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/ 56
周回積分型固有値解法と
その並列ソフトウェア
今倉 暁
筑波大学 システム情報系
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
1
/ 56
大もくじ
CRESTプロジェクトの紹介
研究領域・課題
領域:「ポストペタスケール高性能計算に資するシ
ステムソフトウェア技術の創出」
課題:「ポストペタスケールに対応した階層モデル
のよる超並列固有値解析エンジンの開発」
(研究代表者:櫻井鉄也)
主な成果物
固有値解析エンジン:z-Pares、EigenExa
周回積分型固有値解法とその並列ソフトウェア
周回積分型固有値解法の概略
並列ソフトウェア
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
2
/ 56
はじめに:研究背景
ポストペタスケールで想定される計算機構成
 階層構造
 計算ノード/コア
 メモリーストレージ
 ネットワーク
 各種アクセラレータ
 GPU
 MIC(Many Integrated Core)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
3
ハードウェアの階層性
階層的なアーキテクチャで性能を発揮するためには、
アルゴリズムに対しても高い階層性を持つことが望まれるRemark
/ 56
はじめに:プロジェクトの概要
研究プロジェクト:CREST
研究領域「ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフ
トウェア技術の創出」
研究課題「ポストペタスケールに対応した階層モデルのよる超並
列固有値解析エンジンの開発」(研究代表者:櫻井鉄也)
プロジェクトの目的
大規模並列のハードウェア性能を十分に引き出すことの
できる次世代型並列アルゴリズムとソフトウェアの開発
疎行列向け並列固有値解析エンジン:z-Pares
密行列向け並列固有値解析エンジン:EigenExa
高性能化基盤技術
高度利用技術
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
4
/ 56
はじめに:プロジェクトの概要
プロジェクトの意義
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
5
超並列固有値解析エンジン
z-Pares, EigenExa
疎行列向け・密行列向け固有値解析エンジンを提供することで、
各種のアプリケーションの高速化を支える
/ 56
小もくじ
はじめに
プロジェクトの進捗および構成
疎行列向け固有値解析エンジンz-Paresの概要
密行列向け固有値解析エンジンEigenExaの概要
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
6
/ 56
プロジェクトの進捗および構成
プロジェクトの進捗状況
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
7
H24年度、H25年度
固有値解析ソフトウェアの公開
H26年度
「京」での性能評価
と高性能化
H27年度
実アプリケーションに特化した
高性能アダプタの開発
H28年度以降
高性能固有値解析
インフラの開発
 疎行列・部分固有対:z-Pares
 密行列・全固有対:EigenExa
 「京」での性能評価
 大規模並列時のボトルネック改善
 アプリケーションからの典型的ニー
ズに対する高性能化技術の開発
 開発ソフトウェアz-Pares、EigenExaの更なる高性
能化
 階層性の深化と演算の高密度化
 通信回避
 高信頼性
 戦略分野に特化した高性能アダプタの開発・整備
→ 次年度以降の高性能固有値解析インフラの
整備につなげる
 開発した高性能固有値解析ソフトウェアを基盤とした高
性能固有値解析インフラを整備し、各種アプリケー
ションを基盤として支える 高性能インフラ
の実現
/ 56
プロジェクトの進捗および構成
プロジェクトのグループ構成
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
8
疎行列向け固有値解析
エンジングループ
-- 櫻井グループ
>> 疎行列向け固有値解
法の開発
>> z-Paresの開発
-- 張グループ
>> 疎行列向け固有値解
法およびその基盤技
術の開発
密行列向け固有値解析
エンジングループ
-- 今村グループ
>> 密行列向け固有値解
法の開発
>> EigenExaの開発
-- 山本グループ
>> 密行列向け固有値解
法およびその基盤技
術の開発
アプリケーショングループ
-- 藏増グループ
>> 基礎科学分野における固有値解析エンジンの高度利用技術の開発
-- 星グループ
>> 物質科学分野における固有値解析エンジンの高度利用技術の開発
/ 56
プロジェクトの進捗および構成
プロジェクトの主なグループメンバー
疎行列グループ
櫻井グループ
– 櫻井鉄也、多田野寛人、今倉暁、二村保徳(筑波
大)、池上努(産総研)、中務佑治(東大)
張グループ
– 張紹良(名大)、曽我部知広(愛知県立大)、
宮田考史(名大)
密行列グループ
今村グループ
– 今村俊幸、深谷猛、廣田悠輔(理研 AICS)
山本グループ
– 山本有作(電気通信大)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
