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「 三宅陽一郎 プロフィール 」 2017/7/19
三宅陽一郎氏は大学での数学、物理学、電気工学、人工知能の研究の後、ゲーム産業に入り、デジタル
ゲームにおける人工知能をゲームタイトルに向けて開発すると同時に、その知見を論文や解説記事、書
籍の形でまとめながら、この分野の発展に貢献して来た。
大学時代
三宅陽一郎氏は、京都大学総合人間学部で数学を専攻し代数学と解析学の境界である連続群論で卒業
論文「GL2 上の群作用による軌道分解」を提出した(1999 年)。副専攻として理論物理学を専攻してお
り、続いて、大阪大学理学研究科物理学選考で実験物理学を専攻し、筑波の高エネルギー研究所(KEK)
で原子核の衝突実験を行った。修士論文は「Λハイパー核における中性子エネルギースペクトル」を提
出した。また物理学会で二度発表を行った(2000 年秋季大会「ハイパー核実験における 13 C Active Target」、
2001 年春季大会「(π+,K+)反応を用いたΛHe ハイパー核の非中間子崩壊の実験的研究 (3)」)。続いて、
大規模な実験装置に触れたところからから実験機器そのものへの関心が高まり、東京大学工学研究科電
気工学専攻の博士課程において超電導工学を専攻した。大規模電力系統における超電導回路の組み込み
について各所の電力研究所(東京電力、九州電力、関西電力)で実験を行い、電力への微弱な揺籃の反
応から電療系統の状態をリアルタイムに診断する研究を行い、「1kWh/1MW モジュール型 SMES による
電力系統の状態把握実験の解析」(電気学会、2003 年)、「1kWh/1MW モジュール型 SMES による電力系
統の状態把握実験の解析」(低温工学・超電導学会)、、国際低温工学会などで発表を行った(2001-2004
年)。博士論文は審査を通らず博士課程は単位取得満期退学となった。これは自身の研究の不備が原因
である。電力系統の研究の中から、電力系統の揺籃をカオス力学系として解析し、そこにフラクタル構
造を見出し、その周期性を解析するフラクタル周波数同定から、電力系統の動揺の周期性を見出す研究
を行い、「電力系統におけるフラクタル構造と新しい周波数同定法」(電気学会電磁界理論研究会、2003
年)を発表した。またそれをヒントにカオス力学系から人工知能を構築するアプローチを「Self-referenced
consciousness」(人工知能学会全国大会、2003 年)として発表した。
ゲーム産業時代
2004 年春に東京大学工学研究科電気工学専攻の博士課程を単位取得満期退学し、就職活動の後、2004
年秋に株式会社フロム・ソフトウェアに入社した。同社が「クロムハウンズ」(セガ、フロム・ソフトウ
ェア、2006 年、Xbox360 用タイトル)[1] の人工知能技術の開発を課題としていたために人材を募集し
ていたのである。同タイトル開発の進んでいた 2004 年当時は、ゲーム産業には人工知能技術を本格的
に導入しようというわずかな兆しがあるだけで、あらかじめ予約された行動を行っているキャラクター
がほとんであった。「クロムハウンズ」は三宅が人工知能の設計を行うことになったが、多人数オンライ
ンアクション・ロボットゲームで、プレイヤー6 人、敵ロボット・キャラクター(人工知能)6 体で 15
分間に渡り 10km四方の3D マップで戦うゲームである。三宅は自律型エージェントとしてキャラクタ
ーを組み立てるために、2つの基礎技術、長い経路を発見するためのパス検索技術と、長時間に渡る戦
略的思考を実現するゴール指向プランニング技術を導入し、さらに6体がマルチエージェントとして機
能する戦略 AI を作成し 2006 年春にリリースした。また複数の動的なパラメーターを状況に対して変化
させながら自律化させるアプローチは博士課程時代のカオス力学系のアプローチを基礎とした。「クロ
ムハウンズ」は世界7か国で発売され、高い評価を得たが、2010 年にサービスを終了することとなった。
この仕事を日本のゲーム開発者会議「CEDEC 2006」で講演したところ評判となり、メディア、誌面に取
り上げられた[8]。続けてデジタルゲーム AI 全般について全6回のセミナーを国際ゲーム開発者協会
(IGDA 日本)で開催することとなった。毎回、全国から 100 名のゲーム開発者、研究者を集めて行わ
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れた。またメディアにも取り上げられた。さらにアジア・オンラインゲームカンファレンス 2017(AOGC
2017)での招待講演[9]、さらに韓国のゲーム開発者カンファレンスである KGC 2008(Korea Game
Conference2007, 2009)での招待講演を行うことになった[10]。またデジタルコンテンツシンポジウム(第
4回)で発表を行い船井賞を受賞した[11]。
このセミナーを経緯に IGDA 日本ゲーム AI 専門部会(SIG-AI)を立ち上げることとなった。2017 年
までの 10 年間、毎年、ゲーム AI に関するセミナーとラウンドテーブル、パネルディスカッションを行
った。また、2006 年に立ち上がった日本デジタルゲーム学会から招聘を受け研究委員となり、2013 年か
らは理事を務めることとなった。また東京大学、神奈川工科大学、東京工芸大学、東京工科大学、慶応
大学、北陸先端科学技術大学院大学、はこだて未来大学、明治大学, 東北芸術工科大学, 女子美術大学、
玉川大学、九州大学などで、ゲーム AI に関する講義を行った。これは大学、研究機関においてはゲーム
AI の中でも囲碁、将棋などのボードゲームかカードゲームなどの定式化されたゲームの研究が多く、ゲ
ームそのものを作りながら開発するデジタルゲームの人工知能の研究がなされることが日本では極め
て少ないために、ゲーム産業からの知識の伝達が必要なためである。
続いて 2007 年から「Demon’s Souls」(SIE, FromSoftware, PlayStation 3, 2009)[2]というアクションゲ
ームの人工知能開発に参加した。意思決定部分に関しては GOAP(Goal Orietned Action Planning)法を本
タイトル用に再設計し導入しようとするがこれは上手くいかなかったが、変わりに階層型ゴール指向プ
ラン二ングがスクリプトベースでシリーズを通して導入されて行くこととなる。パス検索に関しては階
層型パス検索システムを導入し、大域、局所の二段階の経路データと検索を用意すると同時に、上位階
層における代表点をエリア境界のポータルとするという工夫を行った。「Demon’s Souls」は世界的にヒ
ットし、数百万本のセールスを記録し、「Dark Souls」(バンダイナムコ, FromSoftware,2010)シリーズ、
「Bloodborne」(SIE, FromSoftware, 2015)と展開されて行く。しかし直接関わったのは「Demon’s Souls」
だけだが、基礎システムは発展され使用され続けている。
2007 年頃から開発と並行して学術的な人工知能技術を取り入れつつ、どのようなゲームタイトルで
も共通するデジタルゲームの人工知能のアーキテクチャを探求して来た。それはロボティクスで用いる
エージェント・アーキテクチャをフレームワークとする。ブラックボード・アーキテクチャを内部に取
り込んだ、モジュール型アーキテクチャである MIT メディアラボの Synthetic CreatureGroup が発展させ
た「C4 アーキテクチャ」を基礎とする手法である。この成果を CEDEC 2007 で発表した[12]。また人
工知能学会誌 2008 年一月号のエンターテインメント AI への特集への寄稿を依頼されまとめた[13]。
また開発の現場での経験から、デジタルゲームの開発はエンジニアだけではなく、ゲームデザイナ
ーとの協調作業であることを痛感した。ゲーム開発はエンジニアリングであると同時にアーティストと
共創するアートであり、デジタルゲームの人工知能もまたエンジニアリングであると同時にコンテンツ
を作成するアートでもある。そこで 2004 年から 2017 年まで社内(フロム・ソフトウェア、スクウェア・
エニックス)において「人工知能を使ってゲームを作る:という土壌を作るため、毎週「社内 AI セミナ
ー」を開催することにした。毎回一時間、一つのテーマかタイトルを取り上げ三宅が講義した後、参加
者でそれをどのように社内で使えるかを討論する。この活動を一貫して現在まで実施しており、400 回
を超える開催回数となてっている。また解説もエンジニアからだけではなく、ゲームデザインにどのよ
うに反映させるか、この人工知能はどのよようにユーザーの体験を形成しているか、などの点も含めて
行うようにしている。そのかいもあり、開発の現場で人工知能技術が浸透し、ゲーム産業で人工知能と
言えばフロム・ソフトウェア、スクウェア・エニックスが代表として挙げられるようになった。これら
の成果を元に CEDEC 2010 プログラミング・開発環境部門 優秀賞を受賞した。
ゲーム AI にはもう一つ、開発工程においてコンテンツ(マップ、モデル)を自動生成する「プロシー
ジャル技術」という分野があり、日本知能情報ファジィ学会から招待論文の形でこの分野の知識を集め
た解説論文を発表した[14]。またゲーム AI 全般について「デジタルゲームの教科書」「デジタルゲーム
3
の技術」(共著本)としてまとめた[49][50]。
