NST概論講義
- 4. ODA
objective data assesment
・客観的栄養評価
・主観的な SGA に対して、客観的
な臨床検査値などのデータに基
づく評価
・「どのような栄養障害が存在し、
なにが問題なのか、それはどの程
度なのか」を判断
4
栄養評価
SGA
Subjective global assesment
・主観的包括的評価
・簡単な情報のみで、大まかに栄養
状態を評価
・「栄養不良が存在するか否か」を
判断
・栄養状態のスクリーニングとして
使用する
- 12. 12
投与量の計算方法(例)
例) 70 歳男性、身長 165cm 、体重 58kg 、ベッド外での活動あり、胃がん手術
予定
1.Harris-Benedict 式を用いた計算
エネルギー投与量= BEE ( HB 式) × 活動係数 × 傷害係数
※ BEE :基礎エネルギー消費量( basal energy expenditure )
ベッド以外での活動があるので、活動係数は 1.3 (本来は日常生活の活動性をよ
く観察して設定すべきである)胃がん患者であるため傷害係数は 1.2 とする( 1.1
または 1.3 とする可能性もある。胃がんの進行状況も考慮すべきである。食事摂
取量が減少して栄養障害に陥っていれば、代謝が低下していることも考慮すべ
き)
BEE = 1222.07
エネルギー消費量= 1222.07 × 1.3 × 1.2 = 1906.43 ( kcal )
傷害係数 1.1 なら→ 1747.56 ( kcal ) 1.3 なら→ 2065.3 ( kcal )
2. 簡易式による計算
エネルギー投与量=体重 × 30 ( kcal/kg/day )
- 13. 13
栄養素投与量の計算方法(例)
例) 60kg の男性にエネルギーを 30kcal/kg/day 投与する。脂肪の投与量は総エネ
ル
ギーの 20 %とし、タンパク質は 1.0g/kg/day とする場合
① 総エネルギー投与量: ??? kcal/day
② タンパク投与量: ?? g/day これはタンパク質として ??? kcal を意味する
③ 脂肪投与量: ?? kcal これは脂肪として ?? g を意味する
④ 炭水化物投与量: ???? kcal これは炭水化物として ??? g を意味する
すなわち計算上は炭水化物○○ g 、タンパク質○○ g 、脂肪○○ g を混合させ、必要
水分量を考慮した栄養剤を投与するということを意味している。
これらの投与量を輸液で満たすには?
- 17. 17
経腸栄養法
EN : enteral nutrition
enteral( 経腸の) nutrition( 栄養)
ー 狭義の EN =経管栄養
ー 広義の EN = 経腸栄養剤の投与
(経口摂取も含む)
経腸栄養の利点
・免役能の維持
→使用可能な腸管を使うことの意義
・静脈栄養法の合併症がない
→しかし、経腸栄養にも合併症はある
- 24. 24
経腸栄養剤の半固形化(粘度)
粘度の単位 = c P (センチポワズ)
= mPa ・s(ミリパスカル秒 )
マヨネーズ : 40000 cP
ヨーグルト : 5000 cP
とんかつソース : 3500 cP
ポタージュ : 400 cP
経腸栄養剤 ( 液体のもの) : 10cP
PG ソフト : 20000cP
REF-P1 は栄養剤によって粘度が変わる
20000cP は 95 %の人が逆流しない粘度
2000cP は 65 %の人が逆流しない粘度
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静脈栄養法
高カロリー輸液 IVH : Intravenous Hyperalimentation
中心静脈栄養 TPN : Total Parenteral Nutrition
末梢静脈栄養 PPN : Peripheral Parenteral Nutrition
中心静脈栄養法の適応
1.1 栄養療法が必要な場合は可能な限り経腸栄養を用いる(Ⅱ A)
1.2 静脈栄養は、経腸栄養または経口摂取が不可能または
不十分な場合に用いる(Ⅲ A)
1.3 中心静脈栄養法は静脈栄養の長期化が予想される場合に用いる(Ⅲ A)
厚生労働省カテーテル関連血流感染対策ガイドラインより
- 29. 29
末梢静脈栄養(維持液)
トリフリード
ビーフリー
ド
フィジオ 35 KN3 号
用量 1000ml 500ml 500ml 500ml
糖質 (%) 10.5 % 7.5% 10% 2.7%
浸透圧比 2.6 3 3 1
