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※ 出典明記の上であれば流用・改変等ご自由に
※ PPTファイルご入用の場合は、メール又は
メッセンジャーにてご連絡を
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
令和元年5月9日
令和 2年1月29日、2月19日
佐賀県産業企画課参事
北村 和人
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
2
はじめに
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
自己紹介
3
(93.4~)水産振興課でノリ養殖協業化の立ち上げなど
(96.4~)土木事務所で用地買収
(99.4~)大和総研に派遣研修、時系列予測や構造分析
(00.4~)健康増進課で難病の医療給付など
(02.4~)医務課で救急医療、災害医療、小児医療など
(05.4~)教育庁で学力調査、マネジメント改革など
(09.3~)税務課でふるさと納税、税制提案など
(13.4~)新産業課でIT産業振興や創業支援など
(16.4~)産業人材課で人材確保対策
(18.4~)産業企画課でIT産業振興や創業支援など
Facebookページ
(仕事)
Facebook
(個人)
Yahoo!ブログ
(個人)
電子書籍
(個人)
ご案内
携わった
仕事
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
今日のテーマ
4
話の
内容
お伝え
したい
こと
例えば、「高齢者はITに疎いし、弱い」とか、「ITが高齢
者をサポート、あるいはエンパワーメントする」とかの一
般的な話に留まらず…
テクノロジーの進化によって、むしろ
シニア世代の知恵や経験が重視されるかも?
 ITはこれまで、世界をどう変えてきたのか?
 その結果、今、ホットなトピックスにはどの
ようなものがあるのか?
 その上で、世界はこれからどう変わるのか?
 じゃあなぜ、シニア世代が重要なのか?
…といった話をしたうえで、
時間があれば最後はディスカッションを
 AIって、そもそもどういう仕組みなのか?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
5
最初に確認させてください…
 筆記用具をお持ちの方
 スマートフォンをお持ちの方
• Web検索ができる方
• QRコードの読み取り方がわかる方
• アプリをインストールできる方
 SNSアカウントをお持ちの方
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
6
ITはこれまで、世界をどう変えたのか?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
限りなく楽になった情報の収集・加工
7
ひと昔前は… 今だと…
統計書を紐解いて、
転記して、手計算し
て、手書きグラフで
データ
Web検索、ダウン
ロード、そのまま加
工・計算・可視化…
毎回、図書館に通っ
て棚から探し出して
読んで…
文献
Webや図書館の蔵書
検索、貸し出し予約、
受け取って…
書籍を当たるか、人
づてに当たるかを何
度も繰り返し…
事例や
人材など
の情報
まずWebやSNS等で
検索、めぼしいもの
に個別にコンタクト
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
「安く」「簡単に」なった意思疎通
8
簡単でもリアルタイムに 時間かかってもまとめて
電話 文書・手紙
電子メール
いいとこどり? 見たかどうか?
テキストだと…
タイムラグが…
SNS
メッセージング
アプリ
ビデオチャット
/テレビ会議
Facebook、Twitter、
Linkedinなど
LINE、messenger、
WhatsAppなど
各種メッセージング
アプリやSkypeなど
不特定多数と… 一対一やグループで 顔をみながら
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
「いつでも」「誰もが」世界に発信
9
ひと昔前は… 今だと…
新聞・テレビ等マス
メディアの専売特許
事実を
報じる
メディアや会議に担
がれる有識者が…
主張を
述べる
本を
書く
作品を
出展する
何かを
販売する
出版社が担ぐ研究者
や有識者が…
主催者が評価する
アーティストが…
バイヤーの目に叶う
メーカーが…
ブログやSNS、フォ
トや動画の投稿サイ
トなどを通じて誰も
が自由に!
セルフパブリッシング
で誰もが自由に!
各種の投稿サイトや
ECサイト、クラウ
ドソーシング等を通
じて誰もが自由に!
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
「個人と世界」の関係が変わってきた?
10
自分
遠い世界のこと
でも「見える」
知らない誰か
とも「話せる」
誰もが世の中に
「提起できる」
世界
「手が届く世界」が広がることで、その気になれば
 より広く、深く考え、自分なりの問題を見出す
 正しいことや大事なことを提起し、賛同者を募る
など、個人の可能性も広がってきた
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
あの人は、今?
11
 スマホをお持ちの方は、昔の知人とか興味
がある有名人などの名前で実際に検索して
みてください
 その人がブログやSNSをやっていたら、近
況がわかるかも?
(ちなみにうちの子が、4月から東京に出てい
きましたが…)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ただし…
12
遠い世界のこと
でも「見える」
知らない誰か
とも「話せる」
誰もが世の中に
「提起できる」
見たいものだけ
を見ればいい
ウマが合う人
だけでまとまる
独りよがりでも
世界に発信!
なかなか結構な悪循環!
(問題の矮小化や社会の分断、ポピュリズム台頭の素地?)
見えないもの
見たくないもの
をこそ大事に
合わない人
考えが違う人
とこそ付き合う
俯瞰し
自問・内省し
自らを磨く
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
底流にあるのは「知識社会」
13
工業化社会
問題は明確
その解決が大事
知識社会
問題が不明確
その発見が大事
市場の
飽和と
成熟化<例>
とにかく「作れば
売れる」時代
<例>
何を作るべきかす
らわからない時代
知識・情報を扱うITの発達
社会の変化を促す 技術の発達を促す
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
「権威」は崩れ去っていく…
14
情報の
非対称性の
解消
様々な見方
・考え方が
見えてくる
「権威」の
相対化
ビジネス
マネジメント
教育
政治
メディア
大手でも偽装や不祥事、その告発などが頻発
「管理」から「マネジメント」の時代へ
既成メディアへの不信、Web等勢力の台頭
既成政党や政治家の欺瞞、それらへの等閑視
学校や教師への不信、民間教育事業の顕在化
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
15
今、ホットなトピックスとは?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
チャットボット
さまざまなAI①
16
スマートスピーカー
様々なロボット 囲碁・将棋など
サイトやSNSで
問い合わせなど
に自動で対応
佐賀市保険年金課「ここね
ちゃん」(木村情報技術)
声に反応、家電の
操作やニュース、
音楽などを配信
Google Home(Google)
店舗や事務所で
来客に対応、受
付や誘導など
上:pepper(ソフトバンク)
下:sota(ヴイストン)
囲碁や将棋、チェスなど対戦
型ゲーム向けのソフトウエア
AlphaGO(Google)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
さまざまなAI②
17
画像認識 音声認識
機械翻訳 数値解析
静止画や動画の
中の人物や物体
などを判別
スマート農業の一場面
(オプティム)
人の音声を判別・認識し、テ
キストなどにデータ化
入力されたテキ
ストや音声を別
の言語に自動で
翻訳
分散や相関など
統計的知見の下、
データの規則性
を見出し、予測
Amazon Transcribe(Amazon)
Voice Tra
(情報通信研究機構)
MAGELLAN BLOCKS
(グルーヴノーツ)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ここねちゃんと会話してみよう!
18
スマホをお持ちの方は…
「ここねちゃん」で検索 以下のQRをスキャン
テクノロジーと経済、社会、そして人
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AIとちょっと似てますが…RPA
19
自動化(作業)プロセス(の)ロボット工学(による)
例えば
効果
効能
転記
入力
整理
計算
発行
 人間がやるよりははるかに迅速
 定型事務であれば人為的ミスを抑制可
 なにより24時間365日稼働!
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
IoTって何?①
20
だからoは
小文字!
モノのインターネット(化)
いろんなものをネットに繋いだら…
① 様々な情報が一元的に集約できるよね?
② 離れたとこから操作・制御できるよね?
これってめちゃ便利だし、効率的じゃね?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
IoTって何?②
21
スマート家電 スマートファクトリー
スマートグリッド スマートシティ
インターネットにつなげる家
電で、遠隔から操作・監視
生産設備の情報を集約、稼働
状況や保守管理を最適化
異なる電源や送電網を接続、
需要に応じて発送電を最適化
エネルギーや交通網など都市
生活の情報を活用、最適化
(東芝のサイトから) Simple analytics(セゾン情報システムズ)
(総務省「情報通信白書」から) (「IoT News」のサイトから)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
今日は遅くなりそうなので…
22
ここから自宅のビデオレコーダーを検索し、
ゴールデンタイムの番組の
録画予約をしてみようと思います…
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
シェアリングエコノミーとは?①
23
経済共有(する)
① ある人が欲しがっているモノやコトを他
の人が「遊ばせている」ってあるよね?
② そういうのをお互いに融通しあえれば、
皆が助かるんじゃないだろうか?
これって、ITを使えばできるんじゃね?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
シェアリングエコノミーとは?②
24
クラウドソーシング クラウドファンディング
車、輸送、民泊… 学びのシェア
Web上のプラッ
トフォーム(ラ
ンサーズ、クラ
ウドワークスな
ど)で発注先を
募ってシェア
Web上のプラッ
トフォーム
(Camp Fireや
マクアケ等)を
通じて資金を
募って調達
カーシェア、ライドシェア、
民泊…持たずに借りる
Webやアプリで「学びたい」
と「教えたい」を仲介
ローカルシェアリング
センター(多久市)
クラウドファンディング
総合研究所(佐賀市)
Manaview(多久市)シェアサイクル(佐賀市)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
クラウドソーシングを覗いてみよう
25
デザインやライティングなどいろんなタスク
がありますが、比較的、ハードルが低いのは
ネーミングやキャッチコピー?
ランサーズ クラウドワークス
テクノロジーと経済、社会、そして人
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モノ、コト、そしてXaaS
26
サービスとしての○○(すべてのもの)
もともと
IT業界で
S(oftware)aaS
P(latform)aaS
I(nfrastructure)aaS
ソフト
OSやDB
ハード
転じて
最近は
M(obility)aaS
…カーシェア、ライドシェア、自動運転×ITS etc.
ならば
もしかしたら
今後…
R(obotics)aaS
F(actory)aaS
O(ffice)aaS
○aaSできないか?