2008 年頃から「アーマードコア V」というロボット・アクションゲームのための AI の研究を始めた
[3]。そこで研究したのが、「三次元パス検索」である(共同研究者、岡村)。通常、経路検索はカーナビ
でもキャラクターナビゲーションでも二次元の平面上で実行される。三次元の場合、たとえば複雑に入
り組んだ森や海の底、ビル街で自由な飛行を行う場合は、空間を分割したデータとその上の重力や加速
度を加味した経路検索が必要である。そこでナビボリュームと言われる空間単位に分割するのと同時に、
膨大な数を抑え込むための「やきなまし法」によるナビボリュームのクラスタリングとデータの階層化
を行い、また経路検索において線形計画法を A*アルゴリズムと融合させた方法を開発した。これは実
際に「アーマードコア V」へ実装された。三宅が退社後、岡村が CEDEC 2011 において講演を行った
[47]。
2010 年には携帯ゲーム機 PSP 用のゲーム「ぽかぽかアイルー村」(カプコン, FromSoftware, 2011)[4]
の AI 設計の協力を行うこととなった。これはたくさんのアイルーというキャラクターたちが自分の欲
求をもって行動するゲームであったため、意思決定としてはユーティリティ・ベースを、また全体の設
計としては認知科学のアフォーダンスの概念を取り入れた。環境の側にそれぞれのキャラクターの許容
する行動の情報を埋め込むことで、コードの量を数分の一にできる上に、それぞれのキャラクタ-の個
性を調整しやすい仕組みを作ることができた。三宅が退社後、並木が CEDEC 2011 において講演を行っ
た[48]。これらの成果を元に、日本デジタルゲーム学会若手奨励賞を受賞した。
2011 年 4 月に株式会社スクウェア・エニックスから声がかかり転職し、スクウェア・エニックスのオ
リジナルエンジン「Luminous Studio」の AI を担当することとなった。同時に AI チームが編成され数人
からなる AI チームのリーダーをつとめることとなった。前社までに探求して来た、ゲーム AI のフレー
ムワークをチームメンバーと共に設計し実装して行った。この成果は、スクウェア・エニックス・オー
プンカンファレンスや、CEDEC2011, CEDEC 2012 において発表した[15]。またこの成果をまとめ、日本
バーチャル・リアリティ学会誌や、映像情報メディア学会誌に招待論文の形で掲載した[16][17]。
2011 年には社内で「スクウェア・エニックス・オープンカンファレンス」を起案し立ち上げた。これ
は社内の技術研究を発表するカンファレンスであり、200~300名のゲーム産業や大学関係者の参
加者を公募して満席で開催した。これは 2012 年も開催することとなった。
2011 年秋から 2012 年にかけて、研究者一名と共に「FINALFANTASY 14」のパス検索の研究・開発を
行うこととなった[6]。「FINAL FANTASY 14」はオンラインゲームであり、数十万人以上が同時接続する
サーバー上でパス検索を行わねばならない。そこでメモリは潤沢だが計算リソースは安定した低コスト
でなければならない。そこで「ルックアップテーブル法」を用いたパス検索と、データの階層化、さら
に、巨大なフィールドをカバーしつつシームレスなパス検索を可能にするパス検索を更新しつつ滑らか
に接続して行く手法を確立し、「Hierarchical Neighborhood lookup-Table」(HiNT)という名称で一つのシ
ステムにまとめ上げた。これは「GAME AI PRO」というゲーム産業の世界中の AI 開発者が英文記事を
投稿する書籍に投稿し採択され出版された[18]。
2010-2011 年は、AI 技術は密接にゲームデザインと関係するため、ゲームデザインの理論化を目指し
て、パターンランゲージの手法からゲームデザインをまとめる研究を行った。この成果はパターンラン
ゲージの国際学会(Asian PROP 2011)にて発表した[19][20]。また 2011 年-2012 年は、ゲーム AI 開発の
経験を活かし、「ゲームプログラマのための C++」「C++のための API デザイン」(ソフトバンク クリエ
イティブ)を監修した。
2011 年から 2013 年にかけてエンジニア一名と共に「Lumnous Studio」用にキャラクターの意思決定シ
ステムを構築することとなった。デジタルゲームで用いる意思決定アルゴリズムは7つあるが(こちら
は技術評論社の記事にもまとめた)[21]、これらを単独で使うのではなく複数自在に組み合わせて使え
るようにするのが「Luminous Studio:AI Graph」のコンセプトであり、ビヘイビア・ベースとステートマ
4
シンを組み合わせた設計を行い、ツールとランタイムのプログラムを 4 人(最終的には 8 人)のチーム
で作り上げた。2012 年 11 月には情報処理学会 GameProgramming Workshop (GPW)に招待され基調講
演を行った[22]。
この時期はデジタルゲームの人工知能の基礎を深く掘り起こして実際のツールとランタイム設計を
行う時期であり、ここでは研究の成果を、人工知能学会学会誌からの依頼を受けて、ディジタルゲーム
の人工知能全体を包括するような理論立てを探求した。人工知能学会誌からの招待でこの成果をまとめ
た[23]。この解説記事は2年ほど、人工知能学会の AI 書庫のダウンロードが一位であり、5000 ダウンロ
ード程であった。またこの論文は Springer から発行された「Handbook of Digital Games and Entertainment
Technologies」(2015 年)から声がかかり、英訳を行い、書籍に掲載された[24]。
2013 年からは 2011 年から構築して来たエンジンを搭載するため「FINALFANTASY 15」の開発に参加
した。「Luminous AI」のシステムを応用することとなった。ツールとランタイムのプログラムを 10 人
(最終的には 8 人)のチームとなり、タイトルに即して新規実装を追加して行った。本開発は 2016 年 9
月まで続くことになり 2016 年 11 月にリリースされた。ここでツール開発の 2011 年から数えると 7 年
間の長期開発となったこともあり、20 名を超える AI エンジニアが参加し、FFXV には、多くの AI 技術
が注ぎ込まれている。意思決定においては、ステートマシンとビヘイビアツリーを組み合わせた手法を
開発しツール化し、すべてのキャラクターの人工知能を統一したグラフ形式で GUI を通して記述できる
ように行った(国際特許取得)。パス検索においては大規模マップに対応するためナビゲーション・メッ
シュ自動作成。レギュレーション自動チェック、動的な環境に対する再生成機能などが実装された。ま
た先進的な技術として 2013 年頃からゲーム産業で導入されたキャラクター自身が環境の中で次の目標
位置を決定する戦術位置解析技術を導入した。また複雑化するキャラクターアニメーションを解析し、
旋回半径を考慮した曲がり動作、慣性スピードを考慮した立ち止まりを行えるようにした。またモンス
ター自身が運動動作をトレーニングすることで身体アニメーションの到達領域(たとえば巨大モンスタ
ーが右腕を振った時に通過する領域)を認識できるようにした。これらの成果は SIGGRAPH 2016 など
の学会で発表を行った[25]。CEDEC 2015, 2016 でも成果を発表した[26]。また参加メンバーによって、
欧州のゲーム AI 会議(NUCL.AI 2016)などで発表した。SIE(Sony InteractiveEntertainment)など 10 箇
所の産業、学術カンファレンスから招待を受け講演を行った。また人工知能学会誌にその成果をまとめ
た解説論文を掲載した[27]。またゲーム産業におけるもっとも有名な雑誌「週間ファミ通」の巻頭8ペ
ージに渡り、FFXV の AI に関するインタビューが掲載され、ゲーム産業、ゲームファンにも強く印象を
与えた[28]。また「GAME AI PRO3」に対してチームとして5本の論文を投稿し受諾された[51]。また戦
術位置解析技術に関しては成果をまとめ CEDEC 2016 で発表した[52]。
2014 年からは、学生や大学の教員に向けた「スクウェア・エニックス・アカデミー」を開催した。デ
ジタルゲームの人工知能は大学で研究されることはきわめて少ない。その理由は大学ではデザイナーが
いないためにゲームそのものを作ることができない、AI 以前の問題があるからである。しかし、現代で
はゲームエンジンは無料になり、ゲームの素材となるアセットも手軽に購入できる時代であるから、可
能なはずであるが、これまでそのような流れがなかったために行われていないのである。研究を志す学
生も研究テーマにすることができない、という状況があり、学生のみならず大学教員から問い合わせも
多い。そこでゲーム産業に蓄積されたゲーム AI 技術を学術へ還元する試みとして、「スクウェア・エニ
ックス・アカデミー」を立ち上げた。初年度は大学・専門学校から受講学生を公募し 20 名を選抜し 2 回
に分けて実施した(計 40 名、数百名の応募から選抜)。セミナーは全 5 回、各回 3 時間からなり、講義
一時間と、ワークショップ一時間半からなる。ワークショップは半分はボードゲームを通じてゲーム AI
を学ぶ形式であり、ある回はスクウェア・エニックス内の人工知能ツールでキャラクターの人工知能を
作る実習などを行なった。このセミナーとワークショップは評判となり、SIGGRAPH ASIA 2015 で招待