9
/ 56
プロジェクトの進捗および構成
プロジェクトの主なグループメンバー
アプリケーショングループ
星グループ
– 星健夫、井町宏人(鳥取大)
藏増グループ
– 藏増嘉伸(筑波大、理研 AICS)、石川健一
(広島大)、中村宜文(理研 AICS)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
10
/ 56
z-Paresの概要
疎行列向け固有値解析エンジン:z-Pares
対象とする問題設定
標準/一般化固有値問題、実/複素、対称/非対称
部分固有対(数個~10%程度)
内部固有値問題(任意領域)
基本アルゴリズム
周回積分型固有値解法:
– Block SS-RR法、Block SS-Hankel法
– (一部)パラメータ自動設定付き
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
11
/ 56
z-Paresの概要
疎行列向け固有値解析エンジン:z-Pares
並列化構造:3段階の階層性
積分領域、数値積分、線形方程式
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
12
Top layer
Middle layer
Bottom layer
周回積分型固有値解法の階層性 ハードウェアの階層性
アルゴリズムの階層性に併せて計算リソースを割り当てる
→ ノード間通信性能を改善
周回積分に基づき
指定領域内部の固有対を抽出
各積分点での計算は
独立した線形方程式の求解
/ 56
z-Paresの概要
疎行列向け固有値解析エンジン:z-Pares
z-Pares開発・リリース状況
2013.12 :ver. 0.9.3 リリース
2014.7 :ver. 0.9.5 リリース
2014.9 :ver. 0.9.6 リリース
主たる成果
企業の振動解析における大規模問題を高速化
今後の展開
電子構造計算の各種アプリで性能を発揮する計算
カーネルの開発と性能評価
– RSDFT
– CONQUEST
– ETH-CSCSの電子構造計算コード
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
13
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EigenExaの概要
密行列向け固有値解析エンジン:EigenExa
対象とする問題設定
標準固有値問題、実、対称
全固有対を計算
基本アルゴリズム
3重対角行列を経由しない新1stepアルゴリズム
– Householder法による帯行列化
– 帯行列向け分割統治法
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
14
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EigenExaの概要
密行列向け固有値解析エンジン:EigenExa
アルゴリズムの概要
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
15
A B
T
real symmetric banded eigenpairs of B eigenpairs of A
tridiagonal eigenpairs of T 高性能実装が困難
メモリバンド幅律速
1-step scheme
(ScaLAPACK)
2-step scheme
(ELPA, DPLASMA)
new 1-step scheme
(EigenExa)
/ 56
EigenExaの概要
密行列向け固有値解析エンジン:EigenExa
EigenExa開発・リリース状況
2013.8 :ver. 1.0 リリース
2013.12 :ver. 2.0 リリース
※三重対角化版(eigen_s)を提供
主たる成果
京のフルノードを用いた100万次元の実対称密行列の
固有値計算(全固有対計算を1時間弱で実現)
データ同化(理研の三好Tとの共同研究)での利用
今後の展開
計算式の変形による通信回避技術の導入
京以外のシステムでの性能評価
(JulichのBlueGene/Q)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
16
/ 56
大もくじ
CRESTプロジェクトの紹介
研究領域「ポストペタスケール高性能計算に資するシス
テムソフトウェア技術の創出」
研究課題「ポストペタスケールに対応した階層モデルの
よる超並列固有値解析エンジンの開発」
(研究代表者:櫻井鉄也)
周回積分型固有値解法とその並列ソフトウェア
周回積分型固有値解法の概略
並列ソフトウェア
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
17
/ 56
はじめに
対象とする問題
(特定領域の固有値を求める)一般化固有値問題:
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
Re
Im
18
Ω内部の固有値数を とする
固有対
を求めたい
/ 56
はじめに
対象とする数値解法
周回積分型固有値解法:SS-RR法 [Sakurai&Sugiura:2003]
周回積分により対象の固有ベクトル成分を取り出す
関連解法
(block) SS-Hankel法
