認知行動療法
「第3世代」の登場で
何が変わったのか?
立命館大学 総合心理学部
准教授 三田村 仰
第21回日本心療内科学会総会・学術大会
2016年12月4日(日)13:25-13:55
認知療法
認知行動
療法
米国の
行動療法
(応用行動
分析学)
英国の
行動療法
臨床行動分析
・ACT,DBT, FAP, BA
第1世代 第2世代 第3世代
• マインドフルネス
認知療法
• メタ認知療法
など
(1950年代) (1970年代) (1990年代)
認知行動療法の発展
第3世代の行動療法
もしくは「文脈的認知行動療法(文脈的CBT)」
1. 文脈と機能を重視する
2. 診断横断的に人間の機能を高める
3. 理論や技法はセラピスト側にも向けられる
4. 従来のCBTの延長線上に位置づけらる
5. 人間における大きなテーマについても積
極的に扱う
• その代表:アクセプタンス&コミットメント・セ
ラピー(ACT)
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ACTのエビデンス
• A-Tjak et al (2015)によるメタ分析
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統制群
全般
待機群 心理的
プラセボ
TAU CBT
など
身体的
問題へ
Hedges’ g 0.57 0.82 0.51 0.64 0.32 0.58
RCTの数 39 9 5 12 9 15
参加者数 1,821 346 238 457 456 683
身体的問題の内訳:
• 糖尿病の自己管理,耳鳴り,線維筋痛症,体重管
理,薬剤抵抗性てんかん,慢性頭痛,悪性腫瘍,
慢性疼痛,肥満外科手術,むち打ち,小児におけ
る痛み
ACTの発想
「症状の問題」から「生き方の問題」へ
• 例えば,痛みに対するセラピーの場合
• 痛みが根本的に無くなるわけではない
• 「痛い」という思考がなくなるわけでもない
• ただ,それに生活を振り回されなくなる
• (治ったら始めたかった人生を今はじめる)
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創造的絶望 creative hopelessness
• 「痛みに振り回される」とは,
それを無理にコントロールしようとして,
むしろ,生活が障害されること(「体験の回避」)
• その努力の方向性は実際,
人生を豊かにしてくれているのか??
• 「コントロールしようと努力する」選択自体は,
絶望(袋小路)かもしれない・・・
• もしそうならば,私にとっては別の選択(希望)
があるのもしれない!?
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「アクセプタンス」という新習慣
•「圧倒してくる痛み」を
「抱えておける痛み」に戻してあげる
• 幽霊の正体見たり・・・
•抗わず,従わず,
ただその存在を認める
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新習慣を促す1
•痛みは必ずしも私を縛りつけないこと
への気づきを促す
• 「できない」という思考を観察する
•痛みをそのままにしておいてあげる
習慣を促す
• 例:注意訓練,モノ化エクササイズ
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「価値あるアクション」という新習慣
•「未来」を思い描く
•できることをコツコツと
「今」,アクションし続ける
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新習慣を促す2
•未来を描くお手伝い
• 「もし,痛みがまったく気にならないものに
なったとしたら,どんな生活が送りたいです
か?」
•具体的な活動目標の設定とモニタリング
• 活動スケジューリングとアクション
• 痛みの幽霊と一緒に出かける
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まとめ
• 第3世代の行動療法は実証的な心理療法
• 第3世代で変わったのは発想:
「症状の問題」から「生き方の問題」へ
• ACTでは「アクセプタンス」と「価値あるアク
ション」という新習慣の形成を支援する
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ご関心のある先生は
ACT Japan 2016年度・年次ミーティング
• テーマ「ACTの疑問を解消する」
• 2017年3月18日(土),19(日)
• 場所:立命館大学 大阪いばらきキャンパス
•検索 「ACT Japan」
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参考文献
• A-Tjak, J. G., Davis, M. L., Morina, N., Powers, M. B.,
Smits, J. A., & Emmelkamp, P. M. (2015). A meta-
analysis of the efficacy of acceptance and commitment
therapy for clinically relevant mental and physical
health problems. Psychotherapy and Psychosomatics,
84(1), 30-36.
• 武藤崇・三田村仰 (2011). 診断横断的アプローチとし
てのアクセプタンス&コミットメント・セラピー:並立習慣
パラダイムの可能性. 心身医学, 51, 1105-1110.
• 武藤崇・三田村仰・坂野朝子 (2014). 慢性痛へのアク
セブタンス&コミットメント・セラビー(ACT). 保健の科学,
56(2).
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認知行動療法 ー第3世代の登場で何が変わったのか?