講演[29][30]、90 分に渡るコース講義[31](英語と日本語、同内容を二回)、SIGGRAPHASIA 2016 で招
5
待ワークショップを行なった[32]。また 2015 年には大学・専門学校の教員を対象に一日を通した3回講
義形式で行った。
2015 年夏には福岡で開催された国際シンポジウム「MATHEMATICAL PROGRESS IN EXPRESSIVE
IMAGE SYNTHESIS 2015」における招待講演を行った。デジタルゲームにおける人工知能の一般理論に
ついて解説した。これはこれまでのエージェント・アーキテクチャ、階層モデル、サブサンプション・
モデルを複合した一般的なキャラクターの内部モデルを定式化したものである。この会議は Proceedings
が Springer の書籍となった[33]。またこの講演が縁で、2016 年には九州大学の数理学研究院でも講義を
行うこととなった。
2016 年秋には FINALFANTASY XV が完成し世界同時発売で 700 万本を超えるセールスとなった。発
売と前後して、英語、日本語での講演依頼が多く来て、東京大学、慶應大学、法政大学、東京工芸大学、
東京工科大学、MIT Technologies(角川書店)、ArchiFuture2016(建築のシンポジウム)、AI EXPO、SIE
PlayStation カンファレンス、マーケティング学会などで招待講演を行なった。また SIGGRAPH 2016 の
RealTimeLive!において 3 千人の前で、FFXV の技術デモを行った[34]。
2016 年 6 月より人工知能学会編集委員として参加した。2017 年 3 月号では初となる「ゲーム産業に
おける人工知能」を特集し、自分の解説記事を含む五本の解説記事を集めた[35]。
2015 年夏から 2016 年夏にかけて、一年間をかけて国際ゲーム開発者協会日本(IGDA 日本)におい
て全 6 回の「人工知能のための哲学塾」を開催した。このセミナーはデジタルゲームにおける人工知能
と、その足場となる哲学について説明するものであった。現在の人工知能は「考える存在」としてのみ
探求され、知性としての全体的な精神運動をシミュレーションできていない。このようなデカルト的な
フレームからフッサールの現象学を基礎とした人工知能へと向かうために、ユクスキュルの環世界モデ
ルを基礎に、デリダを経て意識モデルを確立し、メルロ=ポンティを参照しながら身体を持つ人工知能
の身体感覚の構築を解説するという内容である。また各回は三宅の講演の後、グループディスカッショ
ンが行われ、最後にグループごとの発表となる形式である。講義の部分は、出版社からのオファーがあ
り「人工知能のための哲学塾」(BNN 新社)で講義録に書き足す形で出版した[36]。この書籍のサイトで
は講義資料、講義記事、講義映像をすべて公開している。また 2017 年には「東洋哲学と人工知能」をテ
ーマに続編を開催している。
また、2016 年は 9 月に一般向けの人工知能の解説書である共著「絵でわかる人工知能」を出版した
[37]。また 2016 年 12 月にはゲーム産業に蓄積された人工知能技術を社会に提供するために「人工知能
の作り方」(技術評論社)を出版した[38]。
「人工知能のための哲学塾」の出版の影響で、哲学と人工知能、或いは、意識と人工知能に感心を持
つ、医学研究者、哲学研究者からコンタクトがあり、何度かの議論の後、ベルクソンの哲学を医学、哲
学、人工知能から組み直す試みを始めた。これは意識について哲学、人工知能、医学の多面的に考える
こと、また哲学からはそれがベルクソンの遅延の理論をもう一度科学的な基礎を与えることになること
を示すものである。この成果は応用哲学学会でワークショップ「〈意識の遅延テーゼ〉の行為論的射程—
神経科学と人工知能研究による「拡張ベルクソン主義」アプローチ」として平井靖史(福岡大学)、太田
宏之(防衛医科大学校)、私の 3 名で行った[39]。また意識に興味を持つ研究者の講演者のセミナー「5th
Consciousness Club」において、英語講演を行った[40]。
この 3 年でゲーム産業にはバーチャルリアリティ(ヘッドマウント型ディスプレイ)や AR、ホロレ
ンズ(マイクロソフト)の MR などの導入が進んでおり、VR 空間におけるキャラクターインタラクシ
ョンを研究している。スクリーン越しのキャラクターと違って、VR 空間ではプレイヤーの身体性が重
要になる。まだコンセプト自身を探求しているところであるが、日本バーチャルリアリティ学会からの
依頼で現在のコンセプトをまとめた[41]。また文芸誌、思想誌からの依頼に応じて、人工知能の哲学的
土壌[42][43][46]、ソーシャルと人工知能[44][45]について寄稿している。
6
2017 年からは FFXV の人工知能開発の反省を元に、品質保証(QA、Quality Assurance)における人工
知能の研究を開始した。大型ゲームはその三年で大きくオープンワールドと呼ばれる途切れのない広大
な空間な空間の上でゲームプレイを行うため、通常のデバックやバランシングでは工数がかかりすぎる。
またソーシャルゲームのような長期運用では投入するアイテムによってそれまでのバランスを大きく
崩すことはクリティカルな問題であり、できれば事前にシミュレーション予測をする必要がある。そこ
で人工知能による自動デバック、自動調整を行う必要がある。そのための人工知能の研究を進めている。
ソーシャルゲーム向けに遺伝的アルゴリズムによるプレイヤー群の進化によるゲームバランス予測の
成果は SIE PlayStation Conference 2017 で発表した。また、「KINGDOM HEARTS 3」の AI を鋭意開発し
ている。
(ゲーム)
[1] クロムハウンズ: セガ/フロム・ソフトウエア 平成 18 年 Xbox360
[2] デモンズソウル: フロム・ソフトウェア 平成 21 年 PlayStation3
[3] Armored Core V: フロム・ソフトウェア 平成 24 年 PlayStation 3
[4] ぽかぽかアイルー村: カプコン/フロム・ソフトウェア 平成 23 年 PSP
[5] オルガリズム: アクワイア 平成 24 年 PlayStation Vita
[6] FINAL FANTASY XIV: スクウェア・エニックス 平成 24 年 PlayStation 4
[7] FINAL FANTASY XV: スクウェア・エニックス 平成 28 年 PlayStation 4
(論文・解説記事)
[8] 三宅陽一郎: クロムハウンズにおける人工知能開発から見るゲーム AI の展望, CEDEC 2006
https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/50
[9] 三宅陽一郎: 人工知能が拓く オンラインゲームの可能性, AOGC 2007
[10] Youichiro Miyake: Game AI technologies for online games, KGC 2007 / The History and Fundamental of
Digital Game AI, KGC 2009
[11] 三宅陽一郎:エージェント・アーキテクチャに基づくキャラクターAIの実装, デジタルコンテンツ
シンポジウム(第4回)予稿集, 平成 20 年 9 月
[12] 三宅陽一郎: エージェント・アーキテクチャーから作るキャラクターAI, CEDEC 2007
https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/89
[13] 三宅陽一郎: ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用:人工知能学会誌 23 巻 1 号 pp.44-51,
平成 20 年 1 月
[14] 三宅陽一郎:オンラインゲームにおける人工知能・プロシージャル技術の応用, 知能と情報, Vol.22,
No.6, P.91-102, 平成 22 年 11 月
[15] 三 宅 陽 一 郎 : 次 世 代 キ ャ ラ ク タ ー A I ア ー キ テ ク チ ャ ー の 構 築 , CEDEC 2017
https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/891
[16] 三宅陽一郎:デジタルゲームにおける人工知能エンジン, 映像情報メディア学会 学会誌2014年2月
号,P.125-130 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/68/2/68_125/_pdf
[17] 三宅陽一郎:デジタルゲームのための人工知能の基礎理論, 日本バーチャルリアリティ学会誌,
VOL.18 NO.3 P.72-77, 平成 25 年 9 月 http://journal.vrsj.org/18-3/s28-33.pdf
[18] Fabien Gravot, Takanori Yokoyama, Youichiro Miyake: Precomputed Pathfinding for Large and Detailed
Worlds on MMO Server, Game AI Pro, 第 20 章, CRC PRESS, P.269-288, 平成成 25 年3月
http://www.gameaipro.com/GameAIPro/GameAIPro_Chapter20_Precomputed_Pathfinding_for_Large_and_Detai
