SlideShare a Scribd company logo
DARM 勉 強 会
#3.2
2013.03.02




        Multiple regression
        - The latter of half -


      広島大学教育学研究科
      博士課程後期1年
      德岡 大



                                 1
Reporting
 Guideline          8. 欠損値の扱う方法が取り上げられている
 (Kelly & Maxwll)




 欠損値のパターン
a. MCAR (missing completely at random)
    欠損は欠損値にも観測値にも依存しない
b. MAR (missing at random)
    欠損値には依存しないが,観測値には依存する可能性
c. MNAR (missing not at random)
    欠損値自体や測定していない変数にも依存することを示唆

 欠損値の扱いについて
   a. 欠損データは最小限に (e.g., 質問紙回収前に空欄がないか確認しても
      らう)
   b. 欠損値の量に関係なく,欠損パターンは調べて報告すべき
   c. 欠損値の扱い方とその選択理由の適切性について議論すべき
   d. 特定の平均値代入やペアワイズ除外は,使用する明確な説明を伴う理
      由がない限り,使用すべきでない
                                             2
Reporting
 Guideline          8. 欠損値の扱う方法が取り上げられている
 (Kelly & Maxwll)



                        欠損値の処理方法

a. ケースワイズ除外
   • 欠損モデルがMCARであるという強い仮定がある。MCARでない限り,バイ
     アスがかかる
b. 単一 or 多重代入法
   • 他のデータから欠損データ部分に“もっともらしい値”を推定して代入する。
     ケースワイズよりもbetter
c. 最尤推定法
   構造方程式モデルやマルチレベルの欠損値処理で簡単に実行できるため,もっ
   ともpopularな方法。欠損データはMCARやMARである必要
   a. Full Information Maximum Likelihood (FIML) :t分布の代わりに標準正規
      分布を用いて,自由度を考慮しないため,サンプルサイズが小さいときに
      用いるべきでない。サンプルが小さいとFIMLアプローチは,タイプⅠエ
      ラーを生じさせがち。
   b. Restricted maximum likelihood (REML):自由度を考慮し,小さいサンプ
      ルサイズに対してより適切。
 多重代入法か最尤推定法をおすすめ!
                                                                 3
Reporting          9. 調整(moderation)を検討モデルでは,解釈の問題,
 Guideline          中心化の役割,視覚化が取り上げられている
 (Kelly & Maxwll)




                    X1                   Y

                               X2
 通常の重回帰式では,交互作用の検討はできないが検討すべき
  • 重回帰式に交互作用項を加える



  • X1がYに及ぼす影響は,β1 + β3X2’と表現できる
 調整効果は論文中にもプロットすることを推奨
 条件付き(i.e., 単純)効果を解釈する
 交互作用項を作る変数は中心化 (各データ-平均値)するのが一般的。
 タイプⅠエラーの増加や検定力の低下のため,カテゴリ化は推奨しない
                                                       4
論文中に示されたプロットの例 2)




2) Darnon, C., Dompnier, B., Gílliéron, O, & Butera, F. (2010). The interplay of masatery and
performance goals in social comparison: A multiple-goal perspective. Journal of Educational
Psychology, 102, 212-222.                                                                     5
Reporting          9. 調整(moderation)を検討モデルでは,解釈の問題,
     Guideline          中心化の役割,視覚化が取り上げられている
     (Kelly & Maxwll)



                   調整効果を検討するときに気を付けること

a. 尺度の信頼性(積である交互作用項に誤差が増えるため)
b. 独立変数同士に相関がある場合,検定力が低下する
c.     独立変数間の相関が高い時,曲線効果があるならば交互作用に関する
       タイプⅠエラーが深刻に増加
       • 2次の交互作用項を投入することで解決
       • 交互作用効果を検討するための検定力は低く,ベストな解決策なし


