スピーカー： ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン　安原祐二・名雪通

1. C#×LLVM = アセンブラ！？
〜詳説・Burstコンパイラー〜
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン 名雪 通
安原祐二

2. どの言語にする？
C#
C++
アセンブラ
速いプログラムを
お願いしまーす！

3. C#で速い
のがいい！

4. そこで
Burstコンパイラー！
すごい！
速い！
というお話です。

5. C#
機械語
???
書きたいのはC#
実行されるのは機械語

6. C#
機械語
C#コンパイラ
IL
ふつうの場合
Mono(AOT/JIT)

7. C#
機械語
C#コンパイラ
IL
IL2CPP登場
IL2CPP
C++すごい！

8. C#
機械語
C#コンパイラ
IL
IL2CPP登場
IL2CPP
C++
もっと速く
したい！
えー

9. C#
機械語
C#コンパイラ
IL Burstコンパイラー
IR
LLVM
Burstコンパイラー
登場
すごーい

10. 様々なプログラミング言語に
対応可能なコンパイラー基盤
Apple, Google, ARMも開発に参加
LLVMとは

11. LLVMが扱う中間言語
プログラミング言語・CPUアーキテクチャから独立
LLVMはIRを対象に最適化を行う
IRとは

12. Burstコンパイラー
C#
機械語
C#コンパイラ
IL
IR
LLVM
なぜBurstは
速いの？

13. 速い理由
LLVMの最適化
が効く

14. LLVMの最適化
clang llvm
すごい
最適化
C++ IR objIR

15. LLVMの最適化
clang llvm
すごい
最適化
C++ IR objIR
Burst llvm
すごい
最適化
C# IR objIRIL

16. 速い理由
その２
SIMDを使う！

17. ひとつの命令で複数の計算を行う仕組み
SSE (Intel CPU)
NEON (ARM CPU)
など
SIMD ( Single Instruction Multiple Data ) とは

19. ???ps →ベクトル演算になっている
アセンブラ簡易診断 (intel)
???ss →ベクトル演算になっていない
mulss xmm5, xmm2
addss xmm4, xmm4
subss xmm4, dword ptr [rdi + 4*rdx]
mulps xmm2, xmm10
subps xmm2, xmm1
addps xmm2, xmm0

20. 各プラットフォームの対応状況
ターゲットプラットフォーム サポートしているCPUアーキテクチャ
Windows x86 (SSE2, SSE4),x64 (SSE2, SSE4)
Universal Windows
Platform
x86 (SSE2, SSE4),x64 (SSE2, SSE4), ARM32
Thumb2/Neon32,ARMV8 AARCH64
Android
x86 SSE2,ARM32 Thumb2/Neon32,ARMV8,
AARCH64
Xbox One x64 SSE4
PS4 x64 SSE4
macOS x86 (SSE2, SSE4),x64 (SSE2, SSE4)
iOS ARM32 Thumb2/Neon32,ARMV8 AARCH64
Android
x86 SSE2,ARM32 Thumb2/Neon32,ARMV8,
AARCH64
Linux x86 (SSE2, SSE4),x64 (SSE2, SSE4)

21. メモリエイリアス
を考慮
速い理由
その３

22. memcpy(src, dst, 128);
これも
ベクタライズ
したい！

23. 3 1 4 1 5 9
src
dst
ベクタライズ
memcpy(src, dst, 128);

24. エイリアス問題
3 1 4 1 5 9
src
dst
ベクタライズ
3 1 4 1 5 9
1 4 1 5 9
dstsrc
事故発生！
dstが重なってる可能性
dst
memcpy(src, dst, 128);

25. 重なったメモリで試してみると・・・
エラーが
出てくれる！

26. for (var i = 0; i < dst.Length; ++i) {
dst[i] = src[i];
}
ベクタライズ
成功例

27. Burstコンパイラー
C#
機械語
C#コンパイラ
IL
IR
LLVM
すごーい

28. C# Job Systemでしか使えない
Burstの制約

29. Unityエンジンの並列処理システム
C# Job System とは
ワーカースレッドが実行
データ
データ
プログラム
Job
ワーカースレッド

30. クラスが使えない
Burstの制約
その２

31. マネージドヒープを使う参照型は使えない
（ガベージコレクションを避けるため)
配列
文字列
クラス
NativeArray
NativeString
構造体
使える使えない

32. 例外処理ができない
Burstの制約
その３

33. try
catch
finally
throw
使えない
使える
throwだけは使える

34. Burstコンパイラー
C#
機械語
C#コンパイラ
IL
IR
LLVM
すごーい

35. 実演パート

36. https://github.com/tnayuki/Unity-BurstWave

37. Burstの今後

38. 機種間Deterministic！
本当？ 本当

39. 機種間Deterministic
単精度のadd,sub,mul,div,sqrtは保証されている
https://randomascii.wordpress.com/2013/07/16/floating-point-determinism/
原理的には可能

40. Unity.Burst.Intrinsics
本当？ 本当

41. まとめ
汎用性が高い代わりに、大幅な高速化は望めなかった
Burstは
ベクタライズされたコードを出力可能に
制約を設けることでC++と同等の高速化
IL2CPPは
DOTS(Data-Oriented Technology Stack)で威力を発揮

42. おしまい