土壌‐12章
- 1. 土壌学の基礎
第12章 作物養分の土壌中での働き
● 目次
– 5.カルシウム
– 6.マグネシウム
– 7.イオウ
– 8.微量元素
●
鉄
● マンガン
● 亜鉛
●銅
● ホウ素
● モリブデン
● 塩素
- 2. 5.カルシウム(Ca、石灰)
● 働き
● 細胞壁や原形質などの膜構造維持
● 特徴
● 植物内で移動しにくい
● 欠乏症状・・・新葉から発現
● 奇形による切れ込み(口絵3p)
● しりぐされ果(トマト)
● チップバーン(イチゴ)
● みつ症(梨)
上:チップバーン、下:みつ症
(こうち農業ネットより)
※参考HP:タキイ種苗‐病害虫・整理障害情報(http://www.takii.co.jp/tsk/bugs/index.html)
こうち農業ネット(http://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/)
- 3. 5.カルシウム(Ca、石灰)
● カルシウムは欠乏しにくい
● 日本の土壌は酸性化しやすい(雨の影響)
→炭酸カルシウム施与で防止
● 何故欠乏症が起きるのか?
●
カリウム吸収とカルシウム吸収が拮抗
⇒一方が過多だともう一方の吸収阻害
※堆肥の入れすぎには十分注意すること!
- 4. 6.マグネシウム(Mg、苦土)
● 働き
● 葉緑素の構成要素
● 光合成中間産物のリン結合にも関与
● 特徴
●
植物体内を移動しやすい
キュウリのグリーンリング症
(こうち農業ネットより)
● 欠乏症状・・下位葉から発生
● 葉脈間の黄変
(葉緑体の合成阻害)
– グリーンリング症
(キュウリ)
- 5. 6.マグネシウム(Mg、苦土)
● 注意点
●
カリウムが異常に蓄積したところでは、
マグネシウムの吸収が衰える
↑カルシウムと同じ
● 黒ボク土では供給量低い
● 蛇紋岩地帯は高い
●
補給資材
● 硫酸マグネシウム
● 熔成リン肥(ヨウリン)
株式会社オリーブ・肥料の使い方・化学肥料の種類と使い方
http://www.olive-eco.jp/hiryou/kagaku01-2.html より
- 6. 7.イオウ(S)
● 働き
● タンパク質構成成分 (窒素に類似)
● 欠乏症状
● 窒素に類似(下位葉から淡い色に )
●
違い:植物体がイオウ欠乏の方が大きい
●
特徴
●
日本では一般的に欠乏しにくい
● 黒ボク土では欠乏しやすい
⇒化学肥料施用で回避
● 老朽化水田では、稲の発育不信防止に硫酸
肥料の使用控える
⇒イオウ欠乏でやすく
- 7. 8.微量元素
1)鉄(Fe)
● 働き
● 葉緑素前駆物質合成
● 光合成に関わる酵素の構成物質
● 欠乏症状
●
Mgに類似(但し上位葉から発現)
●
特徴
● 土壌中に多いので欠乏しにくい
※土壌がアルカリ性になると難溶性化
キクの鉄欠乏症(こうち農業ネットより) トマトの鉄欠乏症(タキイ種苗より)
- 8. 8.微量元素
2)マンガン(Mn)
● 働き:鉄に同じ
● 特徴:鉄に同じ
● 欠乏症状:Mgに同じ(=下位葉から発現)
● マンガン過剰症:葉脈に紫が滲み出る
左:オクラのマンガン欠乏症、中:キュウリのマンガン過剰症、
右:ナスのマンガン過剰症(こうち農業ネットより)
- 9. 8.微量元素
3)亜鉛(Zn)
● 働き
● 葉緑素形成、植物成長ホルモン調整
● 特徴
● アルカリ性で不溶化 (Fe,Mnに同じ)
→アルカリ化で欠乏症出やすい
●
リン過剰⇒亜鉛利用性低下
(不溶性のリン酸亜鉛形成のため)
←オクラの亜鉛欠乏症(こうち農業ネットより)
↓キャベツの亜鉛欠乏症(タキイ種苗より)
- 10. 8.微量元素
4)銅(Cu)
● 働き
● 光合成・呼吸関係
● 特徴
●
Zn,Moと強い拮抗作用
●
アルカリ性で不溶化
●
黒ボク土、泥炭土では欠乏しやすい
– (腐植と強く結合しやすい)
● 銅山・ふん尿中のCuによる過剰害も
左:キュウリの銅欠乏症、右:キュウリの銅過剰症(タキイ種苗より)
- 11. 8.微量元素
5)ホウ素(B)
● 働き
● リン、Caに類似
● 糖の移動、成長ホルモン調節にも関与
● 特徴
●
アルカリ性で不溶化→欠乏症
オクラのホウ素欠乏症 レタスのホウ素過剰症
葉に奇形(タキイ種苗より) 葉縁部に褐色の小斑点(タキイ種苗より)
- 12. 8.微量元素
6)モリブデン(Mo)
● 働き
● 硝酸還元酵素の構成成分
● 生物窒素固定
● 特徴
●
酸性になるとFe,Alと結合して不溶化
●
植物に過剰害は出にくいが、牛など採食
者に発症することも
- 13. 8.微量要素
7)塩素(Cl)
● 働き
● 光合成の酵素反応の触媒
● 細胞壁pH調節
● アミラーゼ活性剤
●
特徴
●
不足することはほぼない
– 塩安、塩加の常用
– 雨、雪に由来