現代ブランディング勉強会#3「AIとクリエイティビティで作る未来のブランディング」でお話させていただいたスライドです

1. AIとUX
～AIと＜検索＞の時代の終焉？～
Nozomu Tannaka
Recruit Technologies Co. Ltd.,
2018/01/15
AIとクリエイティビティで作る未来のブランディング

2. 反中 望(たんなか のぞむ)
Nozomu Tannaka
2006-2008 Works Applications Inc.,
2008-2014 beBit Inc.,
2015- Recruit Technologies Inc.,
UX Design, UX Strategy, Multi-Segment UX…

3. “AI eats UX”
• 「AIの登場・進化によってUXにどのよ
うな変化が起きているのか」を考える
勉強会を、UX Tokyo主宰の前田氏と共
催
• 「UXデザインのプロセスや価値の源泉
が、AIによって大きく変質してしまうの
ではないか」というのが元々の課題意
識

4. リクルートとは？

5. リクルートのビジネスモデル

6. 人生における「選択」を支援
Life event area Lifestyle Area
Travel
IT/ TrendLifestyle
Health & Beauty
Job Hunt
Marriage
Job Change
Home Purchase
Car Purchase
Child Birth
Education

7. 「リボン図」モデルとUXデザイン
カスタ
マー
クライア
ント集める 集める動かす 結ぶ 動かす
カスタマーを「動かす」ところを中心に
UXデザインを探求

8. 横断組織としてのリクルートテクノロ
ジーズ
Infrastructure
Large project
promotions
UX design
Big Data
Department
Technology R&D
Net Marketing
/SEO
Recruit
Holdings
Recruit Career
Recruit Sumai Company
Recruit Lifestyle
Recruit Jobs
Recruit Marketing Partners
Recruit Technologies
Recruit Administration
Recruit Communications
Operation
Service

9. 本日の話

10. 本日の話
1. UXデザインとAIの交差点
2. AIで「＜検索＞の時代」が終わる？

11. 1. UXデザインとAIの交差点

12. UXデザインとは？
• 製品・サービスを通じたユーザ体験（UX）をデザインすること
• よりよいユーザ体験を実現するとともに、結果的に製品・サー
ビスを提供するビジネス側のゴールも達成することを目指す

13. UXデザインのプロセス
ユーザインタビュー・行動観察
ユーザインサイトとビジネスゴールの可視化
カスタマージャーニー（シナリオ）作成
UIに落とし込み

14. UXデザインは「つなぐ」仕事
https://www.slideshare.net/tag4D/130607-session-v2
• ユーザが達成したいゴールと、ビジネスゴールをつなぐ
ユーザニーズ ビジネスニーズ
UX

15. UXデザインはつなぐ仕事
• リクルートでは、カスタマー・クライアント・リクルートの3
者のニーズをつなぐ
カスタマーニーズ クライアントニーズ
ビジネスニーズ
（リクルート）
UX

16. リクルートでの仕事
• UXデザイナーとして、AIやビッグ
データ等のテクノロジーを活用した新
たなユーザ体験の実現を模索

17. 記事パーソナライズ（ゼクシィ）
実現したいユーザ体験
• 花嫁の結婚準備に寄り添いたい
• 花嫁が＜今知りたい＞記事が見られるよ
うにしたい
技術的な実装
• 1人1人の履歴から検討フェーズや好みを
自動判別し、最適なパーソナライズ
フィードを生成

18. アダプティブUX（カーセンサー）
実現したいユーザ体験
• 対面では当たり前の＜おもてなし＞を
WEBでも実現したい
技術的な実装
• 行動履歴から、次の行動を予測し、その
行動に合わせた誘導を表示するロジック
を作成
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1511/25/news015_2.html

19. UXデザインは「つなぐ」仕事
• ユーザ体験をテクノロジーのことばに翻訳する
• 理想的なUXを考え、それをテクノロジーでどのように実現する
かを考える
【つなぐ②】「実現したい世界」と「実装」をつなぐ
テクノロジーの言葉
実現したい世界 UX

