社会科学系でのゲーム研究
の卒業論文指導
-小山研究室での実践紹介-
小山友介
(芝浦工業大学)
はじめに:発表の趣旨
▶ 社会科学:社会現象は何でも研究対象だが、
ゲームに関する社会科学的研究は少ない
▶ 学生:「ゲームで卒論」の希望は多い(はず)
 『日本デジタルゲーム産業史』の大学図書館所蔵:258館
(CiNii Books検索結果)
 出版部数の10%超
 学内複数の図書館館で所蔵する大学もある
 『ゲーム研究入門』:ゲームで初の研究マニュアル本
▶ 本発表:テキストの補遺的内容
 書きづらいぶっちゃけトーク含む
小山の立場
▶ いわゆる「一般教養」の先生だが、学生が配属され、
卒論指導(修論指導)をすることが可能
 理系大学の文系教員
▶ 理系なので、配属は4年生になってから
→ゼロ状態から1年で卒論を書かせる必要
 じっくり成長を待つ余裕がない
 しかも、最初の数か月は就活で機能しない
 理系的に「型に嵌める」指導をしないと厳しい
 学生にマイルストーンを明確に提示
型に嵌める指導
▶ 学生の「やること」と「やり方」について細かく指示
 文献検索の方法、論文の目次の作り方、文章の書き方・・・
▶ 資料:クラウドで共有→「次にやること」がわかる
 各種マニュアル:『ゲーム研究入門』小山担当章の草稿含
 過去の学生の論文・発表資料
▶ 型にはめる理由:研究の実際部分の時間確保
 文献調査やテーマ決定に使う時間を効率化
 データの分析・論文執筆に使う時間を十分とる
指導のゴール
▶ 前提:卒論・修論=教育的なもの=結果だけでは×
※コヤマがこう考えているという意味ではありません
 汗をかくことを要求する人への対策が必要
▶ 要求:分野違いの教員達の審査をクリアする
 ゲーム周りの知識を指摘されることはまず無い
▶ ゴール:専門外の人が評価しやすいアウトプット
 ちゃんと「勉強」した証拠が目に見える
 調査:努力の跡(作業時間)が目に見える
 論理的整合性がある
努力アピールの例:学生スライドから
スケジュールとマイルストーン
行動・マイルストーン 備考
前期 4月~5月 研究テーマ決定
研究の背景
「○○のXXに関する研
究」のXXまで決まる
6月~7月 先行研究
研究方法の決定
(中間発表)
就活はここまでが理想
研究テーマへの
教員強権発動リミット
夏休み 8月~9月 実質上の研究期間(1)
質問紙調査の準備
遠方の調査
後期 10月~11月 実質上の研究期間(2)
(中間発表)
目次の作成
調査データ分析
講義でアンケート実施
12月~1月 論文執筆・提出
最終発表
意識低い学生対策
▶ 学生の「ゲームで卒論が書きたい」を盲信しない!!
▶ こういうケースが良くある
 学生 「テーマが浮かばない・・・」
 教員 「(詰問口調)何もないことはないだろ?」
 学生 「(とりあえず)ゲームで」
→結果として、質の悪い卒論が量産される
→他教員の「ゲームで卒論なんて・・・」の偏見が強化
▶ この種の問題意識ゼロの学生:教員の引き出しを使う
 自分でやると面倒な作業をやらせる
学生に作業させた例:発売延期率調査
▶ 学生を国会図書館に通わせ、
ファミ通のバックナンバーを
5年分以上追わせた
 結果は下の論文に結実
▶ 自分でやるとシンドイけど、
意義がある作業をやらせる
 教員にストック(引き出し)必要
1. 小山友介,「日本の家庭用ゲーム産業におけるソフト発売延期率調査」,『シミュ
レーション&ゲーミング』,Vol.16, No.2pp. 93~102,2006
2. 小山友介,「日本の家庭用ゲーム産業での発売延期率推移―ゲーム開発の複雑
化と産業としての適応―」、『デジタルゲーム学研究』、Vol.2,No.1,76-84,2008
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
GBA
GBA1月以上
GBA1月未満
PS2
PS2・1月以上
PS2・1月未満
引き出し紹介:ゲームスタッフ数分析
▶ 歴代DQのスタッフ数推移
 『日本デジタルゲーム産業史』のために自分で作成
▶ FC,SFCの全RPGのスタッフロールを調べさせたい
 そのうち、誰かの卒論でやらせるかも
 他の先生が学生に振ってもOK!
DQ1 DQ2 DQ3 DQ4 DQ5 DQ6 DQ7 DQ8
シナリオ
ゲームデザイン
2 2 3 6 7 5 10 14
グラフィクス系 4 2 2 3 7 10 24 61
音楽
サウンド
1 1 1 1 1 3 2 5
プログラム
技術系
3 6 6 10 19 10 23 13
その他スタッフ 3 3 5 9 34 0 0 15
テストプレイ・QA 0 0 0 0 0 25 50 56
販売活動 1 2 2 5 3 9 17 49
重複 1 1 0 0 0 1 0 1
計 13 15 19 34 71 61 126 212
発売ハード FC FC FC FC SFC SFC PS PS2
メディア ROM ROM ROM ROM ROM ROM CD DVD
容量* 512K 1M 2M 4M 12M 32M 2枚 1枚
発売年 1986 1987 1988 1990 1992 1996 2000 2004
まとめ
▶ 指導方針:マイルストーン,テンプレートを明示
 理系的な「型に嵌める」指導
▶ テーマ決定について
 理想は学生がカンが効くテーマ
 テーマが見つからない学生にはテーマと作業を振る
 理系的な指導=「手に職をつける」指導を重視
 コピペされるよりましと考えましょう
▶ 最大の敵:他教員の偏見
 「内容が優れているか」とは別の対策が必要
おまけ:小山研究室の修論・卒論スライド
▶ 優れた研究:SlideShareで公開
▶ 小山のSlideShareページで
緑色のストライプがついた
スライドが学生作成
 小山研スライドテンプレート
▶ 到達点が見えるはず
 低レベルはとことん低レベル
なので公開はご勘弁
https://www.slideshare.net/yuhsukek/

ゲーム研究で卒論を書かせるには