熱量 420kcal 210kcal 200kcal 54kcal
・末梢からの投与における浸透圧比は 3 程度が上限
・エネルギーを増やすと水分量が多くなる
・末梢からの投与は水分、糖濃度、アミノ酸濃度から 1200kcal / 日
程度まで
- 30. 30
中心静脈栄養(1)
ハイカリック
RF
500ml
フルカリック 1 号
903ml ( 1806ml )
フルカリック 2
号
1008ml ( 2006ml)
フルカリック
3 号 1103ml 号
糖質 250g 120g(240g) 175g(350g) 250g
アミノ
酸
0g 20g(40g) 30g(60g) 40g
脂質 0g 0g 0g 0g
総熱量
( Kcal)
1000kcal 560kcal(1120kcal) 820kcal(1640kcal) 1160kcal
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中心静脈栄養(2)
維
持
液
TPN 基本液 1 号
(フルカリック 1 号)
TPN 用総合ビタミン剤
脂肪乳剤:総投与熱量の
20 %
TPN 基本液 2 号 TPN 基本液 3 号
(フルカリック 2 号) (フルカリック 3
号)
0 1 2 3 4・・・(日)
導入期 維持期
導入期
低濃度ブドウ糖から始めて
高濃度へと移行
→ 大量ブドウ糖投与に適応さ
せる時期
維持期の投与法
目標のカロリー、栄養成分の投与
ストレスの程度は経時的に変化する
ことに注意
kcal
- 34. 34
必須脂肪酸欠乏(3)
人工脂肪粒子のリポタンパク化は投与後数分以内に完成する。人工脂肪粒子
が加水分解された後、アポリポタンパク C 群は HDL に戻り、次々に血中に
入ってくる人工脂肪粒子に絶え間なく転送される。しかし脂肪粒子と HDL の
数的なバランスからみて、脂肪粒子の数が血中において HDL のそれを上回っ
た状況下、例えば脂肪乳剤の投与速度が速すぎた場合、 HDL からアポリポタ
ンパクの供給を受けられない脂肪粒子が血中に停滞し、高脂血症を招来する。
網内系機能を抑制しないためにもこのような状況は回避しなければならない。
人工脂肪粒子が効率よくリポタンパク化され、加水分解される投与速度の上限
はトリグリセライドに換算して 0.1g/kg 体重 / 時間となる。
右図は、 0.1g/kg (体重) / 時間
と 0.3g/kg (体重) / 時間で脂肪
乳剤を投与したときの血中トリ
グリセライド値を示している。
この事実からもトリグリセライ
ドの投与速度の上限は
0.1g/kg (体重) /1 時間である
ことがわかる。
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カテーテル関連血流感染症(1)
・ CRBSI ( Catherter-related Blood StreamInfection)
定義: TPN 施行中に発熱、白血球増加など感染をうたがう症
状があり、カテーテル抜去によって解熱、その他の臨床所見
の改善を見たもの
これが一般的に用いられているカテーテル間連血流感染症の定
義である。しかしこの診断基準では実際の臨床においてはさ
まざまな要因が関わっているために、明確に判断できない場
合が多い。
Editor's Notes
- SGAとりあえず短時間で、簡便な項目で、主観的に、栄養不良の有無と程度を評価
栄養療法(NSTが介入するか)の適応を決定
ODA 詳細にどの型の栄養障害が存在するのか、栄養素の何が不足しているのか
どの程度の栄養障害であるのかを判断し、栄養療法の内容を決定する
- スクリーニングはできるだけ簡便に、短時間で、すべての患者に
- SGA は体重以外は数値ではなく具体的な事項(肺気腫、悪液質、褥創、術後)等の因子で判断しよい。
- さまざまな原因がある、複数の視点から判断する。仮にAlbの値が正常だからといって栄養状態が良好というわけではない。
- 半減期が短く、分子量が小さく、変動率が大きいタンパクをRTP(Rapid Turnover Protein)と呼びます。栄養アセスメントの検査に利用されています。アルブミンよりも鋭敏に患者さんの栄養状態を反映します。
- できれば末梢で管理するのは1週間以内に留めたほうが栄養不良に陥るリスクが減少する。
1日の総合的なカロリーが400kcalで3日以上
800kcalで1週間以上で栄養不良状態になるリスクがあがる、といわれている。
- エンテラル・ニュートリション
- はんぱつせいふくまくえん。