 交互作用を検討したい場合,独立変数間の相関と理論的に曲線効果を
       除外するかしないかについて明らかにすべき
 『Interaction effects in multiple regression (1st or 2nd ed.)』参照
                                                                    6
Reporting               10. 媒介(mediation)を検討するモデルでは,横断的方
 Guideline               法のための解釈の問題や限界が取り上げられている
 (Kelly & Maxwll)




         X1                                 Y
                               β2
                                                この効果が有意でなければX1と
                    β1          X2     β3       Yは「完全な媒介関係にある」,
                                                有意であれば「部分的な媒介関
                                                係にある」といわれる

a. Barron & Kenny (1986)の媒介を検討する4つの手順
    1.     X1はYに影響を及ぼすか (総合効果の検討)
    2.     X2を加えたモデルで直接効果と媒介(間接)効果を検討
    3.     間接効果の検定
    4.     総合効果と直接効果の比較
 間接効果の検定
    a.     ブートストラップ法
    b.     β1β3の分布
 2つの方法で検定することを推奨。β1~β3の係数と信頼区
  間を報告すべき
                                                                  7
Reporting          10. 媒介(mediation)を検討するモデルでは,横断的方
Guideline          法のための解釈の問題や限界が取り上げられている
(Kelly & Maxwll)



                     媒介分析で考慮すべきこと
a. 媒介変数の測定誤差はバイアスのかかった回帰係数推定の原因となる
b. 媒介変数が誤差なしで測定されていない限り,結果の解釈においてもっ
   ともらしいバイアスを取り上げるべき
c. バイアスや測定誤差を特定するため,潜在変数を使うもの1つの手段

d. 横断的な媒介の推定は,媒介が時間経過で生じるときに深刻なバイアス
   を生じさせうる
e. 縦断デザインが奨励されるべき

f. 十分な検定力を得るのに必要なサンプルサイズを考慮すべき

g. 3変数よりも複雑な媒介に関する情報は,MacKinnon, Fairchild, & Fritz
   (2007)やMacKinnon (2008)を参照


                                                      8
媒介の程度とサンプルサイズの関係 3)




3) Fritz, M. S., & MacKinnon, D. P. (2007). Required sample size to detect the mediational effect.
Psychological Science, 18, 233-239.
                                                                                                     9
Reporting          11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行
 Guideline          われている
 (Kelly & Maxwll)



                      線形の仮定を図により確認
a. 重回帰モデルの仮定は考慮し,評価されるべき
b. Conditioning plot (coplot)
   ある変数の水準ごとの2変数の散布図行列




                                                   10
Reporting          11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行
 Guideline          われている
 (Kelly & Maxwll)



                      線形の仮定を図により確認
b. Residual versus predictor (RVP) plot
    残差と独立変数は無相関であるという重回帰分析の前提




                                                   11
Reporting          11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行
  Guideline          われている
  (Kelly & Maxwll)



                       線形の仮定を図により確認
c. Component plus residual (CPR) plot
    各説明変数と目的変数の関係を図示




                                                    12
Reporting           11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行
 Guideline           われている
 (Kelly & Maxwll)



                        線形の仮定を図により確認
 説明変数と目的変数の関係が線形でないなら,重回帰分析はすべきでない
  非線形回帰モデルについては,Nonlinear regression (Seber & Wild, 1989)を参照

 重回帰モデルでは,誤差の正規性が仮定されている
  a. QQ-プロットで視覚的に確認
  b. 正規性の検定もあるが,図視化は非常に有効




                    スライド12の重回帰分析の結果
                    R Studioではvalueに格納されている




                                                           13
Reporting          11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行
 Guideline          われている
 (Kelly & Maxwll)



                      変数間の関連を図により確認
 Matrix scatterplotsの利用
   • 外れ値や異常値の特定が可能
   • 相関や回帰は外れ値の影響を受けやすいため,外れ値の特定の仕方
     によって同じデータでも異なる結果が得られることがある。
   • 外れ値による相関の変化:leveraging points

