新製品開発について
アンゾフの成長マトリックス
新製品の種類
 新市場創造型
  今までに存在しなかった市場を創り出す新製品
 新製品ライン型
  既存市場にその企業が初めて参入する新製品
 既存製品ライン型(エクステンション)
  味・パッケージ・価格等の変更で既存ラインを補強する新製品
 既存製品改良型(モデルチェンジ)
  性能などを改良・改善し既存品の代替物となる新製品
 市場ポジション変更型(リポジショニング)
  既存品を他の市場に導入した製品
なぜ新製品が必要なのか
新製品は企業が成長性、収益性、安全性を確保するための
中核的手段であり、企業にとって不可欠のものである
企業の成長の28%は新製品からもたらされる
Booz,Allen and Hamilton
3年以内に導入された新製品は売上げの25%を占めている
Wind, Mahajan, and Bayless
例えば3Mでは
3M社では、
「5年以内に発売された新製品の売り上げが毎年全売り上げの40%を超え
ること」
がKPI(重要業績指標)の一つになっている
企業にとって新製品が必要な理由
 変化する消費者ニーズに対応するため(既存品では対応できない)
 開発された新技術、新素材、新製造方法を利用して発売する
 競合企業との差別化を可能にするため
 競合企業しか持っていない製品を発売して差を詰める
 競合他社が新製品を出すから対抗上出す(売り場の確保)
新製品を出すことで新規顧客を獲得、既存客の購入頻度を上げる
消費者に飽きられないため
どのくらいの数の新製品が発売されているのか
 常温販売の菓子類で一年に約4,500の新製品が発売される(KSP)
– 米菓  1,100
– キャンディ   900
– スナック 900
– ビスケット   800
– チョコレート  800
 清涼飲料では年間に約1,000の新製品が導入される
 コンビニエンスストアでは毎週100の新製品が並ぶ = 100の入れ替え
年間では100 X 50週 = 5,000の新製品
 新製品の9割以上は模様替え、エクステンション製品である
エクステンション品開発・導入時に注意する点
 親ブランドがブランド価値・知覚品質を持っていること
 親ブランドが成長中で十分強く、差別的優位性があること
 親ブランドの知覚品質やブランド連想を維持する製品であること
 親ブランドと共通した製品コンセプトや消費者ベネフィットを提供すること
 親ブランドと関連のあるカテゴリーが望ましい
  親ブランドと関連が薄いと本体のブランド価値を損なう危険性がある
  逆に親ブランドと近すぎるカテゴリーだとカニバリゼーションが起きる
参入前に市場の潜在力を確認する
 市場そのものの魅力度
– 市場のサイズ、成長性と収益性
 市場での競合度
– 競合の度合い、参入の容易さ、価格競争の度合い
 参入条件
– 参入順位、参入コスト(開発/製造、導入時の販促など)
 長期的な市場環境
– 製法、素材、法的規制、ユーザー人口、環境問題など
 セグメンテーションの可能性
– 更なるセグメント開発が可能か
新製品市場導入スクリーニング表
ウ ェ イ ト 1 . 0 0 . 5 0 . 0 ポ イ ン ト
市 場 (カ テ ゴ リ ー )魅 力 度
市 場 の 大 き さ (数 量 ベ ー ス ) 2 0 5 0 万トン以上 2 0 5 0万トンー 万トン 2 0 万トン未満
市 場 の 成 長 率 2 0 3 %以上 0 3%ー % 0 %未満
利 益 性 (カ テ ゴ リ ー と し て ) 2 0 高 い 普 通 低 い
市 場 で の 競 合 度 2 0 低 い 普 通 高 い
長 期 的 な 市 場 環 境 1 0 ポ ジ テ イ ブ ニ ュ ー ト ラ ル ネ ガ テ イ ブ
更 な る セ グ メ ン テ ー シ ョ ン の 可 能 性 1 0 高 い 普 通 低 い
合 計 1 0 0
製 品 開 発 ・浸 透 能 力 (対 競 合 )
1シ ェ ア の 大 き さ ( 年 後 ) 1 0 2 %以上 21 % ー % 1 % 未 満
1シ ェ ア の 伸 び ( 年 後 ) 1 0 上 昇 横 這 い 下 降
製 品 の ユ ニ ー ク 性 2 0 高 い 普 通 低 い
製 品 品 質 1 0 高 い 普 通 低 い
製 造 効 率 ・製 造 原 価 1 0 良 い 普 通 悪 い
配 荷 力 2 0 高 い 普 通 低 い
マ ー ケ テ イ ン グ サ ポ ー ト 2 0 多 い 普 通 少 な い
合 計 1 0 0
先発製品の優位性 - 先行者利益
 最初に参入し成功を収めた製品はその後長期に渡って売り上げと
利益の優位性を維持する可能性が高い
– コピー機のゼロックス
– インスタントコーヒーのネスレ
– カップ麺のカップヌードル
– ティシュのクリネックス
– 紙おむつのパンパース
 市場への参入順序とシェアの間には平均的にある関係が成り立つ
後発品のシェア/先発品のシェア=1/√参入順位
Kalyaranam et. al.
