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ドイツにおける協働的ものづくりの実践(Open collaborative Monozukuri in Germany)
- 1. ビジネス環境の変化:Systems of Engagement
行木:顧客中心時代の訪れとともに、個別ニーズを敏感にとらえ、
ものづくりに反映していかなければ、ビジネスを継続することが
困難になってきました。多様化するビジネス・ニーズに対応するため
には、人と人が気軽につながり、「知」を共有しながら、一人ひとり
の顧客に対してより大きな価値を提供する仕組みが必要です。
IBMが現在、最も注力している領域の一つが「Systems of
Engagement(SoE)」です。20世紀はトランザクション処理を
中心とする業務の効率化を進めてきました。しかし、今、私たちが
目指しているのは「人」が最大限に能力を発揮し、その能力をつな
げることで価値を創造し、ビジネスを推進することです。
企業内における
デジタル・ビジネス・トラ
ンスフォーメーション
セバスチャン:デジタル化が
あらゆるところで進み、事業が
変わり、サプライチェーンや労
働力をはじめ、企業のあらゆる
機能がその影響を大きく受け
ています。この新たなデジタ
ル・エコノミーのもとで協働的
ものづくりによりビジネス変革
を推進するドイツ自動車業界
の2社の事例をご紹介します。
◦ :BOSCH Connect
イノベーションを実現するために、
企業やパートナーを含めたソーシャル・ネットワークを活用
ボッシュは、世界94拠点でおよそ30万人の社員が働くグローバル
企業です。自動車にとどまらず、産業技術を含むモビリティー・ソ
リューション事業を展開しています。事業展開にあたり、ビジネス
環境の変化に対応するため、グローバルで働く多数の社員をいか
にまとめ、パートナーと協業して一つのエコシステムを形成し、いか
にイノベーションを実現するかが課題でした。
そこでボッシュが考えたのが「BOSCH Connect」というソーシャ
ル・ネットワークを活用した仕組みです。社内には情報があふれ、
電話やe-メールによる仕事の中断が頻繁に起こっていました。
組織の枠を乗り越え、共通の関心を持つ仲間とつながり、発想の
転換を図ることが求められましたが、従来のコラボレーション基盤
には多くの制約があり実現が困難でした。その制約を超え、組織
の枠を越えたコラボレーションを促進し、プロセス・イノベーション
実現のために生まれたのがBOSCH Connectです。
BOSCH Connectのコンセプトは、共通の関心を持つグループが
デジタル上で一堂に会し議論しながらものづくりを進める、今まで
とは全く違ったコラボレーションを実現するものでした。企業全体
としてROIを確保するために、35以上のユースケースを作り評価し、
社員の業務効率を高める追究をしました。
新しいコラボレーション手法により、
情報共有とナレッジ形成を促進
2013年に構築されたBOSCH Connectは、2014年12月には
約90%の社員が使い、2万以上のコミュニティーが生まれています。
日々の業務の16%がBOSCH Connectを使って行われ、また
82%の社員が自発的にコミュニティーに参画し、貢献したいと
表明しています。自由で、かつプロセスに従った手法を推進した
結果、多くの人々が相互につながり、ナレッジの形成が22%増えた
という結果が出ています。
私たちはボッシュとともに、ユースケースを検討し、イノベーション
管理をして、より多くの人々のやる気を起こさせ、先に進むに従って
ビジネスの関与度の高いアイデアに熟成させていくよう計画しま
した。そして、多くの具体的な数字が示すように、現在、会社全体に
広く適用されています。今は社内業務を中心に使用している段階
ですが、今後はさらに外部との関係を強めるなど、ソーシャルを
活用した新たなビジネス・フレームワークの構築を目指しています。
◦ :オープン・イノベーションの実現
イノベーションの管理は、特に自動車業界では大変重要な課題
Open collaborative Monozukuri in Germany
ドイツにおける
協働的ものづくりの実践
Gartner Symposium/ITxpo 2015
講演抄録
経済の複雑化、グローバル化が進む中、イノベーションによる新たな価値の創造に向けて、新しい一歩を踏み出す時期に来ています。本講
演では、ソーシャル・コラボレーションによるものづくりを実践し、イノベーションを実現したドイツの自動車業界の事例と、イノベーションを
支えるIBMのソーシャル・ビジネス・プラットフォームについてご紹介します。
日本アイ・ビー・エム株式会社
技術理事 自動車産業
最高技術責任者 理学博士
Dr. Sebastian
Wedeniwski
(セバスチャン ウェデニウスキ)
2015年10月28∼30日|ヒルトン東京お台場(東京都港区)
日本アイ・ビー・エム株式会社
Dr. Sebastian Wedeniwski