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植物の遺伝子
~遺伝子の構造と機能~
       3章
            4月9日 中嶋
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・原核生物と真核生物
・ゲノムの構造とサイズ
・ DNA
・ RNA
・遺伝子の発現調節
・クローニング
・ PCR
・ RNAi
・遺伝子の発現解析
原核生物と真核生物


原核生物

膜構造がない

真核生物

 核(核膜に包まれた染色体構造)
 ミトコンドリア
 葉緑体
ゲノムの構造とサイズ(1)
原核生物

ほぼ全体に遺伝子が存在

真核生物

イントロン配列の存在

  葉緑体、ミトコンドリアゲノムは原核生物に似ている
                       共生説

生き物のゲノムサイズはまちまち!
(高等生物だからといってゲノムサイズが大きいわけではない)
ゲノムの構造とサイズ(2)

ゲノムを解読するには莫大な時間とコストが掛かる
           1000bp 読むのに3時間(2006年)

ゲノムが解読されている生物

ヒト、酵母、シロイヌナズナ、オポッサム、イネ、トマト、
キュウリ、メダカ ......

    高速シーケンサだともっと速く解読!

遺伝的多型=同じ生物種内での個体間での遺伝的差異
形質の決定




DNA→ 塩基配列→転写・翻訳→ RNA→
アミノ酸配列→タンパク質→形質
DNA (設計図)

2-デオキシリボースと塩基とリン酸を1単位(ヌクレオチ
ド)とし、それらが鎖状に繋がって二重らせん構造を形成


ヌクレオチド       塩基配列

             ATAGCCGTAGGACT ・・・
 塩基の違いで4種類
             TATCGGCATCCTGA ・・・
  A: アデニン       AとT
  G: グアニン       G と C が対をなす。
  C: シトシン
  T: チミン     半保存的複製
             二本鎖がほどけ、一本を鋳型と
             して複製
RNA
転写(設計図のコピー)
 DNA を鋳型にして RNA ポリメラーゼⅡが mRNA を合成

   ATAGCCGTA ・・・   A→U   T→A
   UAUCGGCAU ・・・   G→C   C→C


翻訳(設計図を元に部品を集め組み立て)

mRNA を元にアミノ酸配列へと翻訳

塩基 3 つを 1 組とした暗号=コドン
リボソーム内で tRNA とアミノ酸の
複合体が mRNA に結合
遺伝子の発現(転写)調節
 適切な時空間におけるタンパク質の生産=転写の調節
 ex. 発芽促進する遺伝子、開花調節遺伝子など……
転写因子(遺伝子発現のスイッチ)
・転写開始点近傍の領域に結合(転写因子ごとに異なる)
・ TATA ボックス…転写開始点の 25bp 程度上流にある配列
             基本転写因子 TFⅢD を誘導するとか…

                      転写因子の結合


                    RNA ポリメラーゼを誘導


                         転写
遺伝子クローニング
クローニングとは…
特定の DNA 断片を増幅させ配列を決めること

   ・ゲノム DNA を元に塩基配列を解読(イントロンが邪魔)
   ・ mRNA を元に合成する方法

mRNA を元に合成する方法

 mRNA 逆転写 cDNA   大腸菌などに組み込む   増幅


 タンパク質が欲しいときは mRNA スタートの方が便利
 プロモーター解析やマッピングなどではゲノム DNA を利用
PCR (ポリメラーゼ連鎖反応)
DNA を増幅させる方法              高温( 95℃ )で DNA 解離


                          60℃ くらいで短鎖 DNA (プ
                          ライマー)が結合


                           72℃ くらいで DNA ポリメ
                           ラーゼが DNA 伸長させる


                                以後繰り返し…


  参考: LAMP 法
  http://loopamp.eiken.co.jp/lamp/principle.html
RNAi
特定の遺伝子発現を抑制する方法
             標的遺伝子と同じ配列でヘアピン上
             の二重鎖を作るような DNA を導入


                ブチブチと切断される


            DNA 断片と酵素で RISC という複合体


                  標的 RNA の分解

 もともと生物が持っている microRNA による制御を利用
遺伝子の発現解析(1)
ノーザンブロット      ゲル上にて RNA を泳動
              ( RNA 鎖の長さで分離)


                メンブレンに転写


           RI や蛍光で標識した特定の DNA 断片


            DNA と相補的配列を持つ RNA
※ 組成によってはちょっとズレることもある
 遺伝子の発現解析(2)
ウエスタンブロット(タンパク質検出)
                タンパク質を SDS 電気泳動
                (分子量の大きさで分離※)

                     メンブレンに転写


               目的のタンパク質に対する抗体


               (本当はここで「目的のタンパク
               質に対する抗体」に対する抗体)


                     蛍光、 RI などで検出
遺伝子の発現解析(3)
マイクロアレイ
 ゲノムの解読し終わった生物が対象の発現の網羅的解析法
             チップに全ての遺伝子の DNA 配列


              2つのサンプルから RNA を抽出

               それぞれ別の色で標識

              チップ上 DNA に結合させる

                 発現の強弱を定量

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