関東支部第39回大会
                                       2009年12月6日


       ビジョン提案型デザイン手法の教育での実践における
       課題と改善




                            安藤 昌也
                            ando-m@aiit.ac.jp
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   発表のポイント
                    ビジョン提案型デザイン手法を学生に適用した時に
                     課題となるアイディア創出部分の手法を工夫した
    実践事例:
     – デザインの初学者を含む、AIIT学生に対しワークショップを実施
    実施上の課題:
     – アイディアが発散してしまいなかなかまとまらない
        限られた時間で1つの成果を求める教育では
        アイディアを創出する方向性に誘導するプロセスが必要
    改善:
     – 限られた時間でも成果を出せるよう、アイディア創出の方向性
       を絞り込むプロセスを、手法に組み込む工夫をした

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              1
                            実践事例紹介




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   産技大での実践事例
    目的:
     – デザインプロセスを学ぶとともに、新たな製品価値を創造する際
       のポイントを理解する。
    対象:
     – 産業技術大学院大学 1年生 11名 / 2年生 4名
                     • 多くはデザインの初学者
    テーマ:
     – 1年生: 「2016年 東京オリンピックでのおもてなし」
     – 2年生: 「日常生活の中の身近なもののリデザイン」
    実施方法:
     1. ビジョン提案型デザイン手法の学習
     2. チームでの自律的なプロジェクト進行。必要に応じて指導。
     3. 人間工学会アーゴデザイン部会での発表
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   実践での成果①
    競技場でのオリンピック観戦を楽しめる応援グッズの提案
              – みんなと振ると光りのウェーブで誰もが一体感を味わえるうちわ




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   実践での成果②
    旅行者に地図を持たずに東京の街を探検する楽しみを
              – “最寄駅案内コンパス”の提案




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   実践での成果③
    フードコートで荷物を持っていても安心して買い物ができる
              – 荷物カゴ付き椅子の提案




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              2
                            教育での実践上の課題




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   ビジョン提案型デザイン手法の特徴
    ビジョン提案型デザイン手法は、現状にとらわれずユー
     ザの本質的な価値に基づいた提案を可能にする。

              問題解決型アプローチ
                     • 現状の分析により問題点の本質に基づいて、アイディアを創出
                     • 提案のフレームワークは、基本的には現状と同様
                                           ボトムアップ的発想



              ビジョン提案型アプローチ
                     • ユーザが求める本質的な価値に基づいて、アイディアを創出
                     • 提案のフレームは、既存の枠組みには捕われない
                                           トップダウン的発想

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   手法を適用する中で感じた課題

               アイディアが発散してしまいなかなかまとまらない
              –   学生の問題? トップダウン発想が苦手?
              –   仮想のテーマを扱うため、制約条件が不足
              –   複数の本質的価値のうち優先すべきものを決めにくい
              –   ユーザの本質価値を基にすると、抽象的で自由度が高すぎる




                     ビジョン提案型手法は、自由に発想できるアプローチ


                限られた時間で1つの成果を求める教育では
              アイディアを創出する方向性に絞り込むプロセスが必要
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   「アイディアが発散してまとまらない」とは
    バリューシナリオが、デザインのコアアイディアとなる。
     だが、評価の手がかりが少なく、収束しない。




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              3
                                改    善
                            フードコートのデザイン提案を例に




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   改善したアプローチ
    アイディア創出の方向性を絞り込むために、ターゲットユー
     ザの上位ニーズを発想の基本にするプロセスとした。

現実の課題を反映した                  ペルソナを用いたニーズ評価
「上位ニーズ」を抽出
                             ニーズの
                                       ニーズの
                             共通性
                                      優先度づけ
                             チェック



      ターゲットユーザの                                 着目する     アイディア
      上位ニーズの抽出                                 ニーズの選択    の基となる
                                                        ニーズの特定
                            観察データを用いたニーズ評価

                            ニーズに基づく   ニーズごとの
                             観察データ    問題の大きさ
                              の整理      の評価

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   現実の課題を反映した上位ニーズの抽出




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   現実の課題を反映した上位ニーズの抽出




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   改善したアプローチ
    アイディア創出の方向性を絞り込むために、ターゲットユー
     ザの上位ニーズを発想の基本にするプロセスとした。

現実の課題を反映した                  ペルソナを用いたニーズ評価
「上位ニーズ」を抽出
                             ニーズの
                                       ニーズの
                             共通性
                                      優先度づけ
                             チェック



      ターゲットユーザの                                 着目する     アイディア
      上位ニーズの抽出                                 ニーズの選択    の基となる
                                                        ニーズの特定
                            観察データを用いたニーズ評価

                            ニーズに基づく   ニーズごとの
                             観察データ    問題の大きさ
                              の整理      の評価

