【ハンドアウト資料】特許の楽校研修用動画2-1 特許権を獲得するための方法

導入編2-1 特許の権利化の位置付けとその方法
• 権利化編のご説明に入る前に、本パッケージを学ぶために必要となる前提知識として、
導入編の復習をしておきたいと思います。
• 特許制度というのは、良い技術を発明し特許出願をした人に対して特許権を与える代わりに、
世の中にその技術の内容を公開して貰う仕組みです。
• 特許出願人側は一定期間その技術を独占して事業をすることができ、
世界中のライバル達は公開された技術的知見を活用して研究開発を加速させることができます。
• これらのバランスによって世の中の技術を飛躍的に発展させていくことが目的です。
• つまり、特許出願をしさえすれば何でもかんでも特許権を与えて良い訳ではなく、
公開してくれた技術の価値に見合うだけの権利を与える必要があります。
• 要するに、特許出願人は特許庁の審査官とやりとりをして、
所定の審査を突破しなければ特許権を獲得することができない、ということです。
メモ欄
（注）〇〇〇〇〇〇社様にご提供した資料です。許可なくその他の皆様への拡散はご遠慮願います。

• 特許権を獲得するまでの大まかな流れをおさらい致します。
• 皆様の研究開発の成果として発明が完成し、特許出願をした後、１年半後にその出願内容が公開されます。
• この段階で自分達の特許出願は早かったのか遅かったのか、
ライバル達の出願との関係性が全て明らかになります。
• そして皆様は、特許出願をしてから３年以内に審査請求という手続をする必要があります。
審査請求とは、特許出願した内容について審査をして貰うかどうかを決めるものであり、
審査のためのお金を支払う必要があります。
後から分かったライバル出願の有無や内容、或いは自分達を取り巻く最新の研究開発状況等を踏まえて、
特許権の獲得を目指すか否かを決めます。
• その後、審査官とやりとりをしていきます。
審査に掛かる期間は時期と内容次第ではありますが、平均的には１年以上は掛かります。
• 審査の中で正式な権利範囲を決めていき、全てのチェックポイントを通過できた場合には、
晴れて特許権を獲得することができます。
• なお、ただいまご説明した内容は日本における手続の仕組みであり、
諸外国とは異なる部分もございますが、まずは基本的な流れを掴んで頂ければと思います。
メモ欄

• 以上の通り、皆様の研究開発の成果によって特許権を獲得していくためには、
権利化のプロセスを踏む必要があります。
このプロセスのイメージやコツを掴むことによって、
皆様の研究開発行為を、強くて価値ある特許権の獲得に結び付けることが可能になります。
本日は第１回として、権利化の位置付けや方法の全体像をご紹介したいと思います。
• 特許権を獲得するまでの手続を前から順に示しますと、
皆様がした発明について特許出願をした上で審査を突破していく流れであり、権利化は後工程となります。
特許の楽校が、出願編の前に権利化編の知識をお届けすることには理由がございます。
• 冒頭に申し上げた通り、特許権は審査を突破できなければ獲得することができません。
裏を返せば、せっかく出願をしたとしても、権利にならなければ意味が無いことになってしまいます。
それどころか、特許出願は世の中に技術内容を公開することを代償としていますので、
権利を獲得できなければ単なる公開損になってしまう場合もございます。
• もちろん、完全に無意味という訳ではなく、出願し公開することそのものに価値を見出せる場合もございますが、
権利化できなければその意義が大きく損なわれることは間違いありません。
• 更に言えば、せっかく特許にできたとしても、
事業や研究開発に何かしらの貢献が為される内容の特許権でなければ意味がなくなってしまいます。
• したがいまして、闇雲に特許出願をするのではなく、権利になり、
活用ができるような特許権の内容を想像し、逆算をするというスキルが極めて重要になります。
• そのため、まずは後工程についてイメージを掴んで頂くことが本講座の狙いです。
メモ欄

• 権利活用は高度な工程となってきますので、
本パッケージではまずは権利化、すなわち出願を特許権にすることについて学んでいきましょう。
メモ欄

• どのような特許出願であれば特許権になるのか、
実はここに研究者の皆さんが特に勘違いしてしまい易いポイントがございます。
それは、特許出願の基になった技術の内容が斬新であるか否かのみによって、
審査突破の成否が決まるという勘違いです。
• 確かにこれは理想的と思われますが、果たして、
技術が斬新であるか陳腐であるかを審査で明確に切り分けることは可能でしょうか。
• 特許権というのは、技術を独占し、他人を縄張りの外に追い出せる極めて強力な権利となりますので、
特許権が発生するか否かや、どこまでを権利範囲と認めるかは非常に影響力の大きい話です。
したがいまして、技術内容が斬新か否かという主観的で不明瞭な基準に判断を任せる訳にはいきません。
メモ欄