☞ビジネス創出の視点の一つ
テクノロジーと経済、社会、そして人
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XaaSが変えるビジネスと社会
27
クライアント
や消費者
「一括して」払う
ハードや
(機械や設備)
ソフトの
(アプリやサイト)
ベンダー
モノとして「売る」
「使った分だけ」払う
サービスとして「貸す」
これまでは…
XaaSだと…
 初期投資がいらない
 収支が計画しやすい
 乗り換えが容易
※ ただ、「所有」できない
 収益が平準化できる
 顧客の囲い込みが可能
 開発等に注力しやすい
※ ただ、収益化に「時間」
例えば
A-noker
(太良町)
Inaho㈱
(鎌倉市)
RaaS
テクノロジーと経済、社会、そして人
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xR(eality)…AR/VR/MR
28
A(ugmented)R
(拡張現実)
V(irtual)R
(仮想現実)
M(ixed)R
(複合現実)
AirCodeプロジェクト
(九州コーユー)
VRによる仮想ゲーム
(wikipediaから)
佐賀☆ミライの…
ジッカンムービー
 現実世界のマーカーにスマ
ホやタブレットをかざすと、
存在しないものを画面表示
 画像や動画等で追加的な情
報を提供するなどの用途
 ヘッドマウントディスプレ
イ等にCGによる全方向型
の仮想世界を表示
 ゲームなどの娯楽や、様々
なシミュレーション
 ARとVRを組み合わせた考
え方で、現実世界の風景の
中に画像等を表示
 今後のITの主要なインター
フェイスに(なるかも?)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ARでみてみよう!
29
神風プロダクション(佐賀市)のサイトから
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
デジファブ&メイカームーブメント
30
 ものづくりには生産設備が必要
 だから投資が必要で、皆はできない
 デジタル化で試作程度は安価&容易に
 それを逆手にとったビジネスも登場
デバイス
 3Dプリンタ・スキャナ、レーザーカッター等
 3Dプリンタの素材も、樹脂から石膏やカーボ
ン、金属などへ多様化
ビジネス
への影響
 機器を利用できるFabLabが登場
 ハード系のお一人様企業も登場
 リバースエンジニアリング対策
など知財管理が重要に…
(他方、歯科から外科手術まで医療分野でも…) FabLab.SAGA(呉服元町)
テクノロジーと経済、社会、そして人
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仮想通貨とブロックチェーン
31
一般的な法定通貨
中央銀行経済主体 経済主体
経済主体 経済主体
価値や流通を
集中的に管理
経済主体経済主体
そんなのイヤ、もっと自由であるべきだ!
ブロックチェーンによる仮想通貨
中央銀行経済主体 経済主体
経済主体 経済主体
暗号で二重使用を
防止、管理者不要
のP2P流通を実現
経済主体経済主体
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
皆が大福帳持ってたら偽造とか?
32
基礎知識:ハッシュ関数 ※ あくまで「例」で、実際とは異なります
おはよう
05 26 40 03
3143
1433
ルール④:一文字ずつずらす
おかよう
05 06 40 03
1143
1431
ルール①:あ=01、い=02、…
ルール②:隣り合う数字を足す
ルール③:一桁にばらす
ブロックチェーンとnonce、Proof of Work
t時のブロック
t-1のハッシュ値
nonce値
取引情報
t+1時のブロック
tのハッシュ値
nonce値
取引情報
【ハッシュ値】
0.00000xxxxx…
1)元データが違うと答えも違う
2)答えからデータは推測困難
1.上○桁が0になる
nonceを総当たり
2.皆で検証・承認
3.最初の人に報酬
テクノロジーと経済、社会、そして人
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スマートコントラクトとICO
33
 記載する情報は、なにも「取引
履歴」だけである必要はない!
 発行する主体は、なにも「中央
銀行」である必要はない!
スマートコントラクト
ブロックチェーンに契約情報
を記載、ネットワークで真正
性や第三者への対抗力を担保
企業やNPOが「自社サービス
の受益権」を担保に独自通貨
を発行、資金調達の一手段に
公証役場や法務局がいらない
世界になる(かも?)
やがて世界中の個々人が、
自分の通貨(株)を売り出す
世界になる(かも?)
「権威の相対化」を価値流通面で支えるインフラへ
テクノロジーと経済、社会、そして人
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X-テック
34
(主にIT系の)テクノロジー○○の
Fin 金融(Finance)×IT…電子決済、電子通貨、仮想
通貨、与信審査、不正取引検知など
Ad 広告(Advertisement)×IT…リスティング広告、
DSP、グロースハックなど
Agri 農業(Agriculture)×IT…農業用ロボット、収量
予測、圃場や栽培管理など
Ed 教育(Education)×IT…電子教科書・電子教材、
成績管理、プログラミング教育など
Med 医療(Medical)×IT…電子カルテ、EBM、保険
審査、画像診断など
HR 人材(Human Resource)管理×IT…採用審査、
人事評価、人材マッチング、e-Learningなど
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
35
休憩!
テクノロジーと経済、社会、そして人
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36
AIとはなんぞや?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
統計→データマイニング→機械学習→AI
37
解析学的分析
データマイニング
機械学習
Artificial Intelligence
• 可視化
• 各種検定
• 多変量解析
…回帰、PCA など
• アソシエーション
ルール
• 決定木 など
• サポートベクターマ
シーン
• 協調フィルタリング
• ランダムフォレスト
など
• ディープラーニング
など
コンピュータ
パワーの
増大
いわゆる
3Vデータの
多様化
ディープ
ラーニングで
Break through
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
データと検証、探索
38
定説・通説や事実・事例から仮説を得る
データ等を用いて検証し、立証・普遍化
昔は
データで俯瞰的に探索したうえで、
仮説や洞察(インサイト)を得る
今は
収集にも分析にもコスト
 図書館で借りて、転記して…
 手計算で分析、手書きでグラフ
収集、分析ともにICTで
 Webで安価かつ効率的に入手
 分析も可視化もGUIツールで
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
AIへの二つのアプローチ
39
エキスパートシステムや
コーパスなど
ディープラーニングを
はじめ、機械学習
脳の中にある「知識」そのもの
に着目し、それらをアルゴリズ
ムやデータベースとして構造化、
これをもとに推論・判断・処理
情報処理のアルゴリズムを工夫
(ディープラーニングの場合は
脳の神経回路の模倣)すること
で、学習・認識・処理
<分野>自動応答、各種の審査
や評価(人事・採用、病気、
与信力など)
<分野>認識・認知(画像、音
声、言語)、各種予測モデル
構築
テクノロジーと経済、社会、そして人
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例えば…
40
リンゴは
 食べ物だ
 赤い
 甘酸っぱい
 生食でもジャムでもOK
ある程度確かな
既知の知識や情報
 論理をプログラム化
 データベース化・参照
 彼女はリンゴ好きかな?
 明日は売れるだろうか?
不確かで未知・
未経験の知識や思考
1)器(例:神経回路の
模倣)を作る
2)正解(例:リンゴ好
きのデータ)を投入
3)なぜだか判別可能!
機械学習以前 以後
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ディープラーニングって?
41
多層パーセプトロン(ニューラルネットワーク)
畳み込み層(画像等)
X以上
なら1
重みw入力データ それは
ネコか?
1:Yes
0:No
0 1 0
0 1 0
0 0 0
フィルタ
畳み込み プール化
・・・
「学習」って?
1)正解データ(ネコの有=1、無
=0とした画像)を大量に用意
2)ピクセル化して上記のアルゴリ
ズムに読み込ませる
3)より適切に判別できるxやw、
フィルタに収束するまで繰り返し
演算する
テクノロジーと経済、社会、そして人
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会社組織に似てる?
42
社長
部長
課長
社員
画像データ
猫or猫でない
猫です! 違います!
正解した 間違えた
テクノロジーと経済、社会、そして人
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画像認識を試してみよう!
43
スマホをお持ちの方は…
「Azure 画像認識」で検索 以下のQRをスキャン
参照 → カメラ → 撮影・保存 → 送信
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
A B C D
03
04
05
A B C D
02
03
04
ニューラルネットワークとRNN
44
A B C D
01
02
03
A B C D
01
02
03
一般的な
NN
A
B
D
C ?
RNN
再帰的
ニューラル
ネットワーク
A
B
D
C
!A
B
D
C
時系列属性を持つ
データが扱えるように!
(各種指標、音声、文章、動画…)
※ 発展形として…
・ 入力層の手前に画像処理と同じ畳み込み層を追加したもの
・ 前時点の隠れ層の入力を加減するもの(LSTM、GRUなど)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
言葉の「デジタル」化
45
以前は… 最近の「分散表現」
やりかたはいろいろあるが、
 単語や文章一つ一つを分類
したり、注釈(品詞とか意
味とか)をつけるなどして
 それらをデータベースにま
とめて参照・活用
 そもそもデータベースを作
るのに相当な労力が必要
 新しい言葉や表現が出てき
たらその度にメンテナンス
していかないと使えない
要素
A
要素
B
要素
C
要素
D
今日 0.7 0.5 0.2 0.3
誕生日 0.8 0.7 0.5 0.1
私 0.5 0.8 0.1 0.7
楽しい 0.2 0.1 0.8 0.2
 文書等から機械が勝手に推
計(主成分分析に近い)
 新たな言葉や表現も同じ要
素で表現することが可能
 機械が扱いやすい形式
さっきのRNNに、分散表現にしたテキストをそのまま突っ込んだら…
テクノロジーと経済、社会、そして人
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機械翻訳やチャットボットの実際
46
普通の人
が考える
機械翻訳
今、実際に
使われて
いる仕組み
This is a pen.
これは です。ペン
① 単語を訳す
② 並べ替える
山のようなデータベース、複雑なアルゴリズム…
☞どれだけ人と時間があってもできるはずない!
単語
に
分割
分散
表現
RNN RNN
分散
表現
単語
に
直す
① 器を作る
② 学習させる
(データを「食わせる」)
This is a pen.
これはペンです。
I wrote with a pen.
私はペンで書いた。
なるほど
するとペンって
もしかして…
N-gram
Wordpiece
など
Word2Vec
Doc2Vecなど
Seq2Seq
(Sequence to Sequence)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
その他の機械学習手法の例
47
ツリーモデル アソシエーションルール
協調フィルタリング
問:スキーに行くか?
天気
積雪
3時間後
0:10 3:7 9:10
有無
他雨
止降
7:3
【決定木】上記の図
【ランダムフォレスト】データを複数
に分割して多数の木を作り、それら
の平均(多数決)をとる
【勾配ブースティング】さらに「誤判
定しやすいデータ」に重みをつけて
学習させ、より精度を高める
「ビールと紙おむつ」のように
購買データから併売傾向を探る
など
購買データや属性データから
「これを買った人はこれも」と
いったレコメンドエンジンに用
いるなど
それぞれ一長一短なので、最近で
は同じデータに複数の手法を適用
し、その結果を集計する「アンサ
ンブル学習」や「スタッキング」
といったアプローチも
テクノロジーと経済、社会、そして人
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機械翻訳を試してみよう!
48
いろんなサービスがあります…
Google翻訳 bing(MS) weblio
Excite 百度 online translator Fresh翻訳
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「実験」の結果
49
昨日は雨が降っ
た。
昨日は弱い雨が降っ
た。
昨日は弱い雨が降ったが、
濡れなかった。
google It rained yesterday. It rained yesterday
yesterday.
We had a weak rain yesterday,
but it didn't get wet.
bing It rained yesterday. It rained a weak
yesterday.
