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【No.16】児童擁護施設で生活する児童の学習支援の可能性
- 3. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 最終報告書 リサーチ・プロジェクト 100 事務局 2010 年 10 月 8 日 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.
- 5. 1. 現状整理・調査設計 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 4 ヒアリング内容 現行事業プランの課題 ターゲット 設定 【 現在(開業から 1 年 】 都内の児童養護施設(小学生~高校生) 学生ボランティア(一部塾講師など社会人) 【 今後 】 事業の社会的価値を明確化して、一般支援者(寄付)、行政、企業にアピールしたい サービス自体のターゲット(受益者など現場のステークホルダー)は明確。 ただし、支援者・提携先として、行政や企業を巻き込むためのノウハウが不足している。 社会課題の 理解と共有 養護施設からのニーズは高い。営業した全施設で導入決定した。 現場の外にいる、行政、企業や、一般社会での問題認識はとても低いと感じる 養護施設内では学習遅滞は共有の課題として広く認知されているが、養護施設の絶対数も少なく、一般には認知が低い。 事業の 訴求方法 他の NPO サービスとは明確に差別化し、「学習支援」に特化。「学習支援」によって、学習遅滞から派生する生活保護 / ホームレスなどの社会課題を予防。 受益者には明確な事業訴求ができているが、事業の社会的価値を定性的にしか示せていないので、支援者や提携先などのステークホルダーの巻き込みに苦労している。 商品・サービス 学習遅滞児童・生徒(養護施設の職員が判断) 1 人に 1 人の学習ボランティアをマッチング。継続的に学習指導を行う。 現在は学習内容はボランティア個人に依存している。今後は指導プログラムを作って、支援のクオリティを上げたい 提供価値 児童・生徒個人の学習サポートにより、生活保護 / ホームレスなどの社会全体の課題解決につながること。 教育の成果を可視化するには時間が必要。 事業の社会的価値を具体的にどう示せるか、見えてない。
- 13. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 2. ヒアリング報告 -児童養護施設 Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール 児童養護施設職員。 対象事業のサービスを現在活用している。 社会課題における立場・要望 ・ 児童養護施設の職員として、日々子どもたちのお世話をする立場。 ・子どもの悩みとしては、「学習面」での問題より、「心」の問題の方が大きい。学習面だけでなく、子どもの成長の助けになったり、 自己肯定感を持たせてあげるようなサービス を行ってほしい。 ・子ども 一人ひとりのニーズを満たしてあげたい。 社会課題に対する取り組みの現状 ・施設職員だけでは、より子どものニーズを満たしてあげることが難しい。 ・ボランティアセンターや、施設周辺の大学、HPを見た人から個別学習のボランティア希望はある。 事業領域・商品・サービスの認知 ・子どもたちは マンツーマンの希望が多い。 ・ボランティアと接するだけでも、子どもの気づきになる。 ・ボランティアを探す際には、時間がかかってしまったり、子どもニーズに合わないこともあるので、迅速かつニーズに適したボランティアを提供してくれることは、ありがたい。 ・成績向上以上に、勉強に対する拒否感を減らしてほしい。 対象事業の印象 ・ 自分だけの特別な担当者がいるという点が大きい( 認めてくれる人の存在 )。 ・児童養護施設に接する上で、事前知識として知っておいてもらいたいこと、少々改善してもらいたいところはある。 ・子どもたちの課題に 真摯に向き合ってくれる。 ・施設の 要望をきちんと取り組んでくれている ので、安心して任せられる。 ・子どもから ボランティアに対する苦情は今のところ出ていない 。 ・学習面だけでなく、 一人ひとりの子どものニーズをきちんと捉えてくれる存在。
- 14. 2 . ヒアリング報告 -学生ボランティア Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 対象者・ プロフィール 学生ボランティア(現在ボランティアを始めて 5 ヶ月目) 担当の子どもは、中学 3 年生の女の子。 数学を週に 1 時間 教えている。 アルバイトとしては 塾講師をしている(勉強の苦手な子どもには慣れている)。 社会課題における 立場・要望 ・ 児童虐待に興味があり 、自分でも何かしたいと考えており、検索で当事業を知った。 ・子どもが学習できるようにすることの方がただ遊ぶというよりも、将来的にその子どもの武器になるのではないかという考えのもと、当事業のメルマガに登録した。 ・メルマガでのボランティア募集に手を挙げて、現在は当事業のボランティアとして、子どもに勉強を教えている。 ・担当の子どもは学習意欲があるため、比較的教えやすい。 社会課題に対する 取り組みの現状 ・子どもと遊ぶボランティアは多いけれども、 学習支援に特化したボランティアは少ない。 ・勉強ができない子どもが多い。 ・ボランティアの人は福祉関係者や教育関係者が多い。 事業領域・商品・ サービスの認知 ・ボランティアのメリットとしては ①人間関係構築のノウハウが得られること ②子どもの喜ばせ方や教え方がわかるようになることがある。 ・事業としては 生徒のニーズとボランティアの人柄のマッチング が大切である。 ・子どもの中には ボランティアに学習補助を求める場合と絆を求める場合 の2つの場合がある。 ・なお教え方としてはほめることが大切(肯定されることが重要)。 対象事業の印象 ・ 社会問題に少し関わることができることがやりがい。 ・これからもできれば ボランティアを続けていきたい が、社会人になっても固定した時間がとれるのかどうかが不安。それを補完する体制があるとなお良い。 ・教え方の共有なども含め ボランティア同士の交流の機会がほしい。 ・何かのときのために スクールカウンセラーのような人がいると安心。 ・代表の仕事をもっと減らせるような方法をつくるべきではないか(副代表の設定)
