前職である総合商社を退職する日に社内で発表した資料です。

1. 総合商社の存在価値を考える
~総合商社が売っているのは「モノ」ではない～

2. 総合商社概論

3. ■総合商社と呼ばれる企業は、たったの8社のみ！
財閥系
三菱商事
三井物産
住友商事
双日
非財閥系
伊藤忠商事
丸紅
豊田通商
兼松

4. ■戦前日本は「超格差社会」

5. ■戦前日本のジニ係数は現代の南アフリカ並み

6. ■現在の南アフリカは「超格差大国」
白人の植民地だった南アフリカ
白人優遇政策 → 今も色濃く残る格差

7. ■総合商社とはなにか？起源から考える
戦前日本＝超格差社会×資源小国
お金持ちの財閥が海外から資源を仕入れ始めた
＝「トレーディング（卸売り）」
→早期から世界中にネットワークを構築

8. ■総合商社のトレーディング（卸売り）
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
総合商社＝需給のマッチング＋物流/保険を代行＋リスクマネジメント
“需要者探しを手伝ってほしい” “物流を代行してほしい” “在庫を代わりに保管しておいてほしい”
“良いモノを探してきてほしい” “物流を代行してほしい” “ちょうどいいタイミングで持ってきてほしい”

9. ■総合商社とはなにか？起源から考える
戦前日本＝超格差社会×資源小国
お金持ちの財閥が海外から資源を仕入れ始めた
＝「トレーディング（卸売り）」
→早期から世界中にネットワークを構築
潤沢な資金・優秀な人材・世界中のネットワークを活かし、企業を買収し経営を代行
買収した企業を既存ビジネスとコラボさせて、利益拡大を狙う＝「事業投資」

10. ■総合商社の事業投資
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
トレーディングでネットワークを拡大しつつ、サプライチェーンを端から端まで包み込むように企業を買収していく
出資するだけでなく、優秀人材・ノウハウ・資金を共有し、更なる利益増加を狙う
総合商社＝出資＋優秀人材・ノウハウ・資金の共有
出資 出資 出資

11. ■総合商社の事業投資
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
トレーディングでネットワークを拡大しつつ、サプライチェーンを端から端まで包み込むように企業を買収していく
出資するだけでなく、優秀人材・ノウハウ・資金を共有し、更なる利益増加を狙う
総合商社＝出資＋優秀人材・ノウハウ・資金の共有
出資 出資 出資
出資

12. ■総合商社の事業投資
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
トレーディングでネットワークを拡大しつつ、サプライチェーンを端から端まで包み込むように企業を買収していく
出資するだけでなく、優秀人材・ノウハウ・資金を共有し、更なる利益増加を狙う
総合商社＝出資＋優秀人材・ノウハウ・資金の共有
出資 出資 出資
出資 出資 出資

13. 投資家＝総合商社 株式会社＝事業投資先
株式を購入（＝出資）
利益を山分け（＝配当）
出資した会社の経営に関わり、配当に加えて双方のシナジーも狙うこと
双方の利益増
人材・ノウハウ・資金の共有
■総合商社の事業投資

14. ■事業投資によって総合商社が投資先に与える付加価値
優秀人材の共有
・本社のトレーディング担当者が課長級になった際に、
子会社事業部長or社長として派遣
・本社の経理人材が課長級になった際に、子会社CFOとして派遣
ノウハウの共有
・本社主催の勉強会に招待
・ERPなどのシステム導入をサポート
・IFRS決算導入サポート
・管理会計の手法を共有、計画実績対比表などの作成サポート
資金の共有
・本社がまとめてファイナンスし（グループファイナンス）、
子会社の資金調達コスト（WACC）を下げる
・債務超過に陥った場合、ほぼ無利子でお金を貸して倒産を防ぐ