It rained a weak yesterday, but
it didn't get wet.
weblio It rained yesterday. Weak rain fell yesterday. Weak rain fell, but did not get
wet yesterday.
Excite It rained yesterday. Weak rain fell yesterday. Weak rain fell yesterday, but I
didn't get wet.
百度 It rained yesterday. It rained yesterday. Although it was weak rain
yesterday, it was not wet.
online
translator
It rained yesterday. Weak it rained yesterday. We had rain yesterday, but he
didn't get wet.
Fresh
翻訳
It rained yesterday. It rained weakly
yesterday.
It did not get wet although it
rained weakly yesterday.
雨が
主語に
弱いは
どこへ
最も自然?
主語を
当てたのは
これだけ
誰?
テクノロジーと経済、社会、そして人
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AIも機械学習もデータが命!
50
辞書にしろ… 神経回路にしろ…
それらそのものは
なので、その「器」に「何を入れるか?」次第
<例>同じCNN(折り畳みニューラルネット)による画像認識でも、みかん判別器にもりんご判別器にもなる!
RNN(再帰的ニューラルネット)による音声認識に佐賀弁ばかり聞かせたら、ネイティブな佐賀人に?!
「データ資本主義」という言葉も登場!
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
なぜ、スマートスピーカー?
51
Amazon
Echo
Google
Home
Apple
HomePod
LINE
ClovaWave
Microsoft
Invoke
【命題①】
AIの精度は質の高いデータを
どれだけ豊富に集めるか次第
【命題②】
インターフェイスを制する者
は時代を制す(例:iPhone)
家庭生活×音声による対話型支援システムで…
①音声認識の精度向上 ②人々の様々なニーズ収集
③次の標準的なUIの地位獲得 などへ!
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
AI(機械学習)は万能か?
52
うまくいく場合
この訳の分からないデータ、
AI(機械学習)に突っ込ん
じゃえばそれっぽい答えを
出してくれるのでは?
うまくいかない場合
画像認識、音声認識、機械翻
訳、簡易な応答や判断…
 正解ははっきりしているが、
メカニズムが複雑なもの
 人がやれば簡単だが、手数
がかかるもの など
複雑な応答や判断、時系列予
測、感性・感情の介在…
 メカニズムは簡単でも、正
解がはっきりしないもの
 人がやっても迷ったり、間
違いやすいもの など
素人考えだと、
AIに馴染みそうな
問題だけど…
データに含まれる
ノイズ 多い少ない
ノイズ or メカニズム ?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
53
ITはこれから、世界をどう変えるのか?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
Software Eats the World
54
IT/
Software
製造 流通
小売
建設教育
医療
金融
スマートファクトリー、
マスカスタマイゼーションなど
配送管理や在庫管理などの
デジタル化、ロボットや自
動運転等による省力化など
CRM、e-コマースなど
一次
産業 圃場管理や栽培管理などの
デジタル化、ロボットやド
ローン等による省力化など
建機管理や現場管理のデジタル化、
インフラメンテナンスの自動化など
電子決済・電子通貨、アルゴリ
ズム運用、与信審査・不正検知、
ブロックチェーンなど
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
企業の時価総額と経済成長
55
企業名 国
1 NTT
2 GE
3 ロイヤルダッチシェル
4 AT&T
5 エクソン
6 コカ・コーラ
7 メルク&Co.
8 フィリップモリス
9 トヨタ自動車
10 日本興業銀行
11 ロシュ
12 富士銀行
13 住友銀行
14 マイクロソフト
15 インテル
日
米
蘭
米
米
米
米
米
日
日
瑞
日
日
米
米
企業名 国
1 エクソンモービル
2 GE
3 マイクロソフト
4 シティグループ
5 BP
6 バンク・オブ・アメリカ
7 ロイヤルダッチシェル
8 ウォルマート
9 トヨタ自動車
10 ガスプロム
11 HSBC
12 P&G
13 ファイザー
14 J&J
15 サウジ基礎産業公社
米
米
米
米
英
米
蘭
米
日
露
英
米
米
米
沙
企業名 国
1 アップル
2 アマゾン
3 マイクロソフト
4 アルファベット
5 バークシャーハサウェイ
6 フェイスブック
7 アリババHD
8 テンセントHD
9 JPモルガン
10 J&J
11 エクソンモービル
12 ビザ
13 中国工商銀行
14 バンク・オブ・アメリカ
15 ロイヤルダッチシェル
米
米
米
米
米
米
中
中
米
米
米
米
中
米
蘭
出所)1995、2006:Financial Times「The Global 500」、2018:https://www.180.co.jp
世界の企業の時価総額ランキング
1995 2006 2018
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
日米欧中の経済成長率①
56
出所)IMF「World Economic Outlook2018」
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
日米欧中の経済成長率①
57
出所)IMF「World Economic Outlook2018」
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
グローバル化、要素価格均等化と格差
58
かつて、「境界」が存在した時代
先進国の
所得階層後発国の
所得階層
生産性が低くても、
全体の所得水準が高いので…
境界が消えれば「水は高いところから低いところ」に…
先進国の
所得階層
後発国の
所得階層
生産性が高くても、
全体の所得水準が低いので…
ピラミッド自体が
上方に…
ピラミッド自体が
下方に…
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
「デジタル・ディスラプション」の時代
59
グローバル化 知識社会化 ITの高度化
知恵さえあれば
初期投資はわずか
国や地域を超えて
お客は世界中に
限界費用ゼロで
売上増≒利益増
デジタル技術による 分断、崩壊
創造的破壊(Schumpeter)、破壊的イノベーション(Christensen)的なニュアンス
既存のプロダクトやサービスを圧倒的低コストで置き換え、
顧客や市場を根こそぎ奪っていく新興企業の台頭
 マッチングプラットフォーム:eコマース、シェアエコなど
 コトによるモノの代替:ライドシェアやMaaS、サブスクビジネス…
 新たな市場や顧客の創出:各種SNS、X-Tech、投稿・主張・販売…
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
佐賀のIT産業は、今…
60
過去4年間で労働生産性が改善、ほぼ福岡並みに
従事者数は
やや増、だが
未だ少ない
労働生産性は
大幅改善、
今や福岡並み
出所)経済センサス活動調査(H24、H28)…中分類の「情報サービス業」及び「インターネット付随サービス業」の合計
県内のIT企業等の動向
 AIやIoT、RPA等によるビジネス創出…オプティム、木村情報、
福博印刷、佐賀電算、ITインペルなど
 ARやVR、MRなどコンテンツ技術…とっぺん、ウェアサーブ、
神風プロダクション、九州コーユーなど
 シェアリングエコノミーなど…価値創造プラットフォーム、
manaview、クラウドファンディング総研など
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
AIなどに取り組む県内企業①
61
木村情報技術株式会社 株式会社オプティム
 H17創業、H28にワトソンの
パートナーシップ国内第一号
 自動応答ソリューション:
コールセンター、社内FAQ
 HRテック:AI採用、佐賀大学
等とのAI-Campus
 組織内のダークデータを活用
したAI-Switch
 H12創業、H27に農業ICTで県
と協定、H28にIoT Cloud OS
 ドローンや画像認識、スマー
トグラス等を活用したスマー
ト農業
 コマツとのiConstruction
 在宅医療、遠隔医療、画像診
断など
www.k-idea.jp www.optim.co.jp
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
AIなどに取り組む県内企業②
62
福博印刷株式会社 株式会社佐賀電算センター
 H20頃からデータマイニング
チームRyuTsu.JPを設置し、
統計分析によるマーケ支援
 H30からGoogleの機械学習
APIを活用したAI事業に参入
 デジハリ佐賀も運営、2年で
約80名のWebデザイナー等を
輩出
 H29にデジタルソリューショ
ン部(AI開発室)を設置
 RPA(ソフトウエアロボット
による業務自動化)の開発と
導入支援を展開
 AIによる手書き文字認識・
OCR連携など、自然言語処理
と融合できるAI研究開発
www.ding.co.jp www.sdcns.co.jp
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
規模のハンディをつながりで…
63
AI・IoT事業
(産業スマート化センター等)
ローカルシェアリングC開設(クラウドソーシング支援)
H23 H24 H25 H26 H27 H28 H30~H29
デジタルコンテンツ
産業育成推進事業
(クリエイターのネットワーク化)
データ&デザイン新市場創出事業
(ITとデータ及びデザインによるB2B市場創出)
デザイン思考普及推進事業
(イノベーションの手法であるデザイン思考による課題解決ワークショップ)
やわらかBiz創出事業
(県内IT企業等による新ビジネスの「共創」と実証支援)
施
策
I
T
企
業
ク
リ
エ
イ
タ
ー
そ
の
他
コミュニティの形成
(佐賀クリエイターズカンファレンス、
C-revo in SAGAなど)
データビジネスへの参入
(福博印刷RyuTsu.JP、佐賀電算、
佐銀コンピュータなど)
AIやIoT、VRなどへの挑戦
(木村情報のワトソン、オプティムのIoT OS、
福博のマゼランブロックス、佐賀電算のRPA等)
民間コワーキング等の開設
(COTOCO215、FabLab.SAGA、
こねくり家、On the Roofなど)
デジハリ佐賀開設(福博印刷)
MIC佐賀開設(マイクロソフト、パソナテック)
クラウドSaga設立(クラウドファンディング支援)
デザイン思考研究所やコンテンツ共創ラボ設立
データサイエンティスト育成
佐
大
官
民
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
そして産業スマート化センター
64
今度、この部分に
画像認識を使いた
いんですが…
ああ、だったら
こういう企業が
ありますよ!
え!御社にはそ
んな技術も…
ええ、だから組
めませんかね?
AIで世界を変える。
こんなビジネスを
やりたいんだ!
へえ、なかなか
面白いアイディア
もってるなあ…
このIoTデバイス、
なかなか面白い!
こっちのAIアプリも
すごいんだから!
入口
コンセプト
機能
リソース
と のハブ
①体験/相談 ②人材育成 ③交流/マッチング
①海外含む90
超の協力企業
②県内・外の
アドバイザー
③MICをはじめ
各地のサテライト
Meeting
room
Show
room
Seminar
room
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
センター運営状況
65
<来訪者数>
開所後6か月で
延約800名
<セミナー等>
H30年度参加者
約1,500名
製造業A社
工場IoT化やデータ利活
用を支援してほしい
機械学習に強みがある協力企業及び生産
管理や統計に詳しいアドバイザーを紹介
製造業B社
IT企業を集めた相談会
を行いたい
工場IoTに取り組む企業、AIに詳しい企
業、RPAに詳しい企業を紹介
製造業C社
手書き伝票など事務作
業を効率化したい
OCRやRPAに詳しい協力企業及び業務処
理自動化に取り組む協力企業を紹介
建設業D社
VRや3Dなどコンテンツ
技術を利活用したい
システム開発に詳しい企業及びVRやMR
の技術・デバイスを有する企業を紹介
<協力企業数>
開所時53社から
93社に拡大
運営状況(半年間)
紹介・マッチング事例
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
加えてジッカン☆ムービー
66
概 要
スケジュール
テクノロジーと新たな経済社会の姿について、佐賀の風景や
人、企業等を素材に「10~20年後のミライ」を描く
今年3月から、YouTubeで公開中
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ぜひご覧ください!