led_Worlds_on_MMO_Servers.pdf
7
[19] 三 宅 陽 一 郎 : 集 合 知 を 用 い た ゲ ー ム デ ザ イ ン の た め の パ タ ー ン ラ ン ゲ ー ジ 抽 出 ,
AsianPLoP2011: 2ndAsian Conference on Pattern Languages
[20] Youichiro Miyake: Game design pattern language, AsianPLoP '11: Proceedings of the 2nd Asian Conference
on Pattern Languages of Programs, Publisher: ACM, 平成 23 年 10 月
[21] 三宅陽一郎: はじめてのゲーム AI~意思を持つかのように行動するしくみ~, WEB+DB PRESS
Vol.68, 平成 24 年 4 月
[22] 三宅陽一郎: 次世代デジタルゲームにおける人工知能の研究課題について、情報処理学会、Game
Programming Worshop 2012, 平成 25 年 11 月 http://www.ipsj.or.jp/sig/gi/gpw/2012/schedule.html
[23] 三宅陽一郎:ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用の現在, 人工知能学会誌 30 巻 1 号
pp.45-64, 平成 27年 1 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00001730/
[24] Youichiro Miyake: Current Status of Applying Artificial Intelligence in Digital Games, Handbook of Digital
Games and Entertainment Technologies, pp 1-32,Springer, 平成 27 年 9 月
[25] Noriyuki Imamura, Youichiro Miyake: Final fantasy XV: pulse and traction of characters, SIGGRAPH 2016
Talks, Article No. 47
[26] 白神 陽嗣,三宅陽一郎,並木幸介: FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクター
AI の意思決定システム, CEDEC 2015 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1437
[27] 三宅陽一郎(共著):大規模ゲームにおける人工知能. ─ファイナルファンタジー XV の実例をも
とに─., 人工知能学会誌 Vol.32 No.2, 平成 29 年 3 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00008567/
[28] FFXV に学ぶゲーム AI,週刊ファミ通 2017 年 1 月 5 日号、エンターブレイン, 平成 29 年 1 月
[29] Youichiro Miyake: Square enix AI academy: a seminar series for the introduction of digital game AI,
SIGGRAPH Asia 2015 Symposium on Education, Article No. 13
[30] Youichiro Miyake: Square Enix AI academy:AI workshop for blackboard architecure, SIGGRAPHAsia 2015
Symposium on Education, Article No. 9, 平成 27 年 11 月
[31] Youichiro Miyake: AI techniques for contemporary digital games, SIGGRAPH Asia 2015 Courses, Article
No. 3, 平成 27 年 11 月
[32] Youichiro Miyake: Square Enix AI academy: AI workshop for blackboard architecture, SIGGRAPH ASIA
2016 Symposium on Education: Talks, Article No. 10, 平成 28 年 12 月
[33] Youichiro Miyake: AMultilayered Model for Artificial Intelligence of Game Characters as Agent Architecture,
Mathematical Progress in Expressive Image Synthesis III, Springer, 平成 27 年 9 月
[34] Isamu Hasegawa, Remi Driancourt, Hiromitsu SasakiYouichiro Miyake: Real-Time Technologies of FINAL
FANTASY XV Battles, SIGGRAPH 2016, https://www.youtube.com/watch?v=xvMgGGMPzFU (20min-)
[35] 三宅陽一郎:特集「ゲーム産業における人工知能」にあたって, 人工知能学会誌 Vol.32 No.2, 平成
29 年 3 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00008562/
[36] 三宅陽一郎: 人工知能のための哲学塾、BNN 新社, 平成 28 年 8 月 http://www.bnn.co.jp/books/8210/
[37] 三宅陽一郎、森川幸人: 絵でわかる人工知能、ソフトバンク クリエイティブ, 平成 28 年 9 月
[38] 三宅陽一郎: 人工知能の作り方, 技術評論社. 平成 28 年 12 月
[39] 平井靖史, 太田宏之, 三宅陽一郎: 〈意識の遅延テーゼ〉の行為論的射程 ——神経科学と人工知能研
究による「拡張ベルクソン主義」アプローチ, 応用哲学会大会, ワークショップ, 平成 29 年 4 月
[40] Youichiro Miyake: Awareness and Consciousness of Game Character in Digital Game World, Consciousness
Club Tokyo, 平成 29 年 1 月
[41] 三宅陽一郎: VR とゲームと人工知能, 日本バーチャルリアリティ学会, VOL.22 NO.1, 平成 29 年 5
月
[42] 三宅陽一郎:ゲーム、人工知能、環世界 考える存在から経験の総体へ、AI のための現象学的転回
8
, 現代思想 2015 年 12 月号 特集=人工知能, 平成 26 年 12 月
[43] 三宅陽一郎:人工知能は数学を理解できるか 考える人, 新潮社, 2013 年夏号, 平成 25 年 7 月
[44] 三宅陽一郎:他者とは何か 人工知能から見た視点, at プラス 31, 太田出版, 平成 29 年 1 月
[45] 三宅陽一郎:ソーシャルゲームと人工知能 単一のゲームからそれぞれのユーザーに向けて生成さ
れるゲームへ, ユリイカ 2017 年 2 月号 特集=ソーシャルゲームの現在, 青土社, 平成 29 年 1 月
[46] 三宅陽一郎:理論を包むビジョン 科学、工学、哲学、そして人工知能 , 現代思想 2017 年 3
月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50 人の美しいセオリー, 平成 29 年 1 月
[47] 岡村 信幸: ARMORED CORE V のパス検索, CEDEC 2011,
https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/593
[48] 並木 幸介: ぽかぽかアイルー村における、アフォーダンス指向の AI 事例。AI に多様な振る舞い
をさせる手法, CEDEC 2011
https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/697
[49] 三宅陽一郎(共著): デジタルゲームの教科書, 第 19,22,23 章, ソフトバンク クリエイティブ, 平
成 22 年 5 月
[50] 三宅陽一郎(共著): デジタルゲームの技術, 第 5 章, ソフトバンク クリエイティブ, 平成 23 年 7
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[51] Youichiro Miyake et al.: A Character Decision-Making System for FINAL FANTASY XV by Combining
Behavior Trees and State Machines, GAME AI PRO 3, chapter 11. CRC Press, 2017 http://www.gameaipro.com/
[52] ジョンソン・エリック、三宅陽一郎: キャラクターの人工知能のための戦術位置解析システム,