[Sakurai&Sugiura:2003,Ikegami et al.:2010]
(block) SS-RR法
[Sakurai&Tadano:2007,Ikegami&Sakurai:2010]
FEAST法 [Polizzi:2009]
block SS-Arnoldi法 [I,Du&Sakurai:2013]
Beyn法 [Beyn:2012] (非線形固有値問題向け)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
19
/ 56
はじめに
本講演の目的
周回積分型固有値解法の概略を示す
block SS-RR法
block SS-Hankel法
階層型並列固有値解析ソフトウェアを紹介する
SSEIG
CISS
z-Pares
超並列環境での実用化するための関連技術を紹介
耐故障性
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
20
/ 56
小もくじ
はじめに
一般化固有値問題に対する周回積分型固有値解法
階層型並列固有値解析ソフトウェア
超並列環境での実用化するための関連技術
まとめ
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
21
/ 56
周回積分型固有値解法の概略
基本的アイディア [Sakurai&Sugiura:2003]
一般化固有値問題の固有値を極に持つ有理関数
の領域Ω内の極をCauchyの積分公式
に基づく手法により計算する.ここで, ΓはJordan閉曲線
(Ωの境界)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
22
/ 56
周回積分型固有値解法の概略
関数の領域Γ内部の極の計算 [Kravanja,Sakurai&van Barel:1999]
複素モーメント:
正則関数の領域Γ内部の極はHankel行列
を係数にもつ(小規模)一般化固有値問題
を解くことで得られる.
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
23
/ 56
周回積分型固有値解法の概略
関連解法
原著論文とその改良法
その他の関連解法
FEAST eigensolver [Polizzi:2009]
Beyn法(非線形) [Beyn:2012]
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24
(原著論文)
[Sakurai&Sugiura:2003]
ブロック化に基づく
高安定化
[Ikegami et.al.:2010]
RR法に基づく
高精度化
[Sakurai&Tadano:2007]
ブロック化 + RR法
(SS-RR法)
[Ikegami&Sakurai:2010]
Arnoldi法に基づく
新解釈・新解法
(SS-Arnoldi法)
[I,Du&Sakurai:2014]
/ 56
SS-Hankel法
複素モーメント( )
Hankel一般化固有値問題(サイズ:M x M)
block SS-Hankel法の概略
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
25
/ 56
block SS-Hankel法
block複素モーメント( )
block Hankel一般化固有値問題(サイズ:LM x LM)
block SS-Hankel法の概略
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
26
/ 56
アルゴリズム
block複素モーメント( )
block Hankel一般化固有値問題(サイズ:LM x LM)
block SS-Hankel法の概略
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
27
/ 56
block SS-Hankel法の概略
実用上の工夫
block Hankel行列の低ランク近似:
標準固有値問題(サイズ:d x d, m < d ≦ LM)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
28
対象の一般化固有値問題はblock Hankel行列から得られる標準
固有値問題に帰着される
/ 56
block SS-Hankel法の概略
block SS-Hankel法 [Ikegami et al.:2010]
アルゴリズム
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
29
Algorithm: block SS-Hankel
1. Compute basis vectors:
2. Construct block Hessenberg matrices
3. Compute low-rank approx. of :
4. Solve
and set
/ 56
block SS-RR法の概略
基本戦略:以下の定理に基づきRRの技法を利用
定理が意味すること
周回積分により対象の固有ベクトルで張られる部分空間
が生成される
→ Rayleigh-Ritzの技法により対象の固有対が計算できる
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
30
Theorem 3
対象の固有値数が を満たし, また入力行列
が がフルランクとなる行列であるとする. この時, 以
下が成り立つ.