67
要約
編
農業
編
工場
編
オフィス
編
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
テクノロジーの民主化
68
Exploratory コグニティブAPI
MS Azure Machine Learning
 統計パッケージRのGUI
 学生・教師は無料版を利用可
 GUIによる機械学習ツール
 かなりの程度まで無料枠あり
 MS、IBM、Google、Amazonの
各社が提供(上はMS)
 安価で、MSやIBMは無料枠も
皆がゼロからできる必要はなく、
「どこに?」「何が?」あって、
「どう使うのか?」さえ
知ればいい
exploratory.io/
azure.microsoft.com/ja-jp/services/machine-learning-studio/
azure.microsoft.com/ja-jp/services/cognitive-services/
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
実は佐賀県はEvidenceBasedPolicyMaking先進県
69
第1回(H28):大臣賞
データ分析に基づく政策立案
第2回(H29):特別賞
人材流出県からの脱却
総務省「地方自治体における統計利活用表彰」
医療・福祉や交通、観光等、各
分野におけるデータ利活用とそ
の人材育成(統計分析課)
人材の定着・還流のための人材
確保関連施策とIT産業振興
(産業人材課・産業企画課)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
各地の自治体もテクノロジーを利活用
70
チャットボットで対応 RPAで事務効率化
音声認識で会議録作成
www.city.saga.lg.jp/main/46295.html
エキスパートシステムなどを用
いたチャットボットで、住民や
庁内の問い合わせ対応を自動化
(佐賀市、所沢市、川崎市、豊
田市、泉大津市、兵庫県、東
広島市、熊本県など)
ソフトウエアロボットを用いて
定型事務を自動処理
(長野県、加賀市、一宮市、和
歌山県、奈良市、宇城市等)
機械学習を用いて会議録や会見
録などを自動作成
(愛知県、滋賀県、大阪府、岡
山県、愛媛県、徳島県など)
その他、AIによるインフラ維持
補修、ケアプラン作成、ごみ処
理場運転、政策提言などの例も
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
どんな変化がありうるだろうか?
71
知的活動がAIに委ねられ、
生産性が飛躍的に向上
情報の非対称性が解消し、
様々な権威が相対化
グローバルな市場の融合で
国を超えた同一労働同一賃金に
テクノロジーの民主化で、
やる気があれば道具も入手可能
個人としての
機会と脅威
SNSで人間関係が切り替わる
のではなく積み重なる時代に
ブロックチェーンの普及で
価値の担保や流通が多元化
シェアエコで、資産保有に
伴う有利・不利は縮小
組織からの
解放と不安
社会における
多様性と分断
データの生産要素化で
プラットフォーマーが台頭
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
72
テクノロジー、だからこそシニア世代?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
人の知的活動とAI・IoT、及び知識社会
73
情報の
インプット
思考
分析
判断
情報の
アウトプット
IoTでできそう…
AIでできそう…
知識社会における競争力の源泉である
人の知的活動が、機械に置き換わる?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
過去の技術革新と似て非なる点
74
所得階層
【かつての技術革新】
肉体労働やルーティンワーク
など比較的下位層を代替
<例>産業革命期のラッダイト
運動
【AIなどのインパクト】
知識社会におけるナレッジ
ワーカーなど、比較的中~上
位層を代替する可能性
<例>弁護士や法務事務、医療
関係の診断・読影など
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
AIが浮き彫りにした「人間って何?」
75
AIによって、
物理作業のみでなく知的作業も機械で可能に…
【Q1】人が人として担うべき
タスクやミッションとは、
いったい何だろう?
【Q2】いずれ膨大な時間が
余ってしまうことになるが、
さて、どう過ごそうか?
知識社会=知性の時代から「産みの苦しみ」「創造の喜び」など
「人間臭い部分」が価値の源泉となる経済社会へ?
【参考】
 Industry4.0:ドイツが生産技術に着目して提唱した、FA化の次のIoTの時代
 Soceity5.0:わが国が産業社会に着目して提唱した、情報化の次のAIの時代
 Humanity6.0:(あくまで私個人が…)経済社会における価値創出に着目し
て提唱する、知識社会に次ぐ「人」本位の社会
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
だからこそ、シニアの知恵が生きる?
76
テクノロジーが置き換えてきたもの
肉体労働
/物理作業
記憶・反復
/定型作業
思考・判断
/非定型作業
感性・情操
/創造的作業
体力や年齢等に
左右されやすい
左右されない or
経験・蓄積が大事
テクノロジー 人間
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
実際…認知機能の加齢変化
77
Schaie, K.W.(2013). Developmental influences on adultintelligence:
The Seattle Longitudinal Study(2nd ed.). Oxford University Press.
言語理解
空間認知
推論
言語性記憶
数的処理
知覚速度
比較的、
衰えにくい?
少なくとも
70代前半までは
一定水準を維持?
実はITやAIで
代替されすい
縦断調査=同一サンプルの継続的観察による結果
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
やってみよう!(レベル1)
78
ニュースの
キーワード検索
Webメディアの
定期的な購読
 Googleのニュース検索で、
「AI」などテクノロジーに関
するキーワードで検索
 「気になったら見る」こと
で世の中の動きも見える
(スマホやタブレットがあれば、
タブを常時、開いておくのもいい)
キーワード入力
クリック
 経済社会やテクノロジーを
テーマとした無料のWebメ
ディアを定期的に購読
<例>
• 日経ビジネスオンライン
• 日経XTECH(一部のみ無料)
• デジタルクロス
• Wireless Wire
デジタルクロス(インプレス)への寄稿記事
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
やってみよう!(レベル2)
79
AIチャットボットとの
コミュニケーション
メッセージングアプリで
ビデオチャット
 WebサイトやSNSでやりと
りできるチャットボットと
会話してみる
<例>
• 佐賀市の「ここねちゃん」
• 中小機構の「マモル」
• MSりんな(LINE、Twitter)
マイクロソフト「女子高生AIりんな」
 メッセージングアプリが搭
載しているビデオチャット
を使って知人等とチャット
<例>
• LINE
• Messenger(Facebook)
※ 基本、多くは利用は無料ですが、通信
料はかかります…なのでWIFI環境で
Facebook「Messenger」
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
やってみよう!(レベル3)
80
クラウドソーシングへの
エントリー
スマート家電を使った
IoT体験
 プラットフォームサイトで
アカウントを作成、可能な
ものに応募してみる
<割とハードルが低いもの>
• キャッチコピーのコンペ
• 記事執筆などのタスク
ランサーズ https://www.lancers.jp
 手持ちの家電の説明書を見
て、ネットにつなげるよう
ならつないで宅外で操作
<割と実用性があること>
• 遠隔でのビデオ予約・視聴
• 帰宅直前のエアコンの操作
パナソニックメディアアクセス
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
やってみよう!(レベル4)
81
クラウドファンディング
での寄付(購入)
関係する施設などの
訪問・体験
 クラウドファンディングの
プラットフォームにアカウ
ントを設け、寄付してみる
<例>
• キャンプファイヤー
• マクアケ
• ふるさとチョイス(ふるさと納税)
ふるさとチョイス起業家支援(太良の農家の例)
 身近でテクノロジーなどを
体験できる施設を訪問して
みる
<例>
• 産業スマート化センター
• FabLab.SAGA(3Dプリンタ等)
• こねくり家(pepperなど)
こねくり家(EWMファクトリー)
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
やってみよう!(レベル5)
82
AIを使った
サイトやアプリの利用
【番外】プログラミング
やデータサイエンスの学習
 画像認識や音声認識などが
可能なWebサービスやスマ
ホアプリを使ってみる
<例>
• Aipoly
(画像認識)
• Voice Tra
(翻訳)
スマホのAipolyで認識さ
せたスクリーンショット
 プログラミングやデータサ
イエンスについてサイトで
学習、コンペに応募
<データサイエンス関係>
• 社会人のためのデータサイエン
ス講座(gacco)
• SIGNATE、Kaggle(米)など
SIGNATEのコンペ https://signate.jp
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
時間があれば…
83
Voice Tra(翻訳アプリ) Aipoly(画像認識)
iOS Android iOS Android
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
最後に…
84
テクノロジーの民主化は、様々な人々に平
等に機会を提供します。
もちろん、個々人ごとに差異はあり得ます
が、とはいえ、マクロでみれば以前ほどに
は「年齢」に左右される要素は小さくなっ
たと考えるべきかもしれません。
すると結局、その機会を生かすも殺すも皆
さん次第…ぜひ明日から、始めませんか?