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三宅 陽一郎 プロフィール(2017_11_11 作成)

  • 1. 1 「 三宅陽一郎 プロフィール 」 2017/7/19 三宅陽一郎氏は大学での数学、物理学、電気工学、人工知能の研究の後、ゲーム産業に入り、デジタル ゲームにおける人工知能をゲームタイトルに向けて開発すると同時に、その知見を論文や解説記事、書 籍の形でまとめながら、この分野の発展に貢献して来た。 大学時代 三宅陽一郎氏は、京都大学総合人間学部で数学を専攻し代数学と解析学の境界である連続群論で卒業 論文「GL2 上の群作用による軌道分解」を提出した(1999 年)。副専攻として理論物理学を専攻してお り、続いて、大阪大学理学研究科物理学選考で実験物理学を専攻し、筑波の高エネルギー研究所(KEK) で原子核の衝突実験を行った。修士論文は「Λハイパー核における中性子エネルギースペクトル」を提 出した。また物理学会で二度発表を行った(2000 年秋季大会「ハイパー核実験における 13 C Active Target」、 2001 年春季大会「(π+,K+)反応を用いたΛHe ハイパー核の非中間子崩壊の実験的研究 (3)」)。続いて、 大規模な実験装置に触れたところからから実験機器そのものへの関心が高まり、東京大学工学研究科電 気工学専攻の博士課程において超電導工学を専攻した。大規模電力系統における超電導回路の組み込み について各所の電力研究所(東京電力、九州電力、関西電力)で実験を行い、電力への微弱な揺籃の反 応から電療系統の状態をリアルタイムに診断する研究を行い、「1kWh/1MW モジュール型 SMES による 電力系統の状態把握実験の解析」(電気学会、2003 年)、「1kWh/1MW モジュール型 SMES による電力系 統の状態把握実験の解析」(低温工学・超電導学会)、、国際低温工学会などで発表を行った(2001-2004 年)。博士論文は審査を通らず博士課程は単位取得満期退学となった。これは自身の研究の不備が原因 である。電力系統の研究の中から、電力系統の揺籃をカオス力学系として解析し、そこにフラクタル構 造を見出し、その周期性を解析するフラクタル周波数同定から、電力系統の動揺の周期性を見出す研究 を行い、「電力系統におけるフラクタル構造と新しい周波数同定法」(電気学会電磁界理論研究会、2003 年)を発表した。またそれをヒントにカオス力学系から人工知能を構築するアプローチを「Self-referenced consciousness」(人工知能学会全国大会、2003 年)として発表した。 ゲーム産業時代 2004 年春に東京大学工学研究科電気工学専攻の博士課程を単位取得満期退学し、就職活動の後、2004 年秋に株式会社フロム・ソフトウェアに入社した。同社が「クロムハウンズ」(セガ、フロム・ソフトウ ェア、2006 年、Xbox360 用タイトル)[1] の人工知能技術の開発を課題としていたために人材を募集し ていたのである。同タイトル開発の進んでいた 2004 年当時は、ゲーム産業には人工知能技術を本格的 に導入しようというわずかな兆しがあるだけで、あらかじめ予約された行動を行っているキャラクター がほとんであった。「クロムハウンズ」は三宅が人工知能の設計を行うことになったが、多人数オンライ ンアクション・ロボットゲームで、プレイヤー6 人、敵ロボット・キャラクター(人工知能)6 体で 15 分間に渡り 10km四方の3D マップで戦うゲームである。三宅は自律型エージェントとしてキャラクタ ーを組み立てるために、2つの基礎技術、長い経路を発見するためのパス検索技術と、長時間に渡る戦 略的思考を実現するゴール指向プランニング技術を導入し、さらに6体がマルチエージェントとして機 能する戦略 AI を作成し 2006 年春にリリースした。また複数の動的なパラメーターを状況に対して変化 させながら自律化させるアプローチは博士課程時代のカオス力学系のアプローチを基礎とした。「クロ ムハウンズ」は世界7か国で発売され、高い評価を得たが、2010 年にサービスを終了することとなった。 この仕事を日本のゲーム開発者会議「CEDEC 2006」で講演したところ評判となり、メディア、誌面に取 り上げられた[8]。続けてデジタルゲーム AI 全般について全6回のセミナーを国際ゲーム開発者協会 (IGDA 日本)で開催することとなった。毎回、全国から 100 名のゲーム開発者、研究者を集めて行わ
  • 2. 2 れた。またメディアにも取り上げられた。さらにアジア・オンラインゲームカンファレンス 2017(AOGC 2017)での招待講演[9]、さらに韓国のゲーム開発者カンファレンスである KGC 2008(Korea Game Conference2007, 2009)での招待講演を行うことになった[10]。またデジタルコンテンツシンポジウム(第 4回)で発表を行い船井賞を受賞した[11]。 このセミナーを経緯に IGDA 日本ゲーム AI 専門部会(SIG-AI)を立ち上げることとなった。2017 年 までの 10 年間、毎年、ゲーム AI に関するセミナーとラウンドテーブル、パネルディスカッションを行 った。また、2006 年に立ち上がった日本デジタルゲーム学会から招聘を受け研究委員となり、2013 年か らは理事を務めることとなった。また東京大学、神奈川工科大学、東京工芸大学、東京工科大学、慶応 大学、北陸先端科学技術大学院大学、はこだて未来大学、明治大学, 東北芸術工科大学, 女子美術大学、 玉川大学、九州大学などで、ゲーム AI に関する講義を行った。これは大学、研究機関においてはゲーム AI の中でも囲碁、将棋などのボードゲームかカードゲームなどの定式化されたゲームの研究が多く、ゲ ームそのものを作りながら開発するデジタルゲームの人工知能の研究がなされることが日本では極め て少ないために、ゲーム産業からの知識の伝達が必要なためである。 続いて 2007 年から「Demon’s Souls」(SIE, FromSoftware, PlayStation 3, 2009)[2]というアクションゲ ームの人工知能開発に参加した。意思決定部分に関しては GOAP(Goal Orietned Action Planning)法を本 タイトル用に再設計し導入しようとするがこれは上手くいかなかったが、変わりに階層型ゴール指向プ ラン二ングがスクリプトベースでシリーズを通して導入されて行くこととなる。パス検索に関しては階 層型パス検索システムを導入し、大域、局所の二段階の経路データと検索を用意すると同時に、上位階 層における代表点をエリア境界のポータルとするという工夫を行った。「Demon’s Souls」は世界的にヒ ットし、数百万本のセールスを記録し、「Dark Souls」(バンダイナムコ, FromSoftware,2010)シリーズ、 「Bloodborne」(SIE, FromSoftware, 2015)と展開されて行く。しかし直接関わったのは「Demon’s Souls」 だけだが、基礎システムは発展され使用され続けている。 2007 年頃から開発と並行して学術的な人工知能技術を取り入れつつ、どのようなゲームタイトルで も共通するデジタルゲームの人工知能のアーキテクチャを探求して来た。それはロボティクスで用いる エージェント・アーキテクチャをフレームワークとする。ブラックボード・アーキテクチャを内部に取 り込んだ、モジュール型アーキテクチャである MIT メディアラボの Synthetic CreatureGroup が発展させ た「C4 アーキテクチャ」を基礎とする手法である。この成果を CEDEC 2007 で発表した[12]。また人 工知能学会誌 2008 年一月号のエンターテインメント AI への特集への寄稿を依頼されまとめた[13]。 また開発の現場での経験から、デジタルゲームの開発はエンジニアだけではなく、ゲームデザイナ ーとの協調作業であることを痛感した。ゲーム開発はエンジニアリングであると同時にアーティストと 共創するアートであり、デジタルゲームの人工知能もまたエンジニアリングであると同時にコンテンツ を作成するアートでもある。そこで 2004 年から 2017 年まで社内(フロム・ソフトウェア、スクウェア・ エニックス)において「人工知能を使ってゲームを作る:という土壌を作るため、毎週「社内 AI セミナ ー」を開催することにした。毎回一時間、一つのテーマかタイトルを取り上げ三宅が講義した後、参加 者でそれをどのように社内で使えるかを討論する。この活動を一貫して現在まで実施しており、400 回 を超える開催回数となてっている。また解説もエンジニアからだけではなく、ゲームデザインにどのよ うに反映させるか、この人工知能はどのよようにユーザーの体験を形成しているか、などの点も含めて 行うようにしている。そのかいもあり、開発の現場で人工知能技術が浸透し、ゲーム産業で人工知能と 言えばフロム・ソフトウェア、スクウェア・エニックスが代表として挙げられるようになった。これら の成果を元に CEDEC 2010 プログラミング・開発環境部門 優秀賞を受賞した。 ゲーム AI にはもう一つ、開発工程においてコンテンツ(マップ、モデル)を自動生成する「プロシー ジャル技術」という分野があり、日本知能情報ファジィ学会から招待論文の形でこの分野の知識を集め た解説論文を発表した[14]。またゲーム AI 全般について「デジタルゲームの教科書」「デジタルゲーム
