けいれんについて
群馬県立小児医療センター
    神経内科
    椎原 隆
本日のメニュー
●けいれんって何
●こどもに多いけいれんの原因


●救急外来での対処法


  ●検査


  ●治療
前菜(自己紹介)
●   沼田市(旧白沢村)出身
●   沼田高校卒
●   山形大学医学部(1993/平成5年卒業)
●   山形大学医学部小児科
     –   二年間鳥取大学脳神経小児科で修行
       – その他は山形大学+山形県内関連病院
●   2006/平成18年から現職・群馬県立小児医
    療センター神経内科
群馬県立小児医療センター
       何処にあるの?

山の上にも30年
現在150床
中身も建物も古い
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●けいれんって何
●こどもに多いけいれんの原因


●救急外来での対処法


  ●検査


  ●治療
けいれんとは?
 脳の電気的活動の乱れ
   により、体の一部あるいは全身


ガクガク あるいは ピクッ ピ
      クッ  
   となる運動性 の発作
脳の各部位の働き
けいれんは脳の
 どの部分が
巻き込まれると
 起こるの?
けいれんは脳のどの部分の症状?
          前頭葉運動野
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●救急外来での対処法


  ●検査


  ●治療
小児・けいれんの原因

●   熱性けいれん    ●   てんかん発作
●   急性脳炎・脳症   ●   胃腸炎関連けいれ
●   細菌性髄膜炎        ん
●   無菌性髄膜炎
              ●   低血糖
              ●   電解質異常
              ●   脳血管障害 
     熱あり    熱なし
熱性けいれん
●   乳幼児におこる38度以上の発熱に伴うけいれん
    (実際にはけいれんがはっきりせず意識低下が
    前面に出る場合もある)
●   頻度は高くありふれた疾患(5 %以上)で、通常
    は後遺症を残さず予後良好(というか診察・治
    療の過程で予後の悪そうな疾患は除外、後ろ向
    き診断)
●   というわけで発熱+けいれんの多くは熱性けい
    れんであるが、発熱+けいれん=熱性けいれん
    ではない
●   そんなに心配いらないけど油断は禁物
急性脳炎・脳症
●   脳に炎症がある(髄液検査で細胞増多が見られる場
    合)を脳炎、そうでない場合を脳症と呼んでいるが臨
    床的には必ずしも区別は容易ではない
●   急性発症の意識障害が、一定時間以上持続
      –   6から12時間以上(最初の段階では?)
      –   多くは発熱を伴う感染症に起因
      –   けいれんや異常言動を伴うことが多い
      –   頭部CT/MRIで異常所見をしばしば伴う(しか
           し病初期ははっきりした異常がないことも多
           い)
      –   急性期は熱性けいれんと区別が難しいことも
羊の群れの中に、時たま羊の皮をかぶった狼が紛れてる
胃腸炎関連けいれん
●   乳児に多い
●   家族性は通常ない
●   胃腸炎(ロタウイルス・ノロウイルス・
    その他)に伴って、比較的短時間のけい
    れんが群発しておこることが多い
●   通常予後は良好
●   ベンゾジアゼピン系が効きにくく、カル
    バマゼピンやフェノバールが有効なこと
    が多い
もちろん他にも多くの疾患がけいれ
んを引き起こしますが、あんまり長
くなると眠くなるのでこの辺で一息
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●けいれんって何
●こどもに多いけいれんの原因


