セールス・プロモーションについて
広告とセールス・プロモーションの違いは
広告がブランド認知やブランドイメ―ジの形成、製品ベネフィット
の理解、競合品との差別化をその主たる目的とするのに対し
プロモーションは初回購入(試用)や再購買を促すような購買の
直接的な動機付けや流通サイドの取り扱い意欲の促進を目的と
する
セールス・プロモーションとは
消費者プロモーション、トレードプロモーションとは
消費者または流通になんらかのインセンティブを与えて
即行動を起こさせ、当該ブランドの出荷数量と出荷トレンドに
大きな影響を与えるためのマーケティング・ツールである
売り上げを上げるための4要素
取扱店率・配荷率を上げる
トレード・プロモーション(対卸店、対小売店)、社内販促(セー
ルス・トレーニング/インセンティブ/コンテスト)
ブランド認知率を上げる
広告(含SNS)、消費者プロモーション、POP、サンプリン
グ、デモ販、大陳、イベント
試し買い率・初回購入率を上げる
サンプリング、クーポン、大陳、特売、POP、デモ販、モニター
再購買率・ロイヤルティを上げる
特売、ボーナス(マルチ)パック、大陳、消費者プロモーション
消費者プロモーションとトレードプロモーション
 製品の命運を最終的に決定するのは「消費者」である
故にすべての販促活動は現ユーザーの継続使用と新規ユーザーの
トライアルを喚起するためにまず消費者に注力すべき
トレードプロモーションは上記二点を間接的に達成するための一助
 然しながら予算が潤沢でない小ブランドはトレードプロモーションに
頼らざるを得ないことが多い
セールス・プロモーションの役割
 対消費者
ブランドの試用経験・初回購入(トライアル)の促進
ブランドの再購買(リピート)の促進
ブランドの使用率(使用頻度・継続使用)の向上
ブランドのロイヤルティの補強
ブランドベネフィットの補完(競合と差別化できない時)
 対流通
ブランド取扱店率の獲得・向上
  ブランドの売り場の確保
  ブランドの売り場の拡大(複数フェイス確保)
  流通サイドの仕入れ意欲の促進
セールス・プロモーションの種類 - 対象
 対社内販促(営業部門)
  セールス・オリエンテーション、セールス・エイド、セールス・イン
センティブ、セールス・トレーニング
 
 対流通販促
  (対卸店) ディーラー・ミーティング、商談会・見本市、一斉出荷特
売、 ディーラーヘルプス、物流サポート
  (対小売店) 特売、年間契約、大量陳列、試食・試飲宣伝、タイアッ
プ・プロモーション、プレミアム・プロモーション、クロス・プロモー
ション
 対消費者販促
  懸賞コンテスト、サンプリング、プレミアム・パック、モニタリング
、デモンストレーション、プロモーション・イベント
セールス・プロモーションの種類 - 手法
 価格・金銭インセンティブ
値引き、報奨金、キャッシュバック(リファンド)、リベート、クー
ポン
 商品インセンティブ
  商品提供、無償提供のおまけ、招待旅行、値引き(外増し、内増し)
 懸賞・賞金インセンティブ
  キャッシュまたは賞品が当たる(オープンおよびクローズド)、べた
付け、インスタント・ウィン
 名誉インセンティブ
成績優秀者にセールスマスターなどの称号や社長賞を与える
  商品店頭演出のための陳列台、陳列用什器、POP、ウィンドウ・
ディスプレイなどのストア・マーチャンダイジングも販売促進の一環
セールス・プロモーション・メディアとツール
 印刷物
  チラシ、ポスター、DM、カタログ、販促マニュアル、カレン
ダー
 ネット系ツール
  自社ウェブサイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、バ
ナー広告、ストリーミング広告、メール広告、リスティング広告
 購買時点メディア
  POP広告、大量陳列キット、シーリングPOP、ウォールPO
P、フロアーPOP、ショーカード、店外サイン、サイネージ
 イベント
  デモ・セールス、トレードショー、物販イベント、コンテスト・
イベント、会議・コンベンション協賛、冠イベント、周年イベント
 SPメディア
  屋外広告、交通広告、施設媒体(空港、球場、ホール)、店頭媒
体(CVS、シネアド、サイネージ)、家庭媒体(折り込み広告)
POP - Point of Purchase(購買時点広告)
 商品説明カードやプライス・カード、棚札、のぼり、店内のポス
ター、パネル、キャラクター人形などの商品の存在を知らせ購入意
欲を高めるための広告宣伝物
 購入銘柄を決めていない人の購入意欲を促進するだけでなく、目的
買い客に対しても有効な手段
 売り場を明示し、商品の注目度を高める効果がある
 販売員に代わって商品の説明をするのでスーパー、コンビニなどの
セルフ店では必要不可欠の手段である