  • 3. 3 の技術」(共著本)としてまとめた[49][50]。 2008 年頃から「アーマードコア V」というロボット・アクションゲームのための AI の研究を始めた [3]。そこで研究したのが、「三次元パス検索」である(共同研究者、岡村)。通常、経路検索はカーナビ でもキャラクターナビゲーションでも二次元の平面上で実行される。三次元の場合、たとえば複雑に入 り組んだ森や海の底、ビル街で自由な飛行を行う場合は、空間を分割したデータとその上の重力や加速 度を加味した経路検索が必要である。そこでナビボリュームと言われる空間単位に分割するのと同時に、 膨大な数を抑え込むための「やきなまし法」によるナビボリュームのクラスタリングとデータの階層化 を行い、また経路検索において線形計画法を A*アルゴリズムと融合させた方法を開発した。これは実 際に「アーマードコア V」へ実装された。三宅が退社後、岡村が CEDEC 2011 において講演を行った [47]。 2010 年には携帯ゲーム機 PSP 用のゲーム「ぽかぽかアイルー村」(カプコン, FromSoftware, 2011)[4] の AI 設計の協力を行うこととなった。これはたくさんのアイルーというキャラクターたちが自分の欲 求をもって行動するゲームであったため、意思決定としてはユーティリティ・ベースを、また全体の設 計としては認知科学のアフォーダンスの概念を取り入れた。環境の側にそれぞれのキャラクターの許容 する行動の情報を埋め込むことで、コードの量を数分の一にできる上に、それぞれのキャラクタ-の個 性を調整しやすい仕組みを作ることができた。三宅が退社後、並木が CEDEC 2011 において講演を行っ た[48]。これらの成果を元に、日本デジタルゲーム学会若手奨励賞を受賞した。 2011 年 4 月に株式会社スクウェア・エニックスから声がかかり転職し、スクウェア・エニックスのオ リジナルエンジン「Luminous Studio」の AI を担当することとなった。同時に AI チームが編成され数人 からなる AI チームのリーダーをつとめることとなった。前社までに探求して来た、ゲーム AI のフレー ムワークをチームメンバーと共に設計し実装して行った。この成果は、スクウェア・エニックス・オー プンカンファレンスや、CEDEC2011, CEDEC 2012 において発表した[15]。またこの成果をまとめ、日本 バーチャル・リアリティ学会誌や、映像情報メディア学会誌に招待論文の形で掲載した[16][17]。 2011 年には社内で「スクウェア・エニックス・オープンカンファレンス」を起案し立ち上げた。これ は社内の技術研究を発表するカンファレンスであり、200~300名のゲーム産業や大学関係者の参 加者を公募して満席で開催した。これは 2012 年も開催することとなった。 2011 年秋から 2012 年にかけて、研究者一名と共に「FINALFANTASY 14」のパス検索の研究・開発を 行うこととなった[6]。「FINAL FANTASY 14」はオンラインゲームであり、数十万人以上が同時接続する サーバー上でパス検索を行わねばならない。そこでメモリは潤沢だが計算リソースは安定した低コスト でなければならない。そこで「ルックアップテーブル法」を用いたパス検索と、データの階層化、さら に、巨大なフィールドをカバーしつつシームレスなパス検索を可能にするパス検索を更新しつつ滑らか に接続して行く手法を確立し、「Hierarchical Neighborhood lookup-Table」(HiNT)という名称で一つのシ ステムにまとめ上げた。これは「GAME AI PRO」というゲーム産業の世界中の AI 開発者が英文記事を 投稿する書籍に投稿し採択され出版された[18]。 2010-2011 年は、AI 技術は密接にゲームデザインと関係するため、ゲームデザインの理論化を目指し て、パターンランゲージの手法からゲームデザインをまとめる研究を行った。この成果はパターンラン ゲージの国際学会(Asian PROP 2011)にて発表した[19][20]。また 2011 年-2012 年は、ゲーム AI 開発の 経験を活かし、「ゲームプログラマのための C++」「C++のための API デザイン」(ソフトバンク クリエ イティブ)を監修した。 2011 年から 2013 年にかけてエンジニア一名と共に「Lumnous Studio」用にキャラクターの意思決定シ ステムを構築することとなった。デジタルゲームで用いる意思決定アルゴリズムは7つあるが(こちら は技術評論社の記事にもまとめた)[21]、これらを単独で使うのではなく複数自在に組み合わせて使え るようにするのが「Luminous Studio:AI Graph」のコンセプトであり、ビヘイビア・ベースとステートマ
  • 4. 4 シンを組み合わせた設計を行い、ツールとランタイムのプログラムを 4 人(最終的には 8 人)のチーム で作り上げた。2012 年 11 月には情報処理学会 GameProgramming Workshop (GPW)に招待され基調講 演を行った[22]。 この時期はデジタルゲームの人工知能の基礎を深く掘り起こして実際のツールとランタイム設計を 行う時期であり、ここでは研究の成果を、人工知能学会学会誌からの依頼を受けて、ディジタルゲーム の人工知能全体を包括するような理論立てを探求した。人工知能学会誌からの招待でこの成果をまとめ た[23]。この解説記事は2年ほど、人工知能学会の AI 書庫のダウンロードが一位であり、5000 ダウンロ ード程であった。またこの論文は Springer から発行された「Handbook of Digital Games and Entertainment Technologies」(2015 年)から声がかかり、英訳を行い、書籍に掲載された[24]。 2013 年からは 2011 年から構築して来たエンジンを搭載するため「FINALFANTASY 15」の開発に参加 した。「Luminous AI」のシステムを応用することとなった。ツールとランタイムのプログラムを 10 人 (最終的には 8 人)のチームとなり、タイトルに即して新規実装を追加して行った。本開発は 2016 年 9 月まで続くことになり 2016 年 11 月にリリースされた。ここでツール開発の 2011 年から数えると 7 年 間の長期開発となったこともあり、20 名を超える AI エンジニアが参加し、FFXV には、多くの AI 技術 が注ぎ込まれている。意思決定においては、ステートマシンとビヘイビアツリーを組み合わせた手法を 開発しツール化し、すべてのキャラクターの人工知能を統一したグラフ形式で GUI を通して記述できる ように行った(国際特許取得)。パス検索においては大規模マップに対応するためナビゲーション・メッ シュ自動作成。レギュレーション自動チェック、動的な環境に対する再生成機能などが実装された。ま た先進的な技術として 2013 年頃からゲーム産業で導入されたキャラクター自身が環境の中で次の目標 位置を決定する戦術位置解析技術を導入した。また複雑化するキャラクターアニメーションを解析し、 旋回半径を考慮した曲がり動作、慣性スピードを考慮した立ち止まりを行えるようにした。またモンス ター自身が運動動作をトレーニングすることで身体アニメーションの到達領域(たとえば巨大モンスタ ーが右腕を振った時に通過する領域)を認識できるようにした。これらの成果は SIGGRAPH 2016 など の学会で発表を行った[25]。CEDEC 2015, 2016 でも成果を発表した[26]。また参加メンバーによって、 欧州のゲーム AI 会議(NUCL.AI 2016)などで発表した。SIE(Sony InteractiveEntertainment)など 10 箇 所の産業、学術カンファレンスから招待を受け講演を行った。また人工知能学会誌にその成果をまとめ た解説論文を掲載した[27]。またゲーム産業におけるもっとも有名な雑誌「週間ファミ通」の巻頭8ペ ージに渡り、FFXV の AI に関するインタビューが掲載され、ゲーム産業、ゲームファンにも強く印象を 与えた[28]。また「GAME AI PRO3」に対してチームとして5本の論文を投稿し受諾された[51]。また戦 術位置解析技術に関しては成果をまとめ CEDEC 2016 で発表した[52]。 2014 年からは、学生や大学の教員に向けた「スクウェア・エニックス・アカデミー」を開催した。デ ジタルゲームの人工知能は大学で研究されることはきわめて少ない。その理由は大学ではデザイナーが いないためにゲームそのものを作ることができない、AI 以前の問題があるからである。しかし、現代で はゲームエンジンは無料になり、ゲームの素材となるアセットも手軽に購入できる時代であるから、可 能なはずであるが、これまでそのような流れがなかったために行われていないのである。研究を志す学 生も研究テーマにすることができない、という状況があり、学生のみならず大学教員から問い合わせも 多い。そこでゲーム産業に蓄積されたゲーム AI 技術を学術へ還元する試みとして、「スクウェア・エニ ックス・アカデミー」を立ち上げた。初年度は大学・専門学校から受講学生を公募し 20 名を選抜し 2 回 に分けて実施した(計 40 名、数百名の応募から選抜)。セミナーは全 5 回、各回 3 時間からなり、講義 一時間と、ワークショップ一時間半からなる。ワークショップは半分はボードゲームを通じてゲーム AI を学ぶ形式であり、ある回はスクウェア・エニックス内の人工知能ツールでキャラクターの人工知能を 作る実習などを行なった。このセミナーとワークショップは評判となり、SIGGRAPH ASIA 2015 で招待 講演[29][30]、90 分に渡るコース講義[31](英語と日本語、同内容を二回)、SIGGRAPHASIA 2016 で招