●救急外来での対処法


  ●検査


  ●治療
けいれん@救急外来
●   小児救急搬送のうち最も多い症状の一つ
●   発熱+けいれんの多くは、”熱性けいれん”で来院時
    にはけいれんも止まっていることが多い
●   救急隊からの連絡でけいれん止まっていると言われ
    ても止まってないこともある(地味なけいれんでも
    酸素飽和度が下がっていることがあるので、酸素飽
    和度は大事な情報)
●   急性期には熱性けいれんかそれ以外のより重篤な疾
    患か判断が難しいこともあるー>状況が許せば、経
    過観察入院 あるいは翌日受診
●   来院時けいれんが続いているようなら、問診・診
    察・検査・治療を同時にすすめる必要がある
問診
●   家族歴・既往歴(熱性けいれん・てん
    かん)
●   今回の経過(発熱・下痢の有無、発作
    の性状:始まり、左右差など)
●   薬剤歴
     – 最近はほとんど使われなくなった
         がテオフィリン関連けいれん
      – ピボキシル基を有する抗生物質
         (フロモックス、メイアクト、ト
     タヌ基 ミロン、オラペネム等)->低カル
診察
● 呼吸・循環状態(心電図・酸素飽和
  度モニター)
● けいれん発作が続いているかどうか


● 続いているならその性状


● けいれんが止まってたら麻痺の有無


● 意識状態の評価(JCS, GCSなど)
検査
●   採血(けいれんが続いてる時は抗けいれん剤
    投与のため、末梢静脈ラインが必要になるの
    で、ライン確保時採血することが多い)
     –血算・生化学(糖・電解質など)、血
       液ガス分析(静脈でもOK)
●   胸部単純(特に呼吸があやしい時)
●   頭部CT(けいれん長い、左右差・初回けいれ
    んなど)
●   発作時・発作後脳波(皮質起源の発作かどう
    か、大脳機能おおまかな評価、但し記録する
    人・評価できる人が必要、ビデオ脳波同時記
治療
●   気道確保(吸引)
●   呼吸補助(酸素投与、Bag & Mask等)
      – けいれんそのもので完全に呼吸が止ま
         ることはまず無いが、抗けいれん剤
         で気道分泌物↑や呼吸抑制↑の場合は
         気管内挿管が必要になることがある
      – けいれんしながら挿管するのはかなり
         難しいので、一旦けいれんを止めた
         後になる
●   抗けいれん剤(経静脈的投与が一番早く効く
    ので、可能な限り末梢静脈ライン確保)
焦らない
   あるいは
焦っていても悟られな
     い
   全てのけいれんは
   いつか必ず止まる
   焦らず・ゆっくり・着
   実に
   医療者焦り→家族不安
   あとでいろいろ、、、
代表的
抗けいれん剤
ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系

●   ほぼ第一選択・効き目が早い/作用持続は短め
●   セルシン・ホリゾン 静注 0.3-0.5
    mg/kg/dose 末梢確保が難しい場合は注腸 0.5
    mg/kg/dose 浸透圧が高いので血管痛 希釈す
    ると結晶化
●   ドルミカム 静注 0.1-0.3 mg/kg/dose 希釈
    可(1 ample 10 mg/2 mlを生食8 mlに希釈し
    計 10 mg/10 mlとして体重 10 kg程度なら 1
    mlずつ投与) 鼻・口腔粘膜投与 0.3
    mg/kg/dose 持続投与も可能(0.1-0.5
    mg/kg/hr)だが、細かい調節が必要だったり気
    道分泌物↑呼吸抑制↑ありうる
バルビツール系
バルビツール系

●   第二選択 ベンゾジアゼピン系が効かない場
    合、一旦は収まっても再発する場合に投与
●   ノーベルバール(フェノバール静注用製剤) 
    ゆっくり静注 15-20 mg/kg/dose ベンゾジア
    ゼピンと重ねる場合は呼吸抑制に注意 作用時
    間長く、良く眠る(当直医も眠れる)
●   ラボナール 静注 1.0-10 mg/kg/dose 呼吸抑
    制↑なので気管内挿管・呼吸管理準備必要 持
    続投与も可能だが血管炎等いろいろ副作用あり
ベンゾジアゼピン系
    と
 バルビツール系