15. 8大商社の概要

17. ■規模最大、景気敏感事業が多い
▲ 2,000 ▲ 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
2019
2020
2021（予想）
三菱商事 連結純利益（億円）
金属資源 天然ガス 総合素材 石油・化学
産業インフラ 自動車・モビリティ 食品産業 コンシューマー産業
電力ソリューション 複合都市開発 他・調整
2019/4～2020/3の連結純利益
2020/4～2021/3の連結純利益
2021/4～2022/3の連結純利益
部門（セグメント）

18. ■規模最大、景気敏感事業が多い
▲ 2,000 ▲ 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
2019
2020
2021（予想）
三菱商事 連結純利益（億円）
金属資源 天然ガス 総合素材 石油・化学
産業インフラ 自動車・モビリティ 食品産業 コンシューマー産業
電力ソリューション 複合都市開発 他・調整

20. ■資源の物産
▲ 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
2019
2020
2021（予想）
三井物産 連結純利益（億円）
金属資源 エネルギー 機械・インフラ 化学品
鉄鋼製品 生活産業 次世代・機能推進 その他・調整消去

22. ■非資源特化の伊藤忠
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
2019
2020
2021（予想）
伊藤忠商事 連結純利益（億円）
繊維 機械 金属
エネルギー・化学品 食料 住生活
情報・金融 第８（ファミマ等） その他・連結消去

24. ■資源・食料の丸紅
▲ 3,000 ▲ 2,000 ▲ 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000
2019
2020
2021（予想）
丸紅 連結純利益（億円）
ライフスタイル 情報・不動産 フォレストプロダクツ 食料
アグリ事業 化学品 エネルギー 金属
電力 インフラプロジェクト 航空・船舶 金融・リース事業
建機・産機・モビリティ 次世代事業開発 その他

26. ■景気敏感事業多数、ベンチャー好き
▲ 2,000 ▲ 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
2019
2020
2021（予想）
住友商事 連結純利益（億円）
金属 輸送機・建機 インフラ メディア・デジタル
生活・不動産 資源・化学品 消去又は全社

28. ■車の何でも屋さん＆アフリカ推し
▲ 500 0 500 1,000 1,500 2,000
2019
2020
2021（予想）
豊田通商 連結純利益（億円）
金属 グローバル部品・ロジスティクス
自動車 機械・エネルギー・プラントプロジェクト
化学品・エレクトロニクス 生活・生活産業
アフリカ その他

30. ■資源・化学の双日。景気敏感事業が多い。
0 100 200 300 400 500 600 700 800
2019
2020
2021（予想）
双日 連結純利益（億円）
自動車 航空産業・交通プロジェクト インフラ・ヘルスケア
金属・資源・リサイクル 化学 生活産業・アグリビジネス
リテール・コンシューマーサービス その他

32. ■電子・デバイスの兼松
▲ 20 0 20 40 60 80 100 120 140 160
2019
2020
2021（予想）
兼松 連結純利益（億円）
電子・デバイス 食料 鉄鋼・素材・プラント
車両・航空 その他・調整額

33. ■8大商社の利益推移まとめ
▲ 2,000
0
2,000
4,000
6,000
8,000
三菱商事 三井物産 住友商事 伊藤忠商事 丸紅 豊田通商 双日 兼松
連結純利益（億円）
2019 2020 2021（予想）
コロナで大きく沈んだが
今年になって大復活
→景気の影響をもろに反映

34. ■総合商社の最近のトレンド
脱CO2
脱石炭化石燃料
SDGs
DX
AI
SaaS
データ取引
再生可能
エネルギー
SDGs
植物肉
食糧危機への対応
ヘルスケア
病院経営
ベンチャー投資
CVC
総合商社が取り組む分野＝世の中全体が取り組んでいる分野
総合商社の動向を追うことで、世の中に対する解像度が高まる

