The presentation slides of the disaster psychiatry for teachers in Akita (19 Sep 2019)

1. 災害や事件・事故発生時における心のケア
みやぎ心のケアセンター 福地 成
2019.9.19 令和元年度 新任生徒指導主事研修講座Ⅱ（秋田県総合教育センター）

2. 本日のながれ
第一部 13:00-14:25（85分） 第二部 14:35-16:00（85分）
どのように支えるのか?
（グループワーク）
どのように聞くのか?
（ロールプレイ）
最後に
イントロ
シミュレーション
（グループワーク）
緊急時のこころの反応
休
憩

3. どのような状況が想定されるのか?
自然災害
不審者の
侵入
校内の
事故
子どもの
自殺
さまざまな
スキャンダル

4. 緊急時における外部からの対応チーム
災害派遣精神医療チーム（DPAT, Disaster Psychiatric Assistance Team）
自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの大規模災害等の後、被災地域に入り、
精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門的なチーム
学校危機へのこころの緊急支援チーム (CRT, Crisis Response Team)
学校内外で生じた生命遺関わる重大な事件・事故に対して、発生当日から該当する学校へ緊
急支援チームを派遣する。精神科医師、臨床心理士、保健師、精神保健福祉士など、専門職
から構成される。

5. 日本で多発する自然災害
時期 災害名 災害種類 被災地域 死者・行方不明者
平成2年11月 雲仙普賢岳噴火 噴火 ⾧崎県 44名
平成5年7月 北海道南西沖地震 地震 北海道 230名
平成7年1月 阪神淡路大震災 地震 兵庫県 6,437名
平成16年10月 新潟県中越地震 地震 新潟県 68名
平成23年3月 東日本大震災 地震 東北地方（岩手・宮城・福島） 23,769名（行方不明者8,499名）
平成26年9月 御嶽山噴火 噴火 ⾧野県・岐阜県 63名
平成28年4月 熊本地震 地震 熊本県・大分県 267名
平成29年7月 九州北部豪雨 洪水 九州地方（福岡県・大分県） 42名
平成30年7月 西日本豪雨 洪水 西日本 225名
平成30年9月 北海道胆振東部地震 地震 北海道 41名

6. DPAT活動実績（平成29年7月現在）
平成28年熊本地震
平成26年8月豪雨
平成26年
御嶽山噴火
平成27年9月
関東・東北豪雨
平成29年
那須雪崩事故
平成29年７月
九州北部豪雨
平成30年７月豪雨 平成30年
北海道胆振東部地震
（DPAT事務局より情報提供）

7. 子どものための心理的応急処置（サイコロジカル・ファースト・エイド, PFA）
 WHOが開発したPFAをベースにして、セーブ・ザ・チルドレ
ン・デンマークが子どもに特化した形に再編したもの
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが翻訳して普及
 日本では一日版（6時間）が普及している
 講義、グループワーク、ロールプレイ、ディスカッションなど
で構成
 要請があった地域に講師を派遣し、研修会をデリバリーしてい
る
 http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=159
6

8. ～グループワーク～

9. ひとつの場面を想定して、話し合ってもらいます
県内で大規模な豪雨と洪水があり、複数の避
難所が設置されました。地域では複数の死
者・行方不明者があり、救助活動も難航して
います。
あなたは同僚とチームを組んで、避難所（学
校の体育館）の支援に入ることになりました。
その避難所には高齢者から乳幼児まで、あら
ゆる年代の住民が避難しているようです。

10. アイディア出し（3分）
• それぞれで思いついた
『子どもの反応』を付箋
に書き出してください
共有（5分）
• グループ内にシェアをし
て、チーム内で話し合っ
てください
• マジック等を使って、模
造紙に分かりやすくまと
めてください
• 同じ内容の付箋はひとつ
にまとめてください
全体にシェア（各班1分）
• どのグループに発表して
もらうかは教えません
• 代表者が全体にシェアを
してください
• 既に出ている内容は除い
てください
作業のながれ

11. 話し合う年代を指定します
幼稚園
4～6歳
小学生
7～12歳
中高生
13～18歳
保護者およ
び職員
保育所
0～3歳
それぞれの年代でどのような反応を示すのか
各グループで話し合ってください。

13. つらい体験後の反応
反射的に起きる反応
• 年齢に関わらず、全ての人に等しく生じる反応
• 神経の高ぶりによる『反射』に近い
実情を理解してから起きる反応
• その人の特性によって異なる（年齢、知的能力、経験など）
• 大脳で事実を認識してから起きる行動
つらい記憶の後遺症
• 自分の意志とは無関係に思い出される
• いわゆるフラッシュバック
時
間
経
過
早い
遅い

14. 反射的な反応
守られている感覚がない
自分で自分を守るための臨戦態勢
（逃げるか戦うか）
衝動性 落ち着きがない 怒りっぽい
少しの刺激にも過剰に反応回避・孤立 脅え・敏感

15. 年齢に関わらずみられる反応
 睡眠
►寝付けない、途中で目が覚める、悪夢
 食欲
►食欲がない、食べ過ぎる、食べるのに時間がかかる、食べないでも平気
 感情
►感情が高ぶりやすい、怒りっぽい、泣きやすい、おとなしすぎる
 不安
►同じことが起きるんじゃないか、大切な人と離れることの不安

16. 4～6歳（幼稚園）
周り（保護者）の様子をみて状況
を理解しようとする
7～12歳（小学生）
自分の経験から状況を推察する
13～18歳（中高生）
成人と同様にすぐに理解する
保護者および職員
状況を全て理解する
茫然とする
キョトンと
している
しがみつく
迷惑をかけない
ようにする
手伝いをする
生徒を守るための
行動をとる
自分の子どもの
安否確認をする
ガマンする
落ち着きが
なくなる
罪悪感
0～3歳（保育所）
何が起きたのかさっぱりわからな
い
あわてる
顔色をうか
がう
泣き叫ぶ
手伝いをする