 論文として報告する上で
   • スペースは限られており,本誌に図を
     載せることはできないことが多い。
   • しかし,図示された情報はとても有益
     であるため,Webのsupplemental
     materialとするのがお勧め



                                                   14
Reporting
 Guideline          12. 説明変数と従属変数の測定誤差が取り上げられている
 (Kelly & Maxwll)




 測定誤差は2×2×2の配列で概念化される
   a.    測定誤差 (ランダム,非ランダム)
   b.    変数のタイプ (独立,基準)
   c.    係数のタイプ (非標準化,標準化)

 ランダムな測定誤差
  • 平均 = 0,測定変数,真値,誤差と無相関。
   基準変数のランダムな測定誤差
    大きくなると,非標準化回帰係数は変化しないが,標準化回帰係数
    は小さくなる。大きくなると,R^2減少し,検定力とAIPEの減少も
    示唆。
   独立変数のランダムな測定誤差
    回帰係数が全般的に減少し,正確でなくなる。信頼区間は広くなり
    がち。

 特に説明が目的である場合,測定誤差は問題になる
 説明が目的である場合,SEMの使用がおすすめ
                                                   15
Reporting          13. 重回帰分析を適用した研究文脈における重回帰分析の
 Guideline          もつ潜在的な限界が明確に述べられている
 (Kelly & Maxwll)




 実験的ではない研究デザインの場合に限界がある

 観察研究の場合,因果の主張は避ける

 重回帰モデルでは他の基準変数間の関係が“統制される”ということ

 重回帰モデルに用いる変数の妥当性について,考慮される必要がある




                                                   16
Reporting
 Guideline          14. 重回帰モデルの他の選択肢が与えられていること
 (Kelly & Maxwll)




 誤差の正規性の仮定が満たされない時,ノンパラメトリックな方法を

 基準変数が,連続的でない場合,一般線形モデルを

 線形の仮定が満たされない時,Spline回帰やlowessを

 観測値の独立性が満たされない時,マルチレベルモデルを

 測定誤差が深刻な時,潜在変数モデルが考慮されるべき
  • CFA,SEM




                                                 17

More Related Content

What's hot

13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#413.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
Yoshitake Takebayashi
 
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
Masaru Tokuoka
 
03 「重回帰分析」の入門
03 「重回帰分析」の入門03 「重回帰分析」の入門
03 「重回帰分析」の入門
Shuhei Ichikawa
 
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
Masaru Tokuoka
 
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
shima o
 
[読会]Logistic regression models for aggregated data
[読会]Logistic regression models for aggregated data[読会]Logistic regression models for aggregated data
[読会]Logistic regression models for aggregated data
shima o
 
混合モデルを使って反復測定分散分析をする
混合モデルを使って反復測定分散分析をする混合モデルを使って反復測定分散分析をする
混合モデルを使って反復測定分散分析をする
Masaru Tokuoka
 
Rゼミ 3
Rゼミ 3Rゼミ 3
Rゼミ 3
tarokun3
 
多変量解析の一般化
多変量解析の一般化多変量解析の一般化
多変量解析の一般化
Akisato Kimura
 
データマイニング入門
データマイニング入門データマイニング入門
データマイニング入門
hrfm
 
第二回統計学勉強会@東大駒場
第二回統計学勉強会@東大駒場第二回統計学勉強会@東大駒場
第二回統計学勉強会@東大駒場Daisuke Yoneoka
 
第四回統計学勉強会@東大駒場
第四回統計学勉強会@東大駒場第四回統計学勉強会@東大駒場
第四回統計学勉強会@東大駒場Daisuke Yoneoka
 
PRML輪読#1
PRML輪読#1PRML輪読#1
PRML輪読#1
matsuolab
 
広島画像情報学セミナ 2011.9.16
広島画像情報学セミナ 2011.9.16広島画像情報学セミナ 2011.9.16
広島画像情報学セミナ 2011.9.16
Akisato Kimura
 