テクノロジーと経済、社会、そして人
ゆめさが大学講演資料
ご静聴、ありがとうございました。
【お問合せ先】
mail: kitamura-kazuhito@pref.saga.lg.jp
Facebook: www.facebook.com/kazuhito.kitamura1

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20190509 テクノロジーと経済社会(ゆめさが大学)

Editor's Notes

  1. まず簡単に自己紹介。もともと自治体に入った契機は、大学時代、地域経済を専攻したことが大きい(それまでは、実はIBMやMSなどIT系に、と思っていた)。 ご存知の方もいるかもしれないが、自治体の行政職はいろんな部署に行く。実際、私も水産、土木、医療・福祉、教育、税を経て今、産業関係。3~4年おきに「転職」しているようなもの。 なお、個人でブログやFacebook、さらには電子書籍などもあるので、今日の話に興味をお持ちいただいたり、個別に尋ねたいこと等あればご参考に。
  2. そのうえで、今日の話について。まず、この手の話でよくあるのが「高齢者はITに疎い」とか、逆に「ITが高齢者をエンパワーメントする」という話。それらでもいいんだけど、あんまりおもしろくないので、「テクノロジーの進化がシニアの知見・経験をむしろ必要とするのではないか」といったような視点でトライしてみたい。 そういったテーマの下、話の筋立てとしては以下のとおり。ITのこれまで、今、そしてこれからに一とおり、触れたうえで「なぜ、シニア世代の時代」なのか、を。そのうえで、さらに時間があれば、皆さんといくらか、ディスカッション的なことができればと思う。
  3. さて、では最初にITはこれまで、世界をどう変えてきたのか、というテーマで。
  4. 一言でITといってもいろんなものがあるが…「世界を変えた」という点で言えば、まずは情報の収集や加工なんだと思う。こういったところに通われている方々なのでインターネット検索ぐらいはされたことがあると思うが、要はそういったもの。 例えばデータ。私も仕事柄、統計の類をしばしば扱うが、昔はそれこそ統計書を探して、一個一個数字を転記して、縦横の計で間違いがないかチェックして、それから加工とか、可視化をやっていた。でも、今は公的統計ならほとんどWebに載っているし、ダウンロードして表計算ソフトなどを使えばグラフなどもすぐ作れる。今日のような講演とかプレゼンの機会も、大和総研にいた頃はOHPシートに印刷して、映りが悪いとやり直してと試行錯誤だったが、今ならパワポで作っては試し、といったことが手軽にできる。 あるいは文献の類。これも昔は図書館なり、本屋に通うしかなかった。でも今なら、公的図書館の多くはWebで蔵書検索を提供しているし、貸し出し予約とかもできる。あるいは購入なら、ぜひはともあれアマゾン等、ネットショップでいつでもできる。 さらには事例情報とか人材情報。こういったものも、書籍を当たったり、人づてに聞いたりといったことを繰り返すのが昔は普通だった。でも今はWebやSNSで当たりをつける、コンタクトもメールやSNSでとれるといった具合。本当に便利になったと実感する。
  5. それから、次に意思疎通を便利にした。昔は簡単な内容でもリアルタイムにやりとりしたければ電話、時間がかかってもいいからまとまった内容をやりとりしたかったら手紙や文書という選択肢しかなかった。しかしその後、この両者をいいとこどりする形で電子メールというものが登場した。 とはいえ、メールだと「見たかどうか?」「テキストだと微妙なニュアンスが…」など課題もある。そんなこともあって、 不特定多数と一斉にやりとりするならSNS 一対一やグループでやりとりするならメッセージングアプリ 顔をみながらやりたいならビデオチャットやテレビ会議 といった具合に様々なツールが登場してきた。そしてまた、驚くべきはこれらの多くは通信料以外は料金がかからない。 (ここで以降の話の内容や立ち位置にもかかわるのでお尋ねしたいが、皆さんの中でこれらのツールを利用されている方がどのぐらいいるか、教えてもらえないだろうか?)
  6. それから最後に情報発信。例えば昔は、事実を報じるのもマスメディアの、主張を述べるにも有識者のそれぞれ専売特許。だが今は、ブログやSNS、さらには動画の投稿サイトなどを通じて誰もが自由にやれるようになった。 あるいは本を書くこと、これも昔は出版社が担ぐ研究者の専売特許。だが、私もそういうことをやったが、今は誰もがセルフパブリッシングで自由に出すことができる。 さらには作品を出展するとか、何かを販売するのも昔はそれなりのステータスやプレゼンスが前提。だが、今はこれらも投稿サイトやコンペサイト、ECサイト、クラウドソーシングなどを通じてより多くの人々がアイディアや才能さえあれば自由に、といった時代に。 (ここも皆さんにお尋ねしたいが、例えばブログやSNS,あるいは動画投稿など、されている方はいるだろうか?)
  7. ITが世界をどう変えたのか、一言で言えば「個人と世界の関係」を変えた、ということだろう。 情報収集が効率的になって遠い世界の片隅の出来事でも見えるようになった、意思疎通、特にSNSが端的だが見知らぬ誰かとも話ができるようになった、情報発信が容易になって誰もが世の中にいろんな形で提起ができるようになった。結果、自分からみた「手が届く世界」が広がり、また身近になった。 その結果、その気になれば世の中や自分を取り巻く様々な出来事について、より広い視野からより深く考えるとか、その中で正しいこととか大事なことを見つけたら自ら問題提起し、賛同者を募るなんてことが、少なくともやりやすくなったのではないだろうか。
  8. ただし、これは他方で注意が必要なことも。 見える、話せる、提起できるという3点、裏返せばこういうことも言える。「見たいものだけを見る」「ウマが合う人達だけでまとまる」「独りよがりでも場合によっては世界に影響を与えられる」…そして3点目と1点目がつながれば、これは結構な悪循環だ。昨今、見かける社会の分断やポピュリズムといったこととも無縁ではない。 すると、「見たくないものをこそ見る」「会わない人とも付き合う」「俯瞰し、内省する」といったことが重要。それがないと、世の中はかえって混乱に陥るだけなのかもしれない。
  9. こうした流れの背景にあるのは、工業化社会から知識社会への流れ。昔はとにかく、「作れれば売れる時代」だった。だが市場が成熟化し、飽和状態になった結果、そもそも「何を作るべきか」から考えなきゃいけなくなった。結果、「決まった問題の解決」が大事だった時代から、「問題そのものを発見」することが大事になり、そのための「知識」が、「労働」や「資本」と並んで重要な生産要素となった。 実は、こうした社会の変化を促し、また、この社会変化によって発達を促されているのがIT。なぜなら、ITはまさにこの「知識」を扱うテクノロジーだから。
  10. ここは余談だが、知識社会への流れやITの発達は、情報の非対称性を解消させてきた。つまり、昔のように地位や立場がなければ入ってこない情報というのが少なくなってきたということ。より多くの人々に情報が行き渡るようになり、個々人が様々な見方・考え方に接するようになると、いわゆる「大本営発表」のようなものの虚実が見えてくる。なのでこれまで、情報を「独占」することで権威を保ってきたというやり方も通用しなくなる。 私はこれを「権威の相対化」と呼んでいるが、こういった例はビジネスやマネジメント、メディア、政治、教育など各分野の底流だ。
  11. 次にでは、ITなりテクノロジーのホットなトピックスをご紹介。
  12. さて、まずはそれらテクノロジーのうち、AI。ただ、Aiといっても様々。みなさんは人口知能というとどのようなものを思い浮かべるだろうか。 まず、おそらくわかりやすいのは「質問に答える」機能。代表的なのは二つあって、一つはチャットボット。インターネットやSNS、メッセージングアプリに質問を投げかけるとコンピュータが答えてくれる。この画面にあるのは佐賀市がやっている「ここねちゃん」という保険年金関係の人工知能で、実は佐賀の木村情報技術という企業のソリューション。 それから、最近、増えて来たのがスマートスピーカー。これはテキストデータではなく声で質問や命令をすると答えてくれるといったもの。CMなどもやっているのでご存知と思うが、「音楽かけて」「電気つけて」「明日の天気は」とか。 さらに、人とコンピュータをつなぐインターフェイスという点でいうと、ロボットなどもある。上はソフトバンクのペッパー、下はヴィストンという企業のソータ、いずれも店舗での受け付けなどに利用されている。さらには、より「知性」を感じるものでいうと囲碁や将棋のAIなども。プロ棋士に勝ったなどがしばしば、ニュースになるので皆さんもご存知では。
  13. 先ほど紹介したのは私達消費者や生活者から見て割と「見える」部分で使われている例だが、もっと「見えない」部分での人工知能もある。一つは例えば画像認識。このフォトはこれも佐賀の企業だがオプティムという会社の例で、農業のIT化の一環として取り組んでいる画像認識を用いたトマトの収穫期の判別や予測。 それから、他には音声認識もあって、これはスマートスピーカーなどに使われている技術。フォトはアマゾンの例だが、実は後で述べるように他にもMSやグーグル、IBMなどが、エンジニアが自分のプログラムの「部品」として使えるようなAIを提供をしている。 さらには機械翻訳。Google翻訳などを使ったことがある方はわかると思うが、あれもある時期から精度が飛躍的に向上した。実はそれは、AIによる進歩が大きい。それまでは他例えば「book」なら「本」というデータベースをイチイチ作って翻訳していたが、最近はそうではなくて、「日本語の文章」と「英語の文章」で「正しい翻訳」を大量に投入して、機械がそれを自動で整理する、といったやり方に変わった。なお、写真はグーグルではなく、国の独立行政法人のアプリで、誰でも無料で使える。 さらには少し専門的になるが数値解析。後で述べるようにいろんなデータが大量に手に入るようになって、その分析手法も発達してきた。その延長線上に実は今のAIがある。写真は福岡の企業によるクラウドサービスで、企業向けなので月額10万円と割と高価だが、プログラムを書かずに数値解析のためのAIの数量モデルが作れる。ちなみに県内企業でも、福博印刷などはこうしたテーマに取り組んでいる。
  14. AIと少し似たものとして、RPAというのもあって…RPA。Robotics Process Automeationの略だが、この「プロセス」、何だろう? 要はソフトウエアロボットによる事務作業の自動化。例えば注文伝票を受けてそれをシステムに入力し、整理・計算して伝票等を発行する、これまではこういったものを人がやっていた。ただ、RPAは一度、この作業手順を教え込むと、以降は人手を介することなく自動でやってくれる。 このことの何がすごいかというと、まずは「早い」こと。おそらく人間よりも数千倍、数万倍といった単位で、実際、ある自治体(さいたま市)で保育所の入所受け付けとマッチングに使ったところ、従来、1500時間かかっていたのが数秒で済むようになったという。それから、早いだけでなく正確。もちろん、最初に間違った手順を教えてしまうと以降、全て間違えてしまうが、それがない限りは基本、ニューマンエラーは起こらない。さらには、人間と違って、必要なら24時間365日、不満も言わずに働いてくれる。 ちなみに県内企業では、佐賀電算センターが最近、注力している分野。
