単一アプリケーションや小規模システムとしてのGISの先にある,ユニバーサル・インフラストラクチャとしてあらゆる地理的事象を扱うGISの未来像やそこでの技術を,ユビキタスコンピューティングのビジョンとともに論じる.Buzzwordとして認識されがちなユビキタスコンピューティングではあるが,あらゆるところに計算機能が不可視に埋め込まれ,意識させずに我々の活動を支援するというビジョンそのものはWebの発展の方向性と相まって一歩一歩実現に近付いている. 本講演では,私自身のこれまでの研究活動の中で取り扱ってきた,個人の移動軌跡,高時空間密度の環境観測データといった新しいセンサ技術が収集可能にする時空間情報を紹介する.そしてGISを,多様な時空間情報を利用するアプリケーション構築のための汎用プラットフォームとして再定義し,その可能性と技術的課題とを議論する.