一般化線形混合モデル入門の入門
一般化線形混合モデル入門の入門一般化線形混合モデル入門の入門
一般化線形混合モデル入門の入門
Yu Tamura
 
みどりぼん読書会 第4章
みどりぼん読書会 第4章みどりぼん読書会 第4章
みどりぼん読書会 第4章
Masanori Takano
 
PRML10章
PRML10章PRML10章
PRML10章
弘毅 露崎
 
PRML読み会第一章
PRML読み会第一章PRML読み会第一章
PRML読み会第一章
Takushi Miki
 
PRML輪読#2
PRML輪読#2PRML輪読#2
PRML輪読#2
matsuolab
 
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
Akisato Kimura
 

What's hot (20)

13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#413.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
13.01.20. 第1回DARM勉強会資料#4
 
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
DARM勉強会第3回 (missing data analysis)
 
03 「重回帰分析」の入門
03 「重回帰分析」の入門03 「重回帰分析」の入門
03 「重回帰分析」の入門
 
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
第1回DARM勉強会のANOVA補足(repeated measures designs)
 
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
[読会]A critical review of lasso and its derivatives for variable selection und...
 
[読会]Logistic regression models for aggregated data
[読会]Logistic regression models for aggregated data[読会]Logistic regression models for aggregated data
[読会]Logistic regression models for aggregated data
 
混合モデルを使って反復測定分散分析をする
混合モデルを使って反復測定分散分析をする混合モデルを使って反復測定分散分析をする
混合モデルを使って反復測定分散分析をする
 
Rゼミ 3
Rゼミ 3Rゼミ 3
Rゼミ 3
 
多変量解析の一般化
多変量解析の一般化多変量解析の一般化
多変量解析の一般化
 
データマイニング入門
データマイニング入門データマイニング入門
データマイニング入門
 
第二回統計学勉強会@東大駒場
第二回統計学勉強会@東大駒場第二回統計学勉強会@東大駒場
第二回統計学勉強会@東大駒場
 
第四回統計学勉強会@東大駒場
第四回統計学勉強会@東大駒場第四回統計学勉強会@東大駒場
第四回統計学勉強会@東大駒場
 
PRML輪読#1
PRML輪読#1PRML輪読#1
PRML輪読#1
 
広島画像情報学セミナ 2011.9.16
広島画像情報学セミナ 2011.9.16広島画像情報学セミナ 2011.9.16
広島画像情報学セミナ 2011.9.16
 
一般化線形混合モデル入門の入門
一般化線形混合モデル入門の入門一般化線形混合モデル入門の入門
一般化線形混合モデル入門の入門
 
みどりぼん読書会 第4章
みどりぼん読書会 第4章みどりぼん読書会 第4章
みどりぼん読書会 第4章
 
PRML10章
PRML10章PRML10章
PRML10章
 
PRML読み会第一章
PRML読み会第一章PRML読み会第一章
PRML読み会第一章
 
PRML輪読#2
PRML輪読#2PRML輪読#2
PRML輪読#2
 
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
MIRU2011 OS1-2 拡張ペアワイズ表現を用いた一般化多変量解析
 

Similar to 第2回DARM勉強会

20200420 lime skype_
20200420 lime skype_20200420 lime skype_
20200420 lime skype_
Tomohisa Seki
 
反応性と解釈可能性の評価
反応性と解釈可能性の評価反応性と解釈可能性の評価
反応性と解釈可能性の評価
Senshu University
 
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM) 一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
Deep Learning Lab(ディープラーニング・ラボ)
 
ロジスティック回帰分析の書き方
ロジスティック回帰分析の書き方ロジスティック回帰分析の書き方
ロジスティック回帰分析の書き方
Sayuri Shimizu
 
第6回第10−11章v1.6
第6回第10−11章v1.6第6回第10−11章v1.6

Similar to 第2回DARM勉強会 (6)

20200420 lime skype_
20200420 lime skype_20200420 lime skype_
20200420 lime skype_
 