  • 5. 5 待ワークショップを行なった[32]。また 2015 年には大学・専門学校の教員を対象に一日を通した3回講 義形式で行った。 2015 年夏には福岡で開催された国際シンポジウム「MATHEMATICAL PROGRESS IN EXPRESSIVE IMAGE SYNTHESIS 2015」における招待講演を行った。デジタルゲームにおける人工知能の一般理論に ついて解説した。これはこれまでのエージェント・アーキテクチャ、階層モデル、サブサンプション・ モデルを複合した一般的なキャラクターの内部モデルを定式化したものである。この会議は Proceedings が Springer の書籍となった[33]。またこの講演が縁で、2016 年には九州大学の数理学研究院でも講義を 行うこととなった。 2016 年秋には FINALFANTASY XV が完成し世界同時発売で 700 万本を超えるセールスとなった。発 売と前後して、英語、日本語での講演依頼が多く来て、東京大学、慶應大学、法政大学、東京工芸大学、 東京工科大学、MIT Technologies(角川書店)、ArchiFuture2016(建築のシンポジウム)、AI EXPO、SIE PlayStation カンファレンス、マーケティング学会などで招待講演を行なった。また SIGGRAPH 2016 の RealTimeLive!において 3 千人の前で、FFXV の技術デモを行った[34]。 2016 年 6 月より人工知能学会編集委員として参加した。2017 年 3 月号では初となる「ゲーム産業に おける人工知能」を特集し、自分の解説記事を含む五本の解説記事を集めた[35]。 2015 年夏から 2016 年夏にかけて、一年間をかけて国際ゲーム開発者協会日本(IGDA 日本)におい て全 6 回の「人工知能のための哲学塾」を開催した。このセミナーはデジタルゲームにおける人工知能 と、その足場となる哲学について説明するものであった。現在の人工知能は「考える存在」としてのみ 探求され、知性としての全体的な精神運動をシミュレーションできていない。このようなデカルト的な フレームからフッサールの現象学を基礎とした人工知能へと向かうために、ユクスキュルの環世界モデ ルを基礎に、デリダを経て意識モデルを確立し、メルロ=ポンティを参照しながら身体を持つ人工知能 の身体感覚の構築を解説するという内容である。また各回は三宅の講演の後、グループディスカッショ ンが行われ、最後にグループごとの発表となる形式である。講義の部分は、出版社からのオファーがあ り「人工知能のための哲学塾」(BNN 新社)で講義録に書き足す形で出版した[36]。この書籍のサイトで は講義資料、講義記事、講義映像をすべて公開している。また 2017 年には「東洋哲学と人工知能」をテ ーマに続編を開催している。 また、2016 年は 9 月に一般向けの人工知能の解説書である共著「絵でわかる人工知能」を出版した [37]。また 2016 年 12 月にはゲーム産業に蓄積された人工知能技術を社会に提供するために「人工知能 の作り方」(技術評論社)を出版した[38]。 「人工知能のための哲学塾」の出版の影響で、哲学と人工知能、或いは、意識と人工知能に感心を持 つ、医学研究者、哲学研究者からコンタクトがあり、何度かの議論の後、ベルクソンの哲学を医学、哲 学、人工知能から組み直す試みを始めた。これは意識について哲学、人工知能、医学の多面的に考える こと、また哲学からはそれがベルクソンの遅延の理論をもう一度科学的な基礎を与えることになること を示すものである。この成果は応用哲学学会でワークショップ「〈意識の遅延テーゼ〉の行為論的射程— 神経科学と人工知能研究による「拡張ベルクソン主義」アプローチ」として平井靖史(福岡大学)、太田 宏之(防衛医科大学校)、私の 3 名で行った[39]。また意識に興味を持つ研究者の講演者のセミナー「5th Consciousness Club」において、英語講演を行った[40]。 この 3 年でゲーム産業にはバーチャルリアリティ(ヘッドマウント型ディスプレイ)や AR、ホロレ ンズ(マイクロソフト)の MR などの導入が進んでおり、VR 空間におけるキャラクターインタラクシ ョンを研究している。スクリーン越しのキャラクターと違って、VR 空間ではプレイヤーの身体性が重 要になる。まだコンセプト自身を探求しているところであるが、日本バーチャルリアリティ学会からの 依頼で現在のコンセプトをまとめた[41]。また文芸誌、思想誌からの依頼に応じて、人工知能の哲学的 土壌[42][43][46]、ソーシャルと人工知能[44][45]について寄稿している。
  • 6. 6 2017 年からは FFXV の人工知能開発の反省を元に、品質保証(QA、Quality Assurance)における人工 知能の研究を開始した。大型ゲームはその三年で大きくオープンワールドと呼ばれる途切れのない広大 な空間な空間の上でゲームプレイを行うため、通常のデバックやバランシングでは工数がかかりすぎる。 またソーシャルゲームのような長期運用では投入するアイテムによってそれまでのバランスを大きく 崩すことはクリティカルな問題であり、できれば事前にシミュレーション予測をする必要がある。そこ で人工知能による自動デバック、自動調整を行う必要がある。そのための人工知能の研究を進めている。 ソーシャルゲーム向けに遺伝的アルゴリズムによるプレイヤー群の進化によるゲームバランス予測の 成果は SIE PlayStation Conference 2017 で発表した。また、「KINGDOM HEARTS 3」の AI を鋭意開発し ている。 (ゲーム) [1] クロムハウンズ: セガ/フロム・ソフトウエア 平成 18 年 Xbox360 [2] デモンズソウル: フロム・ソフトウェア 平成 21 年 PlayStation3 [3] Armored Core V: フロム・ソフトウェア 平成 24 年 PlayStation 3 [4] ぽかぽかアイルー村: カプコン/フロム・ソフトウェア 平成 23 年 PSP [5] オルガリズム: アクワイア 平成 24 年 PlayStation Vita [6] FINAL FANTASY XIV: スクウェア・エニックス 平成 24 年 PlayStation 4 [7] FINAL FANTASY XV: スクウェア・エニックス 平成 28 年 PlayStation 4 (論文・解説記事) [8] 三宅陽一郎: クロムハウンズにおける人工知能開発から見るゲーム AI の展望, CEDEC 2006 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/50 [9] 三宅陽一郎: 人工知能が拓く オンラインゲームの可能性, AOGC 2007 [10] Youichiro Miyake: Game AI technologies for online games, KGC 2007 / The History and Fundamental of Digital Game AI, KGC 2009 [11] 三宅陽一郎:エージェント・アーキテクチャに基づくキャラクターAIの実装, デジタルコンテンツ シンポジウム(第4回)予稿集, 平成 20 年 9 月 [12] 三宅陽一郎: エージェント・アーキテクチャーから作るキャラクターAI, CEDEC 2007 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/89 [13] 三宅陽一郎: ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用:人工知能学会誌 23 巻 1 号 pp.44-51, 平成 20 年 1 月 [14] 三宅陽一郎:オンラインゲームにおける人工知能・プロシージャル技術の応用, 知能と情報, Vol.22, No.6, P.91-102, 平成 22 年 11 月 [15] 三 宅 陽 一 郎 : 次 世 代 キ ャ ラ ク タ ー A I ア ー キ テ ク チ ャ ー の 構 築 , CEDEC 2017 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/891 [16] 三宅陽一郎:デジタルゲームにおける人工知能エンジン, 映像情報メディア学会 学会誌2014年2月 号,P.125-130 https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/68/2/68_125/_pdf [17] 三宅陽一郎:デジタルゲームのための人工知能の基礎理論, 日本バーチャルリアリティ学会誌, VOL.18 NO.3 P.72-77, 平成 25 年 9 月 http://journal.vrsj.org/18-3/s28-33.pdf [18] Fabien Gravot, Takanori Yokoyama, Youichiro Miyake: Precomputed Pathfinding for Large and Detailed Worlds on MMO Server, Game AI Pro, 第 20 章, CRC PRESS, P.269-288, 平成成 25 年3月 http://www.gameaipro.com/GameAIPro/GameAIPro_Chapter20_Precomputed_Pathfinding_for_Large_and_Detai led_Worlds_on_MMO_Servers.pdf