  15. AIと並んで皆さん、お聞きになる言葉としてIoTもあるのでは。Internet of thaingsの略。日本語ではモノのインターネット化と言われるが、これ、訳がすごく難しい…日本語のあいまいさの利点として「化」をつけると何かそれっぽくなるというか。 いわんとするのは、いろんなものをインターネットに繋いだら、いろんな情報が一元的に吸い上げあられるし、離れたところから操作できるし、すごく便利じゃない、という考え方。ちなみに、なのでIoTのoは小文字。これ、若い人とかも間違えることあるので「なぜ小文字?」というのは覚えておいていいと思う。
  16. じゃあ、IoTにはどういうものがあるかというと例えばこういったもの。皆さんに一番身近なのはスマート家電かもしれない。イマドキの家電製品は多くがインターネットに接続できる(知ってましたか?)。「つないでいいことあるの?」「面倒そう」と思われるかもしれないが、慣れると便利。例えばビデオの録画予約も視聴も外出先で思いついた時にできる。 それから、製造業の分野とかで言われるのはスマートファクトリー。生産ラインの設備の稼働情報とか、あるいは受注情報、出荷情報等を全て一元的にリアルタイムで集約することができれば、どの設備をどのタイミングでどのぐらい動かすか、その結果、どれだけの生産ができて原材料や製品在庫がどの程度残っているのかなどが最適化できるし、稼働状況に応じて「そろそろ部品交換が必要」とか、「どうもここが故障しているらしい」とかがわかる。 さらに、こうしたものを国とか地域といった範囲により広げていくと、これらはまだ実用には時間が必要ではあるものの、構想や実験段階の話として、例えば電力でいうスマートグリッドとか、交通を始め都市の生活インフラをターゲットにしたスマートシティとかもある。
  17. 次の言葉としてシェアリングエコノミー。シェアは共有、エコノミーは経済なので、日本語では共有経済とか言われる。ただ、これはあまり正確な表現ではないかもしれない。 いずれにせよ、「何を共有するか?」なんだが、言わんとすることは、世の中には「誰かいらないもの」を「必要な他の誰か」がいるはずで、でも昔は、そんなの分からなかったからどうしようもなかったけど、ネットの世界になってそれらを融通し合うことができるんじゃない、という発想。
  18. 具体例をいくつか。一つはクラウドソーシングで、これは融通するのは労力とかスキル。Web上に大手のプラットフォームがいくつかあるが、「こういう作業をしてほしい」とクライアントが募ると、登録したワーカーが手を上げて作業をするという仕組み。ちなみに写真はWebではなく多久市のローカルシェアリングセンターという施設で、ここが面白いのは大手のWebプラットフォームと組んで、ネットではなく地域社会というリアルの世界でワーカーを募ってそれをやろうとしているところ。 それから、二つ面はクラウドファンディングで、これは融通するのはお金。これもWeb上に大手のプラットフォームがいくつかあるが、製品開発やイベントなどで資金を必要とする人がお返しなどを示して募り、賛同者が寄付をする。写真はクラウドファンディング総合研究所というところのイベントだが、実はこここは最近、佐賀に本社を移転した。 さらに三つ目、最近、しばしば聞くのがカーシェアやライドシェア、民泊。いずれも「持つ」のではなく、必要な時だけ借りて使うという考え方で、カーシェアは駐車場ひとつとってもコストがかかる都市部で浸透しているし、民泊はインバウンドとの関係で注目されてきた。それでも佐賀には一見、縁がなさそうだが、この写真は自動車ではなく自転車で、佐賀市がこういったものを始めている。 さらには、学びをテーマにしたシェアリングサービスというのもあって、これは多久市の企業の例。まだ創業間もない企業だが、アプリを通じて「学びたい人」と「教えられる人」を仲介するというもの。モノに限らず、こういったコトについても今後、シェアリングエコノミーが広がっていくと思う。
  19. シェアエコにも関連した話題として…最近なんとかaaSという言葉がある。aaSはas a Service、つまり、「サービスとして」という意味。 もともとIT業界で使われていた用語で、ソフトやOS、データベース、ハードウェアなどを、以前のように「買って保有する」のではなく、「必要な時だけ借りて使う」といったサービス。MSのOffice365やイラストレーター、フォトショップを出しているAdobeも最近、やっているが、「持たざる経営」だったり、「ストックのフロー化」だったり、「コストの平準化」といった経営トレンドに沿ったもの。 これが最近は、転じていろんな場面で使われるようになった。最近、よく聞くのがMobility as a Serviceで、これは先ほどのカーシェアやUberなどのライドシェア、あるいは今後は自動運転や自動交通システムなども組み合わせ、「移動」をサービスとして提供しようという考え方。 さらに今後、こういうのが例えばロボットや工場、オフィスなどにも広がっていくかもしれない。なので逆に、身近なものを「○aaSできないか?」と視点を変えることで、新たなビジネスにつながる可能性もある。
  20. それから次はデジタルコンテンツ。たぶん、こっちの方は具体的になのでまだわかりやすいと思う。 ARとかVRとかMRという言葉、お聞きになったことがないだろうか?うち、ARは日本語では「拡張現実」。現実世界のマーカー、例えばマークとか、画像にスマホやタブレットをかざすと、その画面の中に実際には存在しないものが映るというもの。よく見かけるのは、日本語の案内表示をスマホでかざすと英語や中国語の案内が表示されるとか、製品にかざすと補足説明が表示されるとか。写真は小城の九州コーユーという印刷会社が開発中のプログラミング教育の教材で、スペースシャトルが映っているがこれ、現実には存在しない。 それからVRは日本語では「仮想現実」。ヘッドマウントディスプレイを被ると、その中に現実世界とは違った画像が投影され、自分が動いたり、違う方向をみると画像もそれにそって動く。ゲームでは最近、増えてきているが、そういった娯楽以外にも、例えばいろいろなものの運転などのシミュレーションなどにも用いられる。 最後にMRは日本語では「複合現実」。現実世界の映像に、先ほどのVRのような映像を重ねて表示するもの。もちろん今は、VRと同じようにヘッドマウントディスプレイとかスマートグラスをかけないと見えないが、いずれはこの画像にもあるようにホログラムとかで表示される時代も来ると思う。今後、ITが発達していく中で、人と機械をつなぐ主要なインターフェイスになるかもしれない。
  21. それから次は、ものづくりの話。デジファブ=Digital Fabrication、つまりモノづくりのデジタル化。3Dプリンタという言葉、お聞きになったことがあると思う。ちなみに現物をご覧になったことがある方はいるだろうか? かつては何か工業製品を作ろうと思っても生産設備が必要で、それも数百万、数千万と簡単ではなかった。だが今は、試作程度であれば3Dプリンタで可能。また、最近では金属やカーボンを使ったプリントもできる。 だから、こういった機器を一般の人々に有料だが安価で使わせるような市民工房、いわゆるFabLabといったものが出てきたり、アイディア一つでハード系の企業を起こしたりといった例もでてきた。いわゆるメイカームーブメントといった動き。写真は佐賀市にあるFabLab.SAGA。
  22. 次に仮想通貨。一般的な法定通貨は中央銀行が管理。価値の裏付けには「信用」が必要で、これには相応の権威や権限が必要だから。ただ、世の中には「そういった中央統制型の経済では不自由」という考え方もある。 そういった人達が考え出したのが、ブロックチェーンによる仮想通貨。これは中央銀行のようなものが存在せず、個々の経済主体が相互にやりとりをする。じゃあ、その価値をどう担保するかというと、これは相互の信頼。 たとえていえば、法定通貨の場合、真正な大福帳が中央銀行に一冊、あるようなもの。対して仮想通貨なり、ブロックチェーンの場合は、取引に関わる全ての経済主体がそれぞれ、同じ大福帳を持っていて「みんな同じものだよね」ということが貨幣価値の根拠になっている。
  23. 少し技術的になるが…「でも、考えてみたらみんなが大福帳持ってたら、中には『俺は100万コイン持ってたはず』と言い出す人とか、周囲と共謀してそういう主張を正当化するやつもでてくるんじゃない?」という疑問もあると思う。ここに暗号技術が使われていて…ちなみに仮想通貨は英語でcrypto currencyというが、cryptoは暗号。 基本的な考え方は、まず暗号で使われる技術の一つにハッシュ関数というのがある。これはある一定のルールで入力した値を要約しながら、同じデータには同じ答えを返す、かつ、答えから元データを復元するのが難しいという関数。この例だと、「は」と「か」が一文字、違うだけで出てくる答えも変わる。 仮想通貨はブロックチェーンとも呼ばれ、過去の取引が全て一連のデータベースに収まっている。このデータベースの冒頭に、過去の取引履歴をハッシュ関数で要約したハッシュ値がくっついているが、ここに新しい取引履歴を追加するときにちょっとした細工を仕込んである。さっきのハッシュ関数、そのデータの後、例えば上記の例だと「おはよう」の後に適当な文字を追加すると、出てくる答えがゼロが並ぶものにできる。この追加する文字を、ブロックチェーンではnonce値、number used once(一度だけ使う値)の略、というが、ただ、「こういう答えが出てくるデータ」をあらかじめ予測できないので、例えば「あ」とか「00000」とかから順繰りに全て試してみて、答えを探すしかない。だから膨大な計算が必要で、ネットワーク上でいろんな人がその作業をしている。これが時々聞く「マイニング」という作業だが、最初にその値を見つけた人がネットワークに提案し、ネットワークの参加者の過半が承認したら見つけた人が報酬をもらい、ブロックに新たな取引履歴を追加できる、という仕組み。 なので、ネットワークに参加する数千とか数万とかのPCを制御しないことには偽造ができないし、もし、そういう力があるならむしろ正規のルールでマイニングをして報酬を得た方が数倍、割に合うというわけだ。 ちなみに、この仕組みを考え付いた人はサトシ・ナカモトという人で、Web上に論文が掲載されている。ただこの人物、実は正体不明で、ホントに日本人かどうかもわからない。通貨だけでなく人物自体も「仮想」かもしれない。
  24. あえて時間を取って仮想通貨について説明したのは、こういう社会的インパクトがあるから。ブロックチェーンの場合、まず、記載するのは取引履歴である必要はない。 まずハッシュ関数は基本、なんでも同じ長さのデータに要約できるので、するとテキストとかでもいいし、実際、メールの改ざんチェックなどにも使われている。ここを応用して、商取引などの契約書をブロックチェーンで、という考え方、いわゆるスマートコントラクトが出てきた。普及すれば公証役場や法務局がいらなくなるかもしれない。 あるいは、中央銀行がないというのは、誰でも発行主体になれるということ。なので、ICOという考え方が出てきた。これは企業やNPOなどが自社サービスの受益権を担保に独自の仮想通貨を発行し、資金調達をするというもの。これももし今後、普及していけば、やがて世界中の個々人が独自通貨を発行する世界になるかも…「お前さんの株、上がったよ」というのがいわば現実になるわけだ。 いずれも、先に述べた権威の相対化を「価値の流通」の面から支えるインフラになる可能性がある。まだなかなか世の中に浸透していないが、リトアニアなど先進例もあるので、いずれ変わっていくだろう。
