日本のデジタルアーカイブ振興策
をめぐり、
皆様に考えていただきたい「問い」
DNP学術電子コンテンツ研究寄付講座3周年記念シンポジウム
(2019年2月13日 東京大学本郷キャンパス)【ウェブ公開版】
古賀 崇(天理大学)
Email:
Web: https://researchmap.jp/T_Koga_Govinfo
1Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
本シンポジウムでの、古賀の役割?
•日本のデジタルアーカイブ振興策に対する、
古賀なりの「期待」と「違和」を示す
• 近年の拙稿の例:「「デジタル・アーカイブ」の多様化をめぐる
動向:日本と海外の概念を比較して」『アート・ドキュメンテー
ション研究』No. 24, 2017, p. 70-84. http://opac.tenri-
u.ac.jp/opac/repository/metadata/4389/
•そのための「問い」と、もととなる文献等を提示する
2Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
「問い」のもととなる文献
<Ⅰ>
山梨絵美子(東京文化財研究所)
「美術に関する知の蓄積と共有化
にむけて : 人と美術の関わりの豊
かさとその語りの確かさのため
に」(同名の特集の巻頭文)
『美術フォーラム21』
Vol. 35, 2017, p. 20-23.
3Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
山梨氏の問題提起
• 美術アーカイブへの関心の高まり、しかしその中で
の「デジタル発信」への違和感
• 「美術に関する知を根底で支えているしごと」の重
要性への関心の薄さへの不満
• 収集対象の規定、分類・整理、活用
• 美術館における美術図書館・資料館的機能に対する
予算や人員配置の乏しさ
4Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
古賀の考え
• 山梨氏の問題提起は美術のことにとどまらない
• 例:スポーツ資料をめぐって(1/27に緊急シンポジウム開催済)
• 秩父宮記念スポーツ博物館・図書館:旧国立競技場の取り壊しに伴い
2014年5月より長期休館、再開のメドは立たず
• https://www.jpnsport.go.jp/muse/
• 新国立競技場:当初設計案(故・ザハ氏)では博物館スペースを確保 →
修正設計ではまったくナシ!
• にもかかわらず、スポーツ庁による「スポーツ・デジタルアーカイブ構
想調査研究事業」というのは??
• http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop08/list/detail/1389219.ht
m
5Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
「問い」のもととなる文献
<Ⅱ>
仲俣暁生(編集者・批評家・文筆家)
「アーカイブという「思想」の可能性」
(特集「「アーカイブサミット2015」を
総括する/第5回LRGフォーラム これか
らのアーカイブを考える:「アーカイブ
サミット2015」を受けて」の巻頭文))
『ライブラリー・リソース・ガイド』
No. 11, 2015, p. 113-115.
6Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
仲俣氏の問題提起(1)
• アーカイブ/デジタルアーカイブの対象となるコン
テンツは「産業化された文化」にとどまるのか?
• 「アーカイブ立国宣言」(2014)、第1回アーカイブサミット
(2015)を受けて
• “むしろ単体ではまったく価値のないものが、集積さ
れることで価値を生む(かもしれないから保存して
おく)場所こそがアーカイブなのだ。”
7Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
仲俣氏の問題提起(2)
• 書籍の『アーカイブ立国宣言』(ポット出版, 2014)の
「はじめに」より:“21 世紀に入り、日本はグローバル
化する世界の中で「坂道を転げ落ちるように」、その存
在感を喪失してきた。”
↓
• 理想からではなく身も蓋もない現実論からゆえの「浅
さ・狭さ」が、「立国宣言」と「サミット」にはある
8Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
古賀より補足:下記2冊のタイトル・サブタイトルを
どう考えるか?
•『アーカイブ立国宣言:日本の文化資源を活かすた
めに必要なこと』(ポット出版, 2014)
• 「文化資源戦略会議」が「はじめに」「立国宣言」を寄稿
•『デジタル文化革命!: 日本を再生する“文化力”』
(東京書籍, 2016)
• 一般財団法人「デジタル文化財創出機構」が著者
9Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
これらを受けての
「問い」
10Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
• (1)デジタルアーカイブだけではなく、山梨氏の言う「知を根
底で支えているしごと」や、それを行う人・組織への支援体
制を、政策として整備することを、どこまで考えているか?
• (2) 「産業化された(あるいは、産業化が期待される)文化」
だけではなく、幅広い領域をカバーしうる、デジタルアーカ
イブ振興策(あるいは、(1)を含めた支援)についてはどう
か?
• (3)日本のデジタルアーカイブ振興策は、仲俣氏の言う「身も
蓋もない現実論からゆえの「浅さ・狭さ」」を基にしている
に過ぎないのか?(例:「2020年」とその後) あるいは、
「現実論」だからこその有効な政策があるとして、「その
先」をいかに考えていくか?
11Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.
ご清聴ありがとうございました、
というより、ここでの「問い」が
本シンポジウムにとどまらず、
幅広い議論・実践・政策形成に
つながることを願っています。
本発表はJSPS科研費JP16K00454による成果の一部です。
12Copyright (C) 2019- Takashi Koga (Licensed under CC BY 4.0). Images may be subject to additional copyright.

日本のデジタルアーカイブ振興策をめぐり、皆様に考えていただきたい「問い」(古賀崇)