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1. 電子書籍アプリケーション
用背景色生成システムの提
案
伊藤 大貴
静岡大学 情報学部 行動情報学科4年
ito@design.inf.shizuoka.ac.jp
ジャーナルクラブ
2019年10月30日
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2. 基本情報
タイトル
電子書籍アプリケーション用背景色生成システ
ムの提案
著者
上浦拓人、山田昇平、ナイワラ P. チャンドラ
シリ
出典
映像情報メディア学会誌 Vol. 72, No. 10,
pp. J183～J188（2018）
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3. 140文字概要
本研究では、小説文章に含まれる単語から情景に適した背景色
を生成し表示するシステムを開発した。これにより、電子端末
の持つ表現力を活用し、読者へより場面の情景を伝え、感情移
入を促す効果を実現した。実験の結果、感情移入のしやすさに
おいて従来の表示形式の評価を上回り、有用性が確認できた。
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○
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、
草
木
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山
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草
木
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草
木
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読者
感情移入
しやすくなった

4. 問題背景
近年、電子書籍が普及している
電子書籍端末はカラー画像や、動画・音声な
どを表現できる機能があるにもかかわらず、
従来の電子書籍アプリは紙媒体と同様に白地
に黒文字の場合が多い
→端末が持つ表現力やインターフェースを充
分生かせるようなシステムを提案したい
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5. RQと仮説
RQ
電子書籍端末が持つ表現力を充分に生かし、文
字の読みやすさを維持しつつ、ユーザーの読書
体験を向上させるにはどうしたらよいか？
仮説
文章の表現している情景に着目し、文章中の名
詞句から単一の背景色を生成・表示するシステ
ムを端末に組み込むことで、より物語へ感情移
入できるといった読書体験の向上が期待できる
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6. 小説文章の選定
研究に用いる小説文章（青空文庫から取得）
– 芥川龍之介「沼地」
– 新美南吉「赤とんぼ」
– 島崎藤村「二人の兄弟」
– 小川未明「春が来る前」
選考基準
– 著作権が切れている
– 文章が長すぎない（短編小説である）
– 新字新仮名になっている
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7. システムの全体図＆実際の表示例
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8. キーワード設定
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tf-idf法
文書内に出現する単語の重要度を算出する手法
tf-idf法を用いて、小説全体において出現頻度
が高く、かつ各ページを特徴的づけている単
語の抽出を行う
tf(w,d) → 小説中の単語wの出現頻度
idf(w) = log
𝑁
𝑑𝑓(𝑤)
→ 単語wの各ページにおける特有性
d : 1小説のページ集合
w : 単語
N : 全ページ数
df(w) : wが出現するページ数

9. 単語色計算
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抽出した単語を検索キーワードとして、
Yahoo!の画像検索を行い、上位20件を取得
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
各画像の画素値から平均色を取得
↓
平均色の平均を
単語色として利用

10. 背景色生成
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単語色を混ぜて、背景色を生成
Cj(R,G,B) : 背景色
Wi(R,G,B): 単語色
Tf-idf(Wi) : 単語Wiのtf-idf値
MIX

11. 実験設定
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参加者：色覚異常のない20代大学生男女16人
作成したアプリを使用して文章を読み、以下
の項目を評価してもらう
読みにくい 読みやすい
感情移入
できない
感情移入
できる
合っている合っていない
通常の白背景と比べて
背景色と文章が

12. 実験結果（1/2）
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感情移入のスコアに関しては、4作とも基
準値である白背景のスコアを上回った
「沼地」「二人の兄弟」では、t検定による
有意差も認められた

13. 実験結果（2/2）
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読みやすさ、文章と背景色の合致について
は、タイトルによって変化の出る結果と
なった

14. 考察（1/2）
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読みやすさの評価が低い2作品は、ページ
によって情景描写が大きく変わってしまう
ため、色の変化も極端になってしまったこ
とが原因として考えられる
文章と背景色の合致に関して、「赤とん
ぼ」が大きく下がっている。作中で頻出す
る赤とんぼという単語から、ユーザーは赤
色を連想するが、実際に生成された背景色
は緑に近い色であるためだと考えられる

15. 考察（2/2）
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「赤とんぼ」の画像検索において、草むら
や田んぼが映り込み、画素値の緑成分が多
くなってしまったことが根本の原因である
と考えられる
→画像取得後に、画像の主題を切り取ってか
ら単語色の計算を行うなどの工夫が必要

16. 感想
全体を通して綺麗にまとめられていて、理
解しやすかった
アイデア自体はシンプルなものだが、きっ
ちりと関連研究を踏まえて課題設定がされ
ていることや、RQと仮説が明快であること
が良い点だと思った
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