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「医療・福祉×コミュニティ」ゲストプレゼン：東京医科歯科大学 助教 長嶺 由衣子氏
- 1. 医療･福祉×コミュニティ 〜「コミュニティ」と「つながり」で地域のWELL- BEING（健康・幸福）をつくる〜 長嶺 由衣子 一般社団法人日本老年学的評価研究機構 理事 東京医科歯科大学 介護・在宅医療連携システム開発学講座 医療法人社団杏月会 訪問診療部 医師
- 3. 医療・公衆衛生に関わる理由 • 学生時代にインドへ → 絶対貧困でも家族のみんなが健康であれば生きていける → 彼らの生活が脅かされるのは誰かが体調を崩した時 → 健康政策や皆保険制度などに関心を持つきっかけに
- 5. 人口800名の粟国島へ
- 8. 8 日本老年学的評価研究 Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES 東川町 東神楽町 美瑛町 苫前町 当別町 余市町 栗山町 十和田市 六戸町 八戸市 南部町 三戸町 五戸町 守口市 門真市 四条畷市 小坂町 岩沼市 豊中市 葛尾村 大洗町 長柄町 睦沢町 市原市 八王子市 新潟市 十日町市 加賀市 松本市 高浜町 鳥取市 智頭町 福岡市 松浦市 御船町 九重町 竹田市 臼杵市 津久見市 多可町 神戸市 森町 小山町 さいたま市 八尾市 天理市 生駒市 早川市 中央市 町田市 横浜市 柏市 松戸市 市川市 名古屋市 半田市 碧南市 常滑市 東海市 大府市 知多市 東浦町 武豊町 愛知県 ■ 2019調査協力保険者 ■ 過去の協力保険者 JAGES 2013/14 参加市町村数 30 送付数 約19.5万人 回収数 約13.8万人 回収率 約70.8％ JAGES 2016/17 参加市町村数：41 送付数 約30万人 回収数 約20万人 回収率 約69.5％ JAGES 2019 参加市町村数 63 送付数 約37.5万人 回収数 約25.8万人 回収率 約68.9％ （2020年5月時点） JAGES 2010/11 参加市町村数 31 送付数 約16.9万人 回収数 約11.2万人 回収率 約66.3％
- 9. 寿命に与える影響の強さ （Holt-Lunstad et al. PLoS Med, 2010） タバコを吸わない 過度な飲酒をしない 運動する 太り過ぎない 空気がきれい 人とのつながり 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 「人は一人では生きていけない」 ジョン・ダン（イギリスの詩人） 1572 - 1631 論文148件、合計30万人以上より導き出された結果 ？ ？ ？ ？ ？ 人とのつながりと寿命との関係は強い！！
- 10. 0 5 10 15 20 あまり社会参加をしていない群 多くの社会参加をしている群 う つ 傾 向 に な る 確 率（ %） 女性 役割を持っていない 役割を持っている 0 5 10 15 20 あまり社会参加をしていない群 多くの社会参加をしている群 う つ 傾 向 に な る 確 率（ %） 男性 役割を持っていない 役割を持っている 全体的に、多くの社会参加をしている人々は、 うつ傾向発症のリスクが低い 役割を担って社会参加する男性がうつ傾向になる確率は、 ただ参加している男性の約6分の1まで減少 10 19.0% 16.6% 14.5% 13.0% 8.9% 5.4%8.5% 1.2% 高齢者2,728人を3年間追跡 (Takagi et al., BMC Public Health, 2013) 地域の集まりで“役割を持つ”男性は ただ参加するよりも、うつリスクは6分の1
- 11. 生活機能（＝健康度）に応じたシームレスな社会参加 高齢者9,234人を10年間追跡 (Nemoto et al., BMC Geriatrics, 2017) 地域の集まりで“役割を持つ”と ただ参加するよりも、認知症リスクは19%減
- 12. -11.4% -4.4% 11.9% 4.3% -44.4% -41.9% -60% -40% -20% 0% 20% 運動グループ参加割合 （月1回以上）が 地域に10%多い場合 男 女 男 80～84歳 女 75～79歳 男 女 図. 抑うつ傾向の保有リスクの増減 （男性: 35,975人; 女性: 38,706人; 地域数: 516地域） 地域レベルの要因 個人レベルの要因 65～69歳との比較 月1回以上の 運動グループへの参加 （vs. 月1回未満） ※統計学的に次の影響を考慮し，リスクの増減（%）を数値化した． 地域の要因: 可住地人口密度 個人の要因: 疾患，家族構成，飲酒，喫煙，教育歴，所得 う つ を 悪 化 う つ を 緩 和 周りが参加で うつ少ない 男15歳女10歳の アンチエイジング社会 高齢者のうつリスク 運動が盛んな地域に暮らすだけで低下 (Tsuji et al., Med Sci Sports Exerc 2018)
- 13. -8% -28% -12% -27% -36% -40% -30% -20% -10% 0% 地域レベルの 要因 個人レベルの 要因 運動グループ参加割合 （月1回以上）が 地域に1割多い場合 1日平均歩行時間 30分未満との比較 月1回以上の 運動グループへの参加 （vs. 月1回未満） 30～59 分/日 60～89 分/日 90分/日 以上 図. 地域と個人の各要因による認知症リスクの減少 （男性: n = 19,624; 女性: n = 20,684; 地域数: n = 346） ※以下の要因を統計学的に調整し、リスクの減少（%）を数値化した。 地域レベル: 可住地人口密度、年間日照時間 個人レベル: 年齢、性、疾患（脳卒中、高血圧、糖尿病、聴覚障害）、社会的孤立、飲酒、喫煙、教育歴、所得 周りが参加で 認知症リスク減 地域の全員が 1日20分間の 歩行習慣に相当!? 高齢者の認知症リスク 運動が盛んな地域に暮らすだけで低下 (Tsuji et al., Med Sci Sports Exerc 2019)
- 14. これからの社会への提言 • 「孤立」は万病のもと • オンラインだけでは不十分。 オフラインだけでも不十分。 • 直接「会う」ことはやっぱり大事 • 直接「会う」ために必要な知識の普及も大事 • コミュニティの中にいる様々な人たちそれぞれに、 効果的なオンラインとオフラインの調和を見出し、 人々が健康に、安心して過ごせるコミュニティ作りを