35. ■「脱炭素」が今後30年間の総合商社のテーマ

36. ■三菱商事の新社長は電力事業出身

37. メーカー 農家
サービス
会社
卸売会社
保険会社
金融業
物流倉庫 鉱業 建設業
運送会社
総合商社
総合商社
総合商社
総合商社
総合商社
総合商社 総合商社
政
治
金
融
天候・災害・地球温暖化・コロナ
技術の進歩
■総合商社は外部環境の変化に大きく影響を受ける
自社製品や技術力は無いが、潤沢な資金・優秀な人材・世界中のネットワークはある。
→外部環境から受ける影響が大きい一方で、変化に対応する能力は高い！

38. 総合商社の存在価値とは何か？
「商品先物取引」を例に考える

39. ■商社不要論（＝トレーディング不要論）
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
総合商社＝需給のマッチング＋物流/保険を代行＋リスクマネジメント
“需要者探しを手伝ってほしい” “物流を代行してほしい” “在庫を代わりに保管しておいてほしい”
“良いモノを探してきてほしい” “物流を代行してほしい” “ちょうどいいタイミングで持ってきてほしい”
ネ
ッ
ト
が
解
決
？

40. ■これらの商品の流通において総合商社は必要不可欠！！
総合商社は「商品先物取引」を駆使して、
これらの商品を世の中に流通させている！！

41. ■江戸時代の米農家と百姓の悩み
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
お米の時価の推移
大量に採れると、手間は増
えるのに安売りせざるを得
なくて割に合わない、、、
全然収穫できなかったら高
値を払って購入せざるを得
ない！年貢払えないか
も、、、

42. ■「商品先物取引」を発明
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
お米の時価の推移
300円以上で売れれば必ず採
算が取れる！
400円以下なら購入できる！
ここで売買契約を締結

43. ■商品先物取引を濫用するワルが出現
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
お米の時価の推移
300円以上で売らないと採算
取れないんだけど、、、
皆は200円以下で取引してい
るのか！しゃーなし200円で
売るか(TдT)
隣のAさんは180円で売って
くれましたよ！200円で売っ
てくださいよお！（嘘）
ここで売買契約を締結

44. ■「商品先物取引市場」を形成し、時価を可視化
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
いやいやいや、
今の時価は350円なので
350円でしか取引しません！
隣のAさんは180円で売って
くれましたよ！200円で売っ
てくださいよお！（嘘）
人々の暗黙知が定量化・可視化！
ここで売買契約を締結

45. ■「商品先物取引市場」を形成し、時価を可視化
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
いやいやいや、
今の時価は350円なので
350円でしか取引しません！
隣のAさんは180円で売って
くれましたよ！200円で売っ
てくださいよお！（嘘）
人々の暗黙知が定量化・可視化！
ここで売買契約を締結

46. ■商品先物取引/先物取引市場とは何か
どんな商品の
先物取引市場
がある？
大豆・コーヒー・コーン・原油など。
人々の生活必需品（価格公平性の担保が必要）
かつ
品質に差が出づらい商品（市場の形成が可能）
どうやって商品先物
取引を利用する？
将来のモノの受け渡し価格の決定
商品先渡取引の価格を決定するための根拠にする
先物取引価格は
どうやって決まる？
オークション形式。
株取引やメルカリと同じ原理。

47. ■誰もが商品先物取引を使えるわけじゃない。使うべきでもない
主要な商品先物市場は海外にあり、
しかもモノを受け渡す場所は指定されている
輸送能力を有している大企業/国か、
受渡場所近くにいる企業でないと受渡不可能

48. ■世界の主要商品先物市場

49. ■海上航空輸送は、コストが莫大

50. ■「原油先物価格マイナス」はなぜ起きた？

51. ■誰もが商品先物取引を使えるわけじゃない。使うべきでもない
主要な商品先物市場は海外にあり、
しかもモノを受け渡す場所は指定されている
商品先物市場を介する取引では、
取引相手を指定できない
商品先物取引を行うためには、
多額の証拠金を支払わないといけない
輸送能力を有している大企業/国か、
受渡場所近くにいる企業でないと受渡不可能
取引したい相手と取引できない
資本力のある大企業/国でないと取引不可能