  • 7. 7 [19] 三 宅 陽 一 郎 : 集 合 知 を 用 い た ゲ ー ム デ ザ イ ン の た め の パ タ ー ン ラ ン ゲ ー ジ 抽 出 , AsianPLoP2011: 2ndAsian Conference on Pattern Languages [20] Youichiro Miyake: Game design pattern language, AsianPLoP '11: Proceedings of the 2nd Asian Conference on Pattern Languages of Programs, Publisher: ACM, 平成 23 年 10 月 [21] 三宅陽一郎: はじめてのゲーム AI~意思を持つかのように行動するしくみ~, WEB+DB PRESS Vol.68, 平成 24 年 4 月 [22] 三宅陽一郎: 次世代デジタルゲームにおける人工知能の研究課題について、情報処理学会、Game Programming Worshop 2012, 平成 25 年 11 月 http://www.ipsj.or.jp/sig/gi/gpw/2012/schedule.html [23] 三宅陽一郎:ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用の現在, 人工知能学会誌 30 巻 1 号 pp.45-64, 平成 27年 1 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00001730/ [24] Youichiro Miyake: Current Status of Applying Artificial Intelligence in Digital Games, Handbook of Digital Games and Entertainment Technologies, pp 1-32,Springer, 平成 27 年 9 月 [25] Noriyuki Imamura, Youichiro Miyake: Final fantasy XV: pulse and traction of characters, SIGGRAPH 2016 Talks, Article No. 47 [26] 白神 陽嗣,三宅陽一郎,並木幸介: FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクター AI の意思決定システム, CEDEC 2015 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1437 [27] 三宅陽一郎(共著):大規模ゲームにおける人工知能. ─ファイナルファンタジー XV の実例をも とに─., 人工知能学会誌 Vol.32 No.2, 平成 29 年 3 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00008567/ [28] FFXV に学ぶゲーム AI,週刊ファミ通 2017 年 1 月 5 日号、エンターブレイン, 平成 29 年 1 月 [29] Youichiro Miyake: Square enix AI academy: a seminar series for the introduction of digital game AI, SIGGRAPH Asia 2015 Symposium on Education, Article No. 13 [30] Youichiro Miyake: Square Enix AI academy:AI workshop for blackboard architecure, SIGGRAPHAsia 2015 Symposium on Education, Article No. 9, 平成 27 年 11 月 [31] Youichiro Miyake: AI techniques for contemporary digital games, SIGGRAPH Asia 2015 Courses, Article No. 3, 平成 27 年 11 月 [32] Youichiro Miyake: Square Enix AI academy: AI workshop for blackboard architecture, SIGGRAPH ASIA 2016 Symposium on Education: Talks, Article No. 10, 平成 28 年 12 月 [33] Youichiro Miyake: AMultilayered Model for Artificial Intelligence of Game Characters as Agent Architecture, Mathematical Progress in Expressive Image Synthesis III, Springer, 平成 27 年 9 月 [34] Isamu Hasegawa, Remi Driancourt, Hiromitsu SasakiYouichiro Miyake: Real-Time Technologies of FINAL FANTASY XV Battles, SIGGRAPH 2016, https://www.youtube.com/watch?v=xvMgGGMPzFU (20min-) [35] 三宅陽一郎:特集「ゲーム産業における人工知能」にあたって, 人工知能学会誌 Vol.32 No.2, 平成 29 年 3 月号 http://id.nii.ac.jp/1004/00008562/ [36] 三宅陽一郎: 人工知能のための哲学塾、BNN 新社, 平成 28 年 8 月 http://www.bnn.co.jp/books/8210/ [37] 三宅陽一郎、森川幸人: 絵でわかる人工知能、ソフトバンク クリエイティブ, 平成 28 年 9 月 [38] 三宅陽一郎: 人工知能の作り方, 技術評論社. 平成 28 年 12 月 [39] 平井靖史, 太田宏之, 三宅陽一郎: 〈意識の遅延テーゼ〉の行為論的射程 ——神経科学と人工知能研 究による「拡張ベルクソン主義」アプローチ, 応用哲学会大会, ワークショップ, 平成 29 年 4 月 [40] Youichiro Miyake: Awareness and Consciousness of Game Character in Digital Game World, Consciousness Club Tokyo, 平成 29 年 1 月 [41] 三宅陽一郎: VR とゲームと人工知能, 日本バーチャルリアリティ学会, VOL.22 NO.1, 平成 29 年 5 月 [42] 三宅陽一郎:ゲーム、人工知能、環世界 考える存在から経験の総体へ、AI のための現象学的転回
  • 8. 8 , 現代思想 2015 年 12 月号 特集=人工知能, 平成 26 年 12 月 [43] 三宅陽一郎:人工知能は数学を理解できるか 考える人, 新潮社, 2013 年夏号, 平成 25 年 7 月 [44] 三宅陽一郎:他者とは何か 人工知能から見た視点, at プラス 31, 太田出版, 平成 29 年 1 月 [45] 三宅陽一郎:ソーシャルゲームと人工知能 単一のゲームからそれぞれのユーザーに向けて生成さ れるゲームへ, ユリイカ 2017 年 2 月号 特集=ソーシャルゲームの現在, 青土社, 平成 29 年 1 月 [46] 三宅陽一郎:理論を包むビジョン 科学、工学、哲学、そして人工知能 , 現代思想 2017 年 3 月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50 人の美しいセオリー, 平成 29 年 1 月 [47] 岡村 信幸: ARMORED CORE V のパス検索, CEDEC 2011, https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/593 [48] 並木 幸介: ぽかぽかアイルー村における、アフォーダンス指向の AI 事例。AI に多様な振る舞い をさせる手法, CEDEC 2011 https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/697 [49] 三宅陽一郎(共著): デジタルゲームの教科書, 第 19,22,23 章, ソフトバンク クリエイティブ, 平 成 22 年 5 月 [50] 三宅陽一郎(共著): デジタルゲームの技術, 第 5 章, ソフトバンク クリエイティブ, 平成 23 年 7 月 [51] Youichiro Miyake et al.: A Character Decision-Making System for FINAL FANTASY XV by Combining Behavior Trees and State Machines, GAME AI PRO 3, chapter 11. CRC Press, 2017 http://www.gameaipro.com/ [52] ジョンソン・エリック、三宅陽一郎: キャラクターの人工知能のための戦術位置解析システム, CEDEC 2016