  25. これらいろんなテクノロジーが相まって、まさにSoftware eats the Worldなんだが、○○Techという言葉もいろいろ、登場してきた。 最近よく聞くのはFintech、これは金融。先ほどの仮想通貨や電子決済、AIによる与信審査など。あるいはAdtechという言葉もあって、これは広告。リスティング広告などは言葉は知らなくても皆さん、日々、芽にしているはず。AgriTechは農業、で、佐賀県内でも例えばオプティムが相当、蓄積してきている。EdTechは教育、MedTechは医療、HRTechは人材といった具合。
  26. では次に、これらITやテクノロジーが、世界をこれから、どう変えていくのかについて。
  27. ちなみに、そうした流れが生じたのはひとえにITによる恩恵、具体的にはデータが大量かつ多種多様に入手できるようになったこと、それから計算速度が飛躍的に向上したことが大きい。厳密に境目があるわけではないが、今のAIブームも、根っこはここから来ている。
  28. この結果、データに対する接し方も変わった。私の場合、公的統計をはじめ割とデータを扱って政策形成に活かすことが多いが、昔は、データ活用と言えばもっぱら「検証」だった。つまり、定説や事例から仮説を得て、データで検証・普遍化するというやり方。これは、データの収集・分析にコストがかかったということがある。実際、今のようにデータ一つとってもWebでは手に入らないので、図書館通いを強いられるといった具合。 だが、今はこの仮説構築の前にデータを「探索」のために用いるということが多い。それが可能になったのはまさにICTのおかげだろう。以前と比べて収集も分析もかなり低コスト。そうすることで目下の政策課題の周辺含めた様々な状況を俯瞰し、よりよい仮説が得られるのは間違いない。
  29. ともあれ、そういったことでデータサイエンスとAIは密接に関係している。ただ、最初にいろんなAIを紹介したが、実は大きく分けて二つのアプローチがある。 このうち左側は、エキスパートシステムや知識データベース、コーパスと言われるアプローチ。他方、右側はディープラーニングという言葉をお聞きになったことがある方もいると思うが、それらをはじめ、機械学習によるアプローチ。 左側のアプローチの関心事は、脳の中にある「知識」そのもの。これをアルゴリズムやデータベースに落として推論や判断する。なので、自動応答や各種の審査・評価といったものに向いている。 他方、右側のアプローチの関心事は、情報処理の仕組みやシステム。で、実際にディープラーニングの場合は脳の神経回路を模したもの。だから画像や音声などの認識、様々な予測モデルの構築などに向いている。 AIの発達から言えば、今の第三世代と呼ばれるものは右側。しかし、かといって左側が劣っているというわけではなく、むしろ実用例としては左の方が多い。というのはいずれも一長一短あり、向き不向きがあるから。
  30. もう少しわかりやすく解説するとこう。例えばリンゴがあったとする。赤いとか、甘酸っぱいとか、そういう、確かで既知の情報であれば、論理をプログラム化したり、知識をデータベース化すればなんとかなる。 ただ、こういう問いはどうだろう…例えば「気になるあの子はリンゴ、好きだろうか?」といったようなもの。これはさすがに、データベースやプログラムには落とせない。つまり、不確かで未知の情報だ。 しかし、私達人間はそういうことについても「なんとなく」見立てができる…もちろん、当たることもあれば外れることもあるけど。そういう中、世の中には面白い人がいるもので、「だったら、論理やデータベースにできなくても、『同じようにリンゴが好きな人がどういう人なのか?』というデータを何らかの器に大量に読み込ませれば、『この人がリンゴが好きかどうか?』が判断できる機械が作れるんじゃないか?」と考えた。実際には長い歴史があるが、でもそれがある時、思いの他、うまくいって今のAIブームが起きている。 さっき言った機械学習以前のAIと以後のAIってエッセンスはこういうもので、確かに右側のような問いに応えられるようになると、さも「人間らしい」振舞いに近づいてはくる。
  31. さてでは、先ほどの二つのアプローチのうち、辞書はわかりやすいと思うが、脳の神経回路、つまりディープラーニングはわかりづらいかもしれない。さっきの仮想通貨同様、やや技術的になるが解説してみたい。 例えばネコの画像があったとする。脳の神経回路の一番表層には「それはネコかどうか」を判断する神経細胞があって、Yes or Noで判定する。ただ、そこに至るには、実はもっと多層の網の目のような神経細胞のネットワークがあって、低次の情報から高次へと伝播する判断が、最終的に先ほどの答えにたどり着く。 こいつをソフトウエアのアルゴリズムとして作って、この一つ一つの神経細胞が「Yes or Noの境目をどこに置くか(x)」と「次の細胞にどの程度の重みで伝えるか(w)」を大量データを使って繰り返し演算し、収束させていくという考え方自体は、もう数十年前からあった。私もいくつかのデータで試したことがあるが、ほとんど規則性のないデータでもほぼ十中八九、「当てる」ことができる数理モデルが得られる。数学的に言うと「非線形関数の再現性が高い、柔軟なアルゴリズム」ということだ。 ただ、厄介なのは、技術的な言葉で「過学習」というが、こういうやり方の場合、だいたい、「学習用データは精密に再現するが、ホントに判別や予測したい未知のデータでは使えない」という結果に陥りがち。なのでずいぶん長い間、実用には使えなかった。 ところが、これはほんのこの数年のことだが、あるエンジニアがこの神経回路網の手前に、画像の圧縮技術でいう「畳み込み」を行えば、未知のデータでも精度高く判別できるモデルが得られることを発見した。画像に適当なフィルターをかけてデータを加工・縮約するというプロセスを何回か、繰り返す、というもの。ちなみに、ここにあるフィルタは9マス中、真ん中の1段目と2段目が1で他は0だが、これを画像に適用するとどういうものが得られるかわかるだろうか?通常、こういうのを使うと輪郭抽出ができたりする。 今の画像解析や音声認識、あるいは機械翻訳には、正確にはテーマによってバリエーションがあるものの、こういった技術がベースになっている。
  32. ただ…ここで大事なことを一つ。今までご紹介したAI、結局、これらは単なる「器」に過ぎない。つまり、アルゴリズムそのものは情報処理の仕組みを提供しているだけで、その中に何を入れるかによっていかようにも変わる。たとえて言えば、コーパスは「白紙のノート」、ディープラーニングは「赤ん坊の脳神経の回路」みたいなものだ。 実際、画像認識に用いられるCNNという回路にミカンの画像を大量に読み込ませれば「いいミカンと悪いミカン」を判別するが、同じCNNにリンゴの画像ばかり読み込ませるとリンゴ判別器にしかならない。あるいは、音声認識に用いられるRNNという回路に佐賀弁ばかり聞かせると、ネイティブ張りの佐賀人のように「佐賀弁はわかるが標準語はわからない」となってしまう。 最近、「データ資本主義」という言葉も出てきたが、データが重要な経営資源になってきたというのはそういうことから。
  33. データ資本主義との関連でわかりやすいのはスマートスピーカー。各社各様に出ているが、ご存知だろうか? なんでこんな風に各々が出すのか、その一つの理由は精度の高いAIを作るにはデータが不可欠だから。また、もう一つは、音声がこれから、主要なインターフェイスになっていくから。後者はiPhoneの例でわかるように、「インターフェイスを制する者は時代を制す」とも言える。 この双方の意図でスマートスピーカーを製品化することで、①音声認識の精度向上、②人々の生活上の様々なニーズの把握、③次の標準的なユーザーインターフェイスの地位獲得、といったことが念頭にあるのだと思う。
  34. では次に、これらITやテクノロジーが、世界をこれから、どう変えていくのかについて。
  35. IT界隈でここ十年ほど、言われているのがこの言葉。ソフトウエアが世界を食べていく、と。つまり、様々な産業や分野のデジタル化が進み、IT抜きでは仕事ができなくなっていく、といった捉え方でいいと思う。 例えば製造業や小売業、これらはもうずいぶん、進んできている。大量生産大量消費の時代が終わって、個々の顧客のニーズにフィットした製品をよりきめ細かく企画立案し、製造・販売する、といったようなこと。 それから、今、おそらく進みつつあるのが流通や一次産業、それから金融の分野。流通では配送管理や在庫管理などのデジタル化、ロボットや自動運転の導入があるし、一次産業では圃場管理や栽培管理の自動化や無人化、さらに金融では電子決済に始まって、コンピュータによる自動取引であったり、最近何かと話題の仮想通貨など。 さらに、今後は建設や医療、教育の分野でも進んでいくだろう。
  36. この一端は、各国企業の株式時価総額にも。1990年代半ば、バブル崩壊後とはいえ、わが国企業の特に金融系がランキング入りしていた。ただその後、2000年代半ばにはトヨタ自動車以外は姿を消し、欧米の金融系や石油関係が伸びている。ただ、これらもその後の世界金融危機やその発端となった資源価格の高騰及び急落で姿を消し、代わっていわゆるGFAMAといわれるIT界の大手や、それから中国の2大ITグループが台頭。
  37. 経済成長率も、この一端を示している。1980年代、わが国は欧米を上回る経済成長を示していたが、その後、バブル崩壊に伴って1990年代半ばからは下回るようになった。 結果、2000年を基準とした場合、GDPの規模はアメリカと比して20%、欧州と比して15%ほど、下回るに至っている。
  38. さらにこの図に、中国を加えるとこういう図になる。同じく2000年を基準とした場合、中国は約4.5倍と急成長した。結果、ITや金融系の企業が時価総額ランキングに入るものうなずけるだろう。 背景の一つはアメリカの金融緩和で、この時期、米市場の拡大に伴って経常赤字が拡大、その一定部分が中国の経常黒字につながった。もっともその後は、金融危機を契機に、アメリカの経常赤字が縮小し、欧州が経常黒字に転じた結果、中国をはじめ新興国の経済成長はやや鈍化してきている。
  39. グローバル化といわれて久しい。ここと、人や生活を考えるに当たっては、経済学で言う要素価格均等化という概念が重要。 かつて国境など境界が存在した時代、所得階層もその境界ごとに形成された。なぜなら、境界を越えて生産要素が動いたり、あるいは企業の立地選択が行われることは少なかったから。だから、境界の向こうとこちらで生産性が同じでも、賃金水準が違うということは往々にしてありえた。 ところが、この境界がなくなってマーケットがボーダレスに統合されるようになると話が違ってくる。要は「国境を超えた一物一価」のように、国が違っても同じ生産性なら同じ賃金に収斂していく。 例えば昨今、中国やインドなど後発国のエンジニアでも、シリコンバレーの企業等と取引して高い報酬を得るなんてのは左の例。あるいは、貿易を通じてより安い海外の工業製品が入ってくる結果、国内の同種産業の労働者の賃金が切り下がっていくなんてのは右の例。 縦割りだった市場が、いわば横割りになっていく、だから同一の国や地域での格差が広がる、そういうことだ。