 その違いは?
ベンゾジアゼピン系
バルビツール系
ヒント
答え
● バルビツール系は溶解が必要
● 下ごしらえが必要なので、投与

  まで少し時間がかかります
● ベンゾジアゼピン系でとりあえ

  ず止めてそれで再発する時バル
  ビツール系が現実的
その他
ホストイン
●   フォスフェニトイン、フェニトインのプロドラッグ
●   フェニトインに比べて血管刺激性が無いので、静注が
    可能
●   適応:てんかん重積状態
●   初回投与
      –   ホスフェニトインナトリウムとして22.5mg/kg
           を静脈内投与
      –   投与速度は3mg/kg/分又は150mg/分のいずれ
           か低い方を超えないこ
      –   生理食塩水や5%糖水に希釈して10分程度で投
           与
という訳で準備した内容は此処まで




    ご清聴ありがとうございました

けいれん 沼田脳神経外科 July2012

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    前菜(自己紹介) ● 沼田市(旧白沢村)出身 ● 沼田高校卒 ● 山形大学医学部(1993/平成5年卒業) ● 山形大学医学部小児科 – 二年間鳥取大学脳神経小児科で修行 – その他は山形大学+山形県内関連病院 ● 2006/平成18年から現職・群馬県立小児医 療センター神経内科
  • 4.
    群馬県立小児医療センター 何処にあるの? 山の上にも30年 現在150床 中身も建物も古い
  • 5.
  • 6.
    けいれんとは? 脳の電気的活動の乱れ により、体の一部あるいは全身 ガクガク あるいは ピクッ ピ クッ   となる運動性 の発作
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  • 9.
  • 10.
  • 11.
    小児・けいれんの原因 ● 熱性けいれん ● てんかん発作 ● 急性脳炎・脳症 ● 胃腸炎関連けいれ ● 細菌性髄膜炎 ん ● 無菌性髄膜炎 ● 低血糖 ● 電解質異常 ● 脳血管障害  熱あり    熱なし
  • 12.
    熱性けいれん ● 乳幼児におこる38度以上の発熱に伴うけいれん (実際にはけいれんがはっきりせず意識低下が 前面に出る場合もある) ● 頻度は高くありふれた疾患(5 %以上)で、通常 は後遺症を残さず予後良好(というか診察・治 療の過程で予後の悪そうな疾患は除外、後ろ向 き診断) ● というわけで発熱+けいれんの多くは熱性けい れんであるが、発熱+けいれん=熱性けいれん ではない ● そんなに心配いらないけど油断は禁物
  • 13.
    急性脳炎・脳症 ● 脳に炎症がある(髄液検査で細胞増多が見られる場 合)を脳炎、そうでない場合を脳症と呼んでいるが臨 床的には必ずしも区別は容易ではない ● 急性発症の意識障害が、一定時間以上持続 – 6から12時間以上(最初の段階では?) – 多くは発熱を伴う感染症に起因 – けいれんや異常言動を伴うことが多い – 頭部CT/MRIで異常所見をしばしば伴う(しか し病初期ははっきりした異常がないことも多 い) – 急性期は熱性けいれんと区別が難しいことも
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    胃腸炎関連けいれん ● 乳児に多い ● 家族性は通常ない ● 胃腸炎(ロタウイルス・ノロウイルス・ その他)に伴って、比較的短時間のけい れんが群発しておこることが多い ● 通常予後は良好 ● ベンゾジアゼピン系が効きにくく、カル バマゼピンやフェノバールが有効なこと が多い
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    けいれん@救急外来 ● 小児救急搬送のうち最も多い症状の一つ ● 発熱+けいれんの多くは、”熱性けいれん”で来院時 にはけいれんも止まっていることが多い ● 救急隊からの連絡でけいれん止まっていると言われ ても止まってないこともある(地味なけいれんでも 酸素飽和度が下がっていることがあるので、酸素飽 和度は大事な情報) ● 急性期には熱性けいれんかそれ以外のより重篤な疾 患か判断が難しいこともあるー>状況が許せば、経 過観察入院 あるいは翌日受診 ● 来院時けいれんが続いているようなら、問診・診 察・検査・治療を同時にすすめる必要がある
  • 19.