反応性と解釈可能性の評価
反応性と解釈可能性の評価反応性と解釈可能性の評価
反応性と解釈可能性の評価
 
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM) 一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
一般化線形モデル (GLM) & 一般化加法モデル(GAM)
 
ロジスティック回帰分析の書き方
ロジスティック回帰分析の書き方ロジスティック回帰分析の書き方
ロジスティック回帰分析の書き方
 
ma99992011id513
ma99992011id513ma99992011id513
ma99992011id513
 
第6回第10−11章v1.6
第6回第10−11章v1.6第6回第10−11章v1.6
第6回第10−11章v1.6
 

More from Masaru Tokuoka

170826 tokyo r_lt
170826 tokyo r_lt170826 tokyo r_lt
170826 tokyo r_lt
Masaru Tokuoka
 
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデルSEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
Masaru Tokuoka
 
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05 RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
Masaru Tokuoka
 
ポワソン分布の分布感をつかむ
ポワソン分布の分布感をつかむポワソン分布の分布感をつかむ
ポワソン分布の分布感をつかむ
Masaru Tokuoka
 
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違いinferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
Masaru Tokuoka
 
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.R
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.Rrstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.R
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.RMasaru Tokuoka
 
データ入力が終わってから分析前にすること
データ入力が終わってから分析前にすることデータ入力が終わってから分析前にすること
データ入力が終わってから分析前にすること
Masaru Tokuoka
 
MCMCで研究報告
MCMCで研究報告MCMCで研究報告
MCMCで研究報告
Masaru Tokuoka
 

More from Masaru Tokuoka (8)

170826 tokyo r_lt
170826 tokyo r_lt170826 tokyo r_lt
170826 tokyo r_lt
 
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデルSEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
SEMを用いた縦断データの解析 潜在曲線モデル
 
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05 RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
RでMplusがもっと便利にーmplusAutomationパッケージー #Hiroshimar05
 
ポワソン分布の分布感をつかむ
ポワソン分布の分布感をつかむポワソン分布の分布感をつかむ
ポワソン分布の分布感をつかむ
 
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違いinferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
inferences with gaussians: 記法によるrstanの推定結果の違い
 
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.R
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.Rrstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.R
rstanで情報仮説によるモデル評価してみる@Hjiyama.R
 
データ入力が終わってから分析前にすること
データ入力が終わってから分析前にすることデータ入力が終わってから分析前にすること
データ入力が終わってから分析前にすること
 