新製品開発のプロセス
 アイデアの開発・収集と選別
 コンセプト開発
 コンセプトテスト
 マーケティング戦略の設定
 事業経済性分析
 プロトタイプ・試作品の開発/改良
 製品テスト(機能・味、ネーミング、パッケージなど)
 テストマーケティング
 本格生産と市場導入
1アイデアから複数のコンセプトができることも
 製品アイデア
  ミルクで割って飲むと味がよくなり栄養分も増す粉末飲料
 製品コンセプト
1.忙しい独身サラリーマン、OLのための、朝食代わりになる
  インスタント飲料
2.成長期の子供がおやつとして飲める、おいしくて栄養分が豊富な
  スナック飲料
3.咀嚼機能が弱ってきた高齢者向けの、補助食にもなる、
  飲みやすく、少量で栄養分の補給ができる栄養飲料
製品コンセプトの開発手法
 机上作業(デスクワーク)基づくもの
アイデア開発法と呼ばれ、製品開発担当者の経験および社内の過去の蓄積
データなどに基づくブレーンストーミングがその代表
 調査データに基づくもの
特定市場の製品に対し、消費者がどんなベネフィット・効用を期待している
か、また問題を抱えているかなどを定量的に測定することにより製品コンセ
プトの開発を見出す手法
  事実探索型(fact-finding)
  簡単な市場調査に基づく手法でベネフィト・ストラクチュア分析や
  プロブレムリサーチなどがある
  多変量解析型
  市場調査結果に因子分析などの多変量解析をほどこしその結果から
  コンセプト代替案を創出する手法で、製品ポジショニング分析法
  などがある
新製品アイデアの開発手法
 主観的発想法
– ブレインストーミング法
– KJ法
– 強制関連法
– ヒューリスティック・アイデア発想法
– 候補アイデア修正法、など
 市場調査(ニーズ)に基づく発想法
– ベネフィット・ストラクチャー法
– プロブレムリサーチ法
– 製品ポジション分析法
– 顧客不満足調査
– 因子分析、回帰分析、クラスター分析、など
ブレインストーミングの手順とルール
 手順
– 少人数(3人から10人くらい)のグループに分かれる
– 進行役と書記を決定する
– テーマの発表
– テーマに関して自由に発言し、書記が書き留める
– 全体を見ながらグループ案をまとめる
– 結果の発表と、全グループでの意見交換
 ルール
– アイデアについての批判/判断/結論は行わない
– アイデアは自由奔放であればあるほど良い
– アイデアの数は多ければ多い程よい
– 他人のアイデアとの結合/改善を考える
KJ法を利用したアイデア産出法の手順
 問題の提起
 ブレインストーミングによるアイデア産出
 ポストイットにアイデアをひとつずつ記入する
 意味や文脈が近いもの数枚を同じグループにまとめる
 どこともつながらない一匹狼はそのまま残す
 それぞれのグループの内容を簡潔に表す見出しをつける
 小グループを親近性でまとめて中グループを作る
 中グループを同様にまとめて10以下の大グループを作る
 大グループを論理的にストーリーが展開できるように並べなおす
 位置関係が整理出来たら3~4個の大きな島を作る
 大きな島にタイトルをつける
 別の紙に島を書き写し、島ごとの関係を記入する(関係あり、原因、
結果、因果、類似、互いに反対・対立など)
 最後に図を見ながら相関性・関係性を文章化する
強制関連法とその一例
 任意の複数の製品を選び、その中の二つまたは三つを機械的または強制的に
組み合わせて新しい製品アイデアを創り出す方法
縦軸に家電製品などをリストアップし(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、PC、時
計、電卓、カメラ、カセット、双眼鏡など)横軸にも同じものを並べ、全て
の組み合わせを新製品アイデアのための発送材料とする
ラジオとカセットの組み合わせからラジカセ、腕時計とPCからリストPC
、テレビとテレビから二画面テレビ、洗濯機と乾燥機から乾燥洗濯機、双眼
鏡とラジオから競馬ファン用双眼鏡、テレビとビデオからテレビデオ、計算
機と腕時計から計算機付き腕時計、オーブンと電子レンジからオーブンレン
ジなどが考え出される
強制関連法のためのグリッド
洗濯機 冷蔵庫 TV PC 時計 電卓 カメラ 
洗濯機
冷蔵庫