/ 56
block SS-RR法の概略
アルゴリズム
射影条件:
Ritz-Galerkin条件:
実用上の工夫
基底の低ランク近似:
一般化固有値問題(サイズ:d x d, m ≦ d ≦ LM)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
31
対象の一般化固有値問題は一般化固有値問題に帰着される
/ 56
block SS-RR法の概略
block SS-RR法 [Ikegami&Sakurai:2010]
アルゴリズム
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
32
Algorithm: block SS-RR
1. Compute basis vectors:
2. Compute low-rank approx. of :
4. Solve
and set
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
周回積分型固有値解法のアルゴリズムの流れ
1:積分点毎の線形方程式の求解
2:積分計算
3:行列の特異値分解、小規模固有値問題の求解
周回積分型固有値解法の階層的並列性
計算コストの主要部(線形方程式の求解)に対し、
3階層の並列性を持つ
積分領域:複数の積分領域を並列に計算
数値積分:積分点毎の計算を並列に計算
線形方程式:線形方程式を並列計算
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
33
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
周回積分型固有値解法の階層的並列性
計算コストの主要部に対する3階層の並列性を持つ
積分領域、数値積分、線形方程式
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
34
Top layer
Middle layer
Bottom layer
周回積分型固有値解法の階層性 ハードウェアの階層性
アルゴリズムの階層性に併せて計算リソースを割り当てる
→ ノード間通信性能を改善
周回積分に基づき
指定領域内部の固有対を抽出
各積分点での計算は
独立した線形方程式の求解
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
関連ソフトウェアとの比較
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
35
A B
部分空間
PARPACK
S
複数線形方程式を逐次に求解
固有対
係数行列
逐次演算であるため、
並列化が困難
複数ブロック線形方程式を独立に求解
FEAST
演算量が多い
階層型アルゴリズムにより
ノード間演算コストを削減 複数線形方程式を独立に求解
z-Pares
高次モーメントを利用
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
並列固有値解析ソフトウェア
公開済みソフトウェア
SSEIG (MATLAB)
– 周回積分型固有値解法の有効性検証のための利用
を想定
CISS (SLEPc)
– 分散並列環境での利用を想定
z-Pares (Fortran90・MPI)
– 大規模分散並列環境での利用を想定
公開ポリシー:フリー
Web:http://zpares.cs.tsukuba.ac.jp/
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
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/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
SSEIG
概要
目的:周回積分型固有値解法の有効性検証用
動作環境:MATLAB
並列化:逐次版(MATLABの自動並列は有効)
機能・仕様
対象固有値問題:実/複素・標準/一般化・密/疎
数値積分:楕円・N点台形則
線形方程式の求解:LU分解
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
37
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
SSEIGの実行例
テスト行列
– 複素非エルミート一般化固有値問題
» MHD1280(電磁気問題), n = 1280
領域・パラメータ
– 中心:-0.1+0.6i, 半径:0.2の円
– L=16, M=8, N=32
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
38
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
CISS
概要
目的:周回積分型固有値解法を分散並列環境で利用
動作環境:SLEPc・PETSc
並列化:全ての階層の分散並列化に対応
機能・仕様
対象固有値問題:実/複素・標準/一般化・密/疎
数値積分:楕円・N点台形則
線形方程式の求解:PETScのライブラリから選択可能
行列の格納形式:PETScの行列格納形式に準拠
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
39
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
40
PETSc
Portable, Extensible Toolkit
for Scientific Computation
PETSc・SLEPcの組み込みソフトウェア
SLEPc
Scalable Library for Eigenvalue
Problem Computations
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Pares
概要
目的:周回積分型解法を大規模分散並列環境で利用
動作環境:Fortran90、MPI
並列化:全ての階層の分散並列化に対応
機能・仕様
対象固有値問題:実/複素・標準/一般化・密/疎
数値積分:楕円・N点台形則・その他
線形方程式の求解:
– Krylov部分空間法・疎行列向け直接法・その他
行列の格納形式:ユーザー定義
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
41
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresのデータ構造
疎行列向けソフトウェアではアプリケーション毎に異な
るデータ分散形式に対応することが必要
z-Paresでは, 線形方程式の求解および行列ベクトル積
において異なるデータ分散形式に対する対応を考える必
要がある
z-Paresでは行列やベクトルのデータ分散形式に自由度
与えるReverse communication interface (RCI)を採用
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
42
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
RCI
線形方程式の求解や行列ベクトル積などのデータ分散に