• そこで、特許権になるかならないか、すなわち審査を突破できるかできないかについては、
特許法特有の客観性のあるルールが設定されています。
• もちろん、特許制度は優れた技術を保護するためのものでございますので、
技術の斬新性が可能な限り反映されるようなルールにはなっております。
• イメージはこちらの図の通りであり、右に行くほど青色の領域が広く特許権になりやすいように、
左に行くほど赤色の領域が広く特許権になり難いように設計されています。
• 注目すべきは、右下や、左上の領域です。
• このルールを知らない人には、たとえ斬新で素晴らしい技術を生み出していたとしも、
残念ながら特許権にはならない、という不幸な出来事が起こり得ます
• 逆に、このルールを知っている人は、少々技術が低水準で陳腐なものであるとしても、
上手くルールを使いこなして特許権にしてきます。
• そして、特許権を獲得出来た場合に特に支配力が高いのは、実は右上よりも左上です。
例えば、極めて高い燃費を実現するエンジンが発明されたとして、
その画期的なエンジンにのみ使用される技術が右上、
エンジンであれば殆どのもので使用される汎用的な技術が左上です。
どちらの権利の方が支配力が高いかは一目瞭然だと思います。
• そのような特許権を仕立て上げるには、特許特有のルールを把握した上で、
研究開発段階から仕掛けをしていく必要があります。
本パッケージではそのための知識を手に入れていきましょう。
メモ欄

• 特許の審査では、審査官と書類のやりとりをして特許権を認めて貰います。
このスライドでは、審査官が書類を通して何を言ってくるのか、
それに対して皆様がとることが出来る手段とはどのようなものであるかをご説明致します。
• 特許の審査というのは、皆様が請求する範囲に権利を認めることができるか否かを見るものです。
具体的には、特許請求の範囲という書類に記載されている、
皆様が出願時点において希望した権利範囲の是非を審査します。
• その上で審査官は、拒絶理由というものを通知します。
• 皆様が希望している権利範囲が孕む様々な問題点を指摘し、
このままでは許可できないよ、という理由を説明するものです。
• これに対して皆様がとることができる手段は２つ、補正と、意見です。
メモ欄

• 一つ目の手段は、皆様が希望した権利範囲を変形することです。
審査官が提示した拒絶理由を取り除くことによって審査を攻略していきます。
このように、主に出願時に希望した権利範囲、特許請求の範囲を変更するために提出する書類を、
手続補正書と呼びます。
• 二つ目の手段は、反論をすることです。
審査官のしてきた拒絶の説明内容に対して、丁寧に論理的に異を唱えていきます。
審査官に納得してもらうことができれば拒絶理由は解消します。
そのために提出する説明書類を、意見書と呼びます。
• これら二つの手段の合わせ技によって、皆様は権利化を狙っていきます。
• 但し、ここで一つ注意点がございます。
これら二つのカードも好き勝手に切れる訳ではございません。きっちり手札を認識しましょう。
そもそも特許制度というのは、価値ある技術情報を「明細書」というカタチで世の中に公開する代償として
特許権を貰うことができるというものでした。
したがいまして、皆様が権利化でとることができる手段も、
基本的には出願時点において添付し公開した明細書の範疇です。
• 権利化時にはこちらの出願明細書という袋の中から材料を取り出し、
補正や意見という交渉カードを切っていきます。
• 重要なことは、この袋の中には後付けで材料を入れることはできない、ということです。
権利化に必要と思われるものは、出願時点に袋の中に入れておかなければいけません。
• だからこそ、逆算が大事です。
審査にはどのようなチェックポイントがあり、どのような拒絶理由が繰り出されるのか、
そのルールを事前に知っておくことで、
皆様が研究開発や特許出願を行う際に日々用意していく材料が的確になっていく筈です。
メモ欄

• 皆様が、特許出願をした時点で希望した権利範囲が、こちらの青丸で囲った範囲であるとします。
この広い権利範囲の中に、審査官が指摘する拒絶理由が含まれてしまっている状況です。
• 審査官に意見を述べるだけでは拒絶理由が解消しそうにない場合には、権利範囲を補正し、
点線から実線の範囲に縮めることによって、審査官が指摘した拒絶理由を取り除き、解消していきます。
• このように、皆様が検討すべきポイントの一つ目は、審査官の指摘してきた拒絶理由を解消するためには、
どのような権利範囲に補正したら良いのか、ということです。
• 但し、１点注意して頂きたいことは、無闇に縮めれば良いというわけではないということです。
皆様が最終的に獲得する権利範囲がどんどん小さくなってしまう恐れがありますので、
意見をして審査官を納得させられそうなものは積極的にチャレンジしておきましょう。
メモ欄

• しかし、審査官の指摘した拒絶理由のことだけを考えていてはいけません。
もう一つ肝心なことがございます。
• 皆様は、特許出願をする際には当然、
自社や他社がビジネスをしたいであろう範囲が含まれるような領域を設定している筈です。
• 注意しなければいけないことは、審査官の指摘を解消することに夢中になり過ぎて、
いつのまにか欲しい権利範囲を外してしまわないようにすることです。
間抜けなように見えますが、これは意外とよくあることです。
• どのような領域で研究開発を進め事業をしていきたいのかを丁寧に共有して
方針を決めるということが大切です。
メモ欄

• こちらが本日お伝えする中で最も大事なポイントです。
• 自社や他社の研究開発の方向性は日々動いています。
最新の事業環境や計画をしっかり把握せずに安易に権利範囲を縮めてしまいますと、
いつのまにかどうでも良い範囲の権利になっているということがあります。
• したがいまして、事業を考える人、研究開発をする人、そして特許の専門家が、
最新の戦略や計画について密にコミュニケーションをとっていなければ、
当然良い特許権を獲得することもできません。
メモ欄

• 本日は権利化編の第１回として、そもそも権利化とは何か、何を目指してどのようなことをするのか、
その概略をお伝え致しました。
• 次回からは、実際に特許の審査で問われるチェックポイントとして主要なものを、
具体例を交えながら解説していきます。
• 強い特許権を獲得するための武器、審査の攻略法を皆様にお届け出来ればと思います。
メモ欄

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