デモンストレーション販売
 小売店頭や店内で行われる商品の実演販売(試飲・試食販売)
消費者に対しては商品の直接的な販売、使用機会の提供となり、小
売業に対しては販促を助ける販売店援助(ディーラー・ヘルプス)
となる
 マネキン販売
マネキン(説明員兼販売員)が説明をしながら販売する
 販促キャラバン
自社製品の販促および消費拡大を狙い、営業部隊やPRスタッフを
組織し、取扱店や消費者が集まる場所で使用実演をしながら販売す
る
プレミアム・パック・プロモーションの種類
 ボーナス・パック
  値段を変えずに増量する
 オン・パック
  製品の上または横にプレミアムを付ける
 イン・パック
  製品の中にプレミアムを入れる
 ニア・パック
  製品を購入するとレジなどで景品がもらえる
 リユーザブル・パック
  使用後に転用できる容器やパッケージを使う
 マルチ・パック
  複数の製品を束ねてディスカウントして売る
ボーナス・パックのメリット・デメリット
 値段を変えずに増量する、または複数を束ねる
 メリット
– 店頭で増量が即座に認知できる
– 家庭内在庫を増やすことでブランドスイッチを阻止できる
 デメリット
– 容量サイズ変更に伴う工場サイドの作業量/時間の増加
– 新規のユーザーは捕まえにくい
– 新しいJANコードが必要となる
– 小サイズをボーナスパックにするとそのサイズがカットされ
るリスクが発生する
オン/イン・パックのメリット・デメリット
 製品の上、横または中にプレミアムを付ける/入れる
 メリット
– プレミアム次第で魅力的なプロモーションとなる
– 購買と同時に景品が手に入るため消費行動を起こしやすい
– 競合がすぐ真似をすることができない
 デメリット
– 景品の選択から添付まで比較的長い時間を必要とする
– サイズによっては棚に収まりきれず店側の拒否にあう
– 製造とパッケージ面で工場サイドの負荷が大きい
– ボーナスパックより訴求力は弱い(プレミアムへの興味)
ニア・パックのメリット・デメリット
 製品を買うとレジなどで景品がもらえる
 メリット
– プレミアム次第で魅力的なプロモーションとなる
– 競合がすぐに真似をすることができない
– 通常商品を使うことが多く製造面で負荷をかけない
 デメリット
– 店側の負担が増え(レジでの)協力が得られないことが多い
– 協力を得られない店では何のプロモーション効果もない
– 在庫がなくなるまで続くので期間が店ごとに異なる
リユーザブル・パックのメリット・デメリット
 使用後に転用できる容器やパッケージを使用する
 メリット
– 容器次第で魅力的なプロモーションとなる
– 店頭で目立つため消費行動を起こしやすい
– 競合がすぐ真似をするこができない
 デメリット
– 容器の選択から生産まで比較的長い時間を必要とする
– 製造ラインの修正など工場サイドの負荷が大きい
– 通常品在庫の管理などが困難であることが多い
マルチ・パックのメリット・デメリット
 複数の製品を束ねてディスカウントして売る
 メリット
– 家庭内在庫を増やすことでブランドスイッチを阻止できる
– 複数を束ねたことでお買い得感が前面に出て購買に繋がる
– 店頭で増量されたことが目立つ
 デメリット
– 製造ラインの修正など工場サイドの負荷が大きい
– 新規のユーザーを捕らえることは困難なことが多い
– サイズが大きくなるため棚に収まらず店の協力が得にくい
懸賞キャンペーンでの注意点-景品表示法
 ベタ付けキャンペーン
– 取引価額   取引価額の20%までの景品
 一般懸賞キャンペーン(購入が条件)
– 取引価額が5000円未満  景品最高額 取引価額の20倍
– 取引価額が5000円以上  景品最高額 10万円
– いずれの場合も景品総額は売り上げ予想額2%以内
 オープン懸賞キャンペーン
– 景品最高額   上限の規定なし
新製品導入時のセールス・プロモーション
 新製品を告知する
  ネットを利用したティーザー告知
  流通とタイアップした告知イベント
  クーポン
 既存製品との差別化にフォーカスしたPOP
 再購買率が高いと思われる商品は配置サンプリング、試飲・試食宣伝が
有効
 自社営業部員が自信を持って「売れる!」と確信できるような社内販促
活動を対流通・対消費者販促に先立って実施する
サンプリングの種類
戸別サンプリング
郵送サンプリング
店内・店頭サンプリング
商品への添付サンプリング
応募者への送付サンプリング
街頭サンプリング
サンプリングは効率よくトライアルを生む
メッセージ(広告・PR)の
送信
到達 認知・記憶 好意・態度変容 試用注目
注目せず
試用せず
非好意・非変
容
認知・記憶せ
ず
使用中止
評価 再使用
ロイヤ
ルユー
ザー
サンプリングは送信から態度変容までを飛ばして試用に至る!