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   複数ペルソナを用いたニーズ共通性チェック

      メインターゲット              潜在的顧客   ステークホルダー:清掃員




      想定される顧客




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   複数ペルソナを用いたニーズ共通性チェック
                            ターゲット   想定される顧客   潜在顧客   ステークホルダー




                              ニーズのもれや偏りをチェックし
                            他のペルソナとの共通性で優先度づけする
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   観察データを用いたニーズのチェック




                 観察データをニーズごとに整理してみると
              ユーザニーズに対する現状の問題の度合いが判断できる
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   優先度を基にした着目するニーズの選択
        ユーザの主観的価値観による優先ニーズ


                              ニーズの優先度: 高
                              観察での課題度: 高
                                    最優先のニーズ


     観察による客観的視点による課題の優先度      ニーズの優先度: 低
                              観察での課題度: 高
                                    潜在的ニーズ


                             ユーザが気付きにくい問題のた
                             め、提供バリューが高いと判断

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   選択したニーズをバリューシナリオの要件にする




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   改善アプローチによる成果
    フードコートで荷物を持っていても安心して買い物ができる
              – 荷物カゴ付き椅子の提案




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   改善アプローチによる成果




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              4
                            まとめ




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   発表のまとめ
           限られた時間でも成果を出せるよう、アイディア創出の
          方向性を絞り込むプロセスを、手法に組み込んで実践した

     1. ビジョン提案型手法は、プロセスが明瞭で取組みやすい。
        だが、アイディア創出については、手がかりまでで、アイ
        ディアそのものは、やはり個人による。

     2. アイディア創出に不慣れな学生でも、手法をすこし改善
        することで、発想しやすくすることができた。

     3. 今後、さらに実践事例をつみ、教育現場においても、ビ
        ジョン提案型手法の良さを活かしつつ、実効性のある手
        法へと洗練させたい。
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関東支部第39回大会
                                       2009年12月6日


       ビジョン提案型デザイン手法の教育での実践における
       課題と改善




                            安藤 昌也
                            ando-m@aiit.ac.jp
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Vision Proposal Design Method

