2016.9.9 心原性脳塞栓症に対するbnpの有用性
- 2. はじめに
脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)は、主に心室が張った状態で心
筋細胞から分泌されるホルモンである。半減期が約20分であることより、刻一刻と変化する
心臓の状態を鋭敏に捉えることができる。
日常診療において心疾患のスクリーニングや心不全の治療効果を判定するバイオマーカーと
して用いられている。
近年、脳血管障害、特に脳梗塞急性期にBNPが高値を示すと報告されている。
BNP値が140pg/ml以上であると感度80.5%、特異度80.5%で心原性脳塞栓症を他の病型分類
と識別できるという報告もある。
当院でも救急外来で脳梗塞が疑われる患者さんが搬送された際などはBNPを測定することが
多い。
ほぼroutineのように測定するBNPの意義について勉強したく今回の論文を選出。
- 3. Back Ground
虚血性脳卒中は最も重要な脳神経障害の一つである。
再発予防のための最適な二次治療を行うには、虚血性脳卒中の正確な原因分類が不可欠であ
る。
心原性脳塞栓症の患者には抗凝固薬を投与するが、大血管アテロームによる脳卒中やラクナ
のような小血管疾患の患者には抗血小板薬が選択される。
心原性脳塞栓症は一般的に重症化及び再発しやすく虚血性脳卒中の約1/5を占める。
- 8. Inclusion Criteria and Search Strategy
検索対象とした研究はすべて、虚血性脳卒中または一過性脳虚血性発作の確定患者の様々な
サブタイプにおいてBNPまたはNT-proBNP血中濃度を測定した原著論文であった。
2013年11月12日までのPubMedデータベースを検索し、独立したレビューアー4名が論文を選
択した。
選択した研究および公表済みレビューの参考文献を手作業でスクリーニングし、その他の関
連研究を特定した。