20. AIはUXデザインにとって
大きなチャンス

21. これまでの技術的制約を超えて、
「理想的なUX」
を模索できるのではないか

22. 2. AIで「＜検索＞の時代」
が終わる？

23. 「ゼクシィ」での取り組み

24. 「ゼクシィ」のNET/APPの
改善に関わる中で感じたこと

25. 楽しいはずの結婚準備なのに
ネットの体験だけが
全然楽しくない

26. 雑誌は眺めているだけで、楽しい
雑誌をパラパラと眺めている
だけで、気持ちが盛り上がる。
二人で一緒にゼクシィを見る
のは、結婚を実感する瞬間。

27. カウンターでの相談も、楽しい
話を聞きながら、やりたい式
のイメージが膨らんでくる
信頼できるアドバイザーのお
かげで、らくらく進む

28. ブライダルフェアも、楽しい
http://www.tgn.co.jp/hall/shizuoka/ath/first-fair/
実際の会場を見ると、テン
ションが上がる
美味しい試食もできたり、ワクワク
デート感覚

29. なのにネットは・・・
https://motejo.jp/single/he-is-myaku-nashi-man.html
式場検索、大変。。。
いろいろありすぎて選べない。
機械的で、なんとなくテン
ション上がらない。

30. なのにネットは・・・
https://motejo.jp/single/he-is-myaku-nashi-man.html
式場探し、大変。。。
いろいろありすぎて選べない。
なんとなくテンション上がら
ない。
ネットの情報収集だけが
「こなすべき面倒なタスク」
になってしまっている

31. なんとかできないか？

32. 「いかにも検索サイト」という流れが、
テンションを下げるのではないか
トップ 条件指定 一覧 詳細

33. そこで、全然違う検索体験を
作ってみた

34. フォト検索
マルチモーダル（画像とテキストを関連づけて類似
度をマッピングできる技術）を活用し、「こんな式
がやりたい」というイメージから式場を探すことが
できる機能を実装

35. デモ

36. 普通の検索
トップ 条件指定
一覧 詳細
アクション
（CV）

37. フォト検索
写真を選ぶ
軸の提案
軸に合った
式場
アクション
（CV）

38. 写真を眺めていく中で、自
分のイメージに近い写真に
出会う
いろいろな写真があると、や
りたいイメージが膨らんでく
る～。

39. 選んだ写真から、おすすめ
のテーマ（キーワード）が
提案される
「私はこういうのが好きなん
だ～」という発見があってテ
ンションあがる

40. 選んだテーマに近い式場が
レコメンドされる
好みに合ったものだけ出てく
るから、興味が持てる♪

41. 仕組みと技術

42. マルチモーダル機械学習を利用した
画像・テキストによる相互検索API
※リクルートテクノロジーズが提供するAI・機械学習ソ
リューション「A3RT」シリーズのひとつ

43. 体にはたくさんのセンサーが張り巡らされている
味覚
触覚
嗅覚
視覚
聴覚

44. 人は経験的複数の感覚を雨という概念と結びつけている
雨の音を
聞く
雨を見る 濡れる雨の匂い
を嗅ぐ
雨だ！（知覚）

45. 0101010101010101
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010.....
ハワイに行きました。
海がとても青くて
陽の光が眩しかったです。
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010.....
Icon: http://www.icondrawer.com/
画素データ
文字列データ
画素データの
数値列
文字コードの
数値列
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010.....
波の音
波形データ
関係は？？
波データの
数値列
コンピューターはわからない

46. マルチモーダル学習は情報間の隔たりを埋める
画像
テキスト
画像とテキストの
セマンティックギャップ
（意味的隔たり）
コンピューターの世界
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010.....
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010101
0101010101010.....
ハワイに行きました。
海がとても青くて
陽の光が眩しかったです。
Icon: http://www.icondrawer.com/

47. 画像と画像に対する説明文のペアさえあれば学習可能
こういう画像はこういうテキスト
関係性を学習
クリスマスにワイングラスで乾杯。
赤い薔薇とオシャレなテーブル
セッティングで素敵なディナーを
お召し上がりください。

48. マルチモーダル学習は結合空間に複数の情報が関連性が高い
ものを近くにマッピングするように学習する
距離が近ければ関連性が高い
・画像a
x4
x1
・画像b
x2
x3
xd
︙
・テキストc
・テキストd
結合空間
x4
x1
x2
x3
xd
︙
・画像b
・画像a
画像空間
x4
x1
x2
x3
xd
︙
・テキストd
・テキストc
テキスト空間

49. ユーザにとっての価値は？

50. 「どんな式がやりたい？」と聞かれても、
うまく言語化できない
でも、目の前のイメージから
「こういうのは好き/嫌い」は選べる
典型的な花嫁像

51. 「どんな式がやりたい？」と聞かれても、
うまく言語化できない
でも、目の前のイメージから
「こういうのは好き/嫌い」は選べる
典型的な花嫁像
「普通の検索」では、条件を指定することができず、
困ってしまう×