  • 1.
    関東支部第39回大会 2009年12月6日 ビジョン提案型デザイン手法の教育での実践における 課題と改善 安藤 昌也 ando-m@aiit.ac.jp Copyright © Masaya Ando
  • 2.
    1 発表のポイント ビジョン提案型デザイン手法を学生に適用した時に 課題となるアイディア創出部分の手法を工夫した  実践事例: – デザインの初学者を含む、AIIT学生に対しワークショップを実施  実施上の課題: – アイディアが発散してしまいなかなかまとまらない 限られた時間で1つの成果を求める教育では アイディアを創出する方向性に誘導するプロセスが必要  改善: – 限られた時間でも成果を出せるよう、アイディア創出の方向性 を絞り込むプロセスを、手法に組み込む工夫をした Copyright © Masaya Ando
  • 3.
    2 1 実践事例紹介 Copyright © Masaya Ando
  • 4.
    3 産技大での実践事例  目的: – デザインプロセスを学ぶとともに、新たな製品価値を創造する際 のポイントを理解する。  対象: – 産業技術大学院大学 1年生 11名 / 2年生 4名 • 多くはデザインの初学者  テーマ: – 1年生: 「2016年 東京オリンピックでのおもてなし」 – 2年生: 「日常生活の中の身近なもののリデザイン」  実施方法: 1. ビジョン提案型デザイン手法の学習 2. チームでの自律的なプロジェクト進行。必要に応じて指導。 3. 人間工学会アーゴデザイン部会での発表 Copyright © Masaya Ando
  • 5.
    4 実践での成果①  競技場でのオリンピック観戦を楽しめる応援グッズの提案 – みんなと振ると光りのウェーブで誰もが一体感を味わえるうちわ Copyright © Masaya Ando
  • 6.
    5 実践での成果②  旅行者に地図を持たずに東京の街を探検する楽しみを – “最寄駅案内コンパス”の提案 Copyright © Masaya Ando
  • 7.
    6 実践での成果③  フードコートで荷物を持っていても安心して買い物ができる – 荷物カゴ付き椅子の提案 Copyright © Masaya Ando
  • 8.
    7 2 教育での実践上の課題 Copyright © Masaya Ando
  • 9.
    8 ビジョン提案型デザイン手法の特徴  ビジョン提案型デザイン手法は、現状にとらわれずユー ザの本質的な価値に基づいた提案を可能にする。 問題解決型アプローチ • 現状の分析により問題点の本質に基づいて、アイディアを創出 • 提案のフレームワークは、基本的には現状と同様 ボトムアップ的発想 ビジョン提案型アプローチ • ユーザが求める本質的な価値に基づいて、アイディアを創出 • 提案のフレームは、既存の枠組みには捕われない トップダウン的発想 Copyright © Masaya Ando
  • 10.
    9 手法を適用する中で感じた課題 アイディアが発散してしまいなかなかまとまらない – 学生の問題? トップダウン発想が苦手? – 仮想のテーマを扱うため、制約条件が不足 – 複数の本質的価値のうち優先すべきものを決めにくい – ユーザの本質価値を基にすると、抽象的で自由度が高すぎる ビジョン提案型手法は、自由に発想できるアプローチ 限られた時間で1つの成果を求める教育では アイディアを創出する方向性に絞り込むプロセスが必要 Copyright © Masaya Ando
  • 11.
    10 「アイディアが発散してまとまらない」とは  バリューシナリオが、デザインのコアアイディアとなる。 だが、評価の手がかりが少なく、収束しない。 Copyright © Masaya Ando
  • 12.
    11 3 改 善 フードコートのデザイン提案を例に Copyright © Masaya Ando
  • 13.
    12 改善したアプローチ  アイディア創出の方向性を絞り込むために、ターゲットユー ザの上位ニーズを発想の基本にするプロセスとした。 現実の課題を反映した ペルソナを用いたニーズ評価 「上位ニーズ」を抽出 ニーズの ニーズの 共通性 優先度づけ チェック ターゲットユーザの 着目する アイディア 上位ニーズの抽出 ニーズの選択 の基となる ニーズの特定 観察データを用いたニーズ評価 ニーズに基づく ニーズごとの 観察データ 問題の大きさ の整理 の評価 Copyright © Masaya Ando
  • 14.
    13 現実の課題を反映した上位ニーズの抽出 Copyright © Masaya Ando
  • 15.
    14 現実の課題を反映した上位ニーズの抽出 Copyright © Masaya Ando
  • 16.
    15 改善したアプローチ  アイディア創出の方向性を絞り込むために、ターゲットユー ザの上位ニーズを発想の基本にするプロセスとした。 現実の課題を反映した ペルソナを用いたニーズ評価 「上位ニーズ」を抽出 ニーズの ニーズの 共通性 優先度づけ チェック ターゲットユーザの 着目する アイディア 上位ニーズの抽出 ニーズの選択 の基となる ニーズの特定 観察データを用いたニーズ評価 ニーズに基づく ニーズごとの 観察データ 問題の大きさ の整理 の評価 Copyright © Masaya Ando
  • 17.
    16 複数ペルソナを用いたニーズ共通性チェック メインターゲット 潜在的顧客 ステークホルダー:清掃員 想定される顧客 Copyright © Masaya Ando
  • 18.
    17 複数ペルソナを用いたニーズ共通性チェック ターゲット 想定される顧客 潜在顧客 ステークホルダー ニーズのもれや偏りをチェックし 他のペルソナとの共通性で優先度づけする Copyright © Masaya Ando
  • 19.
    18 観察データを用いたニーズのチェック 観察データをニーズごとに整理してみると ユーザニーズに対する現状の問題の度合いが判断できる Copyright © Masaya Ando
  • 20.
    19 優先度を基にした着目するニーズの選択 ユーザの主観的価値観による優先ニーズ ニーズの優先度: 高 観察での課題度: 高 最優先のニーズ 観察による客観的視点による課題の優先度 ニーズの優先度: 低 観察での課題度: 高 潜在的ニーズ ユーザが気付きにくい問題のた め、提供バリューが高いと判断 Copyright © Masaya Ando
  • 21.
    20 選択したニーズをバリューシナリオの要件にする Copyright © Masaya Ando
  • 22.
    21 改善アプローチによる成果  フードコートで荷物を持っていても安心して買い物ができる – 荷物カゴ付き椅子の提案 Copyright © Masaya Ando
  • 23.
    22 改善アプローチによる成果 Copyright © Masaya Ando
  • 24.
    23 4 まとめ Copyright © Masaya Ando
  • 25.
    24 発表のまとめ 限られた時間でも成果を出せるよう、アイディア創出の 方向性を絞り込むプロセスを、手法に組み込んで実践した 1. ビジョン提案型手法は、プロセスが明瞭で取組みやすい。 だが、アイディア創出については、手がかりまでで、アイ ディアそのものは、やはり個人による。 2. アイディア創出に不慣れな学生でも、手法をすこし改善 することで、発想しやすくすることができた。 3. 今後、さらに実践事例をつみ、教育現場においても、ビ ジョン提案型手法の良さを活かしつつ、実効性のある手 法へと洗練させたい。 Copyright © Masaya Ando
  • 26.
    関東支部第39回大会 2009年12月6日 ビジョン提案型デザイン手法の教育での実践における 課題と改善 安藤 昌也 ando-m@aiit.ac.jp Copyright © Masaya Ando