MCMCで研究報告
MCMCで研究報告MCMCで研究報告
MCMCで研究報告
 

第2回DARM勉強会

  • 1. DARM 勉 強 会 #3.2 2013.03.02 Multiple regression - The latter of half - 広島大学教育学研究科 博士課程後期1年 德岡 大 1
  • 2. Reporting Guideline 8. 欠損値の扱う方法が取り上げられている (Kelly & Maxwll)  欠損値のパターン a. MCAR (missing completely at random) 欠損は欠損値にも観測値にも依存しない b. MAR (missing at random) 欠損値には依存しないが,観測値には依存する可能性 c. MNAR (missing not at random) 欠損値自体や測定していない変数にも依存することを示唆  欠損値の扱いについて a. 欠損データは最小限に (e.g., 質問紙回収前に空欄がないか確認しても らう) b. 欠損値の量に関係なく,欠損パターンは調べて報告すべき c. 欠損値の扱い方とその選択理由の適切性について議論すべき d. 特定の平均値代入やペアワイズ除外は,使用する明確な説明を伴う理 由がない限り,使用すべきでない 2
  • 3. Reporting Guideline 8. 欠損値の扱う方法が取り上げられている (Kelly & Maxwll) 欠損値の処理方法 a. ケースワイズ除外 • 欠損モデルがMCARであるという強い仮定がある。MCARでない限り,バイ アスがかかる b. 単一 or 多重代入法 • 他のデータから欠損データ部分に“もっともらしい値”を推定して代入する。 ケースワイズよりもbetter c. 最尤推定法 構造方程式モデルやマルチレベルの欠損値処理で簡単に実行できるため,もっ ともpopularな方法。欠損データはMCARやMARである必要 a. Full Information Maximum Likelihood (FIML) :t分布の代わりに標準正規 分布を用いて,自由度を考慮しないため,サンプルサイズが小さいときに 用いるべきでない。サンプルが小さいとFIMLアプローチは,タイプⅠエ ラーを生じさせがち。 b. Restricted maximum likelihood (REML):自由度を考慮し,小さいサンプ ルサイズに対してより適切。  多重代入法か最尤推定法をおすすめ! 3
  • 4. Reporting 9. 調整(moderation)を検討モデルでは,解釈の問題, Guideline 中心化の役割,視覚化が取り上げられている (Kelly & Maxwll) X1 Y X2  通常の重回帰式では,交互作用の検討はできないが検討すべき • 重回帰式に交互作用項を加える • X1がYに及ぼす影響は,β1 + β3X2’と表現できる  調整効果は論文中にもプロットすることを推奨  条件付き(i.e., 単純)効果を解釈する  交互作用項を作る変数は中心化 (各データ-平均値)するのが一般的。  タイプⅠエラーの増加や検定力の低下のため,カテゴリ化は推奨しない 4
  • 5. 論文中に示されたプロットの例 2) 2) Darnon, C., Dompnier, B., Gílliéron, O, & Butera, F. (2010). The interplay of masatery and performance goals in social comparison: A multiple-goal perspective. Journal of Educational Psychology, 102, 212-222. 5
  • 6. Reporting 9. 調整(moderation)を検討モデルでは,解釈の問題, Guideline 中心化の役割,視覚化が取り上げられている (Kelly & Maxwll) 調整効果を検討するときに気を付けること a. 尺度の信頼性(積である交互作用項に誤差が増えるため) b. 独立変数同士に相関がある場合,検定力が低下する c. 独立変数間の相関が高い時,曲線効果があるならば交互作用に関する タイプⅠエラーが深刻に増加 • 2次の交互作用項を投入することで解決 • 交互作用効果を検討するための検定力は低く,ベストな解決策なし  交互作用を検討したい場合,独立変数間の相関と理論的に曲線効果を 除外するかしないかについて明らかにすべき  『Interaction effects in multiple regression (1st or 2nd ed.)』参照 6
  • 7. Reporting 10. 媒介(mediation)を検討するモデルでは,横断的方 Guideline 法のための解釈の問題や限界が取り上げられている (Kelly & Maxwll) X1 Y β2 この効果が有意でなければX1と β1 X2 β3 Yは「完全な媒介関係にある」, 有意であれば「部分的な媒介関 係にある」といわれる a. Barron & Kenny (1986)の媒介を検討する4つの手順 1. X1はYに影響を及ぼすか (総合効果の検討) 2. X2を加えたモデルで直接効果と媒介(間接)効果を検討 3. 間接効果の検定 4. 総合効果と直接効果の比較  間接効果の検定 a. ブートストラップ法 b. β1β3の分布  2つの方法で検定することを推奨。β1~β3の係数と信頼区 間を報告すべき 7