    問診 ● 家族歴・既往歴(熱性けいれん・てん かん) ● 今回の経過(発熱・下痢の有無、発作 の性状:始まり、左右差など) ● 薬剤歴 – 最近はほとんど使われなくなった がテオフィリン関連けいれん – ピボキシル基を有する抗生物質 (フロモックス、メイアクト、ト タヌ基 ミロン、オラペネム等)->低カル
  • 20.
    診察 ● 呼吸・循環状態(心電図・酸素飽和 度モニター) ● けいれん発作が続いているかどうか ● 続いているならその性状 ● けいれんが止まってたら麻痺の有無 ● 意識状態の評価(JCS, GCSなど)
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    検査 ● 採血(けいれんが続いてる時は抗けいれん剤 投与のため、末梢静脈ラインが必要になるの で、ライン確保時採血することが多い) –血算・生化学(糖・電解質など)、血 液ガス分析(静脈でもOK) ● 胸部単純(特に呼吸があやしい時) ● 頭部CT(けいれん長い、左右差・初回けいれ んなど) ● 発作時・発作後脳波(皮質起源の発作かどう か、大脳機能おおまかな評価、但し記録する 人・評価できる人が必要、ビデオ脳波同時記
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    治療 ● 気道確保(吸引) ● 呼吸補助(酸素投与、Bag & Mask等) – けいれんそのもので完全に呼吸が止ま ることはまず無いが、抗けいれん剤 で気道分泌物↑や呼吸抑制↑の場合は 気管内挿管が必要になることがある – けいれんしながら挿管するのはかなり 難しいので、一旦けいれんを止めた 後になる ● 抗けいれん剤(経静脈的投与が一番早く効く ので、可能な限り末梢静脈ライン確保)
  • 23.
    焦らない あるいは 焦っていても悟られな い 全てのけいれんは いつか必ず止まる 焦らず・ゆっくり・着 実に 医療者焦り→家族不安 あとでいろいろ、、、
  • 25.
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    ベンゾジアゼピン系 ● ほぼ第一選択・効き目が早い/作用持続は短め ● セルシン・ホリゾン 静注 0.3-0.5 mg/kg/dose 末梢確保が難しい場合は注腸 0.5 mg/kg/dose 浸透圧が高いので血管痛 希釈す ると結晶化 ● ドルミカム 静注 0.1-0.3 mg/kg/dose 希釈 可(1 ample 10 mg/2 mlを生食8 mlに希釈し 計 10 mg/10 mlとして体重 10 kg程度なら 1 mlずつ投与) 鼻・口腔粘膜投与 0.3 mg/kg/dose 持続投与も可能(0.1-0.5 mg/kg/hr)だが、細かい調節が必要だったり気 道分泌物↑呼吸抑制↑ありうる
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    バルビツール系 ● 第二選択 ベンゾジアゼピン系が効かない場 合、一旦は収まっても再発する場合に投与 ● ノーベルバール(フェノバール静注用製剤)  ゆっくり静注 15-20 mg/kg/dose ベンゾジア ゼピンと重ねる場合は呼吸抑制に注意 作用時 間長く、良く眠る(当直医も眠れる) ● ラボナール 静注 1.0-10 mg/kg/dose 呼吸抑 制↑なので気管内挿管・呼吸管理準備必要 持 続投与も可能だが血管炎等いろいろ副作用あり
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    ベンゾジアゼピン系 と バルビツール系 その違いは?
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  • 34.
  • 35.
  • 36.
    答え ● バルビツール系は溶解が必要 ● 下ごしらえが必要なので、投与 まで少し時間がかかります ● ベンゾジアゼピン系でとりあえ ず止めてそれで再発する時バル ビツール系が現実的
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    ホストイン ● フォスフェニトイン、フェニトインのプロドラッグ ● フェニトインに比べて血管刺激性が無いので、静注が 可能 ● 適応:てんかん重積状態 ● 初回投与 – ホスフェニトインナトリウムとして22.5mg/kg を静脈内投与 – 投与速度は3mg/kg/分又は150mg/分のいずれ か低い方を超えないこ – 生理食塩水や5%糖水に希釈して10分程度で投 与
  • 39.
    という訳で準備した内容は此処まで ご清聴ありがとうございました