、数式なんて作れません。
      (でも、カオス理論とか使えばいけるのかな?)
ん? “感情“的?

そういう学問なかったっけ?
あっ!
それって、心理学じゃねっ?
心理学と経済学をくっつけたら、
もっと役に立つようになるんじゃない?
それが、
行動経済学です。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ

行動経済学とは?
現代経済学の想定している合理的な人間ではなく、
実際の人間を前提として考える、最近の経済学の一派。

2002年にダニエル・カーネマンという心理学者が、心理学を経済学に導入
した業績でノーベル経済学賞を取り、行動経済学の基礎を築いた。
(正確には行動経済学は、経済学の原点回帰と言える)

”元々、心理学と経済学は一体のものであり、18世紀頃には経済学者は心理学者も兼ね
ていたとみることができる。(中略)その後、経済学は経済人を前提としたものが主流となっ
ていったが、認知心理学の発展もあり、経済学と心理学は再び融合し、行動経済学という
分野が研究されるようになった。”
Wikipedia – 行動経済学 より引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




        行動経済学の例 1
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




       さて、ここで問題です。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ


           問題1

あなたは、メガネが欲しくて友達とお店に行きました。
     メガネは1万円で売っていました。
 すると友達が、ここから歩いて10分のお店では、
同じメガネが9000円で売っていると教えてくれました。

 さて、あなたは、10分歩いて買いに行きますか?
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ


            問題2

  あなたは、車が欲しくて友達とお店に行きました。
      車は100万円で売っていました。
  すると友達が、ここから歩いて10分のお店では、
同じ車が99万9000円で売っていると教えてくれました。

 さて、あなたは、10分歩いて買いに行きますか?
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




問題1と問題2では、答えが違いませんでしたか?

     でも、どちらも、同じ条件で、
     同じ1000円だけ得をします。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ

        現代経済学において、
  1000円の価値は、いつでも1000円である、
     と考えられています。(絶対的価値)
    (追記:絶対的価値の部分は僕の独自解釈でしたが、ツッコミを受けて、
    現代経済学にこの前提は存在しないと考え直しました。ごめんなさい。)



       しかし、行動経済学では、
1000円の価値が、いつでも1000円とは限らない、
       と考えます。(相対的価値)
         (行動経済学の“心の家計簿”理論。
         もうちょっと言えば、行動経済学の柱、
         “プロスペクト理論”につながってくる)


    どちらが、現実的な考え方でしょうか。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




         もう一個だけ。
        行動経済学の例 2
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




         再び問題です。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ
            問題1

      あなたは厚生労働省の大臣です。
   日本で新型インフルエンザが流行しそうです。
流行したら、約60万人が死亡するという試算が出てます。
  その対策として、次の二つのワクチンがあります。

  A  20万人が助かる
  B  60万人が助かる可能性が1/3で、
    1人も助からない可能性が2/3
        どっちを選びますか?
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ
            問題2

      あなたは厚生労働省の大臣です。
   日本で新型インフルエンザが流行しそうです。
流行したら、約60万人が死亡するという試算が出てます。
  その対策として、次の二つのワクチンがあります。

  A  40万人が死亡する
  B  死者0人の可能性が1/3で、
    60万人全員が死ぬ可能性が2/3
        どっちを選びますか?
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




          多くの人は、

        問題1では A を、
     問題2では B を選択することが

         わかっています。
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ



           でも、実は、

    問題1と問題2のAとBのワクチン、

         全部同じです(爆)
      (期待値計算すると、全部20万人助かる。
       合理的に考えれば、答えは一緒のはず)
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ

        このように、
      表現の仕方によって、
  意思決定が変わってしまうことがあることを

           行動経済学では、
       “フレーミング効果“と呼びます。
         (現代経済学では、人間は合理的なので、
        表現の仕方では選択は変わらないと考えます。
          専門的に言うと、期待効用理論の話。)

                 フレーミング効果と思われる実例:
    “ニュー速クオリティ:車が売れないので半額で販売 → 売れない 
      通常価格に戻して1台買うともう1台プレゼント → 爆売れ“
       http://news4vip.livedoor.biz/archives/51229927.html
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ



 ちなみに、新型インフルエンザの死亡者数の試算は、
     仮定じゃなくて、本当の試算なので、
        気をつけましょう。。。

                 厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

             “日本政府は人口の約1/4の人が感染し、
    医療機関を受診する患者数は 最大で2500万人と仮定して、対策を講じています。
 また、過去に流行したアジアインフルエンザやスペインインフルエンザのデータに基づき推計する
                       と、
   入院患者は53万人~200万人 、死亡者は17万人~64万人 と推定されています。 ”
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ


        僕の学校では、
    国内で一人でも感染者が出たら、
 幼稚園から大学まで、全部休校にするそうです。

            どんだけやばいんだよっ!

 “新聞等の発表では、 各都道府県内で1人でも新型インフルエンザ感染患者が発生した場合は
   その都道府県内の幼稚園から大学までの全ての教育施設が一斉休校 となっていますが、
青山学院としては、 国内で1人でも発生が認められた場合は幼稚園から大学までを 完全休校とします
                        ”

       青山学院ニュース - 2009.1.9 新型インフルエンザの対応について
           http://www.aoyamagakuin.jp/news/urgent5.html
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ


     ということで、行動経済学は、
    今の経済学より役に立ちそうだし、
    おもしろそう!というお話しでした。

  だけど、現代経済学を否定する気はなくて、
 経済学を勉強すると、新聞も読めるようになるし、
        おもしろいです。

      (ただ、僕は概念だけ押さえればOKで、
      数式とかを理解する必要はないと思う)
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ

             最後に。

     経済の裏にいるのは、人間です。
  人間の行動は、究極的には予測不可能です。

    そして、経済学が扱っている対象は、
       その人間の集合体です。
そう考えると、経済学もおもしろくなってくると思います。

     (経済学者の言うことがあまり当たらないのは、
         数字で遊んでるからだと思う。
  そんなに人間は単純じゃない。ただし、大まかな傾向はある。)
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ

      もし、これで経済に興味を持ったら、
   いくつか僕のおすすめ本を挙げときますので、
            参考までに。
○行動経済学:               ○標準的な経済学部の入門教科書:
経済は感情で動く-はじめての行動経済学   マンキュー入門経済学
 -マッテオ モッテルリーニ         -N.グレゴリー マンキュー



○経済の入門(強くおすすめ):
カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 日本経済編
 -細野 真宏

経済ってそういうことだったのか会議
 -竹中 平蔵・佐藤 雅彦
“役に立たない経済学”から、“役に立つ行動経済学“へ




ここまで読んでくれて、ありがとうございました。
         m(-_-)m

          青山学院大学 経済学部 経済学科 3年
                     所 親宏
               http://kibitan.com/

                          参考:
          青山学院大学 経済学部教授 中込 正樹先生
               学校の講義 “応用マクロ経済学”
  http://raweb.jm.aoyama.ac.jp/aguhp/KgApp?kojinId=cedi

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