17. トラウマ体験後のあそび
つらい体験をした子どもは、体験そのものを遊びとして繰り返すことがある
• 地震の後の『地震ごっこ』
• 交通事故の後にミニカー同士を衝突する遊びを繰り返す
• 性被害にあった子どもが人形の服を脱がせる
 無理に中止させる必要はない
 暴走し、他児に悪影響がある場合は制限する
 ハッピーエンドに導けるような介入がよい

18. 心理的デブリーフィング
つらい出来事の後、できるだけ早くに介入し、体験の内容に踏み込んで感情の表
出を促すこと
• 元々は消防士のPTSDの予防法としてアメリカで開発されたもの
• 1995年の阪神淡路大震災では主流だった
現在では有害もしくは無効とされている

20. PFAの原則 P＋3L
準備 Prepare
つなぐ Linkきく Listenみる Look

21. 準備 Prepare
危機的な出来事について調べる
利用可能なサービスや支援につい
て調べる
安全や治安状況について調べる

22. みる Look
安全確認する
急を要する基本的ニーズがある人
を確認する
深刻なストレス反応を示している
人を確認する

23. きく Listen
声をかける
必要なものや気がかりなことにつ
いてたずねる
人々に耳を傾け、気持ちを落ち着
かせる手助けをする

24. つなぐ Link
情報を提供する
必要な社会的支援と結びつける
自分で問題に対処できるように手
助けする

25. 動画2回目
Look 見る
どのようなところを見て
いたでしょうか?
Listen 聞く
どのような工夫して聞い
ていたでしょうか?
Link つなぐ
どのような工夫をして、
どこに繋いでいたでしょ
うか?

27. ロールプレイ
子ども
役
支援者
役
観察者
 子ども役と支援者役に分かれてロールプレ
イをします。（1分半）
 観察者はそのやり取りを観察し、RP終了
後に良かったところを中心にフィードバッ
クしてください。（1分）
 福地の方で少しみなさんに感想を振ります。
 役を交代し、RPを継続します。

28. 全体のながれ
1回目RP
（1分半）
グループ内FB
（1分）
みんなで
シェア
2回目RP
（1分半）
グループ内FB
（1分）
みんなで
シェア
3回目RP
（1分半）
グループ内FB
（1分）
みんなで
シェア

29. 耳を傾けるまで
観察する
ゆっくり近寄る
目線を合わせる
自己紹介する
落ち着かせる

30. 傾聴の勘どころ①
あいづち
• 「そうか」
• 「なるほど」
＜ポイント＞
• 普段自分が思っているタイミング
よりもゆっくり
• 意識して、ワンテンポ遅らせてみ
る
受容・共感
• 「そんな気持ちでいたんだね」
• 「それはつらかったね」
＜ポイント＞
• あまり多用せず、大げさにならな
いように
• 「わかるわかる」「私のとき
は・・・」は禁止

31. シナリオ
県内で大規模な豪雨と洪水があり、あなたが勤務する学校の体育館は避難所になりました。あなたは
地域の保健師と手分けをして、避難所の管理をすることになりました。
あなたが巡回をしていたところ、あなたの担当するクラスではないAさんが目に留まりました。Aさ
んは避難所の中をウロウロと歩き回り、落ち着きがありません。
あなたはAさんにPFAを提供することにしました。あなたが話しかけると、Aさんは堰を切ったよう
に話し始めました。家が水に流されたこと、祖母の行方がわからないこと、両親が仕事で帰ってこな
いことを話します。

32. あなたは避難所の巡回をしています。Aさんがウロウロ歩いています。
あなた:「こんにちは。1クラスのAさんだよね。2クラスの担任のBだよ。」
Aさん:「あ。B先生‼」
あなた:「ちょっと落ち着かない様子に見えたから話しかけてみたんだ。なにか心配なことがあるのかな?」
Aさん:「実は家が流されて、ここに来たんだけど・・・」
場所を変えて、改めて傾聴します。座り方や姿勢なども気を付けてください。
Aさん:「家が流されて、これからどうしたらいいのか・・・」
Aさん:「おばあちゃんは外出中だったんだ。帰ってきてなくて。」
Aさん:「お父さんとお母さんは仕事に行って、ここに夜中じゃないと戻ってこない・・・」
あいづちをゆっくり打つこと、受容・共感することに全神経を集中してください。

33. 耳を傾ける
そうか。そんなことがあったんだね。
先生、あなたがそんな気持ちでいること
知らなかったよ。それはしんどかったね。
ここで話してもらえてよかったよ。
もう少しあなたの気持ちが知りたいな。
もうちょっと詳しく教えてくれるかな。
どうしたらいいのか一緒に考えよう。
受容する
話してくれたことを評価する
うながす

35. 一人で抱え過ぎないこと
が最も大事です。

36. 対人支援研修パッケージいろいろ
子どもにやさしい空間（Child Friendly Spaces, CFS）
https://www.unicef.or.jp/cfs/
WHO版心理的応急処置（サイコロジカル・ファーストエイド, PFA)
http://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/pdf/who_pfa_guide.pdf
子どものための心理的応急処置（サイコロジカル・ファースト・エイド, PFA）
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=1596
人道行動における子どもの保護の最低基準（Minimum Standards for Child Protection in Humanitarian
Action, CPMS）
https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/cpms.pdf

37. みやぎ心のケアセンターHP
みやぎ心のケアセンター http://miyagi-kokoro.org/

38. ここから本日の全体スライドをみることができます
本日より1週間を目途に削除させて頂きます