サンプリングの効果 - キャンディの実例
 サンプリング直前  サンプリング直後
販売個数  指数 販売個数  指数
サンプリング店 72.1  100.0 112.1  155.5
(5店6週間合計)
非サンプリング店 72.5 100.0 66.9  92.3
(5店6週間合計)
1日5000パックのサンプリングを2日間店前で実施
サンプリング実施店では非実施店に比べて68%販売増が見られた
サンプリングの効率を上げるために
 サンプリングは新発売時や製品改良時に有効である
 しかしサンプルコストより配布のためのコストが常に増大している
対策
 販売店サイドでのサンプリングが可能かを探る
 留め置き方式のサンプリングを検討する
 ターゲット層が重複する他業種のサンプリングとタイアップする
 サンプルパックに応募はがきを付け、正規商品を購入した後バーコード
を貼って送ると景品が当たるプロモーション等に誘導する(試買促進)
販促計画作成時に考えるべき5W2H
 WHY
市場背景 なぜこの販促計画を実施する必要があるのか
 WHO
攻略対象 誰に対して実施するのか
 WHAT
目的・販促タイプ 最適な販促種類とその理由(過去事例のレビュー)
 WHEN
キャンペーン時期 実施期間と他のマーケティング活動との連動性
 WHERE
キャンペーン地域 全国、特定地域、特定販路・チェーン
 HOW
演出 キャンペーンの盛り上げ方・キーワード
 HOW MUCH
予算規模と費用対効果
プロモーション計画を立てる前に
 以前に実行したプロモーションをレビューする
– 最も有効だったと考えられるプロモーションのタイプとなぜ成功
したのかを分析する
– 同様に予想に反して有効でなかったプロモーションを精査する
– 過去のケースあたりのかかった費用、プロモーションで販売増と
なったケースあたりの費用の分析
– 競合会社が実施したプロモーションの分析(競合製品および自社
製品への影響など)
 プロモーションの目的と戦略を文書化する(下記は目的の例)
– 消費者の試し買い、再購買を促進する
– 使用量を増加させる、家庭内在庫を増やす
– 継続使用を促進する
– 扱い店率を改善する、トレードの購入量を増やす
プロモーション目標と戦略 - 例
 プロモーション目標
対消費者: 既存および潜在消費者のロイヤルティーと継続購入を強化す
ることにより販売数量をX%増加する
対流通: CVSとドラッグでの配荷率およびシェルフをX%拡大する
 プロモーション戦略
タイミング: 市場が拡大する3‐5月およびハロウィーン時期
訴求対象: コアユーザーである女性10―30代
       二次的には20代、30代男性ユーザーを開拓する
製品: 中心SKUである100グラム製品
エリア: 全国であるが関東・関西・中部にフォーカスする
消費者/流通: 予算の60%を対消費者、40%を対流通に割り当てる
         前年より対消費者予算を強化する
販促案作成時に仮説を立てておく - 例
販促なし 販促あり   差額 
出荷数 1,000 1,100 100
販売金額 800 880 80
原価  400 440 40
粗利 80 88 8
販促費 0 5 5
利益 80 83 3
出荷増の100は、既存顧客の20%が消費を2割上げる+新規客が6%増えて10
0増となる  (1,000 X 0.2 X 0.2 + 1000 X 0.06 = 100)
販促期間で3百万円の利益が出る+翌月以降の販売増継続も見込める
プロモーション終了後にすべきこと
 事後評価
プロモーション目的は効果的に達成されたか
将来にわたる消費者の使用量は強化されたか
 プロモーション前と後のシェアの変動を比較する
 プロモーション前と後の出荷数量を比較する(プロモーション前後の6
カ月間合計など)
 試し買い、再購買率、取扱店率は上がったのか
 営業部、トレードの評価
 販促費(実出費対予算)
 POP類の有効利用
 競合会社の反応
陥りやすいプロモーションの罠
 売上達成至上主義で短期的な販目達成のため対流通販促活動を繰り返し
展開してしまう(長期で見ると費用はかかるが出荷数は大差ない)
 対消費者への販促であるべき店内試食・試飲デモやプレミアム・パック等
が、販売店の購入意欲促進のための流通向け販促になってしまう
 納入増・販売増を狙うばかりに、大量陳列、試食・試飲デモ販売・ディスカ
ウント・セールなどを同時に重複して展開してしまう
 プロモーションの効果の測定がされないことが多く、次の販促計画の改
善につながらない
 販促目標の明確化・数値化・費用対効果分析がされていないことが多い
販促にも口コミのちから
 スマホ、インスタ、ツイッター、SNSの発達で口コミ(CGM)は販売
促進でもマスメディアに負けないくらいの大きな威力を発揮する
 情報の拡散スピードが速い
 拡散されるエリアが広い
 購買経験を持つ人の情報は企業が発信する情報より信頼度が高い
 自然伝播を待つのでなく、訴求したい対象層に意図的に情報を提供する
ことが必要
 発信源となるインフルエンサーを明確に設定し、その対象に効果的に情
報を提供する
 自社HPなどで消費者グループを形成するなど消費者間での口コミ効果
を誘発する仕組みを作る

セールスプロモーションについて