  40. 佐賀でIT産業というと皆さんなかなか、イメージがわかないかもしれない。だが、実はこの数年で大きく伸びている。 県では平成25~26年を境に、ITを「道具」としてではなく「産業」としてターゲティングし、振興策に取り組んできた。その結果、過去4年で従事者数自体はそう変わらないが、労働生産性は大きく上昇。全国31位から15位への躍進であり、福岡とほぼ遜色ない。この背景には、地元企業のビジネスの高度化や、IT関連の企業や施設の誘致・開設などがある。 今日、ご紹介したAIやIoT、あるいはRPAといったことにチャレンジする企業もあれば、VRなどデジタルコンテンツにチャレンジする企業、さらにはシェアリングエコノミーに取り組む企業などが増えてきた。
  41. 施策ベースでITを「産業」としてフォーカスし、製造業や企業誘致ほどではないものの(これらは未だ、一つの課がある)、政策リソースを割いたのがH25~26頃から。様々な施策に取り組んだ結果、民間ベースでも、例えば地場のITベンダーがデータビジネスやAI、VRなどに取り組み始めるとともに、人材育成の場なども充実。
  42. そういったこともあって、この10月、工業技術センターの中に「佐賀県産業スマート化センター」を開設。目的は、一つはテクノロジーを活用した県内企業の生産性向上、それからもう一つは、それらのソリューションを担う県内IT企業の成長支援。 テクノロジーとオープンイノベーションのハブをコンセプトに、「体験/相談」「人材育成」「交流/マッチング」の三つの機能を提供する。そのためのリソースとして、県内はもちろん、国内、さらには海外の50を超える協力企業、県内・外のIT企業の経営者などのアドバイザー、マイクロソフトイノベーションセンターをはじめとする県内各地のサテライトを活用。 利用イメージはこの図のとおり。ショールームで展示されているソフトやデバイスを体験する、そこで得た気づきをもとに個別相談で活用を検討・支援する、さらにはこれら関係者相互の交流や研鑽のためのイベント等を開く、といったところ。
  43. あるいは、「もっと具体的に、『未来はこうなる』といったものがほしい」との声もあるかもしれない。有名なのはマイクロソフトのフューチャービジョンなどだが、ただそれらも「登場するのは外国人、舞台は海外の街角」なので実感が沸かない。 そこで今回、「10~20年後の佐賀のミライ」を映像に描く、「ジッカンムービー」の制作に着手。今月末から公開予定で、例えばこのフォトは先ほどの農業の件だが、他に工場、オフィスといった三部作を制作予定。
  44. さて、とはいえ、AIをはじめテクノロジーは専門家じゃないと使えないと思うかもしれない。ただ、ここもいわば「民主化」の波が押し寄せている。いくつかご紹介したい。 まず、実務だけでなくアカデミズムでも使われる統計分析パッケージにRというのがあるが、普通はプログラムが書けないと使えない。だが、このExploratory、GUI、つまりドラッグアンドドロップでデータの加工整形から可視化、さらには統計モデルの推計までやれる。学生・教師には無料版も。7月に日経ビジネスに掲載されたが、実は個人的に、ゼミの後輩がシリコンバレーでやっている企業で、先月、オープンした産業スマート化センターにもデモ利用の環境を提供いただいたので試してみてほしい。 それから、機械学習も、今はコードを書かなくてもGUIでやれる。いろいろあるが、一つ、紹介するとマイクロソフトのAzure Machine Learning。クラウドで誰でも使えるし、計算時間が数日がかりと言ったものでない限りは無料。 さらに、「そんな、統計とか機械学習とか言われても…」という人にもチャンスがある。マイクロソフトやIBM、Google、アマゾンなどがやっているのがコグニティブAPI。音声認識や画像認識、テキスト処理等々、ディープラーニングをはじめとする機械学習の成果を活かした様々な判別器をクラウドで提供しており、これらを自分が開発するソフトやアプリの「部品」として組み込める。マイクロソフトやIBMには無料枠も。 なので、皆が皆、ゼロから何でもできる必要はない。「どこに」「どういうものがあって」「何ができるのか」を知っているかどうかでさえ、大きな差になりつつある、そんな時代。
  45. 以下、いくつかご紹介を兼ねて。まず、政策形成の分野では昨今、Evidence-Based Policy-Makingと言われる。データなど事実根拠に基づく政策立案。 総務省が一昨年から、この自治体向けのアワードをやっているが、佐賀県は2年連続受賞。うち、初回は統計分析課、昨年は私自身の取組。
  46. それから次に、この部分ではなぜかしら、佐賀県は総務や情報セクションなどの反応が鈍いが、自治体によるテクノロジーの利活用も最近、盛ん。しばしば聞くのはチャットボットによる問い合わせ対応で、これは佐賀市も木村情報技術のシステムを使ってやっている。あるいはRPAもいろんな自治体で見られるが、役所の仕事にはかなり効果的だと思う。さらには音声認識による会議録作成なんかも増えてきた。 他にも、例えばインフラの維持補修や介護のケアプラン作成、ごみ処理装置の運転などをAIでやるといった例も出てきている。
  47. さて、ここまで述べたテクノロジーやその社会的影響について、触れていない点も含めて掲げると、例えばこういった変化が考えられる。これを「個人」「組織」「社会」としてみると、こういう時代になっていくのではないだろうか。 まず個人としてみた場合、テクノロジーの民主化や情報の非対称性の解消、シェアエコの普及などは「機会」「チャンス」ではある。その気になればなんでもできる、というわけだ。でも他方、やるかどうかで差もついてしまうし、それは例えばグローバル化に伴う国境を超えた同一労働同一賃金への収斂など経済社会的な力学からも加速するだろう。つまり、機会とともに「脅威」もあるわけだ。 次に組織としてみると、権威の相対化や、ソーシャルグラフの変化は、おそらく既成の組織の存在意義をより小さくしていく。それは個人にとっての自由であり、いわば束縛からの「解放」でもあるが、同時に「依存できない」という「不安」にもつながる。 さらに社会という軸でみると、個々人の機会の拡大や組織からの解放は「多様性」の許容につながる。ブロックチェーンによる価値流通の多元化はこれを後押しするだろう。だが同時に、それは何をもって社会統合を維持するのかという新たな問題も生み出すし、適切な解決策が見いだせなければ「分断」にもつながるかもしれない。
  48. では次に、なぜ、テクノロジーの時代にシニア世代が重要なのか、について。
  49. 先にSoftware eats the Worldという言葉を紹介した。じゃあ、ソフトウエアが食べるのは一体、何なのか? ソフトウエアとは情報処理のプロセス。その中で、AIやIoTで従来、人が担ってきた知的活動も代替し得るようになりつつある。これらは実は知識社会における競争力の源泉。それがソフトウエアに食べられる、というと、じゃあ、人には何が残るんだろうか?
  50. また、AIは従来の技術革新とはちょっと違った社会的なインパクトを持つ。かつての技術革新は、例えば馬車が蒸気機関車に置き換わるとか、手作業の生産過程が機械に置き換わるといったように、どちらかといえば所得階層の相対的に下位の層を機械に置き換えてきた。 でも、AIなど昨今のテクノロジーのインパクトが及ぶのはナレッジワーカー、知識社会におけるむしろこの中位から上位の層だ。「ピラミッドを上から崩すイノベーション」というのは人類もこれまで、あまり経験していない。その結果が何をもたらすのか、興味深い。
  51. AIの発達について、時々言われるのは「それが人間理解を促す」という議論。私なりに整理するとだいたいこんな感じ。 AIによって物理作業のみでなく知的作業も機械で可能になってくると、逆説的だが、人が担うべきものとは何ぞやということが問われる。また、生産活動から日常生活まで効率的になることで、それを考える時間も否応なしに出てくるはず。 結果、もしかしたら、これまでの知識社会、つまり「知性の時代」から、「人間性」「人間臭いもの」が価値の源泉となる時代になっていくのではないか、とも思う。
  52. ITに限らず、テクノロジーを技術一般として考えると…その発達史は、より低次の作業から高次の作業へと置き換える対象を広げてきた。最初は物理作業、次に定型作業、さらに非定型作業。で、今、残っているのはより創造的な作業。 考えてみれば、この図の左側ほど年齢や体力などに左右されやすく、右側ほど左右されない、あるいはむしろ蓄積がモノをいう世界。たぶん、人と機械の折り合いって、この図の右側にシフトしていくんだろう。 裏返せば、テクノロジーによって代替されやすい技能とは、それがフィジカルなものであれ、ナレッジワーク的なものであれ、もともと年齢や体力に左右されやすい分野。だからこそ、むしろシニアの知見や経験が、テクノロジーの普及によってかえって生きてくる部分もあるんじゃないかと思う。
  53. 実際、これは愛知にある長寿科学振興財団のサイトに掲載されているポーランドの精神科医による研究結果。加齢とともに認知機能は確かに衰えるが、とはいえ、70代前半までは一定水準を維持している。 また、記憶や数字を扱うこと、あるいは反応の速さみたいなものはその傾向が強い。ただ、実はこれ、AIやITが代替しやすい分野。他方、言語理解や空間認知、推論などは比較的衰えにくいようだ。
  54. ということで、ぜひ明日から、皆さんにもやってみてもらえたら、というのをいくつか、ご紹介。まずは情報収集から。 まず一つは、Googleのニュース検索。テクノロジーの動向は日進月歩、だから例えばAIなど興味がある言葉で検索すると、世の中の動きが見えてくる。私もよくやるが、興味があるキーワードごとにタブを常時、スマホ等で開いておけば、時間がある時にチェックできる。 それから次に、Webメディア。ニュースよりはいくらか、まとまった情報をとりたいときには役に立つ。いくつか定期的に読むものを決めておくといい。例えば日経ビジネスやデジタルクロス、WirelessWireなどの媒体があるので検索してみてほしい。
  55. 次に、ちょっとしたチャレンジを2つほど。 まず一つは、クラウドソーシング。ランサーズやクラウドワークスなどいろんなプラットフォームがあって、いろんな仕事が掲載されている。もちろん、デザインやシステム開発などとなるとなかなかハードルが高いが、中にはネーミングやキャッチコピーのコンペであったり、Web記事の執筆なども。こういったものであればさほどハードルは高くないので、やってみてはどうだろうか。 それからもう一つは、スマート家電でのIoT。いまどきの家電製品は多くがインターネットに接続できる。なので、自宅にネット回線があれば、家電をネット接続して屋外などから操作することも可能。実際、私もしばしば、仕事で急に遅くなるときに外から録画予約などやっている。便利だし、試してみてほしい。
  56. 最後に、もう一歩、踏み込んだチャレンジとして。 一つは、最近ではAIを使ったサイトやアプリというのがいろいろ、ある。画像認識や音声認識、テキスト変換などを自動でやってくれるというもの。写真は、ちょっと複雑だが、Googleの画像認識サイトでネコの画像を判別させた画面を、スマホのアプリで画像認識させているもので、「画像認識 AI フリー」とかで検索すると色々出てくるので、試してみてはどうだろうか。 それから、これは番外編だが、さらに興味関心がある方は、プログラミングやデータサイエンスの学習というのもある。これも以前は学校に通うとか、有料のテキストを買うとかしないとできなかったが、今はWebサイト等でフリーで学べるものが少なくない。データサイエンスなら、JMOOCのgaccoが総務省とデータサイエンスの講座をやっているし、プログラミングであればこういうサイトも。あと、英語ができる方ならCode Academyとかは有名。