5.2光による反応
- 2. 葉緑体
• 実際に光合成が起こる場所
• CO2を炭水化物まで変化させるために必要な
酵素が一通り入っている
• 1/3は脂質、2/3はタンパク質
• 細胞中の個数は植物種、組織、齡により異な
り、数個から数百個まで様々
- 3. 葉緑体の構造
グラナ
ストロマ
チラコイド
デンプン粒
h.p://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E7%B7%91%E4%BD%93
- 4. 植物の色素
• 植物の葉は赤と青色を吸収する=色素によ
り太陽のエネルギーを獲得している
• クロロフィルa、クロロフィルb、β-‐カロチン、キ
サントフィル‥etc
• クロロフィルa(の一部)は光合成の反応中心、
他の色素はエネルギーをクロロフィルaに伝え
るための補助色素
- 7. 光化学反応
• 光合成の全過程は…
– 6CO2+12H2O
→
C6H12O6
+
6H2O
+
6O2
• 光合成の反応は2つ
に大別できる
– 光による反応…
NADPHとATPの合成
– 光によらない反応…
炭酸固定
h.p://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%90%88%E6%88%90
- 8. 光による反応
-‐
NADPHとATPの生成 -‐
• 葉緑体のグラナ部分で行われる
1. 光のエネルギーで水を分解し電子を得る
2. 電子のエネルギーでチラコイド内にプロトンを輸
送、電子は別の光受容体に吸収される
1. 電子を得た光受容体は再度光を受けエネルギーを
放出、NADPHを合成
2. チラコイド内に輸送されたプロトンが濃度勾配に
従ってストロマに出るときのエネルギーでATPを合成
• 水の分解時に酸素が発生する
- 9. 光によらない反応 ─
炭酸固定 ─
• NADPHとATPのエネルギーでCO2をC6H12O6に
同化するまでの反応
• 反応速度は温度、CO2濃度に律速され、光は
必要ない
• 炭酸固定はカルビン・ベンソン回路と呼ばれ
る回路反応である
- 11. カルビン・ベンソン回路
• CO2はリブロース二リン酸(RuBP、炭素数5)に取り込ま
れて炭素数6の化合物になった後、直ちに分解されて
2つのホスホグリセリン酸(PGA、炭素数3)になる
RuBP
+
CO2
→
(C6)
→
2PGA
• 反応を触媒するのがリブロース二リン酸カルボキシ
ラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)
• RuBisCOは強光下で酸素の多い時はRuBPにO2を付け
て1分子のPGAと3-‐ホスホグリコール酸1分子を作るが、
ホスホグリコール酸は光合成を阻害するのでエネル
ギーを消費して分解する(光呼吸)
- 13. C4植物
• カルビン・ベンソン回路の前段階に別の回路を
持ち、効率的に炭素を取り込む
• この回路では二酸化炭素はホスホエノールピル
ビン酸(PEP)にまず取り込まれ、最終的にリンゴ
酸(炭素数4)が合成される
• リンゴ酸の炭素数にちなみこの回路(C4ジカルボ
ン酸回路)を持つ植物をC4植物と呼ぶ
• PEPカルボキシラーゼはRuBisCOよりもCO2との親
和性が高く、炭素取り込み効率が極めて高い
- 14. C4植物の特徴
• 維管束鞘が葉緑体を持つ
• 葉と維管束鞘の葉緑体は働きが異なる
– 葉:光化学過程とC4回路による炭酸固定
– 維管束鞘:カルビン回路による糖・デンプンの合
成
• CO2を濃縮できるので、低CO2濃度でも光合成
効率が落ちにくい
→
C3植物に比べて光飽和
点が高く、強光を有効に活用できる
- 15. C4植物の特徴
• 生育適温が高い
• 水の利用効率が高い
• C4植物を含む科の全ての植物がC4植物であ
るとは限らない
• 栽培植物の多くはC3植物だが、C4植物の栽培
植物としてはトウモロコシ、サトウキビなどが
ある
- 16. CAM植物
• 夜間に炭素を取り込み、昼に合成する植物
• ベンケイソウ科(Crassulaceae)に多いことから、
ベンケイソウ型酸代謝(Crassulacean
Acid
Metabolism)植物、略してCAM植物
• サボテン、ユリ、ランなどに多い
• 昼は気孔を閉じている
– 洋ランのCO2施用は夜間に行う
• 炭酸固定の仕組みはC4植物と同様
- 21. 光合成の律速要因
• 光合成は最も不足している要因に支配される
• 光強度、CO2濃度、温度、水分…
• CO2取り込みの点からは湿度も気孔開度を通
じて光合成速度に影響する
• 高CO2条件ではRuBP再生速度のようなものも
律速条件となる*
*矢守航「〜光合成系制御機構の環境応答〜
光合成速度の決定要因の解明に向けて」
h.p://www.agri.tohoku.ac.jp/syokuei/yamori.html