依存する計算が必要になる度にユーザーに制御を戻す
ユーザー自身が線形方程式の求解や行列ベクトル積
のコードを作成する
特定の分散データ構造に対しては, z-Pares側で高速
なルーチンを用意する
ユーザーは終了サインが出るまでwhile文で何度も
z-Paresのサブルーチンを呼び出す
ARPACK(1996)やFEAST(2009), BLOSS(2012)という固有値
解法パッケージに採用されている
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
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/ 56
program user_code
use zpares
!<中略>
! 初期化
task = ZPARES_TASK_INIT
do while ( task /= ZPARES_TASK_FINISH )
! 固有値解析エンジン呼び出し
call zpares(task, work1, work2, …)
! taskにユーザーコード側の処理が指定される
if ( task == ZPARES_TASK_MATVEC )
! ユーザーの行列ベクトル積ルーチン呼び出し
call user_matvec(work1, work2)
else if ( task == ZPARES_TASK_SOLVE)
! ユーザーの線形ソルバルーチン呼び出し
call user_solver(work1, work2)
end if
end do
並列固有値解析ソフトウェア
RCI
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
44
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行例 I
テスト行列
実対称・一般化固有値問題
– VCNT9000(ELSES Matrix Library)
– n=9,000, Nnz=3,464,136
領域・パラメータ
中心:-0.55, 半径:0.04, 半径比:0.1の楕円
L=32, M=16, N=32
線形方程式:MUMPUS
プロセス数:1, 2, 4, 8, 16(中位階層のみ並列化)
計算機環境
「京」, 1プロセス/1ノード
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
45
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行結果 I
並列性能
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
46
0
10
20
30
40
50
60
1 2 4 8 16
misc Mult B
Mult A Small diag
Orth Solve
Fact
Elapsedtime[sec]
Number of Nodes
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行結果 I
相対残差ノルム
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
47
eigenvalue
Relativeresidualnorm
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行例 II
テスト行列
複素エルミート・一般化固有値問題
– VCNT10800h(ELSES Matrix Library)
– n=10,800, Nnz=8,511,588
領域・パラメータ
中心:-0.55, 半径:0.07, 半径比:0.1の楕円
L=32, M=16, N=32
線形方程式:MUMPUS
プロセス数:1, 2, 4, 8, 16(中位階層のみ並列化)
計算機環境
「京」, 1プロセス/1ノード
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
48
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行結果 II
並列性能
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
49
Elapsedtime[sec]
Number of Nodes
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
1 2 4 8 16
misc Mult B
Mult A Small diag
Orth Solve
Fact
/ 56
並列固有値解析ソフトウェア
z-Paresの(簡易的な)実行結果 II
相対残差ノルム
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
50
eigenvalue
Relativeresidualnorm
/ 56
block SS-RR法の誤差解析
定理の意味
各固有対の残差ノルム(みたいなもの)は,
と の比で抑えられる
部分空間サイズLMを大きく取れば対象の固有対は高精度
で得られる
周回積分型固有値解法の誤差解析
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
51
Theorem:故障(誤差)なしの場合
( 定数)
/ 56
周回積分型固有値解法の誤差解析
フィルター関数
(領域Ω:単位円)
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
52
領域内部
領域外部(遠方)
/ 56
周回積分型固有値解法の誤差解析
block SS-RR法の誤差解析
定理の意味
各固有対の残差ノルム(みたいなもの)は,
と の比で抑えられる
故障により部分空間サイズが縮小される(ような効果)
部分空間サイズを大きくとっておけばほぼ影響しない
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
53
Theorem:故障発生時(誤差混入時)の解析
( 定数)
/ 56
周回積分型固有値解法の誤差解析
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
54
数値実験(故障なし)

Ω:単位円-> m=10, 外部近接固有値=1.01

/ 56
周回積分型固有値解法の誤差解析
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
55
数値実験(故障発生時)

Ω:単位円-> m=10, 外部近接固有値=1.01

/ 56
まとめ
本講演では, 一般化固有値問題に対する周回積分型
固有値解法のアルゴリズムおよびその並列ソフト
ウェアを紹介した
SSEIG:お試し用(MATLAB)
CISS:分散並列用(PETSc)
z-Pares:大規模分散並列用(Fortran90、MPI)
これらのソフトウェアはwebで公開されている
(z-Paresは2013年12月末公開予定)
http://zpares.cs.tsukuba.ac.jp/
2014/11/24数理人セミナー@早稲田大学
56

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