- 16. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. [ 参考 ] 9/5 (日)対象事業 の説明会・懇親会 参加者との談話から 説明会 懇親会 児童養護施設 職員 大体、虐待する親は 6 日間、一生懸命子育てをします。 ただ、 7 日目にストレスの発散場所を間違えてしまう。 しかし、それは親失格ではないのです。 そういう親をサポートできないのが問題。 親だけを責めて、追い詰めるのはやめて欲しい。 大学生 (社会福祉系) 児童養護施設(の児童)に関心がある。 児童の学習支援は難しそう。 自治体職員 学習支援ボランティアに関心はあるが 一年間の定期的継続的な参加は困難 学校教師 他ボランティア 団体 「福祉」と「教育」 と分野は異なるが 「子どもたちの成長を応援する」 という立場では 同じ志を持つ人たちなのだなと実感した。 学生ボランティアの中には、教師志望の方も多かった。 児童福祉施設の児童と一緒に遊ぶのがメイン。 学習支援などを求められることもあるが難しい。 「学習」に特化している点が素晴らしいと感じた。
- 20. 4.ステークホルダー ~全体図~ Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. 企業(財団) 行政 個人(支援者) 企業 業界団体 学生ボランティア 社会人ボランティア スタッフ 大学 児童養護施設 家族 児童相談所 児童 職員 助成金 事業報告 事業報告 資金提供 人材育成 寄付金 事業報告 CSR 広報 教 育 人 材 人 材 教 育 情報提供 サービス提供 参加 運営 資金提供 19 対象事業
- 23. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. [ 補足 ] 対象事業の情報・データ 収集 の取り組み ~アンケート・現状~ 学習支援ボランティア 児童 職員 対象事業説明会 ボランティア 登録時 学習支援 活動中 児童養護施設 < 取得タイミング > < 取得対象 > 説明会アンケート 参加契機・感想・改善点・希望関与形態 ボランティア申込用紙 経験・指導科目・志望動機・不安事項 満足度調査 継続意欲・生徒との関係・ 3keys 運営面 満足度調査 先生との関係・学習意欲 満足度調査 負担軽減・児童の学習意欲 活動後 (卒業・担当者変更等) 主に、 対象事業が提供する学習支援の 品質管理のためのデータ収集 ⇒その場その時の意思決定に有効活用 ⇒蓄積による経時変化の把握は目的ではない 複数の児童養護施設におけるデータ収集の実施は特長 ⇒蓄積による経時変化の把握を目的とする調査の検討 学習指導ボランティア以外の協力者の 満足度調査 (例、運営スタッフや寄付者、外部協力者) 22
- 24. Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved. [ 既存事例活用 ] 対象事業の情報・データ 収集 の取り組み ~非営利組織の事業評価~ 『 事例で学ぶ非営利組織の事業評価―日本財団の実践事例から』 (第 3 部 事業評価の実践事例「過疎地で 1 年間のボランティア体験 」 ,pp.114-124 ) 太田黒 夏生 ( 著 ), 中田 和明 ( 著 ), リサーチアンドディベロプメント ( 編集 ), 日本評論社 (2003/12) http:// amazon .co. jp / dp /4535553548 学習支援ボランティアの活動前後の変化を、 3keys の事業の社会貢献度の 1 つとしてアピールする。 学習支援ボランティア 3key 説明会 ボランティア 登録時 学習支援 活動中 < 取得タイミング > < 取得対象 > 説明会アンケート 参加契機・感想・改善点・希望関与形態 ボランティア申込用紙 経験・指導科目・志望動機・不安事項 満足度調査 継続意欲・生徒との関係・ 3keys 運営面 活動後 (卒業・ 担当者 変更等) 参加者アンケート 自分自身の変化・ボランティア活動意欲 児童福祉、教育福祉に関する関心 < 設問例 > ■ 活動を通じた自分自身の変化(複数回答可) 社会的視野が広まった Y/N ⇒ どういった視点・観点に( ) 人間関係が広まった Y/N ⇒ 活動前との違い( ) 今後の方向性が固まった Y/N ⇒ 希望職種・分野( ) 忍耐力が高まった Y/N ⇒ エピソード( ) 不測の事態に動じなくなった Y/N ⇒ エピソード( ) 友人・知人との会話などで、 児童福祉や教育福祉の話題を取り上げることが増えたよう Y/N ⇒ 話題( ) 周囲の人間に、ボランティア活動の良さを話したり 参加を勧めたりすることがあった。 Y/N ⇒ 話題( ) ■ 活動後、ボランティアに参加するか 対象事業で学習支援ボランティアを継続する 対象事業 で学習支援以外のボランティアに参加する 別の団体で児童養護施設の児童に対するボランティアに参加する その他のボランティアに参加する 参加する気持ちはあるが、今はボランティア活動には不参加 参加は考えていない 23