A slide material which used in the disaster treatment symposium, 36th ped sinsin gakkai.

1. 緊急事態における対人支援指針の動向について
～子どものためのサイコロジカル・ファースト・エイドを中心に～
2018.9.8 第36回 日本小児心身医学会 災害関連セッション
みやぎ心のケアセンター 福地 成
日本小児心身医学会災害対策委員
セーブ･ザ･チルドレン･ジャパン 子どものための心理社会的支援事業アドバイザー

2. ※ 申告すべきCOI状態がないとき
日本小児心身医学会の定める
利益相反に関する開示事項はありません
日本小児心身医学会
COI 開示
発表者名: 福地 成

3. 自己紹介
福地成 ふくちなる
 元々は東京都出身です
 大学から青森県へ行き、北海道、宮城と移動しています
 小児科 ⇒ 精神科 ⇒ 児童精神科 ⇒ 公衆衛生
 疫学および公衆衛生学を研究していました
 東日本大震災後に設立された、復興に特化した『みやぎ心のケアセンター』へ勤務し
ています
 国際NGOセーブ･ザ･チルドレン･ジャパンの『子どものための心理社会的支援事業ア
ドバイザー』、日本小児心身医学会の災害対策委員でもあります

4. 本プレゼンの目的
緊急時の子どもの支援において必要な事柄を共有する

5. 本講の流れ
緊急時の特殊性
安全地帯の再構築
いろいろな緊急時の対人支援マニュアル
専門職として必要なちょっとの知識
イントロ1
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3
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最後に6
本日のスライドはこちらからどうぞ
（本日より1週間ダウンロードできます）

7. 時期 災害名 災害種類 被災地域 死者・行方不明者
平成2年11月 雲仙普賢岳噴火 噴火 ⾧崎県 44名
平成5年7月 北海道南西沖地震 地震 北海道 230名
平成7年1月 阪神淡路大震災 地震 兵庫県 6,437名
平成16年10月 新潟県中越地震 地震 新潟県 68名
平成23年3月 東日本大震災 地震 東北地方（岩手・宮城・福島） 23,769名（行方不明者8,499名）
平成26年9月 御嶽山噴火 噴火 ⾧野県・岐阜県 63名
平成28年4月 熊本地震 地震 熊本県・大分県 267名
平成29年7月 九州北部豪雨 洪水 九州地方（福岡県・大分県） 42名
平成30年7月 西日本豪雨 洪水 西日本 225名
多発する自然災害

8. 拠点で来所者に
対応する場合
• 既存の通院患者と新規の受診者
• さまざまなストレス反応
（身体症状の悪化、急性ストレス障害）
• 二次医療機関としての治療
地域に出て
巡回をする場合
• 受診しない地域住民
• 疾患として分類されない状態
• トリアージと普及啓発
緊急時の特殊性

9. リーフレットによる啓発
日本小児精神医学研究会HP
http://jspp.life.coocan.jp/jspp_website/index.html

11. 安全地帯の構築と探索行動
安全地帯 探索行動
危険・恐怖
満足・充足

12. 地域で緊急事態が生じた場合
安全地帯
養育者の警戒心が高まる
なかなか子どもを手放せない
近隣には瓦礫がたくさん
遊び場では炊き出し

13. 平成28年5月31日 熊本日日新聞
「このほか県立中・高校で637人、特別支援学校で41人にカウンセリングが必要と判断した。」

14. 緊急時に必要なのは
『個別のカウンセリング』ではなく、
安全な『あそび場』の整備だと思う
一般社団法人プレーワーカーズより写真提供

15. づくりが最も大事‼
子どものこころのケアにおいては

16. 子どもにやさしい空間（CFS, Child Friendly Spaces）
 緊急事態のときにいかにして子どもの遊ぶ空間を作るか
のマニュアル
 UNICEFが作成したものを翻訳し、日本でも普及してい
る
 場所や設備、時間割、人員の配置など学ぶ
 専門家による講義、グループワーク、ディスカッション
で構成
 3時間が標準版
 https://www.unicef.or.jp/cfs/

17. いろいろな
緊急時こころの支援マニュアル

18. 子どものトラウマケア・パッケージの多層的位置づけ
岩手医科大学 八木淳子先生よりスライド提供

19. （WHO版）サイコロジカルファーストエイド
 世界保健機構（WHO）、War Trauma Foundation、
World Vision Internationalが主体となって作成
 あらゆる緊急事態を想定している
 非専門職を対象として開発されている
 国立精神・神経医療研究センターが主体となって翻訳
して普及
 http://saigai-
kokoro.ncnp.go.jp/pdf/who_pfa_guide.pdf

20. 子どものための心理的応急処置 (PFA, Psychological First Aid)
 WHO版PFAをベースにして、セーブ・ザ・チルドレン・デン
マークが子どもに特化した形に再編
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが翻訳して普及
 二日間研修が標準版だが、一日バージョンもある
 講義、グループワーク、ロールプレイ、ディスカッションなど
で構成
 地域住民に子どものこころの支援を身につけてもらうには有用
だと思う
 http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=15
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21. 普段の『かまえ』と少し違うかもしれません

22. Psychological First Aid（PFA）の原則
Look 見る
• 安全確認する
• 急を要する基本的ニーズ
がある人を確認する
• 深刻なストレス反応を示
している人を確認する
Listen 聞く
• 声をかける
• 必要なものや気がかりな
ことについてたずねる
• 人々に耳を傾け、気持ち
を落ち着かせる手助けを
する
Link つなぐ
• 情報を提供する
• 必要な社会的支援と結び
つける
• 自分で問題に対処できる
ように手助けする

23. 実際のPFA研修会の風景

24. 普及のシステム
マニュアル
の作成
• セーブ・ザ・チルドレン・デンマークで作成
• 全世界的に統一したものを使用
• 日本語版に翻訳
トレーナー
のための研修
(TOT)
• 日本の中でトレーナーができる人材を育成
• 全4日間の研修
• ブースター研修
地域への普及
• セーブ・ザ・チルドレン・ジャ
パンが統括
• 研修を希望する地域へトレー
ナーを派遣し、普及活動を展開

25. 専門職として必要な
ちょっとの知識

26. 反射的に起きる反応
守られている感覚がない
自分で自分を守るための臨戦態勢
（逃げるか戦うか）
衝動性 落ち着きがない 怒りっぽい
少しの刺激にも過剰に反応回避・孤立 脅え・敏感

27. トラウマ体験後のあそび
つらい体験をした子どもは、体験そのものを遊びとして繰り返すことがある
• 地震の後の『地震ごっこ』
• 交通事故の後にミニカー同士を衝突する遊びを繰り返す
• 性被害にあった子どもが人形の服を脱がせる
 無理に中止させる必要はない
 暴走し、他児に悪影響がある場合は制限する
 ハッピーエンドに導けるような介入がよい

28. 心理的デブリーフィング
• つらい出来事の後、できるだけ早くに介入し、体験の内容に踏み込んで感情の
表出を促すこと
• 元々は消防士のPTSDの予防法としてアメリカで開発されたもの
• 1995年の阪神淡路大震災では主流だった
現在では、有害もしくは無効とされている

30. まとめ
子どものこころのケアにおいては、空間づくりが大事
地域づくりの一環としてのPFA
PFA＋少しの専門的な知識
緊急時の役割を確認しておきましょう1
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