52. ■証拠金とは
「証拠金」を支払うことで
取引口座を開設可能
商品先物取引を実施
損失が出た場合、証拠金であてがう
証拠金は総取引額の約5～10%。証拠金制度により「夜逃げリスク」を回避！！
市場が健全に保たれている根拠。

53. ■誰もが商品先物取引を使えるわけじゃない。使うべきでもない
主要な商品先物市場は海外にあり、
しかもモノを受け渡す場所は指定されている
商品先物市場を介する取引では、
取引相手を指定できない
商品先物取引を行うためには、
多額の証拠金を支払わないといけない
商品先物市場で扱われる商品は
「品質に差が出づらい商品（＝最低品質）」
輸送能力を有している大企業/国か、
受渡場所近くにいる企業でないと受渡不可能
取引したい相手と取引できない
資本力のある大企業/国でないと取引不可能
日本国産の高級品は規格に合わず
商品先物市場では取引不可能

54. ■中小企業同士の売買は「先渡（現物）取引」が一般的
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
300円以上で売れれば必ず採
算が取れるんですが、現在
の先物取引価格は350円らし
いです。取引しませんか？
400円以下であれば購入した
いです。確かに現在の先物
取引価格は350円ですね。こ
の価格で取引しましょう！

55. ■先物取引と先渡（現物）取引の価格は連動する
先渡取引（現物） 先物取引
半年後に大量の大豆が
収穫できることが分かった
価格下落
今すぐ購入せずに半年間待とう！
価格下落
市場に出回るまでは先物買いを控えよう
価格下落
誰かが大量の大豆を売却した！
価格下落

56. ■しかし、先渡（現物）取引を行うのにもハードルがある
輸送コスト問題は
商品先物取引でも商品先渡取引でも同じ
相場が変動する商品の取引において
価格の折り合いをつける難しさ
輸送能力を有している大企業/国か、
受渡場所近くにいる企業でないと
受渡不可能
売り手か買い手のどちらかが
損をせざるを得なくなる
→価格公平性が保たれなくなる

57. ■先渡（現物）取引の価格が折り合わない
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
300円以上じゃないと
売りたくない！！
200円以下じゃないと
買えない！！
この状態で契約を妥結すると、どちらかが割を食う！
ここで活躍するのが総合商社！両者のニーズを満たせる方法がある！！

58. ■需給者の望むﾀｲﾐﾝｸﾞで、総合商社が先渡取引契約を結ぶ
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
300円以上
じゃないと
売りたくな
い！！
200円以下
じゃないと
買えな
い！！
時価が350円の時に
総合商社が買契約を締結
時価が200円の時に
総合商社が売契約を締結
この時点で総合商社が買契約を結ぶ
（供給者にとっての売契約）
350円で買って200円で売ったら、総合商社は150円損する？？
この時点で総合商社が売契約を結ぶ
（需要者にとっての買契約）

59. 0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
この時点で総合商社が買契約を結ぶ
（供給者にとっての売契約）
この時点で総合商社が売契約を結ぶ
（需要者にとっての買契約）
①
買契約
350円
①
売契約
350円
②
買契約
200円
②
売契約
200円
【先渡(現物)取引】※主語は総合商社 【先物取引】※主語は総合商社
実際に先物取引市場を介して
モノを売買するつもりがなくても、
買契約と売契約を作りだせる
■商品先物取引を使って価格変動リスクを0にできる
手数料100円
手数料100円
供給者と需要者それぞれから貰う
手数料が総合商社の収入になる
＋150円
▲150円
総合商社のお陰で、
自らの好きなタイミングで
価格決定できた！