TV
PC
時計
電卓
カメラ
カセット
双眼鏡
乾燥機
ヒューリスティック・アイデア発想法
 強制関連法と同様にアイデア創出グリッドを用いて幅広く漏れのないよう
に新製品アイデアを探索するための手法
朝食 昼食 おやつ 夕食 運動後 行楽 夜食
ビスケット
クッキー
スナック
箱入り チューブ 缶入り パウチ スプレー 瓶入
チョコレート
キャンディ
グミ
アイスクリーム
候補アイデア修正法
 新製品アイデア候補に質問を投げかけることにより改善する方法
もっと小さくならないか、軽くしたら、薄くしたら、低くしたら、短
くしたら
もっと大きくならないか、なにかを加えられないか、強さを増したら
他に使い道はないか
逆にしたら、入れ替えたら、役割を反対にしたら
結びあわせたら
一部を除去できないか
垂直または水平に展開できないか
分割できないか
なにかと代用できないか、他の成分は使えないのか
もっと簡潔にならないか
包装を変えたら、色を変えたら、形を変えたら
ベネフィット・ストラクチュア法
 消費者が製品に期待しているベネフィットに関して、その欲求水準と充
足水準を測定・分析することにより、市場機会のあるベネフィット、製
品特性を発見するための手法
 コーヒーメーカーの例
経済性: 本体の価格、フィルターの値段が安い
機能性: 扱い易い、時間がかからない、味の濃さを加減できる
味香り: 味や香りが逃げない、いつも同じ味、誰が淹れても同じ味
デザイン: おしゃれ、手作りの楽しみが感じられる
後始末: 洗浄が楽、汚れが付き難い、目詰まりしない、保管が楽
その他: 作りが丈夫で長持ち、場所をとらない
主婦にコーヒーメーカーに期待するベネフィットとその充足度を調査し
後始末ベネフィットへの注意を払うべきだとの答えを得た
コンセプト案の評価手法
 社内担当者の評価値に基づくチェックリスト型モデル
主観的または準客観的な評価値をベースとし、多数のコンセプトを一度に
評価・選択するのに向いている。チェックリストモデルや特性評価モデル
がある
 コンセプトテストの実施
CLT(会場調査)やネット調査で各コンセプトの受容性、購入意向、修
正点などを消費者に確認する
 多変量解析主導型モデル
多次元尺度構成・解析法を応用して消費者の市場反応を分析する手法。代
表的なモデルはコンジョイント法
新製品開発プロセスと各段階での調査
新製品アイデア開発
アイデアのスクリーニング
製品コンセプトの開発 コンセプトテスト
経済性分析
試作品の開発
試作品の改良
ブランド名開発 ブランドネームテスト
パッケージ開発 パッケージテスト
製品(+ブランド名・パッケージ)開発 製品(C+P)テスト
広告メッセージの開発 広告(コピー)テスト
広告・CF製作 コマーシャルテスト
テストマーケティング 追跡調査(3・6・12カ月後)
全国発売 追跡調査(3・6・12カ月後)
新製品の成功確率は高くはない
新製品アイデア    58
スクリーニング    12
経済性分析     7
製品化     3
テストマーケティング成功     2
全国市場導入後成功     1
   (Booz, Alen & Hamilto
n)
設計段階での合格率    57%
設計後テスト段階での合格率   X 70%
テスト後導入段階での合格率   X 65%
全体での合格率  = 26%
(Elrod and Kelman)
トライアルとリピートからみる新製品の行く末
T ria l 高 い
線 香 花 火 ヒ ッ ト 商 品
製 品 改 良
広 告 の 見 直 し
値 下 げ
R e p e a t
高 い
空 振 り ス ロ ー ス タ ー タ ー
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 計 画 の 見 直 し
最後に - 新製品の誘惑
本当にその製品はいま発売すべきなのか
その製品は既存製品では充足できない便益を提供できるのか
その製品は競合製品との有意な差別化ポイントを持っているか
既存製品とのカニバリゼーションはどのくらい起きるのか
– 店頭・棚でのカニバリ、消費者購入段階でのカニバリ
カニバリゼーションが起きた場合に売りと利益は増えるのか
– 新製品の原価の方が高い場合は特に慎重に考える

新製品開発について