52. 「どんな式がやりたい？」と聞かれても、
うまく言語化できない
でも、目の前のイメージから
「こういうのは好き/嫌い」は選べる
典型的な花嫁像
「普通の検索」では、条件を指定することができず、
困ってしまう
「フォト検索」なら、直感的な「好き」を基軸にして
自然に自分の好みにたどり着ける
×
○

53. 「検索」はどう変わるか

54. そもそも「検索」って不自然

55. 普通の検索
トップ 条件指定
一覧 詳細
アクション
（CV）

56. 意思決定の流れ(？)
ニーズ発生 軸形成
比較検討 絞込
アクション
（CV）

57. 本当？

58. 意思決定の流れ？
なんとなく
調べてみる
考える こっちかなー
いや、やっぱり
これかなー 一晩置いてみる
全然違う候補が
出てきて悩む
困って
一旦検討停止
関係なく、たまたま
見たものに一目惚れ

59. 全然違う

60. なぜ？

61. （おそらく）
単なる技術的制約

62. コンピュータの制約
010101010001111010101011…
カチッとした条件しか扱えない

63. 「検索」＝
「目当ての情報を探し出す」
というメタファー

64. 「検索」のルーツ
「○○について知りた
いけど、どの本の中に
載っているかな」
＝“蔵書検索”
＝“図書館情報学”
https://www.darpa.mil/program/memex

65. あらかじめ「正解」（ほしいもの）
はわかっている。
それを膨大なデータの中から
いかにスムーズに見つけ出すか
が検索のイシュー

66. 人生における
「意思決定」は全く異なる

67. あらかじめ「正解」が
あるわけではない。
それ自体、検討体験の中で、
徐々に構築されていくもの

68. むしろ、最終的に選んだ時に
はじめて
「正解」が決まる

69. 「意思決定」とは
「運命の出会い」
「一目惚れ」
→理詰めではない
http://jin115.com/archives/52054862.html

70. 「意思決定」とは
「相談」「交渉」
「議論」「納得」
→コミュニケーション
で刻々と変わる

71. 意思決定はそもそも
曖昧でファジーなもの

72. 曖昧なものは、
コンピュータが扱いきれない

73. AIの進化で
状況が変わってきた

74. －今までのコンピュータによる最適化の能力では、答えは
基本的に1つしかない。それがディープラーニングだと、
答えがそもそもないのです。「確たる答えはないけど、な
んとなくこう」っていうのがディープラーニングです。
－いちばんの特徴は、コンピュータがこれまで持てなかっ
たセンスや感覚が生まれたということです。
UEI清水さんのインタビュー
http://toyokeizai.net/articles/-/185678

75. 深層学習により、
AIが「曖昧なコト」を
扱えるようになった

76. 「こんな式が挙げたい」と
いう曖昧なニーズを扱いた
い、という試み

77. そもそも＜検索して買う＞は普遍的では
ない
• 「AISAS」が提唱されたのは2005年。たかだか10年前。
http://www.stp-works.com/blog/ppc/397.html

78. 最新の消費行動モデル「CREEP」
• 「検索」という行動が入っていない
トライバルメディアハウス代表取締役社長 池田 紀行氏のブログより引用
http://www.ikedanoriyuki.jp/?p=5913

79. 昔は＜検索して買う＞なんてしていな
かった
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/special/2171/%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8-
%E6%B5%AE%E4%B8%96%E7%B5%B5%E5%90%8D%E5%93%81%E5%B1%95/

80. ＜検索＞は
デジタル黎明期にたまたま生まれた
時代の徒花かもしれない

81. AIによって
＜自然な＞体験をデジタルで
実現できるようになる

82. 「検索メディア」
から
「意思決定支援サービス」へ

83. https://hana-yume.net/howto/wedding-soudan/https://www.officegift.jp/column/detail8769.html
検索メディア 意思決定支援サービス

84. 大事なこと
• 「なんとなく」や「曖昧」なニーズを扱えること
• インタラクティブであること
• やりとりの記憶・履歴が蓄積されていくこと

85. 一回性 人格性
過去のやり取りが蓄積さ
れるため、「同じクエリ
なら同じ結果が返ってく
る」ということが保証さ
れない一回性の世界。
正解が見えない中での意
思決定支援には、必然的
に「人格」が求められる
（あるいは、勝手に投影
される）世界。

86. 検索が
本当の“体験”になる

87. 今はまだ、“検索”の延長で
しかないけれど
これを第一歩として
進んでいきたい

88. fin