  • 8. Reporting 10. 媒介(mediation)を検討するモデルでは,横断的方 Guideline 法のための解釈の問題や限界が取り上げられている (Kelly & Maxwll) 媒介分析で考慮すべきこと a. 媒介変数の測定誤差はバイアスのかかった回帰係数推定の原因となる b. 媒介変数が誤差なしで測定されていない限り,結果の解釈においてもっ ともらしいバイアスを取り上げるべき c. バイアスや測定誤差を特定するため,潜在変数を使うもの1つの手段 d. 横断的な媒介の推定は,媒介が時間経過で生じるときに深刻なバイアス を生じさせうる e. 縦断デザインが奨励されるべき f. 十分な検定力を得るのに必要なサンプルサイズを考慮すべき g. 3変数よりも複雑な媒介に関する情報は,MacKinnon, Fairchild, & Fritz (2007)やMacKinnon (2008)を参照 8
  • 9. 媒介の程度とサンプルサイズの関係 3) 3) Fritz, M. S., & MacKinnon, D. P. (2007). Required sample size to detect the mediational effect. Psychological Science, 18, 233-239. 9
  • 10. Reporting 11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行 Guideline われている (Kelly & Maxwll) 線形の仮定を図により確認 a. 重回帰モデルの仮定は考慮し,評価されるべき b. Conditioning plot (coplot) ある変数の水準ごとの2変数の散布図行列 10
  • 11. Reporting 11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行 Guideline われている (Kelly & Maxwll) 線形の仮定を図により確認 b. Residual versus predictor (RVP) plot 残差と独立変数は無相関であるという重回帰分析の前提 11
  • 12. Reporting 11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行 Guideline われている (Kelly & Maxwll) 線形の仮定を図により確認 c. Component plus residual (CPR) plot 各説明変数と目的変数の関係を図示 12
  • 13. Reporting 11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行 Guideline われている (Kelly & Maxwll) 線形の仮定を図により確認  説明変数と目的変数の関係が線形でないなら,重回帰分析はすべきでない 非線形回帰モデルについては,Nonlinear regression (Seber & Wild, 1989)を参照  重回帰モデルでは,誤差の正規性が仮定されている a. QQ-プロットで視覚的に確認 b. 正規性の検定もあるが,図視化は非常に有効 スライド12の重回帰分析の結果 R Studioではvalueに格納されている 13
  • 14. Reporting 11. モデルの適切性と仮定を査定するデータの視覚化が行 Guideline われている (Kelly & Maxwll) 変数間の関連を図により確認  Matrix scatterplotsの利用 • 外れ値や異常値の特定が可能 • 相関や回帰は外れ値の影響を受けやすいため,外れ値の特定の仕方 によって同じデータでも異なる結果が得られることがある。 • 外れ値による相関の変化:leveraging points  論文として報告する上で • スペースは限られており,本誌に図を 載せることはできないことが多い。 • しかし,図示された情報はとても有益 であるため,Webのsupplemental materialとするのがお勧め 14
  • 15. Reporting Guideline 12. 説明変数と従属変数の測定誤差が取り上げられている (Kelly & Maxwll)  測定誤差は2×2×2の配列で概念化される a. 測定誤差 (ランダム,非ランダム) b. 変数のタイプ (独立,基準) c. 係数のタイプ (非標準化,標準化)  ランダムな測定誤差 • 平均 = 0,測定変数,真値,誤差と無相関。  基準変数のランダムな測定誤差 大きくなると,非標準化回帰係数は変化しないが,標準化回帰係数 は小さくなる。大きくなると,R^2減少し,検定力とAIPEの減少も 示唆。  独立変数のランダムな測定誤差 回帰係数が全般的に減少し,正確でなくなる。信頼区間は広くなり がち。  特に説明が目的である場合,測定誤差は問題になる  説明が目的である場合,SEMの使用がおすすめ 15
  • 16. Reporting 13. 重回帰分析を適用した研究文脈における重回帰分析の Guideline もつ潜在的な限界が明確に述べられている (Kelly & Maxwll)  実験的ではない研究デザインの場合に限界がある  観察研究の場合,因果の主張は避ける  重回帰モデルでは他の基準変数間の関係が“統制される”ということ  重回帰モデルに用いる変数の妥当性について,考慮される必要がある 16
  • 17. Reporting Guideline 14. 重回帰モデルの他の選択肢が与えられていること (Kelly & Maxwll)  誤差の正規性の仮定が満たされない時,ノンパラメトリックな方法を  基準変数が,連続的でない場合,一般線形モデルを  線形の仮定が満たされない時,Spline回帰やlowessを  観測値の独立性が満たされない時,マルチレベルモデルを  測定誤差が深刻な時,潜在変数モデルが考慮されるべき • CFA,SEM 17