60. 0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
「商品先物市場における」お米の時価の推移
この時点で総合商社が買契約を結ぶ
（供給者にとっての売契約）
この時点で総合商社が売契約を結ぶ
（需要者にとっての買契約）
①
買契約
350円
①
売契約
350円
②
買契約
200円
②
売契約
200円
【先渡(現物)取引】※主語は総合商社 【先物取引】※主語は総合商社
実際に先物取引市場を介して
モノを売買するつもりがなくても、
買契約と売契約を作りだせる
■商品先物取引を使って価格変動リスクを0にできる
手数料100円
手数料100円
供給者と需要者それぞれから貰う
手数料が総合商社の収入になる
供給者 ：自分の好きなタイミングで売契約を結ぶことができる
総合商社：価格変動リスクを0にし、ノーリスクで手数料を稼ぐことができる
需要者 ：自分の好きなタイミングで買契約を結ぶことができる
総合商社は、商品先物取引を駆使することで、
生活必需品の安定供給に寄与している！！
＋150円
▲150円
総合商社のお陰で、
自らの好きなタイミングで
価格決定できた！

61. ■差金決済（モノを受け渡しせずにお金を決済する）
先物市場を介して
モノを売りたい人
（供給者）
先物市場を介して
モノを買いたい人
（需要者）
総合商社は先物取引で
供給者からの買契約を結ぶ
総合商社は先物取引で
需要者への売契約を結ぶ
売契約
350円
買契約
200円
【先物取引】※主語は総合商社
結果的に、総合商社はモノの受渡をせず
供給者と需要者の売買契約を仲介した形になる
＋150円

62. ■しかし、先渡（現物）取引を行うのにもハードルがある
輸送コスト問題は
商品先物取引でも商品先渡取引でも同じ
相場が変動する商品の取引において
価格の折り合いをつける難しさ
輸送能力を有している大企業/国か、
受渡場所近くにいる企業でないと
受渡不可能
売り手か買い手のどちらかが
損をせざるを得なくなる
→価格公平性が保たれなくなる

63. ■商社不要論（＝トレーディング不要論）
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
総合商社＝需給のマッチング＋物流/保険を代行＋リスクマネジメント
“需要者探しを手伝ってほしい” “物流を代行してほしい” “在庫を代わりに保管しておいてほしい”
“良いモノを探してきてほしい” “物流を代行してほしい” “ちょうどいいタイミングで持ってきてほしい”
ネ
ッ
ト
が
解
決
？

64. 【結論】総合商社の存在価値

65. ■【結論】総合商社の存在意義 奥村の意見
総合商社がトレーディングで売っているのは「モノ」ではない。
「安心」と「信頼」を売っている。
それができるのは、技術力や製品力は無いが、
「潤沢なカネ」「ネットワーク」「優秀人材」がある総合商社だからこそである。
商品先物取引を駆使することで、
人々にとって必要不可欠な商品の安定供給に寄与している！

66. 総合商社特有の管理会計

67. ■キャッシュフロー経営を徹底、P/LはEBITDAを重視
のれんの減損が発生しまくるため、キャッシュフローとP/Lが大幅に乖離する
（三井物産のIR資料）

68. ■連結リスクアセット計量

69. ■商品ポジション管理
トレーディングの粗利率は0.5%～10%程度
→在庫が滞留して売れなくなると一気に赤字に転落
→加工する能力を持っていないので滞留したらどうしようもない
いち時点で保有できる在庫残と買契約残に上限を設け、
超えないように徹底管理している

70. ■本社社員のボーナスの金額の決め方
営業面での関わりが濃い会社のみの連結営業利益をベースにする
供給者A 供給者B 供給者C
需要者X 需要者Y 需要者Z
総合商社＝出資＋優秀人材・ノウハウ・資金の共有
出資 出資 出資
出資 出資 出資

71. 商品先物取引の使い方いろいろ

72. ■アービトラージ（市場間/商品間）

73. ■ディーリング
0円
100円
200円
300円
400円
500円
600円
700円
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
お米の時価の推移
上がると思ったら買う、下がると思ったら売る。商品先物取引で買いと売りを入れて差金決済するのみ。
リスクの大きさは莫大であり、体力がないと出来ない。